「興味」と「熱量」をもって、経験差を縮める。上級ウェブ解析士、久野 哲平さん

「仕事とウェブ解析士」をテーマにお送りさせていただくウェブ解析士インタビュー。25人目は、デジタルマーケティング会社でディレクターをされている久野 哲平(くの・てっぺい)さん。

ウェブ解析士コラムへ初めて寄稿した記事で、年内の精読PV数が一番高かった記事の著者に贈られる、The Best Writer 2019の受賞となりました。ウェブマーケティングを知らない、あるいは興味のあるかたへ、とてもわかりやすくまとめられた記事が注目されています。

冷静かつ貪欲に挑戦を続けられてきた久野さんが、ウェブ解析士コラムを書くに至った経緯と、これからウェブマーケティングに関わりたい人へ伝えたいことを伺いました。

(インタビュー・編集:ライター ふじねまゆこ)

久野 哲平さん
目次

業務の枠を越えた挑戦。ウェブ解析士コラムの執筆

よろしくおねがいします!
どういったお仕事をされているか自己紹介をいただけますか?

デジタルマーケティング会社で自社メディアの広告運用、KPI策定、マネジメント、クリエイティブ制作をしています。

具体的に言うと、自社で運営している転職系メディアにクライアントのサービスが掲載されており、ウェブ広告への出稿とSEOを駆使してそのメディアへ集客することが主な仕事です。最終的にはクライアントのウェブサイトでコンバージョンすることが事業のゴールです。

SEOで集客するチームと、広告運用で集客するチームに分かれて運営しています。僕は後者を担当していて、ターゲティング設定や、コスト配分を含めたプランニングと、広告クリエイティブの企画などをしています。

広告運用で面白さを感じることは何ですか?

2点あって、1つはSEOと比べてユーザーの反応がすぐわかること。配信状況がすぐ分かり、PDCAを早く回せるので、スピード感があってやりがいがあります。スピードを求められつつ、失敗すると大きな損失になってしまうため緊張感もありますね。

2つめはクリエイティブを作って配信できること。作ったクリエイティブが身近なSNSで配信されて、多くの人に興味を持ってもらえるのが嬉しいです。

The Best Writer 2019受賞のきっかけになった「未経験からウェブマーケティング職に転職するには?」を拝読しました。どのような経緯でコラムを書かれたのでしょうか?

業務の枠を超えた発信をしてみたいと思い、自分から手をあげて書かせていただきました。自社で扱うテーマも転職関連で、ジャンルとしては同じですが、自社メディアだとウェブサイトのゴールが違うために表現しきれないことがあり、伝えたいメッセージが表現しにくい。であればと、ウェブ解析士協会へ問い合わせました。

記事を書くにあたって、モデルとなる人はいましたか?

特に設定していたわけではありませんが、昔の私がペルソナとしては近いかなと思います。

ウェブマーケティングという分野、業界を知らない人や、興味はあるけれど詳しく知らない人へ向けて書いた記事です。未経験の方が業界へ飛び込む足がかりになればいいなと思います。

久野さんは現在の会社に新卒で入社されて3年目と伺いましたが、大学ではウェブマーケティングを学ばれていたのですか?

いいえ。大学では建築を学んでいて、3年生の時点では建築会社と総合商社に興味がありました。たまたまIT系ベンチャー企業が主催するイベントに参加して、ウェブマーケティングを知ったのがきっかけですね。ウェブマーケティングに限らず、他の業界の選択肢も視野に入れ、本気で仕事にのめりこめる業界・職種は何かを見極めたいと思い始めたのですが、あと2か月で大学4年になるタイミングだったので、1年休学して業界を見て回りました。

将来のために1年休学されたのですね?

業界研究だけではなく、自分でビジネスを立ち上げてみたいと思い、インターンをしながら友人と2人でビジネスをしていました。

それはすごい経験ですね! どういったビジネスをされていましたか?

ベトナムへ行って、スーツの受注生産のビジネスをしていました。
それに加えて、日系企業の現地支社でマーケティングと営業サポートのインターンをしました。その会社ではSEO記事の作成だとか、Google アナリティクスを使った分析をしていました。

まさに、今のお仕事につながる経験をされていたんですね!
大変なこともあったのではないでしょうか?

会社は日本人が4~5人と、残り20人くらいがベトナム人で、基本的に英語を使わなければ意思疎通ができなかったことと、ウェブマーケティングに強い方が少ない環境でしたので、なんでも自分がやらなければ進まない状況でした。自分で何でも調べて、実行しないといけない、スタートアップのような環境でしたね。

自分からなんでもやるチャレンジ精神は、その会社でも活かされていたのですね。

自分の作りたい、やりたいことへ突き進む

今後も、記事を書いていきたいとか、自分でメディアを作りたいといった願望はありますか?

発信はしていきたいと思っています。それが文章になるか、他のクリエイティブになるかはわかりませんが。

現在、個人での発信はされていますか?

頻度は少ないですが、Instagramで発信しています。

https://www.instagram.com/p/CA5WhGshBcz/
Teppei Kuno(@k.tepppei) • Instagram

かっこいい……! モデルみたいです。

今、Mr. Japanという、ミスジャパンの男性版にエントリーしています。もともと、自己表現することは苦手で避けてきましたが、今回書いたコラム記事を読んでくれた方がウェブマーケティングに興味をもち、挑戦してみようかなと連絡をくださったんです。それが嬉しくて、誰かにきっかけを与える表現者としてありたいと思い、この機会へチャレンジすることにしました。筋トレとカラダづくりに良い料理を作ることが好きなので、そういったボディメイク系の発信も、今後続けたいなと考えています。

参考:MR. JAPAN公式ホームページ

挑戦の幅が広いですね! イケメンウェブ解析士として、今後さらに活躍の幅を広げていただきたいです!
他にも何かやってみたいことはありますか?

5月くらいからデジタルハリウッド大学の動画ディレクターコースに通って、動画編集を学んでいます。業務上、動画広告の需要が高まっていることもあって、表現の幅を広げて、いずれはYouTubeもやりたいなと。

動画はグラフィックと違って、時間、音、間、ストーリーなど考えなくてはいけない範囲が広い印象です。プランニングから撮影、編集まですべてされるのですか?

最初はすべてやろうと思っていましたが、リソース的に大変かなと思っています。とはいえ、アウトソースするお金はそんなにあるわけではないので、まずは自分で試して、ある程度見えてきたらアウトソースしたいなと考えています。最初から成功確度が無い状態でアウトソースするにはリスクが高いと思うので。

非常にウェブ解析士的な思考ですね! 業務でも動画制作をされているのですか?

現在、1つめの動画広告を制作中で、撮影以外のシナリオ設計と編集は僕が行っています。ウェブ広告はPDCAの回転スピードを早めなければいけない業務。毎回外注しているとスピード感、コスト感が失われてしまうので、できるなら自分たちで回せる体制を作りたいなと考えています。

広告クリエイティブ全般に言えることかもしれませんね。「外注先とのデザインに対する意思疎通が難しい」なんて話を聞いたことがあります。
バナー等に比べて、動画は音、映像、ストーリーすべてに配慮が必要ですが、これまでのクリエイティブよりも負担が大きいのでは?

元々、作ることは好きでしたから、それほど苦に感じていません。
仕事において自分で1から作ることは初めてで、その中で、自分が普段「いいな」と思ったものを参考にしてみたり、ちょっと似せてみたり、自分の作ってみたいものを形にできるし、仕事にも活かせているので楽しいです。

熱量と知識があれば、上司・先輩との経験差を埋められる

ウェブ解析士に挑戦される方、興味を持っている方へメッセージをお願いします。

正直、この業界では、ウェブマーケティングに関する資格を取る意味が問われていると思っています。実際、評価される人は資格を持つ人よりも実績を出した人です。

しかし、実績だけでは経験則をもとにした分析手法、切り口、アクションプランになり、時間とともにその経験が足かせとなって、古い経験に頼ってしまうこともあるでしょう。ウェブ解析士は取得する過程でウェブの知識を体系的に学べるので、点と点だった知識がつながって、業務で考えが及ばなかった視点で、分析の切り口を見つけられると思います。

確かに、上級ウェブ解析士の二村さんも、ウェブ解析士の取得についてよく質問されるとお話されていましたが、結果よりも過程で得られるものが多いのが、ウェブ解析士なのかもしれませんね。

資格取得することもゴールですが、受験するだけでも自分のためになると思うので、ウェブマーケティングに興味があったり、まだ業務に関わって日が浅い方にとって価値は大きいのではないでしょうか。ベンチマークしている人に追いつくのが難しいと感じているなら、自分のアピールポイントやアイデンティティの1つとして挑戦してみるのもありかなと思います。

ありがとうございます! 加えて、ウェブマーケティングに興味のある学生、就活中の方にもメッセージをいただけますか?

ウェブマーケティングは、自分の熱量次第で経験を超えられる分野だと思っています。始める時期が遅くても、自身の熱量と行動力で、経験を積んだ人よりも活躍できる。経験豊富な人達と差別化するための知識をインプットするための手段として、ウェブ解析士講座はアリだと思います。

僕自身、ベンチャー企業において、経験豊富な先輩方との差を縮めることを考えた時に、ウェブ解析士取得は手段の1つでした。経験年数の差は埋められないけれど、知識の差なら埋められると思って、業務経験以外で何かを得なければいけないなと感じていましたから。

ウェブ解析士を知ったきっかけは何だったのでしょうか?

確か、社員の中にウェブ解析士を知っていた人がいて、半期目標設定の場で提案されていたのを聞いたことがきっかけだったと思います。そこから、去年9月にウェブ解析士を取得し、半年後に上級ウェブ解析士を取得しました。

資格取得において、大変なことはありましたか?

上級ウェブ解析士認定講座は、短期間に多くの課題をこなさなければいけなかったので、期間中は睡眠不足でした。レポート自体はそれほど難しく感じなかったのですが、量が多くて。体力的にキツかったです。

実際に、上級ウェブ解析士まで取得されてみて変化はありましたか?

影響が大きかったこととして、1つはGoogle アナリティクスを使って分析の知見が得られたこと。もう1つは、自分の見たい指標が見られるようになったことです。

それまでは、社内でウェブサイトの分析する際に、仮説ベースの議論をされることが多かったのが、Google アナリティクスの数字を元に、説得力のある提案ができるようになりました。

社内でウェブ解析の知識を活用されている方はいらっしゃいますか?

ウェブ解析士は僕だけですが、ウェブ解析に詳しい方はおります。僕より経験が長くて詳しい方です。とはいえ、社内全体でGoogle アナリティクスのスキルを比較すれば、僕はそこそこ上の方にいるんじゃないかとは思っています(笑)。

入社3年目にして第一線でご活躍され、バイタリティにあふれていますね! 今後、ますますごの活躍を応援しております。貴重なお話をありがとうございました。

あとがき

Zoomでお目にかかったとき、とても物静かで落ち着いた印象を持ちましたが、お話を伺うほど、内側に秘めた熱量と行動力に圧倒されました。モデル、動画クリエイター、ウェブ解析士と、興味の幅を広げながらメキメキと力をつけていく久野さん。「まず自分でやってみる」ことは、他の活躍されているウェブ解析士の方々にも共通する姿勢だと感じます。

とはいえ、あれこれと興味ままに手をつけるのではなく、現状を把握し、コストパフォーマンスを見極めながら、冷静に挑戦されている様子に、学ぶことが多いインタビューでした。

久野さんの活動について

Mr. Japan エントリーの様子や、ウェブ解析に関する情報を共有されています。

Instagram https://www.instagram.com/k.tepppei/

Facebook https://www.facebook.com/teppei.kuno.3

Mr.Japan Mr.Gifu 公式Facebookページ

ウェブ解析士を取得しようか迷う方へ

毎月17日に、ウェブ解析士とざっくばらんにお話できるイベント「ウェブ解析士と話してみナイト」を開催しています。「ウェブ解析士ってどうよ?」「独学で試験を受けようと思うけれど、講座は受けるべき?」など、ウェブ解析士マスターをはじめとした先輩方に質問できるイベントです。様々な業界で活躍するウェブ解析士と、ゆるーくオンラインでお話してみませんか?

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久野 哲平さん

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