圧倒的印象を残す“新潟から来た黄色い人”。上級ウェブ解析士、杉山 健一郎さん

上級ウェブ解析士、杉山健一郎さん

「仕事とウェブ解析士」をテーマにお送りさせていただくウェブ解析士インタビュー。16人目は、新潟を拠点に精力的に活動されている杉山健一郎さん。

地方では学ぶ機会が限られてしまうことを懸念している杉山さんは、所属している会社のお仕事とはまったく別に、オフラインのイベント企画も手がけています。オフラインのセッションやカンファレンスにも積極的に参加される方はもしかしたらお会いしてるかもしれませんよ(ほら、あの黄色い人です)。

今回はそんな杉山さんに、ご自身の経歴・セルフブランディング・おすすめの本まで突撃して参りました。

(インタビュー・編集:ウェブ解析士 山田 茉莉花)

目次

紙媒体デザイン出身からアナリストへの転身

昔からウェブ業界には明るかったのですか?

実はもともと紙媒体のデザイン業務をしており、ウェブはまったくの領域外でした
2013年に妻の実家がある新潟へ移住し転職した時も、ウェブとは関係ないレストランのシェフをしていました。

レストランのシェフ!
ちょっと脱線しますが、得意料理は何ですか?

東京でもイタリアン(カフェレストラン)で仕事をしていた時期があったので、特にパスタに強いですね。

いつ頃からウェブ業界に入られたのですか?

2014年にやっぱりデザインの仕事をしたけれど、これからはウェブもやってみたい!と、一念発起し、建築設計事務所のウェブ担当になりました。
そこで、サイトリニューアルをしたとしても問い合わせが劇的に増える訳ではないことを痛感し、Google アナリティクスやウェブ解析の領域へと踏み出しました。

そこで終わりのないウェブ解析への旅が始まったのですね。

新しい情報がどんどん出てくるので、終わりが本当にないですね。すごい人はどこまでもすごいですし。

その後はずっとウェブ担当のお仕事をされていらっしゃるんですか?

現在はさらに転職し、ECサイトからコーポレートサイトまである企業のウェブアナリストとして働いています。

インハウスの強み

ウェブ解析士の資格を取得したタイミングは、既出経歴のどの時期にあたりますか?

建築設計事務所のインハウス担当時代です。
サイトリューアルをしても劇的に問い合わせが増えた訳ではなく、リニューアル自体が良いのか悪いのか判断できなくて、当時はどうしたらいいか分かりませんでした…
サイトを作って終わりではなくどう活かすのかを学びたいと考え、(当時はまだ「初級」とついていた)初級ウェブ解析士の取得に至りました。

ウェブ解析士の取得にあたり、どんな対策をされていたんですか?

それがまったく事前準備していなくて…電卓持参を忘れるし、CTRという単語も知らないレベルでした。
よくその場の一発受験で受かったなと思っています。講師の方とマンツーマンでしたが、テスト結果に講師の方も相当驚いていたほどです。
(これから受ける方は反面教師にしてくださいね 笑)

ウェブ解析士取得後は実務に活かせましたか?

資格取得のときに提出する認定レポートを社内会議用にカスタマイズして報告に活用したり、ユーザーの意向からペルソナ設計をし直してブランディングの方向性を決めるようにしました。
特にSNSをうまく活用し、年間着工棟数の4割が初回接触がウェブからのコンタクトになりました

明確なペルソナ設計が功を奏したのでしょうか?

そうですね。ユーザーに見せる情報を厳選し、動機づけするストーリー性を意識しました。
インハウスの良いところは、オフラインでも実際にデータの検証ができるところにあります。見学会にご来場いただく方の中で、外車や高級SUVの方は実際に成約率が高いことが判明し、車種等でユーザーの傾向を推測して、広告出稿に活用したなんてこともありました。

“上級”ってつくだけで、なんかスゴいと感じさせる魔法

上級ウェブ解析士を取得したのはキャリアアップが目的ですか?

小川卓さんが主催されているウェブアナリスト育成講座に通っていたのですが、そこで一緒に学んでいた方がウェブ解析士マスターになり、上級認定講座を開催したので、初回講座を受講して取得しました。令和初マスターの、令和初上級講座を受けたかったもので(笑)

私はまだウェブ解析士のままですが、上級の講座は率直にどうでしたか?

フレームワークをたくさん覚えます。あとはディスカッション形式がほとんどなので実践的でたくさん情報交換もできました。
新潟から通っていたのですが、同期の方と卒業課題のレポートは同期の方とオンラインで一緒に進めたりしました。ウェブ解析士同士の横の繋がりができたのも良い収穫です。

新潟から通われて取得されたんですね!その成果もあって実務には影響ありましたか?

“上級”とつくだけでなんかすごい感じがするので名刺が権威的になり、仕事をすすめる上でレポートに対する説得力などがあがり、スムーズに話をすすめることもできたりですね。

協会内で他の方のお話を聞いても時々聞く、「マスターという肩書きより上級の方がすごいという印象になる」現象ですね?

まさにそれです。地方だからか、ウェブ解析士自体の知名度がないから余計そう感じるのかもしれませんが…

徹底したセルフブランディングで相手の印象に残れ!

流れが早いウェブ業界ですが、普段からどういった情報収集をされていますか?

SNSを活用しています。解析で有名な方々をフォローしてオフラインのセッションやカンファレンスの場でお会いして、Facebookで繋がることを心がけています。

オフラインで一度お会いしただけで友達申請するのは勇気いりませんか?

全然!突撃はもともと得意なんですが、関東開催のイベントの場合、自分には相手の記憶に絶対残る殺し文句があるんです。
それは「今日は新潟から来ました」

確かに!それは印象に残る!!

実際は新幹線や高速バスですぐの距離なんですけどね。新幹線だと2時間くらいで着きますし。
バスなんてかなり安い時だと1900円(片道)くらいで往復できますよ。LINE等でクーポン情報はチェックしているので(笑)

それは安い!関東圏内を移動するだけでもそれくらいの金額が平気でかかる時ありますよよね。

他にもセミナーなどの場には必ず黄色い服を着ていくようにしています。

黄色ですか!?その心は…?

ああいった場の参加者は、ビジネスの延長で来ている方が多いので、スーツ等の暗い色合いが多いんです。その中で黄色ってかなり目立つんですよ。いわばセルフブランディングですね。

黄色いシャツコレクション
黄色いシャツコレクション

なかなか攻めますね!私も毎回ピンク色の服着て行くようにしようかな!

ピンクは今のところポジション空いてますよ(笑)
若い頃に本気で車のレーサーになりたくて単身イギリスに渡った経験があって、あの頃に比べたらこんなん何ともないっていう考えが常にあるんです。日本語通じる世界だし、大したことないなって。

イギリスにいた頃

日本語通じる世界で大したことないだなんていう悟りに至った経緯は、外国に渡りコミュニケーションでご苦労された経験からでしょうか?

いえ、そんなことはないです。
両親が親米で旅行好きということもあって、小学生のころからアメリカに旅行していました。なので、異文化交流についてはもともと抵抗感がないんです。そういった経験からも、わからなかったら調べたり人に聞けば解決できると思っているので、コミュニケーションは積極的にとりますね。
あとはイギリス在住時代には、自分の名前が健一郎なんですが「健」の字が入った帽子をずっと被って生活していました。現地の方々からめちゃめちゃウケるんですよ。
それであちらから声をかけてくれる機会も多かったように思います。

その頃からすでに周囲に与える情報を厳選してブランディングされていたんですね。

当時はそこまで意識して生活していませんでしたが、結果的にセルフブランディングにはなっていたと思います。健の字の帽子は、今でも大切に保管しています。

“健” の字の帽子

地方にもっと学ぶ機会を!ウェブ解析を広めたい

地方では勉強会や講座もなかなか数が少ない現状ですが、これについてはみんな積極的に上京して情報を仕入れに行ってほしいとお考えですか?

どうしても首都圏開催のものが多いのですが、上京することは必須ではないと思います。昨今の事情もありオンラインセミナーが増えてきているので、この機会にぜひ活用して欲しいです。ウェブ解析士協会でも主催しているオンラインイベントがあるので、興味がある方は一度見てみるのも良いと思います!
地方でもウェブ解析に関わる勉強する機会を作れればと思い、イベントを企画することもあります。

アナリストのお仕事とは別に、個人的に活動されていらっしゃるんですか?

そうですね。
ウェブ解析界隈で有名な方が、クローズドで実際の企業をその場で全部解析していくイベントを計画しています。

実際のウェブ解析がリアルタイム行われる現場なんですね!それは勉強になりそうです。

参加者もその場でクライアント企業役のスタッフにデータを聞き出せる場面もあります。
ウェブ解析士の資格をまだ取得していない人ももちろん参加できます。ウェブ解析士ってこんなことをやっていて、意義があり、とても面白いんだと感じてもらえるイベントにしたいと思って企画しています。

まだウェブ解析士の資格をとっていない人でも参加できるのですね!杉山さんとしては、ウェブ解析士はどんな方にとってほしいと考えますか?

ぜひ地方在住の方に取ってほしいです。
首都圏に比べどうしても積極的に学ぶ機会が少ないので、体系立てて知識を得られるウェブ解析士は最適だと思います。
また、外の業者に実際の作業をお願いするにしても、同じ目線で対等に話ができることは強みになると思います。

それでは、これから解析士資格をとることを検討している人にメッセージをお願いします!

サイトは作って終わりではなく、やるべきことが膨大にあることがわかるようになります。
それだけでも学びですし、サイトの成長により深く貢献してくことができます。
また、ウェブ解析士という横の繋がりを持つことも可能なので、取得してのデメリットはないように思います。

デザインは降って湧いてくるものではない。

最後に、おすすめの本を教えてください。

水野学さん著の「センスは知識からはじまる」です。
デザイン畑出身だとよく言われるのですが、デザイナーはセンスがものをいうみたいな風潮があります。でも実際そんなデザインって、降って湧いてくるものではないんです。ぜひデザインに関わる業種でない方にも読んでいただきたい本です。
あとは原研哉さん著の「デザインのデザイン」です。
デザインに携わっている方は特に、物の見方がガラリと変わります。例えば深さの違う器を、浅いものから深いものへと順に並べていった時にどこからが“コップ”でどこからが“深みのある皿”になるのか明確に言うことはできますか?そのように、我々の常識に切り込んできます。
原さんの著作は複数ありますが、こちらが特におすすめしたいです。

あとがき

柔らかく丁寧な物腰にも関わらず「日本語が通じるんだから大したことはない」と物怖じせず突撃を続けるアグレッシブな杉山さん。解析で有名な方と繋がってもあれこれ聞いて勉強するという姿勢ではなく、必ず何か情報を共有したり雑談で絡んでいくことを信条にされています。そこには相手の時間を搾取するだけにならないよう、人を労る優しさがありました。

そんな杉山さんは、ご自身のブログでイベントの活動記録を書かれています。会場の写真が載っている場合、ぜひ黄色い服の彼を探してみてください。

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