ウェブ解析士の知識はコールセンターの“神対応”も可能にする 上級ウェブ解析士、清水さん

「仕事とウェブ解析士」をテーマにお送りするウェブ解析士インタビュー。69人目はコールセンターに勤務する清水(しみず)さんです。

勤務先にウェブマーケティングの部署があり、SEOの仕組みに興味を持った清水さん。電話を受けるのが主な仕事ですが、ウェブ解析士の学びで得たことは電話の窓口でも役立つと感じたそうです。どんな点なのかお聞きしました。

(インタビュー・編集:上級ウェブ解析士・Ayan)

目次

自分にできることを形にしようと資格取得

――今のお仕事をお教えください。

清水さん:コールセンターでお客さまからの電話を受ける仕事をしています。ソフトウェアメーカーのサポート窓口が初めての職場で、今は別の企業で不用品、中古品の買い取りをお伺いする仕事です。コールセンター業界はもう15年以上になりますね。

――ウェブ解析士の資格を知ったきっかけは?

清水さん

勤務先にウェブマーケティングの部署があり、SEOの仕組みに興味が出てきました。情報収集しているうちに、Twitter上でウェブ解析士の資格を知りました。2021年の秋ごろです。

――すぐには受験しなかったんですね。

清水さん:受験費用が結構高いなと感じたのと、資格を取得してどんな意味があるだろうと思って二の足を踏んでいました。自分に何ができるかを形にして見せられることが大事だと思い、資格取得を決意しました。

1回目の受験では合格点に2問くらい足りず不合格でした。とても悔しかったので、再受験までの2週間くらいの間に対策し、学習し直しました。

試験時間が短いので対策は必要ですね。テキスト持ち込み可なので余裕だと思っている方は多いのではないでしょうか。実際に受けてみると問題数が多く(60問)、時間に追われます。

希望の講師に開講を依頼、懇親会で質問も

――2022年6月に合格し、8月には上級ウェブ解析士も取得されました。

清水さん:もともとそのつもりでした。上級はぜひウェブ解析士マスター、石本憲貴さんの講座を受けたいと思っていました。教え方が丁寧で素晴らしいと、石本さんのGoogle アナリティクス講座を受けた人の評判を聞いたんです。上級講座のスケジュールを確認したら石本さんの開講予定はなかったのですが、お願いして実施していただきました。受講者は僕1人だけです。

――なんと1on1! 積極的ですね。

清水さん:修了レポートでわからないところがありました。ちょうどその頃、近畿支部主催のフォローアップテスト対策講座が大阪市であったんです。石本さんに直接お会いしたかったので、休みを取って参加しました。懇親会にもPCを持参し、みんながお酒を飲んで盛り上がっている横で石本さんに「すみません、これ教えてください!」と質問しました(笑)。

自分なりに用意した答えでいいかどうか聞きたくて。石本さんには「こうした方がいいですよ」と教えていただき、本当に感謝しています。

――コールセンターでの勤務の傍らで受講したんですね。忙しかったのではないでしょうか。

清水さん:本業と家庭とスキマ時間のやりくりが大変でした。子供2人が寝静まっている朝2時間くらいがサラリーマンのゴールデンタイムです。普段から朝5時には起きているので、レポート作成などに充てました。勤務の間は何もできません。仕事を終えて、子供にご飯を食べさせてお風呂に入れて……と過ごしていると夜10〜12時くらいになるので、その時間にまた取り組みました。

修了レポート以外に事前課題や中間課題もあり、量の多さに圧倒されました。また、合間に知識習得を確かめる小テストもあります。僕は途中まで小テストに気付いていなくて、大丈夫かな、期限に間に合うかなとヒヤヒヤしながらなんとかこなしました。

数字が苦手、だからこそ強くなろうと意識

清水さん:石本さんに質問したのは、KPIに対してどんな施策を行うかというところです。例えばウェブ広告のセッション数をKPIに立て、施策としてディスプレイやリスティングの広告を出す場合、必要な広告費がいくらかを計算する式がわかりませんでした。KGI、KSFなど大きな目標を細分化し施策に落とし込むのは本業でも行っていますが、数字が苦手なので……。逆に、ウェブマーケティングの仕事をするつもりなら計算に強くなろうと意識するようになりましたね。

――今のお仕事に生かせそうな知見は得られましたか?

清水さん:不用品の買い取りをお伺いする際、潜在ニーズへの洞察力が必要になります。例えば今使っている冷蔵庫を売りたいお客さまがいたとします。お客さまとの会話は「家電を売りたい」「○円で売りたい」という顕在ニーズから入ることが多いですが、なぜ売りたいのか、それぞれ背景があります。もし引っ越しのためだとすると、冷蔵庫を「高く売りたい」というより「引っ越しの期日までに引き取ってもらいたい」のが本当の望み、つまり潜在ニーズです。上級講座ではお客さまが心の底で何を考えているかを推測して施策を考えるので、本業で実践していることとひも付いて面白かったです。

このため、相手の気持ちを汲み取る面でスキルアップができたと感じています。なぜ問い合わせてきたのかというニーズだけでなく、このお客さまに対してはどういうアプローチをすると気持ちを汲み取り、気持ちよく電話対応できるかと深掘りできるようになりました。問い合わせの理由は十人十色ですし、お客さまには知られていない需要もあるので、こちらがキャッチアップすると「そういうこともできるんだ」とファンになっていただけるんです。「このサービスを使って良かった」と思ってもらえることにもつながるので、受講して良かったですね。

相手も気付いていない気持ちを具現化する

――まさに“神対応”ですね。

清水さん:コールセンターは「お客さまの顔が見えないから苦労するね」「クレーム対応が大変だね」とよく言われるのですが、僕はそうは思っていません。

電話に慣れていないお客さまも多いので、こちらからアプローチをしてお客さまのニーズを汲み取るよう心がけてきました。ソフトウェアのコールセンターで働いていた時も、どんな文書を作りたいのかお客さまがうまく説明できない場合、こちらから「作りたいのはこんな文書ですか?」と先回りして対応していました。それがお客さまの考えていることとぴったりハマった時が気持ちいい、といいますか。お客さまから「よくわかったね!」と言われるよう、かゆい所に手が届く対応を心がけています。お客さまに寄り添い、お客さまも気付いていない気持ちを具現化する素晴らしい仕事だと思っています。

不用品のリユースはWin-Winで経済を回せるビジネスです。お客さまは不用品を現金化できますし、僕ら買い取り側も預かったものを売却して利益を得られるからです。それだけではなく、近年注目されているSDGsにもかなった事業です。使わなくなった品物を、それを必要としている方につなげることで社会貢献になりますから。

もちろん、無理に買い取っているわけではありません。お客さまには納得していただいた上です。感謝の言葉をいただくこともありますよ。

背景をヒアリングすると、所持品にまつわる思い出についても語りたくなるようです。例えばギターを売ろうとしているお客さまなら、何年前に買って、こういう思い入れがあって……とめちゃくちゃ詳しく教えてくれます。こだわりのある楽器なら、その価値を知ってちゃんと使ってくれる人に譲りたいというニーズがあるんです。だからきちんとそのこだわりをヒアリングしています。仮に1万〜2万円高く買い取る見積もりを出してもその会社が楽器について詳しくない場合、より大事にしてくれそうな会社を選びます。「他店より安いけど、信用できるから」と任せてもらうこともあります。

――私も何か売りたくなってきましたよ(笑)。ウェブ解析士はコールセンターで働く方にも知られた資格なのでしょうか?

清水さん:いえ、存在すら知らないと思います。ウェブに関してはそもそも「SEO? それ何?」という方が大半ではないでしょうか。

――ではぜひ、コールセンター業界の方がウェブ解析士を学ぶメリットをお伝えください!

清水さん:まず、電話を受ける際に「このお客さまはなぜ電話してきたんだろう?」と考えられるようになります。

正直に言えば「今日は電話が多くて疲れるな」と思うこともあります。そんな日は「このお客さまの潜在ニーズはなんだろう?」と考える余裕がありません。でも、会社がウェブ広告を出した、またはウェブサイトでSEOを進めた、だから今日はウェブ由来の電話が多いとわかれば、より良い対応ができるようになります。

もう一つは、お客さまの普段の暮らしを想像する力がつくことです。電話の向こうのお客さまについて「どんな場所でどんな生活をしているのか?」「なぜ引っ越すのか?」「家族構成は少なくとも何人?」と想像できれば、気持ちにもっと寄り添うことができます。

お客さまに寄り添い、数字で成果を出す

――具体的な施策と会社の目標をつなぐのがロジックツリー。また、お客さまの具体像を設定するのはペルソナ分析ですね。

清水さん:お客さまの気持ちに寄り添う一方で、どれくらいの数の品物を買い取ったかなど数字で成果が求められる仕事でもあります。チームリーダーとして部下の実績を数字で分析しています。電話を受けた件数のうち、実際に何件が成約したか、やっぱり売るのを止めますというキャンセルがいくつかなど、数字に強くなる必要はあります。

ウェブでいうコンバージョンはコールセンター業界では成約と呼んでいます。買い取りキャンセルは「離脱」です。「コンバージョン」「CV」と言い換えた途端に「何それ」と敬遠されてしまいますが、内容は同じ。ウェブ解析士の学びはコールセンターの仕事と親和性が高いと思います。

ただ、同僚も家族もウェブ解析士が何か知りません。僕は興味があったので受験したり、さまざまな活動を通じて他のウェブ解析士と知り合えたりしていますけれど、認知度はまだまだだと思います。

ウェブ解析は日常でも使える知識ですし、例えば簿記や英検くらいまで一般向けの認知度を高めてほしいです。コロナ禍とはいえTwitterのスペースを使ったりして、ウェブ解析士なりの交流機会は設けられますしね。僕もできることがあったらお手伝いさせてください!

――清水さんの対話の力、お借りしたいです! ありがとうございました。

あとがき

清水さん自身もユーザーとしてコールセンターを利用し、自らの学びにしているそうです。インタビューでも終始穏やかに会話が進み、さすがに話し上手だと感じました。人の気持ちに寄り添い、対話の力でファンを増やすお仕事。AIに取って代わられる可能性はどうやら低そうです。

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