大手企業からワクワクする体験を“あなたに”届けたい! 上級ウェブ解析士、下地圭子さん

「仕事とウェブ解析士」をテーマにお送りさせていただくウェブ解析士インタビュー。32人目は、NTTドコモスマートライフ推進部の下地圭子さん。

dマーケットポータルサイトのマーケティング、ドコモサービス横断のマーケティングに従事し、デジタルマーケティングのスペシャリストとしてご活躍されています。

日本の大手ウェブサイトの中で、dマーケットを知らない方は少ないのではないでしょうか。これほどの大規模サービスを支えている下地さんは、インタビューの間、ずっと笑顔でやわらかい雰囲気が印象的な方。dマーケットに長い間、携わってきた下地さんが、上級ウェブ解析士取得に至った経緯と、事業を支えるチーム体制について伺いました。

(インタビュー・編集:ライター ふじねまゆこ)

下地さん

月間1000万超のユーザーが利用するdマーケットの成長を牽引する

ドコモユーザーならばおなじみの、dマーケットポータルサイトを管理されているとのことで、同規模のサイトを運営する方は少数派ではないかと思います。私も想像がつかないのですが、サイトの規模で課題や改善の取り組みに違いはあるのでしょうか?

サイトのアクセスは月間1000万ユーザーくらいですがドコモユーザーが多く、それ以外のキャリアを利用されている方などには、まだまだ知られていないのかなと思っています。
やらなきゃいけないことは、サイトの大小かかわらず基本的に変わらないと思いますよ。反応のボリュームは違っても、改善しなきゃいけないところは一緒かなと。

dマーケットが扱うジャンルは幅広い!

月間1000万はすごい……!
下地さんは、dマーケットの立ち上げ当初から携わっていらっしゃいますか?

dマーケットの立ち上げはスマホが普及し始めた2011年です。私は6年前から携わっています。携わった当時と比べると、大分変わったなと感じます。

チームに参画した当初の課題は何でしたか?

今の部署に移動する前は、携帯電話の代理店営業やプロモーションなど、ドコモの通信事業に携わっていたので、知識ゼロでいきなりウェブ業界にきた状態でした。

当時は直近の成果主義。サービスにとにかく送客して数を稼ぐ方針で、バナーばかりで広告サイトのようでした。サイトの長さを測ったら、スマホの画面サイズで3メートルくらいあったらしいです。誰が下まで見るんだって長さですよね(笑)

サービスの数が多すぎて、整理するのも大変そうですね

そうなんですよね。短期的な視点の施策で、バナーのクリック数とサービスへの送客数がゴールでした。当時はそれでもOKだったんですね。

その運用が変わる転機は、どういったものでしたか?

しばらくはサービスに送客することを重視していましたが、2~3年前のリニューアルで、より使い続けたいと思っていただけるユーザーを増やす方向にシフトしていきました。リピーターを増やして、全体数の集客が増えれば、LTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)の改善にもつながるのでその方がいいよねと、上司や周りの人と一緒に周囲を巻き込んで方針転換をしました。

「バナーを張ればいい」という視点ではなくて、ユーザーストーリーに合ったバナーや、コンテンツを作れるようになったのはそれくらいのときかなと思います。

DAU(1日あたりのアクティブユーザー:Daily Active User)からMAU(月間アクティブユーザー:Monthly Active User)を優先するようにし、再来訪率を見始めたのもこのあたりからです。

最近、さらにリニューアルをされていますね?

ちょうど、6月25日にリニューアルの第一弾が公開されました。(2020年7月2日取材時点)今後、7月、9月と段階的にリニューアル予定で、絶賛準備中です。

リニューアルの目的は?

目的は、今までよりもサービスを楽しんでいただけるようにすることです。より楽しめるように掲載サービスを追加しました。現在23のサービスが楽しめます。

また、アイコンとデザインを一新し、「ワクワク感」を表現したものに変更しました。スマホをもっと楽しめるきっかけを、見つけてもらおうというコンセプトで動いています。

リニューアルの主な変更点

これまでのキャッチコピーが「たまる、つかえる、たのしめる」という、dポイントをためて、いろんなコンテンツに使って楽しんでもらうコンセプトにより、たくさんのお客様にその世界観を楽しんでいただいたと思います。
今回のリニューアルでは「もっと、みつかる、たのしめる。」というキャッチコピーに変えました。

dマーケットのコンテンツは、1000万以上あります。デジタルコンテンツから、Eコマースまで多種多様です。そのなかから、その人にあったものがみつかり、それにより楽しんでもらうきっかけになるようなコンテンツを増やそうと思っています。

例えば、サービス毎ではなく、ジャンル横串で見えるようにタブ機能追加しました。このタブ機能の強化を6月に行っています。コンセプトにあわせて「ファッション」「スポーツ」「ビジネス」などの15種類のタブから興味軸でコンテンツを探せるようになりました。さらにつかえばつかうほどお客様の好みに合わせてのコンテンツが表示されるようになります。

ジャンルも、利用者も幅広いですし、ゴール設定が難しそうです。

今回のリニューアルで意識しているのが、新しいサービスを使ってみたい・サービスを使い慣れているという方はもちろん、自分には使いこなせない、新しいサービスは若者が使うものだと思っている人、新しい技術が得意ではない方にも興味を持ってもらえるようなサイトにしたいなと思っています。

ドコモが運営しているので、安心して使っていただけるのが、dマーケットの持ち味だと思います。コンテンツの使いやすさ・見つけやすさを体感していただき、興味を持つきっかけの部分を特に意識しています。

今、スマホを使いこなしている方も、新しい体験により、便利さやワクワクを感じたことがあると思います。
例えば、初めてスマホだけで簡単に買い物ができたときや、本屋に行かなくてもスマホで雑誌が読めたとき、CDを借りて録音していたのに、今はいつでも好きな時に聞けるようになったり……その時、すごく便利だなって感動した記憶がありませんか?
そういう“初めて”を体験できる場を目指しています。

Androidのドコモユーザーは特に、dマーケットなどのd関連サービスは馴染み深いですよね。私の親世代(50代~60代)をみていると、「便利なんだろうけど、機能がありすぎてわからない」とか、「思うような操作ができないときが怖い」といった意見をよく耳にします。

私も同じような意見をたまに聞きます。「興味はあるんだけど私にはちょっと難しそう……」みたいに思っている様子。
dマーケットが、新しい技術についていけないと思っている人も取り残さず、使ってみるきっかけになってほしい。まだこれからですが、そういうきっかけづくりが、より多くの人のためにできたらいいなと思っています。

知識を取り入れやすく、挑戦しやすい環境が、プロジェクトを加速させる

ウェブ解析士の知識で、役立ったことはありますか?

いろいろありますが、マーケティングのフレームワークの知識と、ウェブ解析の結果を元にした仮説検証のスピード感がついたと思っています。とはいえ、ウェブ解析士を取得したら、実践しないと力がつかないと思っています。私にとってウェブ解析士講座の受講は、得た知識をすぐ実践で使える場ができたタイミングでしたので、ちょうど良かったです。
加えて、改善スピードも取得前と比べて上がったと思います。

2018年の下期から半年で、dマーケットの集客を月間400万ユーザーほど伸ばすことができたのは、ウェブ解析士講座で得た知識も役にたっています。

ウェブ解析士の知識を受けただけでは、やり方はわかっていても忘れてしまいますから、どんどん使ってみることが大事だと思います。

チームで解析士を持っている方は下地さんだけですか?

そうですね。

チームとの情報共有が大変といったことは無いですか?

優秀なメンバーが多く、基本的な知識はみんな理解しているので、そういったことはありません。
時々、「この数字はどこからとってきたの? 」みたいな質問はあります。

素晴らしいチームですね! リテラシーが高いチームという印象を受けました。

チームのリテラシーは高いと思いますが、改善点をわかりやすくまとめることは意識しています。着任して間もない人であっても理解してもらえるように。

dマーケットはどういったチーム編成で運営されていますか?

基本的に、すべて内製でできるような体制にしています。
dマーケットポータルサイトは、部内でディレクション・開発から問い合わせ対応まで行います。ここ3年くらいでこの体制が構築されたので、以前と比べるとやりやすい環境になりました改善のスピードが早いです。

MAU1000万達成時の様子。チームワークの良さも、成果達成への重要なキーポイントですね!

チーム内ですべて完結する体制は、企業規模を考えると意外でした! スピード感と効率を考えたら、内製と外注のバランスは大切ですよね。
ウェブ解析で面白いなと思うところはありますか?

ウェブって、やったことに対する反応が数値ですぐに分かるので面白いなと感じます。
お客様の反応についても、窓口へ問い合わせ数や、いただいた内容から、反響がすぐ分かります。

実店舗のように対面のほうがお客様の反応を受け取りやすいと思う一方で、ウェブでも分かることが増えているなと感じます。

窓口の問い合わせは、よくあるのでしょうか?

施策の内容によっては、たくさんご意見をいただくことがあります。いい意味で捉えれば、それだけ反響が大きいということでしょうか。とはいえ、ユーザーがわかりづらかった部分について直接声が聞けるので、できるところはすぐに対応しています。
問い合わせをいただいてすぐ、その場で調整することもあります。時間がかかるものはそういうわけにもいかないですが……。

すごく頼もしいですね!

問い合わせをくださる人は氷山の一角で、問い合わせをしない多数の人も同じ不便を感じていると思っています。ご指摘いただいた内容をを確認して、そのとおりだなと思ったらすぐ調整しちゃいます。

問い合わせ窓口から、たまにイレギュラーな質問がくると、ちょっとドキッとしますね(笑)。特定の機種で起こった不具合とか。

確かに、機種ごとの確認は、対応機種が幅広く大変そうですね。
最近は、広告配信も、部内でされていると伺いましたが?

自分たちのチームで広告配信設定をして、PDCAを回すプロジェクトを動かしています。配信本数は少ないです。去年の冬に始まったばかりのときは、不安からずっと管理画面をみていました(笑)
今はだいぶ慣れてきましたね。

広告配信は、設定ミスが怖いですよね。私も苦手に感じます……。広告代理店任せにせず、自らやってみる姿勢って素晴らしいと思います。

今でも3人くらいで確認しながら設定しています(笑)
基本的に、長期で成果を出すものは代理店任せで良いと思いますが、短期的にでできるものはインハウスでやってみようと挑戦してみました。自分たちでやる分、失敗はできないので、広告配信について、いろいろ情報収集や勉強をしました。
なんとか、今までで一番良い結果を出すこともできたので安心しています(笑)

やってみるって大事ですよね。
広告配信プロジェクトの立ち上げ時は、広告配信にノウハウがある会社に協力をいただきました。広告代理店へ依頼する範囲と、自分たちでやってみるところはそれぞれにメリット・デメリットがあるのでそれを理解し、両方の手段を使いこなせることが大事ですね。使い分けだと思います。

行き詰まり解消の糸口になったウェブ解析士認定講座

ウェブ解析士をおすすめしたい人はいますか?

どちらかといえば、伸び悩んでいる人。ステップアップする糸口を見つけたい人に良いと思います。きっかけがほしくなったとき、調べてみると良いかもしれません。

新しくウェブ系の部署にきて、わからないけど成果を上げなきゃいけない人とか。うちは部署異動が激しいので、配属されたばかりでウェブが分からない方は、知識差を埋める良い教科書になるのではないかなと思います。

下地さんも、行き詰まりを感じたタイミングが解析士取得だったのですか

2年くらい前に、dマーケットの目標設定を、実現不可能じゃないかってくらい高く設定してしまって……(笑)
当時、dマーケットは再来訪率や直帰率のスコアが悪く、ユーザーが定着せずに、月間ユーザー数の減少が続く下げトレンドだったこともあって、ヒントがあればいいなと思いウェブ解析士主催のセミナーに参加しました。

結果的に、ウェブ解析士認定講座から、業務では知ることができなかった知識を習得でき、新たな打ち手のヒントになりました。試してみたい解析の切り口や、集客の可能性が開けて、実務での活用を想像しながら楽しく習得できました。

笑顔でお話くださる下地さんの様子から、受講を楽しむ様子が目に浮かびます(笑)

どうせやるなら上のレベルを目指そうと、2ヶ月で上級ウェブ解析士認定講座まで受講しました。課題のボリュームが多く、時間がかかって大変でしたが、より細かい解析と、改善提案、そして実行に移すまでの実践力がついたと思います。

ウェブ解析士主催のセミナーや勉強会に、割引価格で参加できることも、ウェブ解析士で得たメリットの1つですね。マーケターとして成長し続けなければ、成果が出せないと思うので、外へ出て積極的にキャッチアップするようにしています。

どういったセミナーによく参加されていますか?

集客や、ウェブ広告、サイト改善系が多いでしょうか。
興味あるものは何でも取り入れるように意識しているので、テクノロジー系に参加することもあります。 

頻度はどれくらいですか?

去年はほぼ月1回ペースで、セミナーや外部交流会に参加していました。

上司が「息をするように情報収集しなさい」と、社外のセミナーや勉強会への参加を推奨してくれるので、情報収集が日常的に自然とできる環境があります。社外のつながりがあると、視野が広がって、より仕事がしやすいと感じます。上司も社外で講演するような方ですから、その影響を受けていますね。
最近は、コロナ禍の影響でそういった機会が少ないのが残念です……。

後輩の方にも、ウェブの知識を伝える場面はありますか?
下地さんはとても優しく教えてくれそうですし、理解ある上司がいる環境は素敵だと思います。

後輩へデータの見方をアドバイスしたり、聞かれたときには応えたりします。
若手の育成は会社側も力を入れているので、即戦力になれるようこまめな研修が設定されています。私も、ちょっとうらやましいです(笑)

私が着任したとき、周りが忙しすぎて、ノウハウを伝えたいけどその時間がなくチームがなかなか立ち上がらないということがありました。後輩にいろいろ教えたいけど、業務と教育のバランスに悩む方が多いと思います。
そういう体制から、すこしずつ変化して今の形になりました。

最後に、これだけは伝えたいことはありますか?

いろんなサービスを通じて、生活を楽しくワクワクしてもらうことが自分のミッションだと思っています。それを実現できるように勉強して、成果をあげ、ユーザーに喜んでもらえるようになりたいです。言うのは簡単ですけど、すごく大きなテーマだと思うので、できるところからやろうと思っています。

「本当はもっとスマホを使いこなしたいんだけど……」と考えている人の話をもっと聞いて、反応をみて、お客様の本当の悩みを解決するお手伝いをしていきたいですね。

内なる悩みを引き出すことが、ウェブ解析士の役目というのは、他のウェブ解析士の方々の共通認識だと思います。それを、日本のトップ企業で働く方が意識されていることが、エンドユーザーとしてすごく嬉しいと感じたインタビューでした。ありがとうございました!

ありがとうございます。
技術進化にハードルを感じられている方々でも、便利さを体感できるような世の中になるために、尽力していきたいと思います。

あとがき

下地さんのお客様とチームへの配慮や、ご自身がお仕事で感じられている“ワクワク”への思い、信頼が育まれたチーム体制をお伺いできて、とても嬉しい気持ちになったインタビューでした。プロジェクトの発展と下地さんのご活躍を心より応援しております!

dマーケット

https://d.dmkt-sp.jp/

これからさらにリニューアルされるそうです。
※スマートフォンで利用するユーザーが多いため、それを重視した設計をされているそうです。PC版よりも、スマートフォンでぜひご覧ください。