一期一会をモットーに、妄想力を武器に。企業のマーケティングを支援する上級ウェブ解析士、中村祐貴子さん

ウェブ解析士協会

「仕事とウェブ解析士」をテーマにお送りするウェブ解析士インタビュー。36人目の今回は、アンダス株式会社の中村祐貴子さんです。

福岡の企業で働くかたわら、2019年度にはウェブ解析士協会の九州支部長を務め、持ち前の明るい性格を活かして各地域のウェブ解析士たちと交流を広げながら各種イベントを主催。九州におけるウェブ解析士の活動をサポートしたことが認められ、The Best Evangelist 2019にも選出されました。

子どもの頃は本の虫だったという中村さんが、どのようにウェブの世界に出会い、なぜウェブ解析に興味を持つことになったのか、そして、ウェブ解析士としてどんなことを思いながら仕事をしているのか。これまでの経験や大切にしている想いについてお話を伺いました。

(インタビュー:上級ウェブ解析士 田上恭由)

本の虫が「工学部」へ進学後、印刷会社で異例のウェブ部門への配属。

新卒で入社された会社の頃から、ウェブの仕事をされていたのでしょうか?

はい。でも、当時は印刷会社でグラフィックデザイナーになるつもりで入社したんです(笑)
当時の社長が私の履歴書を見て、大学で工学部にいたことを思い出されて、「理系なら数字がわかるだろう」ということでウェブの部門に配属になりました。

デザイナーを志望したということは、もともと文系だったのでしょうか?

はい、もともと大の本好きで、小学校・中学校・高校の図書室の本をすべて読破していました。
小学校5年生の頃には視力が極端に落ちて、親から夜8時以降は読書禁止を出される羽目に。それでも本が読みたくてたまらず、寝たフリをして豆電球の下で本を読んでいたら、ドアがガチャッと開いて「何やっているんだー!」と怒った父に部屋からしめ出されて……。それくらい、本の虫でした(笑)

そんな本の虫だったところから、どうして工学部へ進学することに?

大学受験も近づいてきた頃、尊敬している伯父がガンなどの研究をしている医師だった影響で薬の研究に興味を持ったんです。「国公立しかダメ」という親の厳しい条件を満たすために関連した研究をしている学科を探し、めちゃくちゃ勉強して熊本大学の工学部へ入りました。

ところが本好きが功を奏したのか、得意だった文系科目で点数を稼いでいたツケがまわって、2年生で物理の壁にぶち当たってしまい、親に頭を下げて文学部に転籍、1年余分にかかって卒業しました。どちらも勉強することができて良かったと思っていますが、親にはかなり申し訳ないことをしたなと反省しています。

ウェブ解析士になったのは何がきっかけだったのでしょうか?

ウェブ解析士になったのは、前職の印刷会社で最初の上司だった方の勧めです。2年ほどウェブの仕事を経験して数字で結果が見える面白さにハマっていたこともあり、ウェブ解析士を取得しました。

ところが、それから半年も経たないうちにウェブの部門から他の部門へ異動になってしまいました。結局、ウェブの仕事がやりたいという気持ちが抑えきれず、まったく違う仕事をするかたわら独学で上級ウェブ解析士を取得して、今の職場に転職しました。

マーケティングは商品やサービスとの「一期一会」をつくること

中村さんの現在のお仕事について教えてください。

福岡市内に本社を構えるアンダス株式会社のWebディレクターです。
マーケティング事業部「あかるいみらいデザイン室」に所属していて、主に制作のディレクションや広告のプランニングを行ったり、ウェブ解析をもとにしたウェブサイトなどの改善をクライアントへ提案したりして、クライアントの商品やサービスのマーケティング支援を行っています。

担当されている商品やサービスはどういった業種が多いのでしょうか?

かなり幅広いですね。九州が強いと言われている健康食品やコスメなどの通販、医療系コンテンツから不動産に業務用のコピー機など、本当にいろいろなお客様をターゲットにした商品やサービスを担当しているので、毎日鍛えられています。

どのようにニーズに合ったウェブ制作やプランニングをされているのでしょうか?

まず徹底的に様々なデータを集めた上で、「妄想」するようにしています。後輩にも伝えたことがあるのですが、「想像」では他人事だからダメなんです。もし自分がこの商品に出会うとしたらどんな場面で、いつ・どう使うか、どんなメリットを感じるか、そんな風に自分ごととして「妄想」しながら考えると、それがキャッチコピーや構成、プランニングにも大きく影響してくると思っています。
もちろん数字も大事ですが、数字の先にいるお客様にしっかり目を向けることが大切だと感じています。

想像ではなく妄想、とても面白い発想ですね!
ほかには仕事でどのようなことを大切にされていますか?

どんなことも「一期一会」をすごく大切にしています。お客様が一生出会うことがなかったかもしれない商品やサービスに出会うという「一期一会」をつくることができているのは、私自身もウェブ解析士との「一期一会」があったからこそ。
これから起きる良いことも悪いことも、全部ひっくるめて「一期一会」だと思って、ありのままに受け止める「日々是好日」の姿勢を大切にしたいです。

アクティブに活動し続けられる原点

中村さんは以前、福岡のバーを借り切って、「なにかできれBAR」というチャリティーイベントを主催されていましたね。中村さんが作ったカクテルが飲めるなど、すごく楽しいイベントでしたが、どんな経緯で始められたのですか?

2016年4月の熊本地震の後、地元の熊本になにか支援ができないかと思い個人的に企画したのが始まりです。
実家が被災した友人もいましたし、お世話になっていたバーはお酒のボトルが全部割れて床に散乱している写真も見ました。私にできることはなにかないかなと考えたときに、この企画を思いつきました。

募金ってちょっと照れくさいところがあるじゃないですか。「募金してください」と言ってお金を集めるのではなくて、お互いに楽しく飲んだり食べたりしたら復興支援につながる方がいいなと。ついでに、そのイベントで新しく誰かと誰かがつながって、新しいことが起こればもっと楽しいなって。私がすごく好きな「一期一会」も叶う形だったんですよ。

2016年7月には「なにかできれBAR」という名前で第1回目のイベントを開催して、会社の近くのバーを借りて、私がバーテンダーをやりました。去年までで4回開催して、やっと10万円ほど集まりました。来年はまた開催できたらいいなと思います。

何かできれBAR
主催のチャリティーイベントに協力してくれた友人と

すばらしいですね。それは楽しみです!たくさん飲んで、寄付に貢献します!(笑)
中村さんは仕事でもプライベートでも、ここまでアクティブに活動できるご自身の原点はどこにあると思いますか?

やっぱり本だと思います。これまで読んだ本の中で、どうしても忘れられない本が2冊あるんです。

ひとつは金城一紀さんの「GO」。映画にもなった在日朝鮮人の男性と日本人の女性のラブストーリーです。その時はいじめに遭っていたので主人公の気持ちに共感するとともに、「環境に甘んじず、道を切り開くために自ら動く大切さ」を教わりました。

もう一冊は、大学生の頃、進路に悩んでいた頃に読んだ高田郁さんの「みをつくし料理帖」シリーズです。一人の女性が、厳しい境遇にもめげず、料理で人を幸せにしていくというあらずじ。主人公が地道に努力を重ねる姿から「信念を貫く難しさと尊さ」を教わりました。この2冊は私の原点として、私の奥にずっとあります。

ウェブ解析士は単なるきっかけにしてほしい

ウェブ解析士を取得していることで、仕事になにかいい影響はありましたか?

名刺交換をしたときに「ウェブ解析士って、何ですか?」と聞かれたり、最近はご存じの方も増えてきたので、「上級まで取られたんですか!?」と言われたりします。アイスブレイクになって便利なので、3年ほど前に個人情報保護士も法律の勉強を兼ねて取得しました(笑)

業務としては、自分が関わっていないプロジェクトの担当者からどのページが獲得に貢献しているのか、どういうところから集客ができているのかをGoogle アナリティクスで見てほしい」と相談をされたり、クライアントからウェブ解析のご要望が出たり、九州支部のイベントでお会いした方から制作や社内勉強会のご依頼があったりと本当にたくさんのご縁をいただきました

中村さんの登壇も増えました
沖縄で開催したイベントyuix.okinawaにて

ウェブ解析士を仕事にもしっかり活かされているんですね。これから取得を目指す人に何か伝えたいことはありますか?

ウェブ解析士はマーケティングの基礎を学べるので、これから自分がどんな仕事をやっていくのかを考えるきっかけにしてもらいたいです。私自身もデータを分析した上で成果にするための制作まで携われるようになったのは、ウェブ解析士になって今の仕事に就いてからです。任せていただいたからにはちゃんと応えたいと思っているので、取得後の方がより勉強している気がします(笑)

また、お会いしたウェブ解析士の方たちに共通しているのは「現状に満足していない」ところでした。私もクライアントの商品やサービスを知ってもらうために、もっと自分の力をつけたいと思ったのがスタートです。

ぜひ資格取得をゴールにせず、その先でどんな仕事をしたいか考えてもらいたいです。

まとめ

中村さんの行動は、すべてが「出会い」につながっていると感じました。
「出会えないはずだった商品やサービスとの一期一会をつくる」仕事に誇りを持ち、「何が起こっても全て良いことにしたい」と語る中村さん。「お客様のために役に立ちたい」という強い信念と、野原を抜ける風のような、爽やかな印象が心に残ったインタビューでした。

ウェブ解析士協会九州支部×D2C dot沖縄オフィスの合同企画イベント

yuix.okinawa
https://yuix.okinawa/

中村さんのSNS

Twitter https://twitter.com/analogtan

Facebook https://www.facebook.com/yukiko.yukke/

ブログ https://analogtan.hatenadiary.jp/