「わかりやすくシンプルに」中小企業とチームを支える 上級ウェブ解析士、山田 修史さん

「仕事とウェブ解析士」をテーマにお送りするウェブ解析士インタビュー。58人目は、株式会社リクト プランニング部マネージャーの山田 修史さん。

2013年に上級ウェブ解析士取得以降、九州地方の業界カンファレンス「デジタル神無月」モデレーター、ウェブ解析士事例集の執筆、ウェブ解析士協会九州・沖縄支部長着任など、幅広くご活躍されている山田さん。 ウェブ業界を牽引しながら、中小企業のための本質的な課題解決によって、信頼と実績を重ねています。今回は、資格保持のメリットと、ウェブ制作会社の今後についてお話いただきました。

(インタビュー・編集:ライター ふじねまゆこ)

ローカルビジネスを支える、縁下の力もち

――福岡のウェブマーケティング制作会社に所属されているとのことですが、お客様はどのような規模の企業が多いです?

山田 修史さん(以下、山田さん):弊社のお客様は、1人社長から社員10名程度、売上1千万から1億円くらいの中小企業が中心です。基本的に全国の企業とお取引していますが、福岡県の企業が45パーセント、6割は九州地方のお客様。ウェブに限らず幅広いご相談にお応えしています。

私自身は、プランニング部マネージャーとして、弊社で制作したウェブサイトの保守運用、ディレクションをしています。お客様の事業に求められることは何でもします。チラシの企画制作・ポスティングや折り込みの手配、ときにはオススメのパソコンを聞かれることも(笑)。

――上級ウェブ解析士の取得から8年目だそうですね。取得のきっかけは?

山田さん:以前勤めていた企業でも、今と同じくウェブサイトの保守運用を担当していたのですが、当時は独学で仕事をしていたんですね。今ほど体系的にまとまった書籍が少なく、検索結果上位表示の話題ばかりで、運用に関する話は少なかった。まだ経験が浅く、とにかく知識と経験を積まなければいけない状況でした。

そんなとき、ウェブ解析士に関してまとめたブログ記事を見つけたんですね。独学で部分的に学んできた知識をつなげられる期待がありました。今でも覚えているのですが、実際の業務と関連が薄い知識を、身につけようと思うと大変だったなと記憶しています。

資格により生まれた機会で、恩送りする

――毎年の更新費・更新テストと、資格維持の負担が大きいように感じますが、資格維持のメリットはありましたか?

山田さん:ウェブ解析士協会関連のイベントは、某大手企業主催のセミナーと同じ講師が登壇されるにも関わらず、比較的安く参加できるので、その点は嬉しいポイントでした。業界を牽引する講師の方々と接する機会は貴重です。SNSでフォローしておくと、最先端の情報が手に入りますし。

あとは、ウェブ解析士協会関連の企画へ参加すると、同じ業界の方々との関係が深まり、お互い助け合える仲になれますよね。資格取得があったから、ウェブ解析士協会の九州・沖縄支部長(2016年)、デジタル神無月モデレーターなどのステージに立てましたし、同じ目的を持った方々と出会うきっかけができたと思います。

――大きなイベントの企画、運営サポートなど、精力的に参画された原動力は何でしょうか?

山田さん:私は、面白そうな企画を実現させるためのサポートが好きなんです。自分よりもスキルを持っている人、これから業界で頑張りたい人、みんなとつながれたら、お互い困ったときに声をかけられますしね。いやらしい言い方かもしれないけれど、そんなふうにペイ・フォワードしながら、恩送りしあえる関係っていいなと思うんです。

そこで出会った人たちをSNSでフォローしてから、情報量がぐっと増えました。興味があるものを一歩踏み込んで調べるうちに、浅く広くちょっと深く、ウェブの今をつかめます。変化の早い業界ですが、そんな環境に身を置いたので、追い続けられたんだと思います。

中小企業が求めていること=わかりやすさと確実さ

――とはいえ、企業が求めることと、業界の先端技術が噛み合わないことはよくあることですよね。

山田さん:中小企業は、ウェブ技術に期待しつつも、対面するお客様との関係づくりのほうが大切ですから、人的リソースも予算も少ない。ウェブ担当者が1人だったり、他の業務と兼任する人も多いのが現実です。そんな状況で一方的に「継続した情報発信をしましょう」とか、「スモールキーワードを狙って記事を書き続けましょう」といった提案をしても、現実的な施策とは言えません。それよりは、成功事例を参考に施策を横展開したほうが、担当者の負担も軽く、確実に効果が得られます。

ウェブの本質は、「知りたいことを知りたい」だと思います。企業の知りたいことは、「どうしたら成果を得られるか」。似たような業界の成功事例があれば、自分の業界やその地域の人口に対してどれくらいの効果が見込めそうか想像しやすい。イチから積み上げるよりも、事例に当てはめて横展開するほうがコストも押さえられます。

――山田さんは「A4」1枚アンケート広告作成アドバイザーの資格もお持ちですね。これは、どういったアンケートなのでしょうか?

山田さん:「A4」1枚アンケートは、中小企業にこそ、おすすめしたい手法ですね。2009年ごろに出会ってから、上級ウェブ解析士の資格とあわせて活用しています。顧客の購買行動をシンプルにまとめたアンケートで、①もともと抱えていた悩み、②情報収集の方法、③不安やリスク、④購入の決め手、⑤商品の感想の5項目を、お客様に直接聞いてみよう! というもの。なかでも、①悩みと④決め手さえわかれば、お客様が求めていることと、購入のハードルが見つかります。しかも、A4のアンケートをお客様にお願いするだけで、担当者の負担も軽い。複雑なアンケートシステムにコストをかける必要もない。

ネット上のアンケート調査や、知恵袋などの掲示板からユーザーの声を集めることも、無いわけではないけれど、企業の得意分野ではない悩みを解決してしまい、顧客満足に至らないことがあります。満足度や利益率の高いお客様の悩みを、直に聞いて解決したほうが、施策の効果は高いですよね。

10年後のウェブ業界は、誰も正確に予測できない

――これから資格取得するメリットは何でしょうか?

山田さん:マーケティング関連の仕事で生きていくなら、1つの知識量の目安になると思っています。採用活動でも、ウェブ解析士を持っていればある程度の知識がある、上級ウェブ解析士ならレポーティングもできると判断すると思います。資格によって、そういう視点で見られると思うんですね。

業界の知識を広く浅く知識を得ておけば、打ち手の数を増やせます。新しい挑戦をするとき、ゼロから手探りするよりも、知識を実践にいかしやすい。迷っている方は挑戦してみるといいと思いますよ。最近の動きは、上級ウェブ解析士からさらに細分化されたテーマで、自分のスキルアップを目指す選択肢がありますし。

――どういったものでしょうか?

山田さん:ウェブ解析士協会の、SNSマネージャー認定講座、広告マネージャー認定講座ですね。あとは、ウェブ解析士協会顧問の小川卓さんによる提案型ウェブアナリスト講座は、上級よりさらに高レベルなウェブ解析の技術と経験を深められると思います。業界的に、各分野のプロフェッショナルが現れて、ひと昔前よりも細分化しているなと感じます。

――山田さんはその中で、どんな展望をもっていますか?

山田さん:制作会社のメンバーとして、会社を成長させるためにできることをしたいと考えています。ウェブ制作の需要が突然無くなることはないけれど、10年前に今の業界を正確に予測できた人はいません。ローカルビジネスに限っていえば、おおよその企業が自社ウェブサイトを持っていて、「もっと活用したい」、「リニューアルしたい」といった要望が増えている状況です。弊社も、制作ありきの運用サポートから、運用サポートのみの依頼ができるよう舵をきろうとしています。

社内に対しては、チームメンバーのスキルアップや自己実現がしやすい環境を整えていけたらと考えています。まずはウェブ解析士の資格に挑戦してもらえれば、業界知識を広く取得できると思うので、今後も勧めていきたいですね。とはいえ、いろいろな働き方がありますから、選択肢のひとつにしてもらえたらいいなと考えています。

あとがき

業界の表舞台に立ち、地域の中小企業を支える山田さんは、とても謙虚な方でした。まさに縁の下の力持ち。中小企業の本当の悩みに応え、会社と、社内メンバーの成長を支える理想の上司だと思います。ウェブ解析士協会を通じて、気になる方をフォローし、お互いに声かけ合う関係性によって、情報に気づくきっかけや機会に恵まれる点は、インタビュイーの私自身も実感するメリットです。

ウェブ解析士協会では、さまざまなイベントや活動を通じて、知識を身につけるきっかけを創ろうとしています。資格をお持ちでない方の参加も可能です。資格取得とともに、ぜひ一歩、踏み出してみてくださいね!

書籍情報

自社サイトをコストで終わらせないために ウェブ解析士の事例発表集(13)
自社サイトをコストで終わらせないために ウェブ解析士の事例発表集(35)

ウェブ解析士の勉強会「自社サイトをコストで終わらせないために」で発表された事例をまとめたものです。山田さんは、造園業を営むクライアント様のウェブサイト改善から、ローカルビジネスのウェブサイトを成長させるための視点を、2015年と、2020年に発表されています。

あらゆる販促を成功させる「A4」1枚アンケート実践バイブル―お客様の声から売れる広告・儲かる仕組みが確実に作れる!

山田さんが「A4」1枚アンケートで得た成功事例が掲載されている書籍です。

中小企業のためのホームページの運用改善アイデア

https://www.lct.jp/column_category/maintenance/

山田さんが所属する株式会社リクトによる、ウェブサイト運用改善に関する情報をまとめたメディアです。中小企業のウェブ担当者の方なら、知っていて損のない情報を発信されています。

株式会社リクト

https://www.lct.jp/

ウェブサイトのコンセプトワークから運用まで提供する「提案型ホームページ制作会社」。山田さんをはじめ、各種資格を保有したエキスパートが所属し、中小企業が本当に求めている成果を得られるよう事業を展開されています。

「A4」1枚販促アンケート広告作成アドバイザー協会-公式

https://a4kikaku.com/