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飛び込み営業からSEO、広告運用、マーケティング……それでも世界はまだまだ狭い 上級ウェブ解析士、横須賀大輝さん

「仕事とウェブ解析士」がテーマのインタビュー。57人目はフリーランスのウェブマーケター、横須賀大輝(よこすか・だいき)さんです。

横須賀さんは21年9月にセミナー「ウェブ集客の定石 あなたのビジネスをブレイクさせよ!」をウェブ解析士向けに開き、2日間で計150人ほどが参加しました。参加人数はSEOやウェブ広告への関心の高さの現れといえる一方、横須賀さんの誠実な人柄に好感を抱いたとアンケートに回答した参加者も多数いました。インタビューでは成功事例や、激動の会社員時代についても教えていただきました。

(インタビュー・編集:上級ウェブ解析士・Ayan)

目次

8社で勤務、軽い「燃え尽き症候群」も

――9月のセミナーでは15年以上にわたるウェブマーケティング経験で得た知見のエッセンスを披露していましたね。今回はご経験の方をお聞きしたいと思います。まずは現在のお仕事を教えてください。

横須賀大輝さん(以下、横須賀さん):2019年10月にフリーランスになりました。今は2社と業務請負契約を結び、Google アナリティクスなどを用いた解析レポートを作成しています。

1社は小規模事業者のEコマースを黒字化するミッションのウェブマーケティング企業です。サイト制作ディレクション、広告運用、SEO、アクセス解析レポートなどが僕の仕事です。

もう1社もウェブマーケティングの会社です。こちらはウェブ解析士協会会員向けに開かれた会社説明会に参加し、フリーでもいいとのことで応募し採用されました。広告、SEO、アクセス解析のほか施策の洗い出しなども担当しています。

――これまでのキャリアを簡単に教えていただけますか?

横須賀さん:会社員時代は8社で勤務経験がありまして、新卒で入ったのはシュレッダーを飛び込み営業で売る会社でした。その後はレンタルサーバーを契約してくれたらその会社のウェブサイトを4ページ作りますよとテレアポをする仕事でした。この2社以外はウェブマーケティング業界です。SEOから入り、アクセス解析に手を広げ、8社目で広告に携わって今に至ります。

8社目は求人広告の会社です。広告運用チームをゼロから立ち上げ、3年でIndeed広告のシルバーパートナーとなりました。シルバーパートナーは、その代理店で運用している全アカウントでの出稿額で決まります。

一つの区切りを迎え、新しい仕事をしたい、このままだとダメになりそうだと、燃え尽き症候群に軽く陥りました。そろそろ違う道も模索したいと漠然とした思いを抱えたまま1年過ごしました。「よくそんなぼんやりした思いでフリーになったな」と友達に言われましたよ(笑)。

「ずいぶんご苦労を……」面接で同情

――8社ご経験ですか! 

横須賀さん:8社のうち3社は自己都合退職、ほかは自分の病気だとか事業撤退によるリストラだとかが理由です。最後に勤めた会社の採用面接では「ずいぶんご苦労されていますね」と同情されました。

――変化の激しい業界ですものね。

横須賀さん:いや、普通はそんなに事業整理に当たることはないと思います。僕の場合は役員が不祥事を起こしたとか、ひどい目に遭ったことがあるので。

――ええっ!

横須賀さん:出社したら見慣れない人たちの集団が社内にいるので、何かと思ったら警察のガサ入れ(強制捜査)でした。子会社の社長が不祥事を起こし、その関係で僕の勤めていた本社にも捜査が入ったんですね。結局その子会社は整理されることになり、僕もリストラ対象になりました。

――確かにあまり普通ではないご経験かもしれません……。

横須賀さん:転職活動も含め、経験だけはさせてもらった自負がありますね。SEOの知識をゼロから身に付けようとすると最低ラインの知見をそろえるのに半年から1年くらいかかります。「他社でSEOやってました」というと書類選考は通過しやすかったですね。その代わり2次面接、3次面接では何ができるのかをしっかり聞かれました。

3人の枠に60人が殺到する採用広告

――ご自身のセミナーで実績を紹介していらっしゃいましたね。ぜひ今回もお願いします。

横須賀さん:求人広告の戦略立案やコンテンツ作りにかかわった案件についてお話ししましょう。3人の採用枠に60人応募が殺到し、広告を止めなくてはならないほど効果が出た事例です。

野菜や果物を切る調理器具を小売店で実演販売する人材の募集です。募集元の企業では「素人でもできる」といった広告を出すつもりでした。実際に調理器具を使うのは素人というか、一般の人ですからね。

しかし「素人でもできる仕事」の文言では調理器具、ひいては企業自体の信用を損ねかねないと思いました。実演販売や調理器具の扱いに精通した人でないと実際の商品の良さを感じた上で売ってもらえません。そこで「採用後は研修をします」と付け加えるよう提案しました。

研修があるのは業界内では当たり前で「言わなくてもわかるだろう」と考えられていました。でも知らない人にとってはとても重要な情報です。ただこの提案で60人も応募が来るとは思っていなかったので、びっくりしましたね。

もう一つ紹介します。フリーランスのエンジニア向け人材募集広告で、応募数は減ってしまったものの応募者の質が上がった事例です。

フリーランスの人材募集では募集元の企業名や開発すべき商品・サービス名を伏せることが多く、内容が抽象的にならざるを得ません。逆に、書いても大丈夫なことは具体的に書いたほうがいい。実際の案件に求められるスキルを細かく書くよう提案しました。「ここまでの業務ができる人」と明記してもらった結果、高いスキルを持ったエンジニアが応募するようになりました。

行動を起こしてもらうコンテンツとは

――たくさん集まっても本当に必要な人材が見つからなければ、一からやり直さなければなりませんものね。

横須賀さん:求人情報を見てもらいたい人にどうすれば効率よく届けられるのか。戦略作りとサイト改変のアドバイスを通じ、見せ方、コンテンツの作り方こそ重要だと気づきました。

求人広告に限らず、商品やサービスの見せ方が甘いサイトは多々あります。なぜ甘いか。業界の専門家が制作の指示をしているからです。言わなくてもわかる、当たり前だと彼らが考えている内容は省かれているんです。

ユーザーが求めているのは専門家が想定しているよりもずっと広い情報であり、それを公開しましょうというのが僕の答えです。この商品はなぜこの価格なのか、メリット・デメリット両方が正直に書いてあるか。そういったコンテンツを載せるべきなのです。

SEOで成果を出すには、タイトルの書き方やアルゴリズムに則ったルールを満たすことなど作法があります。しかし、これだけだとそのうち熱の入った文章を書かなくなります。

Googleは「ユーザーに対して有益な情報を提供しているサイトを優先して掲載します」と言っています。表示されたページを読んだら「知りたいことがわかった、ありがとう」と離脱してしまうことも結構あるんです。

商品やサービスを買う行動を起こしてもらうには、必要な情報を提供した上で人間の思いの大きさが伝わるコンテンツが重要です。僕は「Content is KING!」と言っています。いろいろな角度から表現したり、心に刺さる言葉を使ったりといった工夫が必要ですね。SEOの作法にこだわるクライアントも多いんですが、それは誰でもやる事なので他で差を付けるしかない。

僕の経験上、SEO会社や代理店で広告運用を担当していると、SEOの改善といえばコンテンツをどう作るかと発想しがちです。しかし、作ったコンテンツによってユーザーの反応がどう変わったかを分析しなければならないケースが出てきます。そういう時にウェブ解析士の知識が役に立ちました。

上級のハードルは高いが乗り越えられる

――ウェブ解析士は2012年、上級ウェブ解析士は2015年に取得されたんですね。

横須賀さん:アクセス解析が必要な案件の担当になりましたが、それまでGoogle アナリティクスを見たことはほとんどなかったんです。当時のマネジャーには大丈夫だと言わたものの、やっぱり勉強しないと駄目だと思いました。

調べているうちにウェブ解析士の資格を取った人のブログをたまたま見つけて読んだんです。費用もそんなに高くないから取ろうと思い、ほぼ一夜漬けで合格しました。ちょっとした自慢です(笑)。その後も細々とアクセス解析をしていました。

業務で忙しかったり失職で費用が出せなかったりと上級ウェブ解析士にはなかなか挑戦できずにいましたが、最後の会社の時に勉強を始めました。

学習内容はビジネスモデル、マーケティングモデルに関するものが多かったです。ビジネスについての考え方、戦略の立て方などの業務に踏み込んだことがなかったのでハードルは高かったですが、乗り越えられない高さではありませんでした。

アクセス解析で得た数字に関する報告だけではなく、改善策を根拠をもって語れる知識を身につけることができました。顧客との関係をさらに良くするのに役立ったと感じています。事業の方向性がそもそも間違っていますよ、とすら言えるようになります。

経験と知識を生かし実質的にはマネジャー

――フリーになってからはいかがでしょうか。

横須賀さん:小規模事業者のウェブマーケティング支援では、新規事業を一から始めたいというものから会社が傾きかけているので立て直したいといった深刻なものまでさまざまな相談を受けます。

この市場にこんな商品を入れたら受けるんじゃないか?と、そもそもどういう業界に参入しようとしているのか見えていない状態で新規事業に乗り出そうとする方もいます。

そんな時に上級ウェブ解析士で勉強したマーケティングのフレームワークを生かしています。どういう市場でどんなターゲットがいるか3B分析や4C分析を使って深掘りし、攻める場所を決めて費用をかけましょうと提案しています。類似の相談に対しても明確に回答できるようになりました。

売り上げを増やすためにSEOを取り入れたいという方もいます。ただSEOは半年先にしか成果が出ません。すぐに売り上げを増やしたいなら広告を打ちましょうとお話ししています。マーケティング全般のアドバイザーです。一緒に働いているフリーランスの仲間にアドバイスすることもあって、実質的にはマネジャーの仕事をしていますね。

――どんなアドバイスでしょうか。

横須賀さん:「最適なターゲティング手法は」「LINEを使って訴求したらユーザーが増えそうだがどう思うか」「SNS広告の提案をしたいが、最も効果のあるプラットフォームは何か」といった質問に答えています。ウェブ解析士の知識があればある程度わかるようになると思いますよ。

広告運用、SEOだけを専門にしている人と僕を比べたら、知識の深さではとてもかないません。経験の広さで補い、マーケティング的視点から考えて提案しています。

ゼロを1にする仕事、1を100にする仕事

――十分お詳しい気がしますが、奥ゆかしいですね。最後に、上級ウェブ解析士への挑戦を迷われている方にアドバイスをお願いします。

横須賀さん:いわゆるSEOマーケター、広告運用をしている人がキャリアアップをするのに有効だと思います。両方ともおもしろい仕事です。広告でできること、SEOで解決できることは相当ありますから。

ただし、経験を積むうちに解決できない課題に突き当たることがあります。広告として受けた案件なのに、売り上げが伸びない根本原因は他にあったといったケースです。SEOで一定の効果があっても、ある時点で頭打ちになります。広告運用やSEOだけでも売り上げをゼロから1にする、1を10にする楽しさを味わえます。でも変な話そこまでしかできません。ゼロを50にとか、1を100とかにはできないんです。

深く入り込めば自分の守備範囲も明確になりますが、そこから抜け出すのも難しくなります。限界を突破するにはSEO以外の知見が必要です。それが上級ウェブ解析士の学びで得られる知見です。会社で広告運用しているという人も、運用チームの中のリーダーに、更にはマネジャーにと一段上のステージで活躍できるようになるはずです。

あとがき

大勢の聞き手がいる状況でも話し慣れているという横須賀さん。インタビューでもゆっくり、丁寧にお話ししてくださいました。なかなかにドラマティックなご経験をされながら、好奇心と情熱を絶やすことなく「もっと奥がある」「もっと深く知りたい」と探求を続けてこられました。今後はウェブマーケティングのコンサルティング業で法人化を目指しているそうです。横須賀さんならきっと、適切な提案を丁寧にしてくださることでしょう。

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