自信もスキルもなかった女性が、一人旅・留学・転職を経て夢をかなえた話 ウェブ解析士、安齋茉利子さん

「ウェブ解析士と仕事」をテーマにしたインタビュー。59人目はフリーランスのウェブデザイナーでマーケターの安齋茉利子(あんざい・まりこ)さんです。

フリーランスでウェブデザインやマーケティング、さらにコンサルティングの事業を展開する安齋さん。「少し硬い印象だった」ウェブ解析士を自分の強みにしようとあえて取得したそうです。独立と同時に資格も手に入れるまでには、綿密に練った計画がありました。「なりたい自分」になるのに必要なことは何か。自分に自信をなかなか持てない方、ぜひ参考にしてください。

(インタビュー・編集:上級ウェブ解析士・Ayan)

目次

あえて「硬い」ウェブ解析士

――安齋さんと同様、フリーランス・個人事業主の女性を顧客層に定めているのですね。

安齋茉利子(以下、安齋)さん:2020年4月に独立し、同時にウェブ解析士を取得しました。「Reve Design&Marketing」の屋号でウェブサイト制作やマーケティングをビジネスにしています。女性の夢、目標をかなえるお手伝いをしたいと思い、フランス語で「夢」という意味のレーヴという名前をつけました(編注)。お客さまは、エステサロン経営者、フォトグラファー 、ピラティスインストラクター、旅行・観光事業、行政書士など本当にいろいろな業種に及んでいます。

「ウェブ解析士」と聞くと少し硬い印象があるので、私の話がほかのフリーランス女性にとっての受験のハードルを下げるきっかけになればうれしいです!

――硬いでしょうか……?(汗)

安齋さん:類似の資格は「ITコーディネーター」などカタカナのものが多いですからね。だからこそあえて取得しました。

フリーランスになるにあたり、ウェブ解析士の資格を武器にしようと思ったんです。デザインのかわいさやおしゃれさのみで勝負する自信は私にはありません。他方、おしゃれだけれど見にくかったり、ページ構成がわかりにくかったりするウェブサイトを見かけます。デザイン性とマーケティング戦略の両方を兼ね備えたサイトづくりが私のブランディングです。アクセス解析までしている女性デザイナーは見当たらなかったので、ウェブ解析士の資格があれば競合との差異をわかりやすくアピールできると思いました。

納期に追われた会社員時代

――ウェブデザインとマーケティング、両方のスキルはどのように身につけたのでしょうか?

安齋さん:独立前はデジタルマーケティングの会社に勤めていました。顧客サイトのディレクション、メディア運営、SNS運用、アクセス分析、SEOなどの実務を経験し、とても多忙な毎日でしたね。2019年に退職してから社会人向けのスクールに通い、ウェブデザインとコーディングスキルを半年かけて身につけました。ウェブ制作会社での実習を経て本格的にフリーランスという来歴です。

実は、マーケティング会社にいた時にウェブ解析士取得を奨励されていました。人から言われると逆にやりたくなくなる性格だからかもしれませんが(笑)、本業で忙しく資格を取る精神的余裕がありませんでした

何百ページもある大規模ウェブサイトのディレクションをしていたので、いつも納期に追われて。構成、ワイヤーフレーム整理などのためお客さま、コーダー、プログラマーなど各方面と連絡を取る必要があり、ある時は返信がこなくて夜まで会社に残ったこともありました。プライベートでも結婚を控えていたため引越しや式などの準備が重なり、私の顔を見た友達から「疲れているよ」と言われたこともあります。帯状疱疹(ほうしん)も出てしまいました。

結婚を機に退職することは決めていました。夫も個人事業主なので、私もフリーランスになって生活リズムを合わせたいと思ったんです。独立を決めて初めてウェブ解析士の資格取得を考えました。

――マーケティング会社にお勤めでしたら、学習内容はすでにご存じでしたでしょうね。

安齋さん:そうですね。講座は受けず、問題集をひたすら解きました。自分がわかっていない点を調べる目的で解き、満点をとるまで頑張りました!

マーケティング会社には基礎的な知識もなく入社し、勉強前に実践でした。そのためウェブ解析士の学習では「サーバーログ」「パケットキャプチャ」など知らない用語がたくさん。実務でしてきたことが「こういうことだったのか」と改めて理解できたのもおもしろかったです。今までは飛ばしてきた、基礎的な知識を身につけることができました。

自分のスキルを証明する武器

安齋さん:今のビジネスではウェブサイトを制作するだけでなく、アクセス解析サポートも行っています。お客さまが企業の場合は私がウェブ解析士だと知ると「じゃあ、アクセス解析もしてもらおうかな」と言っていただけることもあります。マーケティングのスキルを証明できますし、信頼度を高められたと実感しています。

――ウェブ周りにはかなりお詳しいですね。

安齋さん:最初は苦手だったんですよ。10年くらい前は、私もユーザーとしてFacebookやLINEを使ったり、調べたいことを検索したりするだけの利用でした。「サーバー」などと聞くだけで苦手意識がありましたね。

変わったきっかけの一つは、かつて勤めた金融関連企業で顧客満足度を上げる仕事に携わったことでした。NPSを上げるための施策を考え、さまざま部署に働きかけるプロジェクトです。コールセンターに入った電話のデータや数値を分析するうちにデジタルマーケティングの世界を知り、Google アナリティクスも知りたいと転職を考えるようになったんです。

もう一つのきっかけは、プライベートで続けてきた旅ブログです。新卒で入った会社を退職してアメリカに留学中、インターンシップで旅行会社のブログ担当になったのがきっかけにハマり、自分でも旅のブログサイトを立ち上げました。せっかく書くのだからなるべく多くの人に読んでもらいたいと思い、SEOに関心を持ったんです。何かを改善すると検索順位が上がるのがおもしろくて。

安齋さんがWordPressで初めて制作した旅ブログ

最初はアメブロにつらつら書いていました。タイトルも「スペイン旅行12日目」といった具合で日記のようだったのですが、SEOのためにはWordPressで構築することが必要で、記事の構成もしっかり考えるべきだと知りました。知識ゼロの状態からWordPressでブログサイトを作り、記事の構成も変えました。例えばタイトルには泊まったホテル名を入れ、見出しも「○○ホテルの部屋」「○○ホテルの朝食」といった具合に工夫したんです。すると狙ったキーワードで検索1位を取れるようになり、アクセスも一気に増えました。

ブログ制作・SEOを独学し転職

――こちらも独学で。

安齋さん:デジタルマーケティングの業界に転職するためでもありました。すでに30歳を超えていたので、未経験だと採用されるのには厳しいと思ったんです。自分のSNSやブログでファンを増やしたり、SEOを試したりした経験を評価してもらい採用されました。

――独立もそうですが、それ以前からとても綿密に計画を立ててから実行に移していますね。

安齋さん:もともと、計画を立てて実行するのが好きなんです。中学生の時も塾へ行かずに自分で勉強し高校受験に臨みましたし。

とはいえもともとは過保護な家庭で、親がいなくちゃ何もできないみたいに育ちました。それがイヤなんだけれど、一人では自信がない。コンプレックスのかたまりだったんです。何か自分でやりとげなくちゃと思い立って19歳の時に沖縄に一人旅をしました。一人で計画したり、自分が行きたいところに行ったり、トラブルを乗り越えたり。そうして家に無事帰った時の達成感は格別でした。どんどんエスカレートして留学や転職、10カ国以上の一人旅、さらに会社を退職して独立までしちゃいました(笑)。

19歳で初めて一人旅を敢行した沖縄・波照間島にて

でも会社勤めはあまり合わなかったかもしれません。生理痛とか、メンタルが弱る時だってあるじゃないですか。会社員は決められた時間に働くもので、自分のペースで仕事はできませんからね。20代前半はそれでもよかったですけど。体調に変化があれば午前中休んで午後働くとか、自分の裁量でコントロールできる働き方が私には一番合っています。

好きなことと理想の働き方を両立

安齋さん:旅行が好きで、旅をしながら働きたい。場所も時間も選ばない仕事をと思うとウェブ、その中でもマーケティングに行きつきました。好きなことと理想の働き方を追求した結果が今の姿です。

――コロナ禍では難しいと思いますが、以前は年に3〜4回海外旅行をしていたそうですね。

安齋さん:今までに30カ国くらい行きました。外国ではスウェーデンが良かったです。何度も訪れているのはハワイですね。国内なら沖縄。大好きな八重山諸島には10代の頃から繰り返し一人で訪れています。

旅の一番の目的は癒やしです。何もないところで1時間も2時間もぼーっとしています。せわしないのが苦手なので、ホテルステイや自然の中でゆっくり過ごすのが好きで。何もしなくていい、縛られない時間が自分のエネルギーになり、また頑張れます。

スロベニアのブレッド湖。こちらも一人旅

旅行で体験したことは旅系のウェブメディア向けに書いていて、トラベルライターでもあります。書くのは数カ月に一度だけですけど。

3年単位で計画、少しずつ実践

――ご自身の夢を次々にかなえてこられたのには、何か秘訣があるのでしょうか。

安齋さん「3年後にはこんなことができるようになっている」と決めて計画を立てています。

それに向けて今年は何をすべきか、またそれを達成するには今月は何をすべきか細かい目標に落とし込んでいきます。

例えばアメリカの大学のエクステンションでビジネスを学ぶ目標の時は、

  • 高い英語力が必要
    • そのためには語学留学し、レベルの高いクラスで学ぶ必要がある
      • ある程度の英語力を日本で身につける
        • 英会話に通う
          • 留学や英会話学校の資金を貯めるため高収入の会社に就職する

このような目標を立て、少しずつ計画を実行していきました。

フリーランスになるときも同じです。

  • フリーランスになるにはスキルが必要
    • そのためにデジタルマーケティング会社に転職する
      • アピールポイントが必要
        • 自分で勉強しながらサイトやSNSを運用

初めに大きい目標を立て、そこから逆算して小さい目標を立てました。

三日坊主になったこともありますよ。やりたいことを全部一気にやろうとするとできないです。その反省からできそうなことから始めています。例えば「今月はブログ記事を1本書く」だけでもいいんです。少しずつでも前に進んでいければと、自分に合ったペースでゆるく頑張っています。ストレスをため込まずに楽しく働くことが第一なので。

「星のや富士」でのホテルステイを楽しむ安齋さん

メルマガやSNSも運用していますが、ウェブ集客の要は私が得意なSEOを生かせるブログを中心にすることにしました。これなら続けられますから。SEOはすぐに効果が出るものではなく、アクセス解析と併せて長期的に継続することでじわじわ興味を持ってもらえます。お客さまがサイト制作を検討する時に私を思い出してくださっている実感がありますね。

自分を何でブランディングするか

――他の人の夢をかなえるお手伝いを仕事になさっています。ウェブ解析士取得を迷っている方に助言をお願いします。

安齋さん:ウェブデザイナーの方からご相談を受けることがちょくちょくあります。「マーケティングについて学んだ方がよいだろうか」「ウェブ解析士はどういうものか」といったご質問をいただきました。デザイン以外のことも身につけたいと思うデザイナーが増えている気がしています。

大事なのは、本当にマーケティングを武器にしたいのかどうかなんです。「みんなが持っているから」とか「不安だから」資格を取得するのは本末転倒です。資格を持っているから何かができるのではありません。自分のブログやウェブサイトでアクセスを増やし、メディアを育てるのが先だと思います。いろいろ試して成果が出るようになった、その強みをわかりやすく証明する手段として資格があると私は考えています。だから、自分は何を強みにしたいのかを考え、それを武器にするためにはどうすべきかを考えるのが大事ではないでしょうか。

私も自信がないところから始めて、いろいろやってできたことが自信につながっています。ウェブ解析士は基本的な知識から実践的なところまで学べるので、資格を持っていることは武器にできます。本当に必要だと思ったら一歩踏み出して、勉強してみてはいかがでしょうか。

(編注)「Reve」の最初のeは、本来は上に山型の記号(アクサン・シルコンフレクス)がついた文字です。機種依存文字のためeで代用いたしました。

あとがき

「アクセス解析や数字の分析は女性にとってなじみが薄いと感じているので、ウェブ解析やマーケティング方面で活躍したいフリーランス女性の参考になればうれしい」とインタビューを受けてくださいました。無料で読めるブログで働き方や未経験からの異業種挑戦など、ご自身の経験を数多く公開なさっています。安齋さんのファンもたくさんいらっしゃる様子。ご興味があれば読んでみてくださいね。

安齋さんのウェブサイト

Reve Design&Marketing:https://revedesign.jp/

WEBサポートブログ:https://revedesign.jp/blog/

旅ブログ:https://tg-mari.com

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