“データの流れを整理するだけでも結構成果出ますよ” データサイエンティストなウェブ解析士、熊谷 勇樹さん

熊谷さん

ウェブ解析士の資格を取得した方を対象としたショートインタビュー。
今回は、フリーのデータサイエンティストとして、主にデータに基づいたビジネスコンサルティングを行っている熊谷(くまがい)さん。「データサイエンティスト」と聞いて、ちょっと難しそうだなと思われた方は、印象が変わるかもしれません。

(インタビュー・編集:ウェブ解析士マスター 小杉 聖)

――― データサイエンティストというのは、実際にどんなことをされているのですか?

熊谷 勇樹さん(以下、熊谷):統計や機械学習など(ときにディープラーニング)なども活用してビジネス課題を発見し、解決策の提案から実行支援まで、時にはその先も行っています。データサイエンス自体はAIでも注目されているので、昔より馴染みが出てきたかもしれません。ウェブの領域で話をすると、Python(プログラミング言語)や R(統計解析ソフト)で通販の購入履歴やログ情報などのビッグデータを分析したりしています。

――― 統計学のプロですね……!

熊谷:ただ、依頼される案件のほとんどは、いわゆるデータサイエンスまではいらなくて、会社にあるデータや外部データを基礎的な統計的な手法で事足りているのが現状です(笑)

データ分析だけでなく結構広い範囲のお手伝いをさせていただいてますね。データサイエンティストと名乗ってはいますが、それが生業というよりは、手段として使っている感じです。

――― データサイエンスにはいつ頃から興味を持たれたのですか?

熊谷:もともと、小売業でデータマーケティングをやっていたので、多量なデータを扱うことはよくありました。ただ、BI や Excel や Access などを使ったいわゆるビジネス分析だけでは限界を感じていて、そんな折にデータサイエンスにも興味を持つようになりました。5年ほど前です。

――― そんな方が、ウェブ解析士に興味を持ったきっかけってなんですか?

熊谷:ちょっと下心アリアリで恥ずかしいんですが(笑)

独立して個人で活動し始めてから特に感じるのですが、「データサイエンティスト」と聞いてピンと来る人があまりいなくて。特に、名刺を渡すときとか結構困ってたんです。言葉を聞いたことはあっても、具体的に何をするのかわかる人はまだ少ないです。未だに一言でデータサイエンスの内容が伝わり相手の心をつかむようなキャッチコピーが生み出せずにいます。

そこに肩書として「ウェブ解析士」なら「ウェブに関してデータサイエンスで何かやってくれる人なんだな」と伝えることができるのでわかりやすいかなと思って。

――― 「ウェブ解析士」もよくわかりにくいと言われるんですが(笑)

熊谷:ウェブを解析する人という方が、通りが良さそうです(笑)

――― 確かに、ウェブ解析士の第一印象どおりの「データで何かイイカンジにしてくれる人」というのは当てはまりますもんね。
受講されたのは、オンラインのライブ授業だったそうですね。

熊谷:そうですね、面白かったですよ。私は中堅の年齢で経営から経理まで理解はあることと、ウェブ関連の業務自体もかなり長いので、正直なところ、初めて知ることはとても少なかったです。ただ、ウェブの勉強は独学が多かったので、体系的に学んで、自分の知識を俯瞰的に整理できたと感じました。その点でとても満足しています。

ウェブ関係の資格って胡散臭い印象が強くてお金を捨てる覚悟で申し込んだのですが、この講座は良かったです。上級も個人的にはとても気に入りました、内容は!(意味深)

――― 素直な感想は普通にウレシイですよ。もう上級も受講されているんですね。

熊谷:名刺に「上級」という言葉があったほうがカッコイイかなと。結局、実績や営業時のプレゼンが仕事をいただく要因になるので、名刺に載せる以外に資格を持っている事自体が案件獲得に役立つとは思っていないのですが、載せるなら上級の方が見栄えいいですし。

――― 動機がシンプルすぎてサイコーです(笑)
先程の印象もふまえて、上級ウェブ解析士のカリキュラムを10点満点で評価するとしたら、どうですか?

熊谷:そうですね……スキルやノウハウの体系的理解という点では、盛り沢山なので10点。講座内容に関しては7点ですね。

――― 満点!では……意味深な印象の、講座の内容についてお伺いしても?
7点というのは、それほど低くはないかなとも思うのですが。

熊谷:コロナの影響もあると思うんですが、上級講座は2時間講義×2回、後は自習メインなので、ほぼ独学に近いです。これはちょっとぶん投げすぎかなと。講義の際に勧められる上級Google アナリティクス講座というのもあったのですが、参加すると上級講座の課題に対応できますという見せ方も気になりました。

――― よく言われますね……手段が目的に見えてしまっている現状があるものの、求められてもいるので、色々と揉めているところです。

熊谷:とはいえ、上級ウェブ解析士の資格はGoogle アナリティクスの上級講座と合わせても、費用対効果の面では十分ペイできると感じましたし、不満はなかったですね。ウェブ解析士マスターの講座も考えていましたが、調べてみる限り仕事で使うなら上級で十分ですかね。私の立場では金額の割に上級の講座より学べることはなさそうだなと思いました

――― 確かに、ウェブ解析士マスター認定講座はインストラクションの部分が大きいですし、上級の内容を現実的にやり込むことや、仲間を得たいと思ったときにはオススメですね……といっても統計学のプロとして、思うところは色々あるのではないでしょうか?

熊谷:統計とかを入れると、データサイエンティスト養成講座になってしまいますから、あれでいいと思います。ただ、Excel についてはもっとやりようがあるだろう……と突っ込みたかったです。教材の Excel いじらせてもらっていいですか(笑)

――― 上級ウェブ解析士のカリキュラム委員会に伝えておきます(笑)

熊谷:実際のところ、ビジネスの現場で扱うデータは集計されたデータが多いので、そういう意味ではこの講座で使っている Excel レベルがあれば十分かも。もちろん、統計は知っておいて損はないです、分析の幅が広がります。

ウェブページは様々な要因が絡み合っていて、因果関係なんてそうそうわかるものではないですし、因果関係を見るために統計やディープラーニングや機械学習をビジネスの現場で使うのは啓蒙が必要な状態ですし、そもそも使うだけのデータがなかったり。

――― そうですよね。そもそも、中小企業のサイトはアクセス数が少ないこともありますし。月間セッション数が1万件にすら満たないウェブサイトは、熊谷さんならどう考えますか?

熊谷:それこそビジネスデータから現状把握してマネジメントですね。データの流れを整理するだけでも、ちゃんと成果出ますよ。リードジェネレーションサイトを例に取ると、ナーチャリングして会計に至るまでのプロセスを全部見てもそんなに手間はないし、ビジネス自体の理解にも繋がります。そういった判断ができるよう「中級」みたいなものでデータマネジメントが学べるといいですね。マネジメントにデータは必須ですし。一担当者として業務をしてしまうと断片的にしか見ないことが多くなるので。経験がなくてもデータの流れが理解ができると、仕事に慣れるのもかなり早い!

――― いいことづくめですね!データの流れは、ユーザー行動の流れですしね。

熊谷:そうですね!例えば、ECサイトなら購買データがメインになりますが、ログ解析と違ってシンプルに、顧客軸か商品軸のどちらかで考えれば十分です。あるいは両方。違いがあるとすれば、基本は、顧客軸は中長期視点で、商品軸は短中期視点でみることかな。その上でKGI、KSF、KPIを設定して、後はマネジメント、目標と実績にギャップが生まれたら即対応!で、売上を上げるのは難しくはないですよ。余談ですが、KSFを設定しなくて迷走しているのをよく見ます。

――― サラッと秘訣を話してもらっている気がしますが(笑)
データって過去のものだから、今のようなコロナ禍では過去の経験は役に立たないと言われますよね。その辺はどうお考えですか?

熊谷:そのへんに関しては少し持論があります。この仕事をしていると予測はよく求められますが、断定なんかできるわけないです。未来がわかるなら、今頃億万長者ですよ。クライアントにははっきり言いませんが(笑)
だって、今後3ヶ月でこういうことをすれば売上25%上がりますと言われて、信じられますか?

――― 時々求められはしますが、断言されると警戒しますね(笑)

熊谷:「上がります」ではなくて、「上がるようにしましょう」が正しいですね。予測の後に何をするかが本質だと思います。とはいえ予測に意味がないかというと、そうでもない。予測は将来のリスクがどれくらいの確率でどのくらいの幅で起こり得るかを想定するのに使うと良いと思います。心構えをするための予測ですね。特に大きなリスクはKPIなんか一瞬で吹き飛ばしてしまう破壊力ですし。

職業柄感じるのは、データから特別な何かが見つかることを期待するよりも、PDCAのサイクルの中でKPIをチェックしていくことの方が大事と思っています。何もしなかったら下がりますが、KPIを伸ばしていけば間違いないですね。

――― 確かに、改善しなかったらKPIではないですしね。
熊谷さんはこれから、どんなことをやっていきたいですか?

熊谷:これまで月400時間の超絶ブラックとか、恐らくしなくても良いハードな働き方をしていたので、今は事業を立ち上げる資金集めをしつつ、将来はスローなビジネスで生計を立てていきたいです。猫ホテルの経営とかいいですね、ホテルの将来性は別にして……ただ、やりたいだけです。一応、データサイエンティスト名乗ってるのに……(笑)

――― 幸せを通して社会に貢献できるのは、素晴らしいと思います(笑)

熊谷:あとは現実問題として、今はアドテクに強い方を探していて、パートナーシップを組んでやっていきたいのです。そういった方々とデータマーケティングの議論を交わしながら知見を深めていきたいですね。

――― アドテクに強い方だと大手の案件を手掛けている方かと思いますが、このインタビューを読んで興味を持たれた方が、熊谷さんの良きパートナーとなることを期待しています!

熊谷さんのFacebook

https://www.facebook.com/ykumagai0319