生きるための仕事から、好きだからやる仕事へ。ウェブ解析士マスター、平岡謙一さん

「仕事とウェブ解析士」をテーマにお送りさせていただくウェブ解析士インタビュー。12人目は、株式会社アクシス COOの平岡謙一さん。岐阜県を拠点に、インターネットビジネスコンサルティング事業を手掛けながら、ウェブ解析に関わる講座やセミナー講師を国内外で行うなど、グローバルに活躍されています。

SEOがリンクビルディングや量的な施策が中心だった時代に、ウェブ解析士協会 代表理事 江尻さんの講演を聞いて感銘を受け、180度考えが変わったという平岡さん。全体最適やマクロの視点から語られるウェブ解析士の講座がとにかく面白くて、初級、上級、マスターまで一気に取得されたそうです。

今回はそんな平岡さんに、お仕事のことや、資格を取ったきっかけ、今後の展望、読者の皆さんに向けたメッセージをいただきました。ぜひご一読いただけますと幸いです。

(インタビュー・編集:ウェブ解析士 佐藤 佳)

ウェブ解析士マスターの平岡さん

顧客との対話から、ボトルネックを導き出す。

平岡さん、本日はよろしくお願いします。最初に、これまでの経歴について教えてください。

もともと大手電機メーカーで、海外新興市場のマーケティングを9年間やっていました。そこでいろんな国を見て刺激を受けたことや、インターネットの可能性を感じるようになって、2009年に独立したんです。
その後は、企業向けのネットビジネスコンサルティングや、自社メディアサイトの構築・運営をしていたのですが、旧友から一緒に事業を作らないかと誘われまして。そこで、静岡から岐阜に拠点を移して、2012年から株式会社アクシスのCOOとして働いています。

アクシスさんのオフィスは何度かお邪魔させて頂きましたが、素敵な会社さんですよね!改めて、会社概要を伺ってもいいですか?

実はそれ、難しい質問なんですよね(笑)。
一言で言うと、マーケティングの総合会社でしょうか。制作会社さんとも言われるし、広告運用の会社さんとも言われるし、昔の知り合いからはアフィリエイトとかSEOの会社って思われています。というのも、地方では「インターネットでなんかやりたい」といった範囲の広いご相談が多いので、その会社さんに必要なことをご提案していると、自然とマーケティング全般に携わることになるんですよね。

そういった背景もあって、さまざまなノウハウや実績をお持ちなんですね。ずばり、アクシスさんのご提案の特徴って何ですか?

その会社さんのボトルネックがどこにあるのかを導き出す点です。ここに価値を感じてくださるお客様が多いので、費用をいただきながら深く対話をしていって、今一番やるべきことをご提案しています。
例えば、ボトルネックが採用だった場合、会社説明会のスライドを一緒に制作したこともありますよ。本当に必要なことを導き出す上で、ウェブ解析士の俯瞰的な視点、一気通貫したデータの分析、仮説提案力はすごく活きていると思います。

深く心を動かされた、全体最適から考える皆の幸せ。

平岡さんって、何がきっかけでウェブ解析士協会と接点ができたんですか?

昔の話になりますが、ある会社のSEOコンサルタント養成講座に行った際、講師の一人として代表理事の江尻さんがいたんです。実を言うと、いいことを言っているのは分かったんですが、解析の話は難しくてついていけなかったんですよね(笑)。というのも、当時のSEOは被リンクをつけていればよかったし、細かなデータ分析をするよりも、たくさん作って集客を回す方が実際のところ効率も良かったからです。

ということは、その後に考え方が変わるような転機が訪れた、ということですか?

その1年後、ネットショップ担当者フォーラムで、また江尻さんの講演を聞けるタイミングがあったんです。その時、「集客を倍にするより、成約率を高める方が、皆にとって幸せだよね。」と江尻さんがお話されていて、とても感銘を受けまして……。その瞬間、量的なSEO施策しか考えていなかった自分に、全体最適やマクロの視点が入ってきて、「これは面白い!ウェブ解析士を勉強してみたい!」と思って、すぐに受験を決めました。

なぜウェブ解析士だけでなく、マスターまで取られたのですか?

単純に面白かったからです。初級ウェブ解析士に合格してすぐ、上級ウェブ解析士の講座を受けて、これもまた面白かったから、もっと学びたいと思ってマスター講座に申込みをしました。ただ、自分がちょっと勘違いをしていて、「マスター講座は、教える人になるための講座だったんだ」と後から気づきました(笑)。幸い人に教えるのも好きでしたし、講師としていろいろ登壇していたこともあって、結果的にはとても楽しめました。

楽しいから学ぶって、一番効果的かつ理想的ですね。いまウェブ解析士の資格取得を検討している人・企業に向けて、アドバイスをお願いできますか?

ウェブ解析士は、どんな業界・業種の人にもお勧めです。実際、アクシスでも推奨していて、入社1年後くらいに受けてもらっています。上級は、ウェブマーケティングを仕事にしている人は受けてみることをお勧めしますが、企業のWeb担当者は無理せず、自分が受けたいと思ったらやればいいと思います。マスターは、ウェブを生業にしている会社であれば、社内に1人か2人いると、みんなが相談しやすくなると思います。

面白いことは全部やる。どうやったらやれるかを考えるだけ。

平岡さんって、実務からマネジメントまで幅広くお仕事されていますよね。今後のお仕事の展望は?

そもそも仕事が好きなので、分野や国を問わず、面白いものは全部やっていきたいですね。最近、ウェブの仕事は二極化していると感じますが、僕はどっちかではなく、どっちもやりたいと思っています。例えば、ウェブサイトもまだ持っていない会社の設定代行レベルの仕事も、ITを使いこなしている会社をよりグロースアップさせる仕事も、どっちもやりたい。どうやったらやれるかを考えていて、そのためにいろんな人と繋がりたいと思っています。

分野や国を問わないという点では、最近フィリピンやマレーシアでも講演されていましたよね。平岡さんからみたアジアの可能性は?

アジアは面白いですね。それに、異国の地で頑張る日本人を見て、エネルギッシュだなって思いました。ビジネスマンはもちろん、留学生も。ただ、留学生に限っては、せっかく海外に飛び出して勉強しに行ったのに、卒業後は帰国せざるをえないとか、バックパッカーになるしかないって、もったいないですよね。もしも彼らのような留学生が英語とマーケティングの両方を身につけたら、すごく活躍できるだろうし、面白い人材を育てられると思いました。

海外で働いてみたいけれど、突破口を作れていないウェブ解析士もいると思います。どんな風にきっかけを作っていくと良いのでしょうか。

ウェブ解析士協会の海外イベントに参加したらいいと思いますよ。協会のコネクションもあるでしょうし、思わぬ人とも出会えるかもしれません。そもそも、現地で頑張っている人って、現地に行かないと見えてこないんですよね。だから、まずは行ってみましょう。そうしたら、ニーズを拾えるかもしれないし、ビジネスパートナーに出会えるかもしれません。「現地で頑張っている日本人とつながる」、まずはこれが起点になるんじゃないでしょうか。

生きるための仕事から、好きだからやる仕事へ。

インタビューも終盤になってきました。学生や若い世代がウェブ解析を学ぶとしたら、どんなアプローチが効果的でしょうか。

数学だろうと、ウェブ解析だろうと、それが社会にどう役立って、何と繋がるのか分からないと、やる意味も分からないし、続けられないですよね。そういう意味では、インターンで実務を経験してみるのもひとつの方法だと思います。実際やってみると、自分の興味が違う場所にあると分かったり、新たな興味が生まれたりするはずです。とは言っても、実務なんて社会人になれば嫌でもやるので(笑)、若いうちは面白いと感じることを何でもやる方が大事だと思います。一番のリスクは「何もしないこと」ですね。

何でもやってみるって、大切ですよね。ウェブ解析士としてスキルやキャリアを積んでいく上で、どのように自分の強みを育てていったらいいのでしょうか?

自分の「好きなこと」を突き詰めることです。内容はなんでもよくて、遊びでもいいです。
例えば、うちのスタッフにパチンコが大好きなメンバーがいます。彼は徹底的にパチンコを楽しんでいて、統計的な考え方がすごく上手なんです。このスキルをウェブ解析と掛け合わせれば強みになりますよね。
他にも女性が好きで、ナンパばかりしている奴もいます。彼は、どうしたら相手が振り向いてくれるのかを徹底的に研究していて、そこで磨かれたセルフプロデュース力やコミュニケーション力は目を見張るものがあります。このような点もウェブ解析とかけ合わせれば、きっといいコンサルタントになると確信しています。

平岡さん、ありがとうございました。最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。

特に若い方へ伝えたいのですが、「好きなことを仕事にしていく」プロセスを、あきらめずに続けて欲しいです。これから先、年金がほとんどもらえないことくらい、誰でも想像つきますよね。つまり、いい意味でも悪い意味でも、死ぬまで働くことになると思うんです。そんな時代だからこそ、理想論かもしれないけれど、生きるために仕事をするんじゃなくて、好きだからやる仕事にしていく方がいいと思うんです。仕方なく働くことを頑張るのではなく、好きなことで楽しく働ける努力をしてください。
皆さんの人生が、より楽しく、実のあるものになるよう、願っています。

あとがき

平岡さんって、セミナーのお話がめちゃくちゃロジカルなので、勝手に日常生活もめちゃくちゃロジカルでまわっていると思いこんでいたのですが……。

「え?資格を取った理由?だって面白かったから。」
「好きだから手伝いたい。これでよくない?そこに細かい論理や理由って、いるのかなぁ。」

と言われて、平岡さんが自分の感情(面白い・楽しい・好き)に対して、とても素直なお方だったんだと改めて知ることができました。

人間って、無意識に損得をはかってしまったり、考えすぎて行動できなくなったりすることがあると思います。そんな時こそ、勇気をもって、自分の気持ちに素直になる。これが一番大切なのかもしれませんね。そうすることで、望むものがどんどん集まって、「好きだからやる仕事」になっていくのかなと思いました。

平岡さんのSNS&スライドのご紹介

そんな平岡さんの Twitter はお茶目なところがありながらも示唆に富んでおり、フォローしていて損はありません。

https://twitter.com/shizuoka_hira

また、2019年のウェブ解析士会議でも大好評だった、ウェブ担当者のための集客マップのスライドが公開されていますので、こちらもご紹介いたします。