九州・沖縄からデジタルトランスフォーメーション(DX)でビジネス収益改善! ウェブ解析士マスター 沖本 一生さん

「仕事とウェブ解析士」をテーマにお送りさせていただくウェブ解析士インタビュー。44人目は、株式会社デジタルアイデンティティで広告運用部署テクニカルマネージャーとして活躍しながら、ウェブ解析士協会、九州・沖縄支部長をされている沖本 一生さん。

外食産業での店舗マネジメントから、ウェブの世界に飛び込んだ沖本さん。現在は、企業のDX推進や、BIツールを駆使した成果の見える化に力を注がれています。九州、沖縄地方のウェブ、IT業界をより盛り上げるために何ができるか、沖本さんの考えを伺いました。

(インタビュー・編集:ライター ふじねまゆこ)

目次

九州、沖縄地方のウェブ解析士を取り巻く環境

――九州・沖縄地方は、日本の主要4島のうち3番目に広く、沖縄に至っては海を越えなければいけないですよね。人をまとめるのは大変そうな印象があります。

沖本 一生さん(以下、沖本さん):正直に言うと、まとまっていないのが現状ですね。ただそれは、関東、近畿地方を除く各支部共通の悩みじゃないかなと思います。

――九州・沖縄は、ウェブ解析士にとって、どのような環境ですか?

沖本さん:IT系企業に注目されている福岡が印象的ですが、九州は通販王国と言われるほど、大手通販各社が根付いています。新日本製薬、やずや、ジャパネット、再春館製薬所など有名企業が多いですね。Eコマースに限らず、通販の土壌がある点は特徴的かなと思います。

――関東、近畿圏と比べて、距離的なハードルは高そうな印象です。

沖本さん:そうですね。九州だけでも情報が分断していると感じます。新幹線が通るエリアはまだいいですが、さらに沖縄となると往来だけで時間がかかりますね。ウェブ解析士が、各地域に点在している状況なので、ウェブ解析士に限定せず、地域や企業の方へ向けてオープンなコミュニティを作っていきたいと考えています。

急なDX化による、情報格差を埋めたい

――東京で飲食業を経験され、外資系のSEMコンサルティング企業へ転職されたことがウェブに携わるきっかけと伺いました。転職にどのような背景があったのでしょうか?

沖本さん:大学卒業後は、20代前半の内に収支や人事などの経営に対する一通りの裁量を持てる仕事に興味があり、小売業へ就職しました。複数の店舗経営をする中で、売上が上がらない理由は当然ながら個別に異なります。ですが、外食コンサルタントの研修を受けたところ、どの店舗も同様に業績を改善することができました。この経験から、フレームワークをもって課題抽出し、問題解決するというコンサルティング業務の素晴らしさに魅せられたことがきっかけです。

――ウェブ解析士を知ったのはいつでしたか?

沖本さん:割と最近で2018年頃だったと思います。前職の上司がウェブ解析士マスターで、社内の推奨資格として推進され、受講したことがきっかけです。

――2019年にウェブ解析士マスターを取得されたそうですね。沖本さんはウェブ解析士マスターの知識と経験を、どのように活かしたいとお考えですか?

沖本さん:九州に戻ってきて、今まで東京働いていた時とは違う意識が芽生えつつあります。コロナ禍によって、オンライン会議に、Uber Eatsなどの非対面デリバリーテクノロジー、QRコード決済など、さまざまな分野で急速なDX化が進んでいますよね。一方で、急速なデジタル化に置いていかれている人も多くいると思うんです。

――確かに、地域差が大きいテーマに感じますね。

沖本さん:東京、大阪といった都市圏ではデジタル化のサービス導入も進んでいて、ユーザーも多くいるんですが、それ以外の地方はデジタルシフトの遅さが顕著だと感じています。2020年は情報格差とともに地方格差も加速したんじゃないかと。DX支援による地方創生というテーマは、今後やっていきたいことの一つです。

ウェブ解析ではなく、実体験を提供しよう

――今、注目していることはなんですか?

沖本さん:興味の範囲でいうと、データマネジメント、BI(ビジネス・インテリジェンス:組織がデータに基づいた意思決定を行えるよう支援すること)の分野が気になっています。

――最近、ウェブ解析士協会主催のイベントで、データの見せ方について取り上げたセミナー(【<セミナー参加レポート>【新春特別セミナー】これからのウェブ解析・広告運用レポートの話をしよう)が開催されました。こちらのイベントでも、データの見える化が焦点になっていましたね。
もう少し身近な例を挙げると、どういったものになりますか?

沖本さん:例えば、ウェブサイトから商談、受注までの数字がどのように紐付いているか、データが部署で分断されてしまう例は多いんじゃないかと思います。ウェブ担当はウェブサイトの範囲だけ報告をして、上長はウェブサイトの成果と営業部門の商談数、受注数を紐付けて経営層へ報告します。事業全体の数字を把握できなければ、ボトルネックが見えづらいですよね。

――関係するデータを集めるだけでも労力がかかりそうですね

沖本さん:現場データとオンラインのデータをひとまとめに見えるようにし、広告などのデータと経営指標との関係性ををわかりやすく見せることなどに使えるのがBIツールです。私が所属しているデジタルアイデンティティで提供しているDatoramaというサービスもそうですし、Google データポータルなどの無料ツールもあります。

BIツール「Datorama」の管理画面。必要な数字を1画面で俯瞰できます。
BIツール「Datorama」の管理画面。必要な数字を1画面で俯瞰できます。

――便利ですが、使いこなすのは大変そうです。

沖本さん:使いこなすのは大変だとは思います。しかし、ウェブ解析士を含め、業界に求められるのは「効果を実感してもらうこと」だと思います。解析やツールは手段であって、欲しいものではない。数字を見極めて、「広告出稿したら問い合わせが増えた」「伸び悩んでいた売上が上がった」といった実体験をしてもらえたら、地方でもDX化が進むのではないでしょうか。

九州・沖縄の人たちを巻き込み、大きな波を作ろう

――急なDX化による格差を埋めるために、ウェブ解析士ができることは何でしょうか。

沖本さん:地方でもさまざまなDXセミナーが開催されていますが、SNSは一番身近で取り入れやすい分野ではないでしょうか。目的にもよりますが、例えばLINEでアカウントを作り、友達を増やし、オンライン・オフラインの両方で接点を作って、新規ユーザーや既存ユーザーの分析や改善のサイクルをつくる。などのように、ビジネスにおけるアクセス解析の有用性を実体験していただくことで、DX化の一歩になると思いますよ。

――費用面の不安はどのように乗り越えたらよいでしょうか。

沖本さん:例えばレベニューシェア(成功報酬型の契約形態で、生みだした利益を予め決めた分配率でシェアする)で、伴走しながら成果を分け合うモデルであれば導入へのハードルは下がりますし、解析士も事業の成果を出すことにより集中できると思います。報酬も発生しない状態で時間を割く必要がある分、支援者には自信と覚悟が必要になりますが、地方や小規模事業の方へDX支援する際に、今後求められる形になるんじゃないかと考えています。

――沖本さんが九州、沖縄地方のウェブ解析士に求めることはなんですか?

沖本さん:エリアが広いため、つながりたい方、情報がほしい方は積極的に発信してほしいですね。今、九州・沖縄支部のFacebookグループを立ち上げています。そこに参加いただけると嬉しいです。ゆくゆくは各県に、県代表のウェブ解析士をまとめ役として立て、多才なスキルを持ってるウェブ解析士同士の情報交換や協業が生まれやすい有機的なコミュニティにしていきたいと考えています。

――どの地方も、コミュニケーションが活発にやりとりされる環境が期待されていますね。九州・沖縄地方で今、アツいコミュニティやイベントがあったら教えて下さい。

沖本さん:デジタル神無月という、デジタルマーケティング関連のカンファレンスイベントはおすすめしたいですね。2020年はコロナの影響で開催中止になりましたが、それ以前は定期的に開催されていました。九州でデジタルマーケティング系のトレンドをキャッチアップするには、非常に良い機会だと思いますので、ぜひ開催情報をフォローしてみてください。

九州地方で注目度の高いイベント。ぜひチェックを!

――九州、沖縄もアツい人がたくさんいらっしゃいますよね。

沖本さん:そうですね。各地に全国では知られてないけど、熱い想いを持ってさまざまな取り組みをしている人がたくさんいますので、町おこしや農業などの分野にも訪日外国人対応、流通などでDX支援を広げていきたいですね。お気軽に、私までメッセージください!

沖本さんのFacebook

(あとがき)

今、日本全国でDX推進が大きく進みつつあると感じます。世の中はソーシャルディスタンスという制限を乗り越えるために、各種デジタルツールに期待が寄せられています。一方で、デジタル化から取り残されている人も多くいます。沖本さんのお話は、地方のさまざまな人をつなぐ可能性を感じたお話でした。

九州・沖縄のウェブ解析士が集まるFacebookグループ

https://www.facebook.com/groups/waca.kyushu

プライベートグループのため、参加希望の方はお問い合わせください。
ぜひ、つながり合って大きな波を起こしましょう!

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