ベンチャー流の “鷹の目” で、デジタルマーケティングの実績を出し続けるウェブ解析士 大澤要輔さん

「仕事とウェブ解析士」をテーマにお送りしているウェブ解析士インタビュー。39人目は、中小企業向けのコンサルティング事業を展開されている大澤要輔(おおさわ・ようすけ)さん。

大澤さん

事業会社で広告代理業と2つの新規事業のマーケティングマネージャーを同時にご経験し、2020年10月に起業。ベンチャー企業で培われたスピードと決断力で、企業のウェブ戦略を立案・分析から実行までサポートし、社外CMO、CSOの就任実績もお持ちです。そんな大澤さんがウェブ解析士を取得したきっかけと、今後の事業戦略やビジョンについて伺いました。

(インタビュー・編集:ライター ふじねまゆこ)

ウェブ解析士で、意思決定に必要な視野を得ることができる

本日はよろしくお願いします! はじめに、大澤さんの自己紹介と事業についてお話ください

よろしくお願いします!
私は、2020年10月にFly Edgeという屋号で事業を本格スタートしました。主に、中小企業向けのマーケティングコンサルティングをしています。9月末までは事業会社兼ウェブ広告代理店で、課長やマーケティングマネージャーとして、マーケティング、広告運用、事業運営等を経験しました。

起業は以前から興味を持っていたのでしょうか?

父がインポートブランドを扱うセレクトショップを経営していて、その背中を見ていたこともあって起業には興味がありました。幼い頃、父が夜遅くまでバリバリ仕事に取り組んでいた姿と、自分が成長するにつれて知ったサラリーマンのイメージを比べたとき、自分も父のように、やれることをやりきって、成し得たいことをする人になりたいと思っていました。

前職のご経験はどのようなものでしたか?

前職の会社では、広告代理事業の課長と自社事業のパーソナルジム事業・クリニック事業のマーケティングマネージャーを兼任しておりました。

それは、どんなスピード感を持ってしても、働き通しだったのでは……?

なかなか厳しかったですが、前職のおかげで非常に鍛えられたと思っています。
事業会社と広告代理店の視点を持っているので、偏りなく事業を捉えられるのは大きな強みになっています。広告代理店の視点だけでは目先のKPIばかり目がいってしまいがちですし、事業会社としての視点だけでは、様々な業界におけるウェブマーケティングのベストプラクティスや多様なケースにおける効果の出し方などがわからなかったでしょうから。

広い視野と経験を培われたのですね。
そんななかで、ウェブ解析士を取ろうと思ったきっかけはどこにありましたか?

ウェブ解析士の存在は、前々職に勤務していた2年前くらいに知りました。私がロールモデルにしていたお2人に追いつくために、何が足りないんだろうと思って調べたところ、ウェブ解析士を見つけました。

ロールモデルの1人は、チームリーダーをされていたTさん。メンバーが何か抱えてしまったときや、トラブルが起こったとき、決して動揺せず、的確な指示をする超優秀な先輩でした。私が経験不足で焦ってしまったときも、目の前で「こうすればいいんだよ」とあっという間に片づけてくれて。私もそんなふうになりたくて、Tさんの様子をよく観察してみたら、私が見えていない領域を見ていることに気がついたんです。

めちゃくちゃかっこいい先輩ですね! 

もう1人、ゼネラルマネージャーのHさんもすごくて。社長やお客様に対して曖昧な提案は一切せず、「事業のためには、こうしなければいけない」と、はっきり物を言う姿に衝撃を受けました。Hさんは、チームリーダーとはまた違う目線、経営全体を見据えた事業レイヤーで物事を見ていました。

経営陣と対等に、はっきりと進言できるマネージャーは、会社にとって大きい存在ですね。

私がいずれ、チームリーダー、ゼネラルマネージャー、経営者という立場に立ったときに何が足りないか。それは、レイヤーごとに違う幅広い領域の知識でした。そう考えたときに、ウェブ、マーケティング、経営と幅広い知見を駆使し、ビジネスの成果を出すというウェブ解析士のコンセプトが、私の欲しい知識と合致していると思ったんです。

個人事業主ならではの圧倒的スピード×決断力×柔軟性で、中小企業のウェブ戦略から実務まで一気通貫でサポート

大澤さんの事業を、より深くお伺いしたいです。ホームページではウェブ集客の差別化を売りにされていますが、どういった流れで戦略に落とし込むのでしょうか?

前提として、売上・利益が伸びなくて悩んでいる中小企業の根本的な問題は、PMF(プロダクト・マーケット・フィット)ができていない点にあると考えられます。市場に対して、商品・サービスが受け入れられていない状況を考えたときに、その原因は当然、競合との棲み分けができていない点にあることが多い。そこで、まず自社商品、経営戦略がどういうものなのか、クライアントと共に分析します。

次に、競合と比較して良い部分を探します。価格、機能性、背景のブランドストーリー。複合的な場合もあるでしょう。そこをはっきりさせることで、どの部分を前面に打ち出していくかを決めます。

そこで見つかった良い面に対して、具体的にどのように見せていくのかを考えます。その上で、お客様へ届きやすい媒体や表現を選び、コンテンツを用意します。この3段構えで差別化できると考えています。

大澤さんのウェブサイトでは10社限定で相談を受け付けているそうです

どういった業界、規模のクライアントとお付き合いされていますか?

売上が5,000万から1億円規模の中小企業が多く、業界はバラバラです。大企業はウェブマーケティングの予算が大きいことでできることが多い上に、検証に予算を割くことなどもできるのですが、中小企業の場合、広告予算が決まっていなかったり、経営にダイレクトに影響が出るため、あまりリスクは取れない。たとえ、検証目的であったとしてもシビアに見られます。人的リソースが少なく、マーケティング担当者もいないことが多い。そういった会社に対し、広告費用が高くなくても戦えて、より確度の高いウェブマーケティングを提供します。

確かに、マーケティング担当を単独で位置づける企業は少ない印象がありますね。社長が経営戦略と一緒に考えていたり、営業に任せていたり。

とはいえ、まだまだウェブマーケティングに抵抗感をもつ中小企業は少なくないと思います。
「広告媒体はGoogle広告、Facebook広告がいいらしいけど、結局なにがいいの? 」とか、「とりあえずやってみたけど駄目だった」みたいな話をよく耳にします。手段が目的になってしまい、「やってみたけどだめだったから、やらない」と言って機会損失をするのは非常にもったいない。手段からではなく、戦略、目的をしっかり見定めてから、手段を考えていかないと、基本的に長期的な成功は難しいと考えています。

そこから最終的な着地点として、具体的なプランの設計と実行に移ります。広告出稿、SEOの強化、ブランディング、コンテンツ制作等を展開し、売上利益へどのように直結したか、しっかりフォローします。

現状把握から施策改善まで、一気通貫にサポート

コンテンツ制作まで、大澤さんがされるのでしょうか?

そうですね。難しいものでなければ私が作ります。セールスライティングに、ウェブサイト、動画制作もできます。より完成度の高いコンテンツが必要な場合は、パートナー様と共同で制作にあたります。インフルエンサー、キャスティング、動画制作、システム開発などの優秀なパートナーに声をかけ、クライアント様ごとにオリジナルチームを組んでいます。

柔軟性が高いチームで伴走してもらえるのは、企業にとって心強いですね。

私は仕事のスタンスとして、「Not『お客様』, But『同志』」という理念を掲げています。

多くの人は、「お客様」という言葉によって、発注者と受注者、お客様と業者という上下関係を無意識のうちに意識してしまいがちです。それは、ビジネスとして本質的ではないと思うんです。同志として、同じ目線で、対等な関係で事業をドライブする関係性でありたいという想いを込めています。それは、私のクライアント様、パートナー様に対しても同じです。上下関係の無い、フラットな関係性をもってクライアント様と伴走します。

もう一つ心がけていることは、圧倒的なスピード感です。昨日も、21時に来たライティングの依頼を、朝6時に仕上げて送りました。些細なことかもしれませんが、こうした日々の中でのレスポンスの速さというのは、ガッツリとタッグを組んで仕事をしていく上で非常に重要なポイントだと考えています。

速すぎですね!

特に昨今、ウェブマーケティングの世界で戦おうとすると競争が激しく、プロダクトやサービスは良いのに改善スピードが遅すぎて競合に負けてしまう中小企業様のケースもよくあります。加えて、当然のことですがウェブの世界は変化が激しいですよね。1ヶ月前の知識が役に立たないこともある。スピード感とコミット量は必然的に求められていると考えています。

机上の空論や理想論を並べるだけのコンサルティングではなく、クライアントを深く理解し、対等に向き合い、素早い反応と助言、実務もするというのが私のコンサルスタイルです。逆に、こうした密接な関わり方をさせていただけない、すなわち当方を外注業者であるとしかみなさない会社様とのお仕事は、どんなに高い報酬を提示いただいてもお断りしている状況です。

バイタリティに溢れていますね! 息切れすることはないですか?

個人事業主が法人に負けない売りは、小回り、スピード、柔軟性だと思っています。ここは外しちゃいけない大事なポイントだと思っていますし、前職、前々職で鍛えられたのと、とにかく仕事をすることが大好きなので、息切れはまったく無いですね。

お客様と対等に接し、事業の成果を見据えて伴奏するスタイルは、ロールモデルにされているチームリーダー、ゼネラルマネージャーのお話とリンクしそうですね。

そうですね。2人の存在と前職の経験が、今の私の仕事のスタンスや、クライアントへの向き合い方に活かされています。

独学でウェブ解析士を取得した勉強法

テキストをあらかじめ購入し、触れていたということですが、講座は受けられましたか?

独学です。テキストは通しで5、6周読み返しました。問題集も購入して、何度も解きました。

どれくらい時間をかけましたか? また、どんな勉強法をされましたか?

試験対策としてがっつり取り組んだのは、試験前日だけです。それ以外は、半年間、常にテキストを持ち歩いて、時間があるときに意識して読み込みました。その時は電車通勤で、片道40分かかっていたので、1日1時間20分くらいは捻出できていたはず。昼食や休憩時間にテキストを開いたり。帰宅後は、その日に読んだところの問題を解いていました。途中、ちょっと気が抜けた時期はありましたが、最終的にちゃんと吸収して結果を出せました。

資格取得で変わったことはありましたか?

勉強をはじめて1、2ヶ月経つと、会社で使う言葉が変わったと実感しました。広告運用でいうと、経験則で捉えていたところがデータとロジックで説明しやすくなります。広告以外のデータに視野を広げ、実務に活かすことで徐々に身につきました。今まで見えていなかった側面が見えることで、社内外問わず、報告、提案、改善施策の出し方が変わったことも大きくて。おそらく、1ヶ月あれば実感できると思います。

上長から一目置かれそうですね。

会社員の場合、資格を取るだけで「あの人はウェブ解析士だから」という見られ方をします。私も、ウェブ解析士を取得したのは自分だけだったので「大澤くんはウェブ解析士」と、周りからの見られ方、評価が変わったと感じました。

ウェブ解析士を取ろうかなと迷う方へメッセージをいただけますか。

迷っているなら取らなきゃ損です。私も最初、ウェブ解析士の本が厚くて逃げたくなる気持ちになりました。資格手当はつかないし、勉強が面倒くさくなるときって絶対あると思うんです。でも、この受験料でかなり広範囲のインプットができて、実践を重ねて身につければ受験前とは違うアプローチができるようになる資格です。受けないのはもったいない。私の場合は、守備範囲が広告だけだったところが、ブランディング、事業戦略、データ分析などの知識をもとに、アプローチできる手数が増えました。たとえ試験に合格できなくても、テキストを読み、触れたことは、間違いなく後で役立ちます。

まさに、ウェブ解析士マスターの井水さんにも、この言葉をいただきました! とはいえ、範囲が広くて挫けそうになるかたも、いらっしゃると思うんですよね。

出題範囲を全部覚えなきゃと思うかもしれませんが、私は全部覚えなくていいと思っています。まずは一度、理解することのほうが資格を取る以前に必要だと思っていて。広告代理店の人なら、仕事で広告の話はよくしても、SEO、ブランディング、フレームワークなど、専門分野の外はそれほど触れないですよね。自分の興味に近いものから触れてみて、広い視野で物事を捉えられるようになったことが資格勉強で良かったポイントです。

資格取得よりも理解を。これは、他のウェブ解析士の方々も口を揃えて仰っていて、まさに本質的なことだと思います。

「Not『お客様』, But『同志』」 として、企業、マーケターの理解者でありたい

大澤さんの今後のビジョンを教えてください

まずは、ご支援させていただくクライアント様の数を増やしたいですね。コロナ禍によるパラダイムシフトで、ウェブ集客を前向きに検討されてる中小企業様は多いと思いますし、できる限りそうした会社様のお力になりたいと考えています。もう1つは、まだ構想段階ですが、マーケターがお互いに勉強しながら高められる場を作りたいと考えています。

マーケターって、結構孤独だと思うんです。広告代理店の場合、チームがあったとしても、お客様を一番知っているのは頻繁にやり取りする自分一人になりがちです。周りに相談しようにも、本気で向き合えるのは自分だけになってしまう。これは、インハウスのマーケターと、広告代理店のマーケターの経験から、どちらにしても感じたことです。

特に中小企業の場合、社内でウェブマーケティングの体制が整っておらず、1人に任されているパターンは多いです。仕事の性質と体制の両面で孤独になりやすいので、異業種でお互いに言える範囲のノウハウを共有できる環境があると、マーケター界隈で重宝されると考えています。専門知見が欲しいけれど、代理店へ依頼するには費用感が合わない。孤独な戦いを強いられている方に、手を差し伸べられたらと考えています。

個人としても、会社としても、そういう場があると嬉しいですね。

私が社外CMO、CSOとして参画していると、同業界で良いとされる方法を取り入れる場面はよくあるんです。でも、それだけでは天井があるんじゃないかなと思っています。事業を大きくグロースするには、異業種の事例をいかに自社へ落とし込めるかが重要だと思っています同業者みんなやることをやっていたら抜き出ることができない。だけど、異業種のこととなると環境の違いから耳を塞いでしまう傾向にある。それをチャンスと捉え、他業界、異業種でうまくいく方法を、うまく翻訳・解釈して取り入れられれば、競合他社がやらない抜きん出た差別化ポイントになると思うんですよね。そういう意味でも、他業界・異業種のマーケターが集まる場があるといいと思うんです。

ウェブ解析士協会のイベントでも感じることですが、異業種、他業界の方とのお話で化学反応が起こる場面って多いですもんね。会社を出て情報共有すれば業界全体の底上げにもなる。

たまにクライアント様から、私のことを「ウェブ集客のドクターだね」と言われることがあるんです。健康診断のように現状を俯瞰して、クライアント様が気づいていない点やわからない点をフォローしたり、戦略に落とし込んで改善業務をしたりしているので、多くの会社がやりがちな手段から入ることは一切しません。どういうふうに見せたいのか、クライアント様のお客様に対してどう思ってほしいのかを掘り下げることが先ですね。そういう視点を、企業にも、業界にも提供できたらと思っています。

大澤さんの、今後の展開が楽しみです! 貴重なお話をありがとうございました。

あとがき

世の中のデジタル化が進むなか、企業のマーケ担当だけでなく、マネージャー、経営者も、ウェブ解析士が扱う業務に触れる機会が増えていくと感じます。その中で、第三者の視点を持った大澤さんのようなウェブ解析士の存在は、今後ますます求められていくと思いました。

大澤さんのような、“同志”として共に走る人たちが増え、コミュニティが広がる未来のお話は、とてもワクワクしました。同じように考えているウェブ解析士もいらっしゃるため、コミュニティ同士がつながりあって、1つの大きなスクラムができたらさらに面白くなりそうだなと思いました。

大澤さんのホームページ:
https://fly-edge.com/web-consulting/

Twitter:https://twitter.com/osawa_FlyEdge

facebook:https://www.facebook.com/osawa.FlyEdge