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あなたの「志」を言葉にしてみよう ウェブ解析士マスター、森永 乃武幸さん

「仕事とウェブ解析士」をテーマにお送りするウェブ解析士インタビュー。63人目は、ウェブ解析士マスターとして、ウェブ解析士協会の運営に携わりながら、グロービス経営大学院公認グロービスデジタルマーケティングクラブの代表幹事、エンタープライズ企業のEC事業を推進するなど、幅広い分野でご活躍する森永 乃武幸さん。

ウェブ解析士協会カリキュラム部のウェブ解析士委員会、ウェブ解析士マスター委員会に所属し、協会の根幹に携わる森永さん。「関わる人の閃く(ひらめく)瞬間をデザインする」を志し、学びたい人の知識を活かすために必要なことを模索し続けています。「ウェブ解析士をきっかけに『志』を伝えられるようになってほしい」と話す森永さんの原体験と、組織に資格者が増えるメリットをお話いただきました。

(インタビュー・編集:ウェブ解析士 ふじねまゆこ)

目次

知識を得るだけなら、専門学校に行けばいい

――森永さんは、ウェブ解析士協会の運営に根幹から関わってこられたそうですね?

森永 乃武幸さん(以下、森永さん):根幹って凄い表現ですね(笑)。私自身、やりたいようにやらせて頂いてるだけです。今、ウェブ解析士協会で2つの委員会に属しています。ひとつは、ウェブ解析士委員会で、ウェブ解析士という資格を取得するために必要な範囲を定め、それを表現するためのテキスト執筆、試験問題作成、問題集の作成をします。もうひとつは、ウェブ解析士マスター委員会で、ウェブ解析士マスターになりたい方へのカリキュラム策定と運営および講師活動です。

それぞれの委員会で策定したカリキュラムをもとに各種認定講座が開講され、私をはじめウェブ解析士マスターが講師となって受講生に伝えます。

――なぜ、ウェブ解析士協会へ積極的に参画するのですか?

森永さん:私は自分の志を「関わる人の閃く瞬間をデザインする」と表現しています。志とは、自信が生きる方向性を表現したものと理解していただければいいかと思います。私自身の志が醸成されたのは、以前勤めていたヘアケアメーカーにありました。

そこには、社員が積極的に学ぶ風土がありました。社員の能力開発を惜しまない経営方針をとり、金銭面でハードルが高い資格やセミナーの費用を積極的に支援していました。

――「関わる人の閃く瞬間をデザインする」とはどういうことですか?

森永さん: 「関わる人」とは、少しでも私と接点を持った人と定義しています。「閃く瞬間」を説明する前に、まず、人の能力が開発されていく5つのステップをお伝えします。それは、(1)知らない、(2)知る、(3)わかる、(4)できる、(5)できたという状態です。

人は何かの能力を開発する時に、まず知らないことを知ります。知った知識を理解し分かる状態になります。そして、分かったことを実践できそうだと思う状態になります。実践して成果が上がると「できた」と他者が評価します。

私は、それぞれのステップに転換する瞬間を「閃く瞬間」と定義しています。こういった、知らなかったことを知るという転換、情報として知っていたものを理解するという転換に私自身が関わった時に、自分自身の心が揺れ動いたのを感じたのです。この考え方を軸にして、関わる人の閃く瞬間をデザインしていくことを志として表現するようになりました。

――「閃く瞬間」に触れた原体験はどこにありますか?

森永さん: その原点は、前職でお客様に新商品の使い方をお伝えする中で、「できる」が「できた」になる瞬間を見てきたことにあります。私自身も、デジタルマーケティングの知識がない中でウェブ解析士を知りました。「知る、わかる、できる」の過程で、この資格が「事業の成長を導く資格」である点に惹かれて、前職と協会をつなぐ橋渡し役になったのです。もし、この資格が単純に「データを見る資格」だったら、私は興味を持たなかったでしょうね。

私がグロービス経営大学院で言われたことは、ウェブ解析士の資格にも通じるものがあると思います。「財務三表を見るプロフェッショナルになりたいなら、簿記の専門学校に行ってください。ここは、経営者、リーダー育成の場です」と。私は講座で、「ウェブ解析士は、データを見るプロフェッショナルではなく、『事業の成果を導く人材』ですと言い切っています。

事業の成果を導くことを考えると生産性が上がる

――事業の成果を導く人材とは、具体的にどんなことでしょうか?

森永さん:まず、ウェブ解析士というカリキュラムを学ぶことで、社内外で共通認識をもつことができます。先日、デジタルマーケティングの相談がありました。インフルエンサーを活用し、認知拡大を図り、新商品発売記念のランディングページを作り、申込者へサンプルをプレゼントしました。結果、月間3,000CVの目標をたった3日で達成! メンバー全員で喜びました。

ただ、残りの27日間。そのランディングページはほったらかし……。なにか追加施策を打とうという考えに至らず……。なんかもったいないですよね。

背景には、事業会社側と制作や広告運用などの支援側との認識齟齬があります。そもそも、認知拡大、ランディングページを作るという施策に視点をおくのではなく、コンバージョンという目標を達成することに視点をおくことでもない。インターネットを通して自社やクライアントの事業の売上・利益・消費者の利便性向上という成果を目的におく必要があります。ここで定義した目的を、社内外に共通認識としてもつことが大切です。支援会社も含めて、チーム全体が目的を共有することが、事業の成果を導くための第一歩といえます。

――事業の成果という目的を定めると、生産性が上がるといえるのでしょうか?

森永さん:私は、「生産性とは、『使った時間、費用、活動というインプット』に対する、『得られる売上、利益、時間、消費者の利便性などの価値というアウトプット』の割合」と定義しています。関係者が同じ目的に目を向けていれば、認識をすり合わせる時間、知識差を埋め合わせるための活動へのコストを抑えることができます。スムーズで効率的で、ストレスなくコミュニケーションがとれるというわけです。

また、事業の成果を導くという考え方に基づいて、チームメンバーの行動が変わることもメリットの一つです。例えば、営業メンバーが顧客企業に対して「この商品を買ってください」ではなく、「御社の事業で、お困りごとはありませんか? ウェブ集客の成果はいかがですか? 」と、お客様の本質的な課題をとらえるようになります。これにより、売上、利益、顧客企業の事業課題解決といった、アウトプットとしての成果が得られる可能性が高まります。

デジタルマーケティングや各種ツールの専門用語は、テキストを読めば知ることができます。能力開発というのは、資格取得をするということよりも、学んだプロセスに価値があるのです。

ウェブ解析士の可能性は「多様性」にある

――先日、協会のカリキュラム委員会で「ウェブ解析士ってなんだろう?」をテーマに話し合われたそうですね。答えはどのようなものだったのでしょうか?

森永さん:答えはまとまりませんでした。メンバーの中ではまとまっていて、私だけ違ってました(笑)。だからこそ、ウェブ解析士って良いんだと思う瞬間でもありました。

「ウェブ解析士の知識・体験をどんな人に届けたいと思いますか? 」 という問いに対して、メンバーの多くは、入社3年目のウェブ担当者と意見しました。私は、事業の方向性を意思決定するハイクラスな方も含まれると考えます。「その届けたい人に求めることは何ですか? 」という問いに対して、 用語を知り関係者とコミュニケーションがとれることと意見する方が多数を占めました。私は、用語を知り、コミュニケーションをとれる事のみならず、事業の成果を導こうと考える人だと思います。

こんなふうに、いろいろな角度で意見を述べ合える組織だから強いんでしょうし、社会や消費者のニーズとずれることなく、未来のカリキュラムが創られるんだろうなと実感しました。

https://twitter.com/analogtan/status/1330042963632803849
引用:「ウェブ解析士パーティーin沖縄」登壇時のサチコ上級ウェブ解析士さんのツイート

――最近は業界も、国をも越えて、いろいろな背景を持つ方が協会で活躍されていますね。

森永さん:今、2023年のカリキュラムを策定しているところですが、これは2023年12月まで学べるテキストでなければいけません。ということは、1年後、2年後どうなるかという話をしなくてはいけない。2021年はFacebookが社名を変えましたし、これからはNFTやメタバースといった最新トレンドも把握しておく必要があります。限られた人でこれらを把握するのは現実的ではありません。

多様性を軸として、デジタルに関わる方やデジタルに関わらない特定のプロフェッショナルにも参画いただきます。そうするとカリキュラムの内容が充実し、消費者の学ぶ選択肢が広がります。学ぶ選択肢が広がれば、多くの消費者がウェブ解析士に興味を持ちます。多くの消費者が興味を持つと、多くのウェブ系ツール会社やウェブ解析士マスターが増えます。多くのウェブ系ツール会社やウェブ解析士マスターが増えれば、またカリキュラムの内容が充実し、学ぶ選択肢が増えます。

さまざまなジャンルのプロフェッショナルが、その分野と「ウェブ解析」と絡めた各種セミナー、講座、カリキュラムづくりで共有したら、ものすごい集合知になりますね。なので、ウェブ解析の可能性は、多様性にあると考えています。

――これまでのインタビューでも感じるところです。可能性にワクワクしますね。

森永さん:そう、みんな「いろんな人と出会えて楽しいじゃないですか!」と、事業の成果とか利便性とかいろいろすっ飛ばして、気持ちよく言ってて、私は共感しています。このコミュニティの、ものすごい強みだと思いますね。

学びを促進するのではなく、学びたいを創る環境づくりを

「ウェブ解析士協会×Sprobe.Inc」ウェブ生存戦略セミナーinセブ島での登壇

――森永さんの講座を受講される方は、どのような方が多いですか?

森永さん:コロナ禍の影響か、兼業・複業目的で受講される方が多くなってきた印象です。テレワークの普及で、本業と並行してオンラインセミナーを受けやすくなった背景もあるでしょう。また、受講理由を聞くと、みなさんお仕事でいろいろな課題を抱えています。

上司部下、関係者が思うように動いてくれない。施策として何をすればいいのか組み立てられない。なかには、事業会社側の方で「デジタル支援側のアドバイスは、的がずれている」と、おっしゃった方もいました。

私は、そのとき「あなたの持っている的は正しいですか?」と質問しました。支援側は違う的を狙っている可能性があります。支援側と自分の見ている方向が違うから、的が外れてしまう。そんな会話があり、「あ、自分が学ぼう」と、霧が晴れたような顔をしていましたね。

――会社から「この資格を取りなさい」と言われるよりも、ずっと説得力がありますね。

森永さん:私は受講者の方に「資格取得が目的なら私の講座は合わない」と伝えています。資格所得を目標としたプロセスで得られた学びを実践で活かさなければ、本業であれ兼業であれ、ご自身の生活は豊かになりません。資格取得は手段であって、目的は事業の成果を導くことです。この「事業の成果を導く」ことを、具体的に対象事業を定めたうえで、ご自身の言葉にしてほしいと思っています。

あなたのお仕事は何ですか? そのお仕事で何を実現し、どんな価値を誰に届けていますか? 会社員であっても、この意識をもつことで、会社に求められたことをこなすという考え方から、ご自身の生き方の方向性をご自身で導くことで人生が豊かになると考えています。実際の講座では、ウェブ解析士、上級ウェブ解析士、ウェブ解析士マスターそれぞれの資格種別にあわせた事業環境分析、戦略的ターゲット設定、成長機会の発見、施策展開などに落としこみます。

課題があることすら気づかずに、このままでいいと思っている人たちのほうがずっと多いです。さらに、「志」を自分の言葉で語れる人はごく少数です。あなたの「志」に、ご自身の能力開発の機会を創出し、あなたの事業に成果を導くことが本質だと考えています。

あとがき

どのような立場であれ、事業と求められる成果を言葉にするには自分自身としっかり向き合わなければできません。「ここで求められる成果は何だっけ?」と思ったときが学びのチャンス。ウェブ解析士協会で活躍する方々から知識を得て実践し、自分で狙った的が正しかったのか確認してみましょう。多様性が生み出すワクワクを感じたインタビューでした。

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