ブランドアイデンティティが伝わるSNS運用に必要なこと 上級SNSマネージャー 相澤 詩香(あいざわ うたか)さん

「仕事とデジタルマーケティングと資格」をテーマに、ウェブ解析士協会会員の働き方を深堀りするインタビュー。80人目は、上級SNSマネージャー 相澤 詩香(あいざわ うたか)さん。ラグジュアリーブランド向けのマーケティング支援に加え、一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会の講師として活躍する相澤さんは、事業や商品サービスの価値を伝えるスペシャリストです。ブランディングのプロである相澤さんが、上級SNSマネージャー取得によって痛感したことをお伺いしました。

(インタビュー:チーフSNSマネージャー 毛利 美佳、編集:ウェブ解析士 ふじねまゆこ)

目次

SNS運用の正しい戦略と有効な戦術を学べた

――うた香さんはご自身の事業でどのような支援を得意とされているのでしょうか?

相澤 詩香さん(以下、うた香さん): 私は約20年ほど、富裕層向けの高級スポーツカーやクルーザーといったラグジュアリー業界でマーケティングおよびブランドマネジメントを経験しました。その経験を生かした唯一無二のブランディング戦略の支援をしています。

――SNSとブランディングは切り離せない分野ですが、なぜSNSマネージャーに興味を持たれたのでしょうか?

うた香さん:私が主催するブランディング講座の受講生からSNSマネージャー講座の存在を聞いたのがきっかけです。SNSとブランディングは親和性が非常に高い分野ですが、意外と接点が少なかったのです。その受講生におすすめされ、資格に挑戦しました。

――実際に講座を受けてみていかがでしたか。

うた香さん: 感覚でSNS運用していたことを痛感しました。これではいけないと危機感を覚えましたし、プライベートとビジネスのSNS運用の大きな違いにあらためて気づかせていただきました。

もっと深掘りしたい思いから、すぐに上級SNSマネージャー認定講座に申し込みました。知識だけでなく実行できることを目指し、私のブランディング講座の受講生にも伝えられるようになりたかったのです。

うた香さんの講義の様子。受講生の体験に重きを置いた講座スタイルだそう。

――資格取得後、SNSマネージャーの資格や知識をどのように活用されていますか。

うた香さん:まず、誰かの感覚や成功事例に基づくアドバイスではなくて、根拠をもって説明できる点で非常に説得力が深まったと感じています。

今、学生からビジネスパーソン、現役引退後のシニア世代も含めて、SNSに触れない方の方が少ないんじゃないかなと思うほど、日常にSNSが浸透していると思います。特にブランディングでは、SNSの印象がその企業・商品サービスのイメージを左右するほど切り離せない存在ですよね。

それを、プライベートのリテラシーで運用するのはあまりにも危険だったと反省しました。炎上やトラブルの経験はありませんが、たまたま運がよかっただけです。誰でも始められるSNSだからこそ、正しいマナーや運用方法は知っておくべきでした。

企業の理念を告知しお客様と相互コミュニケーションを取るために、正しい戦略と有効な戦術を得られる資格が、SNSマネージャーではないかと思います。それらにより、商品・サービスに関わる全ての人たちと共通認識・共通言語を持って運用できるようになったと思います。

SNS運用における「ペルソナ」の考え方

――うた香さんはウェブ解析士協会のコミュニティでも活動されていると伺いました。具体的にどのような活動をされていますか?

うた香さん: 一部の方々に向けて、ブランディング入門講座を開催しました。ブランド・マネージャー認定協会所属のトレーナーもSNSマネージャー認定講座に興味を持ちつつあり、デジタルとブランディングの橋渡しができたのではないかと感じています。

また、ウェブ解析士公式テキストで、ペルソナに関するコラムを執筆しました。業界の錚々たるメンバーのなかで恐縮でしたが、貴重な経験を楽しみました。

――具体的に、どのような内容だったのでしょうか。

うた香さん:ペルソナ設定は、多くの方が「正しい理想の人物像」を設定しがちだと思います。正しさも大事ですが、人を熱狂させたり、感動させたり、ファンになったりするのは、正しさや理屈ではないものが要因になると思うんですね。

例えば、高級スポーツカーは性能の高さや造形の美しさで人々を魅了する一方、燃費や利便性の観点では日常で適さない場面がある製品かもしれません。ここで、正しくペルソナを作ると、「大手IT企業の取締役で、車にステータスシンボルとなるブランドイメージを求める」といった、平均的な表現で設定してしまいがちです。

「正解」はもちろん重要です。それを踏まえた上で人を感動させるドラマを生み出せるかどうかは、正解から一歩踏み込んだ先にあると考えられます。人間の欲求に抗えない「さが」をもとに、生成AIが作れないようなペルソナを創造するのもひとつあるのではないかという思いをコラムにまとめました。

――ペルソナ設定はSNS運用でも非常に悩むところですね。どのような戦略で何を配信すべきか、私自身も頭を悩ませることが多いです。

うた香さん: 理念とペルソナ設定が、戦略の鍵と言っても過言ではありません。この点は、ウェブ解析士、SNSマネージャー、ブランド・マネージャーが扱う分野のなかで重複する部分だと思います。

「念い(おもい)消費」において、SNSはフラットな価値交換の場になる

――うた香さんの今後の展望について教えてください。

うた香さん:マーケティングにおける価値は、問題を解決する機能的価値と、人の心を満足させる情緒的価値に分けられます。これまで私は情緒的価値の構築を主に支援してきました。この経験を活かしてオンリーワン、唯一無二の価値を体系的に構築できるプログラムを作りたいと考えています。

ひと昔まえに、「モノ消費からコト消費へ」という言葉が注目されたのをご存知でしょうか。現在はさらに進化し、「念い消費(おもいしょうひ)」が重視される時代になりつつあると感じています。

「この企業の理念が好き」とか、「この考え方を応援したい、支援したい」という考え方は、クラウドファンディングが浸透した背景からもうかがえる傾向です。今後は、念い(おもい)・理念を提供する場がSNSになると思います。そこで、縦横の関係にとらわれないフラットな価値交換の場を作っていけたらと考えています。

――最後に、SNSマネージャーの受講を検討されている方に向けてメッセージをお願いいたします。

うた香さん: まずは、一度受けてみるのをおすすめします。SNSマネージャーは1日で講座と資格試験を受けられますし、試験も講座内容を聞いていれば合格できるでしょう。まず入口の扉を叩いてみるのが重要じゃないかと思います。

おかげさまで、私も新しい出会いに恵まれ、大きく人生が変わりました。ぜひチャンスだと思いますので、まずは受講されてみるのをおすすめします。

あとがき

モノや情報があふれ、単に「機能が良い」「有益である」だけでは売れない時代に、ブランディングを通じて唯一無二の価値を見出す相澤さん。その価値を伝える手段としてSNSがいかに鍵となるのか、そして感覚ではなく根拠に基づく運用が重要であることについて思い知らされたインタビューでした。

企業のSNSアカウントを運用される方にとっては大きな気づきになったのではないでしょうか。相澤さんのようにSNSマネージャーを取得し、知識を実践に活かして活躍される方が増えることを今後ますます期待します!(毛利)

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