eMetrics Summit in Sunfrancisco 2014行ってきました(前編)

自己紹介

ウェブ解析士協会代表理事江尻です。2000年に株式会社環を創業して以来、ずっとウェブ解析を軸にしたコンサルティングとウェブ解析ツールを提供しています。その頃からのノウハウをもとにウェブ解析士のカリキュラムを立ち上げ、現在その創業者であり代表理事として活動しています。ウェブ解析と食べるのが大好きです。

今回、2014年Sunfranciscoで開催したeMetrics summitに参加してきました。そのとき見たこと感じたことを伝えます。

 

サンフランシスコ初上陸

実はアメリカ本土初上陸でして、かなりビビってました入国審査で質問答えられなくて追い返されたらどうしようと真剣に心配しました。でも審査官に何しに来たか聞かれて

“ I’m going to eMetics summit.”

“ How about eMetrics summit?”

“ It’s summit about web analytics. Do you know web analytics?”

と言ったら、それ以上何も聞かれず通してくれました。

こいつは使える!と思いました。強盗とかに使ってみようとは思いませんが。

食べるのが好きなのでエジプト料理とかカレーとか蕎麦とか色々食べました。蕎麦以外どれもおいしいですがたいてい量が日本の倍あります。ヘルシーだろうと思ってベジタブル系か注文すると、お米がガッツリ入ってたり、マヨネーズ系ドレッシングでペタペタになってたりするので油断できません。写真はカニですが、ガーリックオイルで焼いてるんですね。うまい!でもfattyですね。

お店:Crustacean

結局、サンフランシスコは異国の人が多いので、食って寝るだけなら皆さん優しくて困りません。とてもすごしやすいと思いました。

eMetrics summit in Sunfranciscoとは

eMetrics summit は2002年にSanta Barbaraで始まったウェブ解析(向こうではウェブにこだわらない意味でDigital Analytifcsという)に関する最大のイベントです。DAA(Dejital Analytics Association) の創設者でもあるJim Sterne氏が主体となって活動しています。様々なウェブ解析やWebマーケティングのツールベンダーやSEOのコンサルティング会社がスポンサーとなって毎年支援しています。

まず、驚いたのは会費で1日セミナーどれでも参加できるパスで$1000。3日間フルで参加できるのが$3200でした。アメリカでもAdtechなどと比べても高い方に入るイベントのようです。でも、規模が小さいので費用が高めになるのは仕方が無いとも思います。そして、会費が高いということは、それだけ真剣な人が集まる場所。ネットワーキングをする価値のある人があつまるということもあります。

日本人も何人かお会いしました。あ、ご無沙汰してます!なこともありました。あと、意外にアメリカ以外の方も多かったです。インドや中国から熱心に学びに来ている方もいました。異国の人との話も楽しかったですね。

全会場ではスタバのコーヒーが飲み放題で朝食もランチも出てきて、最終日には小さなパーティーみたいなのもあって、こんなにランチやディナーが充実しているのも米国でも珍しいようですね。ただでさえ食べ過ぎな私にとって大変悩ましい状態でした。

セミナーは英語力のとぼしい私には、正直分かるものと最後まで何を話してたか分からないものまで様々でした。プレゼン資料で字があると追いかけられますが、プレゼン資料の字が小さかったり、スピーチがちょっとクセがあると、もう分かりませんでした。とくにパネルディスカッションは難儀しました。分かったら面白いのだろうけど、プレゼン資料もないし、掛け合いで話がながれていくので、いったい何を話してたかテーマすら分からないということもありました。その中でも学べたものをいくつかご紹介します。

0.You,1.Business,2.Data

Avinash Kaushik氏のキーノートスピーチ。

衣袋さんが翻訳した「Webアナリスト養成講座」の原作者でもありますね。

Avinash Kaushik氏はよくキーノートに登壇するそうですが今回の内容も、とても好評だったようです。話していた内容はいくつかありますが、まず事業の成果(Business)につなげることが大事であること。解析やデータ分析(Data)は手段であり、そこにこだわらないこと。何より自分(You)が大事であることを伝えていました。それをウェブアナリストは皆さん優先順位を

0.Data,1.Business,2.You

としてしまいがちですが、本当は

0.You,1.Business,2.Data

しなければいけないということを伝えていました。

これはウェブ解析士でも会社で作ってきたツールでもすごく大事にしてきたことです。
「なんだ、アメリカでも日本でも本当に解析してる人が考えてることは一緒じゃん!なんて思いました。ただ、同行者はインド風のイントネーションがあって理解しにくかったと。TOEIC満点経験のある彼が分からないのですが、僕には伝わってました。

彼はeMetrics summitで一番熱意がある、エネルギッシュなプレゼンをしてました。私はその彼の熱意で色々感じてしまったのかもしれませんね。

彼は、いままでのデータを表現する方法は分かりにくい。これからはビジュアライゼーションだ!と説明していました。

つまり、去年はダッシュボードレポートなどに代表されるようなシンプルなグラフや表がいいと説明したのですが、このような従来のグラフや表による表現をさらに進化させて、もっとよい表現方法を追求しようということ。その表現方法をビジュアライゼーションといってました。紹介していたグラフはどれもイラストに近いもので、日輪型のグラフや日本ではインフォグラフィックスと表現されそうな図やサインを使ったグラフなどイラスト的にも伝える高度な表現方法を紹介していました。

私個人としては、あまり活用できるイメージがわきませんでした。雰囲気的なものを伝えるのにグラフを使うなら、このような高度なグラフはいいかもしれませんが、メッセージと1対1でひも付けるメッセージ性の強いグラフや表としては直感的ではないと感じました。

彼のキーノートスピーチ、ウェブ解析は事業に貢献しなければ意味が無いという本質、そのために伝わる表現をしなければいけないという大原則は日米問わず重要であるということを再認識するものでした。

ブースで営業受けまくってきました

今回私と同行者は3日中2日はeMetrics summitの一番安いKeynote以外のセミナーに参加できないSocial networking Passで参加しました。しっかり有償のセミナーまで聞いたのは1日だけでしたが、セミナーを聴くかわりに出展していたブースをまわって説明を聞きました。このブースでの営業トークが意外に勉強になりました。セミナーでは皆さんアメリカンスタンダードで一方的に説明するので聞き取れないとおしまいですが、出展している方は皆さん製品を販売するために来てるので「日本人で英語良くわかんないけど、これなに?」って聞くと懇切丁寧に教えてくださいます。

出展者は3種類いました。

  1. ウェブマーケティングソリューション

  2. データ分析ソリューション

  3. コンサルティング

少し意外だったのはeMetrics Summit参加者には2.のデータ分析ソリューションがあまり人気無かったように見えた点です。A/Bテストツールやタグマネージメントツールの人気振りと比べても意外でした。SEOの業者さんや、インドに拠点があって、データ分析を安く速く効率的にやれるよ!というような受託系の会社さんもありました。米国ではWebアナリストの役割とデータサイエンティストの役割には明確な区別があるのかもしれません。

名刺も渡してきたので営業メールもたくさん来ました。米国は直球でいいですね。一発目から「アポイント打診」みたいなメールが届く直球ぶりです。中には「Re:XXXX」なんてメールが一発目に届いてました。Reってまだメールしてないよ!とあまりいい気持ちしませんでしたが、開封率は上がりそうですよね。

タグマネージメントツールが「タグ」を超えてきている

展示会場でもっとも隆盛だったのは、やはりタグマネージメントツールでした。Adobe Analyticsのタグをチューニングする会社や、オリジナルのタグマネージメントツールを提供する会社など、様々でした。

意外だったのはGoogle Tag Manegerはそれほど人気ではなかった点です。日本では圧倒的なシェアをGTMがもっていますが、アメリカではTEALIUMがもっとも使われているタグマネージメントツールでした。操作方法を見ましたが、驚くほど簡単です。ユーザを行動履歴などでセグメントして「バッチ」を付け、その「バッチ」のユーザに何をするかソリューションを選ぶだけ。リマーケティング広告やサイトの表示を切り替えるLPOツールと連携してもいいし、メールを送るソリューションとつなげてもいいのです。

つまり、マーケティングオートメーションとウェブ解析の機能を内包してとっても使いやすくした感じでした。

TEALIUMでできることの大半は、日本で圧倒的シェアを誇るGTMでももちろんできますが、JavaScriptの知識が必要です。TEALIUMは誰でも使える印象でした。これからアドテクノロジーが進化していくと、タグマネージメントツールは必要ですし、そもそもマネージメントしてるのは「タグ」なのか?とすら思いました。

今後タグマネージメントツールを導入すると、アクセス解析いらないんじゃないの?と思いました。

つまり、タグマネージメントツールはウェブ解析もアドテクノのロジーもサイトの最適化も飲み込んで、マーケティングマネージメントツールとなりつつあると感じました。

後半「eMetrics Summit in Sunfrancisco 2014行ってきました(後編)」へ

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