アクセス解析の指標の計算をマスターする、3つの考え方

アクセス解析の理解を深める3つの考え方

こんにちは!上級ウェブ解析士の森と申します。東京は新宿区高田馬場で、大人向けの数学教室「大人塾」を運営しています。アジアゾウ🐘が大好きです。

先日、「ウェブ解析士に興味があるのだけど、数学が苦手だから、資格取得に躊躇してしまう」というお悩み相談を受けました。そこで今回はアクセス解析の理解を深める3つの考え方についてお伝えいたします。

目次

計算式をすっ飛ばしたアクセス解析は “もったいない”

数学教室の運営という立場もありますが、「数字が苦手」「計算問題は公式を覚えるのがしんどい」という声は珍しくなく、実はよく聞きます。あるいは、現役のウェブ解析士の方からも「認定試験の計算のところは、気合と丸暗記で乗り切った」なんて声も……。

でも、計算を飛ばして学習するなんて、もったいない!

数学の苦手を克服すれば、ウェブ解析士の可能性をもっと伸ばすことができます!

数学教室を運営する者として、1人でも多くの方に「アクセス解析での計算を楽しいと思ってほしい!」「その意味を理解して実務にもっと役立ててほしい!」という使命感から、今回は「アクセス解析で使う計算」の理解を深める、はじめの一歩をまとめました🐘。

計算式を作るのは人間の仕事

「何を何で割るのか」「どれをかけるのか」「いつかけるのか」「全部覚えなくちゃいけないのか」などなど計算式を作るのに悩みは尽きません。

計算は解析ツールやExcel、手元の電卓がしてくれますが、計算式を作るのは基本的には人間の仕事。

何を求めたいのかを把握し、計算の構造を理解すれば、公式は覚えなくても計算式を作れるようになります。また、式にもとづいた指標の理解を深めれば、提案の説得力もアップすること間違いありません。「大きい方が良いのはどの指標だっけ…」など悩むこともなくなります🐘。

つまり、この記事はこのような方におススメです。

  • アクセス解析で使う計算式を苦手としている
  • 計算に対する苦手意識を減らして業務に活かしたい

また、ウェブ解析士を目指しているけれど「数字が苦手だな」という方にも役立つはずなので、そういう方が身近にいらっしゃれば、ぜひご活用ください。🐘🐘🐘

アクセス解析の理解が深まる3つの計算の考え方

指標と3つの計算の考え方

数学教室「大人塾」で教える中で、数学に苦手意識を持っている多くの方は「分数」でつまづいていることがわかっています。一方、アクセス解析の指標のほとんどは分数の形で考えると理解が深まります。

ここではアクセス解析の理解を深めるために、分数の形で考えてみましょう。

  1. 割合 
  2. 単位あたりの量 
  3. 効果 

これら3つの考え方をあらためて確認しながら、それぞれを解説していきます🐘。

(1)割合を求める

指標と3つの計算方法の考え方(1)割合を求める

新規セッション率、直帰率、離脱率のように「率」「Rate」「%」がつく指標は「割合」の考え方で計算します。

ウェブサイトの訪問者全体に対して、どれだけの人がご新規さんなのか、さっさと帰ってしまった人なのか、少しだけ見て帰った人なのか、など、なにかと比べるのが「割合で求める指標」です。

もとになる量である分母の数値に対して、比べられる量である分子の数値がどれだけにあたるのかを求めます。

比べられる量/もとになる量=割合

この形をマスターしましょう。分数の形にすると、理解が深まります🐘。

割合の考え方で計算する指標

アクセス解析で出てくる指標をいくつか確認しましょう。
割合の形で考えると意味が理解しやすくなるものがありますね。

割合の考え方で計算する指標(1)
割合の考え方で計算する指標(2)

(計算は分子÷分母)最後に100をかけるのは、単位をパーセント(%)にするためです。
何に(=もとになる量:分母)対して、何を(=比べられる量:分子)比較しているのか、分数の形にすれば一目瞭然です。

(2)単位あたりの量を求める

指標と3つの計算方法の考え方(2)単位あたりの量を求める

CPM(Cost per Mille)など、「P(per)」がつく指標は「単位あたりの量」の考え方で捉えます。

「単位あたり」というと難しそうに聞こえますが、要は「基準になる単位の数で割ること」です。例えば、飲み会の費用を割り勘にするときの基準=単位は「人数」です。「1人あたりいくらですか?」となると、飲み会の総費用を人数で割りますね。これが「単位あたりの量」です。

1あたりの考え方で計算する指標

アクセス解析で出てくる指標をいくつか確認しましょう。
単位あたりの量で考えると、この指標はそういう意味だったのか!という指標が増えます🐘。

1あたりの考え方で計算する指標(1)

CPC(Cost per Click)は「1クリックあたりの広告掲載費用」を示します。

例えば、「商品Aの広告費が10万円、商品Bの広告費が20万円」のときに「商品Bのほうが広告費が高いなあ」と、ただ費用を比較するのではなく、「1クリックあたり(CPC)」などと単位を揃えることで、比較が的確になり、もっと広告費用をかけた方がいい商品などの判断につながります。

1あたりの考え方で計算する指標(2)

CPM(Cost per Mille)の場合は、「広告掲載費用が1000インプレッションあたりどれだけか」を測る指標です。2つの広告のCPMを比べたとき、値が大きいほうが「1000インプレッションに対して、こちらのほうが広告掲載費用がかかっているなあ」と考えます。

数字は大きい方が良い?小さい方が良い?

数字は大きい方が良い?小さい方法が良い?

単位あたりの指標の値の大小とその良し悪しは、単純です。「売上」などの大きい方がいい値を考えるときは、大きい値を「良し」とし、「費用」などの小さい方がいい値を考えるときは、小さい値を「良し」とします(一部の例外を除く)。

つまり、「この指標は値が大きい方がよい」などと指標ごとに暗記するのではなく、「どのような性質の値が入っているか」を考えるようにしましょう🐘。

(3)効果を測る

指標と3つの計算方法の考え方(3)効果を測る

3番目の「効果」は「○○に対する△△」です。例えば「費用対効果=費用に対してどれだけ効果があるのか」や「投資利益率(ROI)=投資に対してどのくらい利益があるのか」などです。英語では「ON」がつく指標がこれにあたります。

「○○に対して、」は考え方(1)の「割合」でも出てきたように、もとになる量として考えられます。

よって、費用対効果は…効果/費用と表せます。

効果を測る考え方で計算する指標(1)

「費用に対して効果はどれだけ?」の場合は、効果の大きさを知りたいので、値が大きい方が「良し」と判断されます。

まとめ

これら3つの考え方を意識することで、アクセス解析で使う指標とその計算が何を示しているかの理解が深まります。業務で活かせる機会も増えるはずです🐘!

記事の中で紹介したスライドも含めた「ウェブサイト解析に必要な指標と計算」をまとめた動画を作成しましたのでご覧になってみてくださいね。

今回の内容でまだ不安を感じている方へ

今回の内容でも不安を感じたという方は、分数、一元一次方程式、割合の基本などから学習し直すと良いかもしれません。分数の計算などをすっかり忘れてしまった!という方は、無料で計算の仕方を学習できるサイトをご用意していますのでご利用ください!

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アクセス解析の理解を深める3つの考え方

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この記事を書いた人

大人のための数学教室「大人塾」、パソコン教室「パソカレッジ」を運営するマミオン有限会社代表。管理職試験や正社員登用試験対策、ビジネスコースなどさまざまな数学&エクセルを学ぶコースを提供しています。アジアゾウが大好き。推しゾウは市原ぞうの国のりり香さん。

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