オウンドメディアに関する指標をマスターして、自社サイトを解析してみよう

こんにちは、ウェブ解析士協会代表理事の江尻です。

ウェブ解析を初めて学ぶ皆さま向けに、ウェブ解析で使用する「指標」についてお伝えします。前回の「ウェブ解析で扱う基本的な指標の考え方や用語」も合わせてご確認ください。わかりにくいところがあれば、ぜひSNSなどでお気軽にご質問ください。

ウェブ解析で扱う指標には様々なものがありますが、「オウンドメディア」「広告」「ソーシャルメディア」「ビジネス」の4つの分野で特徴的な指標があります。

今回は、「オウンドメディア」の指標をご紹介します。「オウンドメディア」とは、自社が運営するウェブサイトのことを指します。オウンドメディアの指標は、主にアクセス解析ツールを使って調べます。代表的なアクセス解析ツールと言えば、Google アナリティクスですね。そこで使われている指標を見比べてみてください。

Google アナリティクスの画面

Google アナリティクスの画面

目次

ページビュー数

「ページビュー数」とは、「ページをビュー(=眺める、見る)した数」という言葉のとおり、ページの閲覧(ページビュー)をカウントした値を指します。

もっともシンプルなカウント方法で、解析ツールの種類や閲覧環境の影響を比較的受けにくいため、測定方法・計算方法などによるズレがもっとも少ない指標です。また、ページビュー数はページのボリュームにも比例するため、ページが多いポータルサイトなどは必然的にページビュー数が多くなります。

そのような背景によって、ページビュー数はサイトの規模を示す指標として用いられます。たとえば、大手ポータルサイトでは月間のページビュー数が数十億~数百億にもなりますが、この数字を見るだけでも、規模感がわかるのではないでしょうか。また、広告を出稿する際に媒体(広告を掲載するページやサイト)の集客力を表す指標としても活用されています。

セッション数

「セッション」とは、ウェブサイトにアクセスしたユーザーが、サイト内を閲覧し、離脱するまでの一連の行動を指します。「セッション数」とはその数をカウントしたもので、「訪問数」「ビジット数」「訪問回数」とも言います。

セッション数は、実際の行動とウェブサイトにおける計測が一致しないことが多い点に注意してください。たとえば、一定時間(ほとんどのツールにおいては30分間)ウェブサーバーにリクエストがないと、セッションが終了したと判断されます。この「一定時間」はツールによって変更することができ、たとえば Adobe Analytics ではバーチャルレポートスイート機能を利用することでセッションの定義を変更し、分析しなおすことも可能です。

新規セッション率

「新規セッション率」とは、全セッション数のうち、初めて訪問したユーザーのセッション数の割合を指します。計測期間以前に訪問したユーザーによるセッション(訪問)はリピーターのセッション(訪問)と判断されるため、新規セッション率は測定する期間によって変わります。

新規セッション率(%)=(新規ユーザーのセッション数 ÷ 全セッション数)× 100

ユニークページビュー数

「ユニークページビュー数」とは、同一セッション内で同一ページを複数回見ても、重複してカウントしないページビュー数を指します。「ページ別セッション数」「ページ別訪問数」とも呼ばれます。

例えば、同一セッションで【ページA→ページB→ページA】と見た場合、ページAのページビュー数は2ですが、ユニークページビュー数は1です。

セッション数はサイト全体の合計と合わせるため、一般的に最初に見たページに割り振られますが、ユニークページビュー数はページごとに一度訪問したら割り振られますので、セッション数より多くなります。

ユーザー数

「ユーザー数」とは、一定期間にウェブサイトを訪れたユーザーの数を指します。「訪問者数」「ビジター数」「ユニークユーザー数」とも呼ばれます。解析ツールによって、ユーザーの判別方法が異なります。

例えば、あるユーザーがある期間のうちに2回サイトに訪問した場合、セッション数は2ですが、ユーザー数は1となります。つまり下の図で言えば、ページビュー数は6、セッション数は2、ユーザー数は1となります。

「ユーザー」という言葉からウェブサイトにアクセスした人数ととらえてしまいがちですが、人ではなくブラウザー単位で測定します。そのため「ユニークブラウザー」ということもあります。

実際の人数に近づける方法はウェブ解析士のテキストに記載していますが、また別途、ご紹介の機会があればと思います。

新規ユーザー率・リピーター率

「新規ユーザー率」とは、全ユーザーに占める新規ユーザー(New Visitor)の割合を指し、「リピーター率」とは、全ユーザーに占める再訪問によるユーザー(Returning Visitor・リピートユーザー)の割合を指します。原則、新規ユーザー率とリピーター率を合わせると、100%になります。

この「新規ユーザー率」と「リピーター率」は解析ツールによって判断が異なるので注意が必要ですし、ネットショップ支援サービスなどでも、アクセス解析ツールとは異なる方法で新規購入者とリピート購入者の情報を取得していることがあります。同じ「新規/リピート」という言葉を使っていても意味が異なりますので、混同に注意し、仕様を確認するようにしましょう。

直帰率

「直帰」とは、サイトの入口となった1つのページ(ランディングページ)だけを見て、他のページへ移動せずにサイトから離脱(ブラウザーを閉じる、または、他のサイトに移動)した行動を指します。英語では Bounce と言われるように「1ページだけを見てはね返った」という状態です。直帰数はそのセッション数、直帰率はその割合です。

サイト全体の直帰率は、全体のセッション数のうち、直帰した数の割合で求められます。

サイト全体の直帰率(%)=(直帰数 ÷ セッション数)× 100

ページごとの直帰率は、該当ページがランディングページだった場合のセッション数(閲覧開始数)のうち、そのページで直帰した数の割合で求められます。該当ページの閲覧が含まれるセッション数ではない点に注意してください。

ページごとの直帰率(%)=(ページで直帰した数 ÷ 閲覧開始数)× 100

離脱率

「離脱」とは、ウェブサイト外への移動やブラウザーを閉じるなど、サイトを離脱する行動やセッションが切れる行動を指します。つまり、直帰は離脱に含まれます。

離脱数は一般的にページごとに判断し、該当ページを最後に離脱したページビュー数を指します。離脱率は、該当ページにおけるページビュー数と離脱数の割合です。ページビュー数単位で計算することに注意してください。

離脱率(%)=(離脱したページビュー数 ÷ ページビュー数)× 100

離脱率の高いページが、最終的に見せたいページ(資料請求完了ページなど)ならば問題ないと考えられますが、本来離脱してほしくないページの離脱率が高い場合、サイト内の動線を見直し、改善する必要があります。

例えばページAについて、ユーザー数が10、セッション数が15、ページビュー数が20、離脱数が18であった場合、ページAの離脱率は90%となります。

平均ページ滞在時間・平均セッション時間

「滞在時間」とは、計測対象(ページやウェブサイトなど)をユーザーがどのくらいの時間見ていたかを指します。滞在時間には「平均ページ滞在時間」と「平均サイト滞在時間」があります。

「平均ページ滞在時間」とは、該当ページに滞在した時間の平均を指すことから、英語では「Avg. Time on Page」と表現されています。「平均サイト滞在時間」とは、サイト内に滞在したセッション時間の平均を指すことから、英語では「Avg. Session Duration」と表現され、「平均セッション時間」とも呼ばれます。

ページ / セッション

「ページ / セッション」とはまさに、1回の訪問(セッション)あたりのページビュー数を指します。「ページ・パー・セッション」と読みます。一般的に、ウェブサイトに訪れたユーザーの興味関心度合いを表す指標として使われ、「訪問別ページ数」「平均ページビュー数」とも呼ばれます。

ページ / セッション = ページビュー数 ÷ セッション数

以下の画像のように、3回のセッションがあったとします。

セッションAでは4ページ、セッションBでは3ページ、セッションCでは1ページだけ閲覧されました。この場合、

ページビュー数 ( 4+3+1 ) ÷ セッション数 3 = 2.66

となるため、この場合の「ページ / セッション」は 2.66 となります。

コンバージョン数

「コンバージョン」とは「転換」を意味する言葉ですが、ウェブ解析ではウェブサイト運営の目的(たとえば商品の販売や見込み客の獲得など)を達成する、ユーザーがとる特定のアクション(たとえば商品の注文や資料請求など)を指します。その数がコンバージョン数です。

コンバージョンはウェブサイトの目的によって異なりますので、ユーザーのどんなアクションが目的を達成したと言えるのか、定義しておく必要があります。

コンバージョン率

一般的に「コンバージョン率」とは、ウェブサイト全体のセッション数のうち、コンバージョンを達成した数の割合を指します。「転換率」や、Conversion Rate を略して「CVR」とも言います。

ウェブサイトに100件の訪問があり、そのうち10件がコンバージョンした場合、コンバージョン率は10%となります。コンバージョン率は以下の計算式で算出できます。

コンバージョン率(%)= コンバージョン数 ÷ セッション数

例えばECサイトにおいて、商品の注文数を商品紹介ページを閲覧したセッション数で割ると、紹介ページのコンバージョン率を算出できます。

まとめ

以上、オウンドメディアに関する指標についてご説明しました。

ページビュー数
ページの閲覧(ページビュー)をカウントした値のこと。サイトの規模を示す指標として用いられることが多い。

セッション数
ウェブサイトにアクセスしたユーザーが、サイト内を閲覧し、離脱するまでの一連の行動の数をカウントしたもので、「訪問数」「ビジット数」「訪問回数」とも。

新規セッション率
全セッション数のうち、初めて訪問したユーザーのセッション数の割合のこと。測定する期間によって変わるため注意が必要。

ユニークページビュー数
同一セッション内で同一ページを複数回見ても、重複してカウントしないページビュー数のこと。「ページ別セッション数」「ページ別訪問数」とも。

ユーザー数
一定期間にウェブサイトを訪れたユーザーの数のこと。「訪問者数」「ビジター数」「ユニークユーザー数」とも。

新規ユーザー率・リピーター率
「新規ユーザー率」は全ユーザーに占める新規ユーザー(New Visitor)の割合を指し、「リピーター率」とは、全ユーザーに占める再訪問によるユーザー(Returning Visitor・リピートユーザー)の割合を指す。

直帰率
サイトの入口となった1つのページ(ランディングページ)だけを見て、他のページへ移動せずにサイトから離脱(ブラウザーを閉じる、または、他のサイトに移動)した行動(直帰)の数、直帰率はその割合。

離脱率
ウェブサイト外への移動やブラウザーを閉じるなど、サイトを離脱する行動やセッションが切れる行動(離脱)の数。直帰は離脱に含まれる。

平均ページ滞在時間・平均セッション時間
「平均ページ滞在時間」とは、該当ページに滞在した時間の平均であり、「平均サイト滞在時間」とは、サイト内に滞在したセッション時間の平均を指す。

ページ / セッション
1回の訪問(セッション)あたりのページビュー数のこと。一般的に、ウェブサイトに訪れたユーザーの興味関心度合いを表す指標として使われることが多い。

コンバージョン数
ウェブサイト運営の目的を達成する、ユーザーがとる特定のアクションをカウントした値のこと。コンバージョンはウェブサイトの目的によって異なるため、ユーザーのどんなアクションが目的を達成したと言えるのか、定義しておく必要がある。

コンバージョン率
ウェブサイト全体のセッション数のうち、コンバージョンを達成した数の割合のこと。

解析ツールによっては、取得方法や定義が違う場合もあります。まずは現在使用しているツールを確認し、自社サイトを解析してみてください。そうすると、様々な課題が見えてくるはずです。そのときには解析の設計やツール選定の重要性を感じられると思いますので、改めて指標を考えてみてはいかがでしょうか。

次回は、様々なメディアで使用する指標についてご説明します。

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

WACA一般社団法人ウェブ解析士協会代表理事

2000年、株式会社環を創業、2016年株式会社 環 取締役会長退任。業界ではもっとも早い時期からアクセス解析に着目し、アクセス解析を軸にしたコンサルティングを行っている。
アクセス解析ASPサービス「アクセス刑事Pro」、「シビラ」を自社開発、運営、アクセス解析からエリアマーケティングを行う「エリアレポート」を提供している。
著書に「稼ぐホームページ損なホームページ―アクセス解析で一発判明!」「繁盛するWebの秘訣「ウェブ解析入門」
~Web担当者が知っておくべきKPIの活用と実践」がある。

目次