地方中小企業のウェブ施策やウェブ解析の未来についてのセミナーを一気に読んでみた。

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上級ウェブ解析士の高橋です。

今回は『自社サイトをコストで終わらせないために〜ウェブ解析士の事例発表集(22)』のブックレビューをお届けします。

2017年9月2日に岡山で開催された第22回ウェブ解析士勉強会『自社サイトをコストで終わらせないために』のセミナーを書籍化したものです。

このセミナーには私も参加していたので、当時のことを思い出しながら読み進めました。

各講師の内容を一部転載してお送りします。

※転載に関しては、著者の許諾をいただいています。

※発表者の勤務先、役職につきましては2017年9月当時のものです。

目次

「大都市では絶対わからない?! 地方の中小企業を成功に導く3つのポイント」(細谷 さゆり 氏)

細谷さんのセクション

最初は上級ウェブ解析士の細谷さゆりさんのセッションです。

パソコン屋のデザイナーとして経験を積んでいった細谷さん。

今では株式会社 四国パソコンシステムでウェブ制作をはじめとするウェブコンサルタント・ウェブディレクターとして活躍されています。

「常日頃から『お客さまを成功へ導くためにどうすればよいか』を考えるようにしている」と言っていたのが、今でも私の心に残っています。

今回の内容は以下の通りです。

  • 1.1 自己紹介
  • 1.2 はじめに
  • 1.3 地方の中小企業 “あるある”
  • 1.4 成功に導く3つのポイント
    • 1.4.1 【ポイント①】繰り返し啓蒙し、視点を変える
    • 1.4.2 【ポイント②】ともに強みをつくりだす
    • 1.4.3 【ポイント③】速攻で小成功体験をつくる
  • 1.5 おわりに ~地方の中小企業を成功に導くために最も必要なこと~

ここでは、「1.3 地方の中小企業 “あるある”」と「1.4 成功に導く3つのポイント」の中から「1.4.1 【ポイント①】繰り返し啓蒙し、視点を変える」についてご紹介します。

(一部転載)地方の中小企業 “あるある”

『地方の中小企業』と聞いて、皆さんはどんなことを思い浮かべるでしょう。当社の取引先の多くは香川県内の中小企業です。ウェブマーケティングやホームページ制作の観点からお客さまの特徴を考えたとき、業種・業態に関わらず共通したイメージとして、次のようなことが挙げられます。

① 社長がエース(自らがウェブ担当者)

② ホームページを5年リースで契約してしまった

③ (無料の)SNSに興味がある

④ 社長の人脈で仕事を受注している

これらは香川県に限らず、一般的な地方の中小企業の“あるある”として、思い当たるところがあるのではないでしょうか。何だか中小企業の悪い点のように映る側面ですが、これらをチャンスとして捉えてみるとどうでしょう。

① 社長がエース(自らがウェブ担当者)

=>決裁権者と直に話ができる、大企業ではあり得ない絶好の環境です。正しく理解を促し、社長自ら率先してホームページに関わる状態をつくることができれば、戦略の成功率は確実にアップすることでしょう。

② ホームページを5年リースで契約してしまった

=>ホームページ自体をリース契約できないという事実や、ウェブの進化は日進月歩で、ホームページは5年の間に必ず陳腐化してしまう、という情報を先んじて提供できていない私たちの怠慢が起こした罪と言えるかも知れません。自戒しつつ、正しく理解を促せば、行動してもらえるということです。

③ (無料の)SNSに興味がある

=>簡単そうに見えて、しかも無料のSNS。直接集客に繋がりにくいBtoB企業ですら、ビジネスモデルを横に置いたまま、SNS開設に前のめりです。SNS黎明期の参入なら期待もできますが、今から集客につなげることは容易ではありません。しかし、問題意識を持っているからこそ興味があるのですから、無理だと一蹴するのではなく、ホームページを投資と考えてもらい、費用対効果を明示することで検討の土俵に乗ることができるでしょう。

④ 社長の人脈で仕事を受注している

=>何とも頼りない集客のようにも思えますが、これほど強固なチャネルはありません。言い換えれば、現状集客施策ゼロ状態で売上が発生しているという夢のような状況です。何をやっても伸びしろしかないと言えるかも知れません。

『中小企業の壁』として漠然と捉えてしまうと途方に暮れてしまいますが、ひとつひとつをひもといて考えてみれば、ウェブ戦略以前の問題であることに気付きます。アクセス解析やホームページ改善を行う前に、まずはホームページが売上アップの重要なツールだと啓蒙することがスタートラインなのです。

そしてもうひとつ、『地方の中小企業“あるある”』のラスボス⑤として挙げるならば、社長が自社の強みを明言できないことです。どんなに良いホームページを作ったとしても、ユーザーに伝えるべき強みがなければ、ホームページで成功することは困難です。

自社の強みは何ですか?という問いに対して、言いよどむことなく語れる中小企業の経営者はどれだけいらっしゃるでしょうか。当社が『ホームページ制作会社』から『ウェブマーケティング会社』へと業態変化した理由がここにあります。

自社の強み、他社と比較したときの優位性。顧客が「なるほど!」と思えるような選ばれる理由は、考え続け、表し続け、顧客に問い続けていくほかありません。

ホームページの重要性を啓蒙し、サービスの強みづくりを促していく。地方のウェブマーケティングにはウェブ戦略を論じる以前に、そんなアナログステップが必須なのです。

(一部転載)【ポイント①】繰り返し啓蒙し、視点を変える

パソコンが不得手だという理由で、インターネットを利用しない方も在りましたが、これほどスマートフォンが普及した今では、どんな方でもインターネットに触れない日はないでしょう。

ランチに美味しいパスタのお店を探したり、よく飛ぶゴルフドライバーを比較したり、出張先のホテルを検討したり、プライベート・仕事を問わず、私たちは毎日のようにインターネットで情報を収集し、比較・選択しています。

ところが、法人として情報発信する立場に代わったとたん、ユーザーに自社サービスと他社サービスを比較検討されるという当然のことが、頭からすっぽり抜け落ちてしまうのです。

ホームページのデザインがカッコいいという理由で、ゴルフドライバーを選ぶことはあり得ないように、まずは良いサービスを分かりやすく訴求することが大切だという視点に戻してあげる必要があります。

また、ホームページを活用するには、自社のホームページを見てくれる人を集める『集客施策』と、訪れたユーザーが興味を持って閲覧し、滞りなくお問い合わせなどのゴールへ向かわせる『導線改善』が必要である、という説明も必須です。ウェブマーケティングを行う私たちにとっては当たり前のことですが、ホームページを『集客』『回遊』『ゴール』という視点で考えたことのある経営者は少ないでしょう。私たちは下図のようなイラストやホワイトボードを用いて、分かりやすい言葉で説明しています。

集客施策と導線改善

ホームページ活用を啓蒙するために、最も効果的な方法はセミナー開催です。当社では2ヶ月に1度セミナーを開催し、啓蒙活動を行っています。毎回40名ほどの方にご参加いただいている人気のセミナーとなっていますが、毎回、力を注いでいるのがセミナータイトルです。

例えば、私たちはSEO対策が容易ではないということを重々承知しています。SEOという言葉を出さない方針を定めている同業者の方もいらっしゃいます。しかし、経営者にとってSEO・検索上位表示は、どうしても知りたい内容なのです。

私たちは、検索上位に表示するための裏技を知りたい経営者の期待を裏切らない『勝負キーワードで必ず1位を取る!絶対集客SEO革命』というタイトルでセミナーを開催し、SEO対策が容易ではないことを目の前で分かりやすく説得するという方針を取っています。 これまでに行ったセミナーの一例を挙げると、

・利益アップのためのインターネット通販セミナー

・大手企業に負けない中小企業の採用術!

・パソコンやネットが苦手な社長のための超・わかりやすいホームページ成功術

というように、行ってみたい、聞いてみたいと思わせる分かりやすいタイトルをつける工夫が必要です。

分かりやすく、という観点では、専門用語を多用しないことも心がけています。

専門用語の多用を避けるための表現

香川県で『ウェブサイトを作りたい』というお客さまは少数です。業界ではウェブサイトが共通用語だとしても、私たちのお客さまは『ホームページを作りたい』のです。私たちの発する言葉が正確に伝わっていなければ、ともに目的・目標を達成していくことは困難なものとなるでしょう。

(転載ここまで)


地方の中小企業“あるある”は興味深いテーマですね。

ウェブの話ではなく事業そのものの話というケースが多々あるということです。

これは地方の中小企業だけでなく、実は都市の大企業でもありえる話です。

ウェブで企業を表現するということは企業理念、経営方針、自社の事業、自社の強みなどを表現することになります。

ウェブ解析士の役割の中に『事業貢献』があります。

ただウェブサイトを作成するのでなく、ウェブサイトを通して事業貢献をすることがウェブ解析士の仕事なのです。すなわち、事業の領域に踏み込んで一緒に考えるケースも出てくるということですね。

また「成功に導くための3つのポイント」で専門用語を多用しないという点も大事だと思いました。自分目線ではなく、相手の目線に立つこともウェブ解析士に必要なことだと思います。

細谷さんはウェブ解析士に必要なことを実践されていて、当時サラリーマンであった私にとっても大変参考になったことを思い出します。

ぜひご一読いただきたいセッションです。

「明日から実践できるセキュリティ対策」 (足谷 保典 氏)

足谷さんのセッション

続いて、上級ウェブ解析士・足谷 保典氏のセッションです。

足谷さんは、鳥取県米子市でウェブシステムの設計・開発・プログラミングに従事されています。

この「自社サイトをコストで終わらせないために」に過去何度も登壇しています。

今回の内容は以下の通りです。

  • 2.1 自己紹介
  • 2.2 はじめに
  • 2.3 セキュリティ対策の重要性
  • 2.4 セキュリティ対策のための事前準備
  • 2.5 情報セキュリティポリシーとは
  • 2.6 情報セキュリティマネジメントについて
  • 2.7 情報セキュリティポリシーの策定について
  • 2.8 情報セキュリティポリシーの具体的記述例
    • 2.8.1 基本方針について
    • 2.8.2対策基準・実施手順について
  • 2.9 評価・改善について
  • 2.10 被害にあった際に備えて
  • 2.11 おわりに

ここでは「2.4 セキュリティ対策のための事前準備」と「2.5 情報セキュリティポリシーとは」について紹介します。

ここでは「2.4 セキュリティ対策のための事前準備」と「2.5 情報セキュリティポリシーとは」について紹介します。

(一部転載)セキュリティ対策のための事前準備

ここで実際にセキュリティ対策の話をしていく前にここで少し頭の体操をしてみたいと思います。あなたは次の迷路をゴールできますでしょうか?(左下の●がスタートです)

この迷路のゴールは?

ゴールできないと思います。なぜでしょうか?

それはゴールがないからです。

なぜ、ここでこのような問題を出したかというとゴール(目標)を決める大切さをお伝えしたかったためです。

セキュリティ対策をしていくにあたってどのような情報をどこまでどのように守るか(目標)を事前に決めておく必要があります。

なぜ、ゴールを決める必要があるのかというと、セキュリティ対策はお金と時間をかければどこまでも厳重にすることができます。

ただ、厳重にすることにより業務に支障が出たり、厳重に守る必要のない情報にお金をかけたりしてしまうことになりかねません。

例えば

社内の懇親会の案内データを暗号化したり、バックアップを取ったりする必要はあまりないと思います。

また、毎日業務で使うそれほど重要でないファイルを何重にもロックをして開くたびに何度もパスワードを入力すると非効率になってしまう場合もあります。

上記は極端な例ですがどのような情報をどこまでどのように守るかのルールがなければそのようなことになりかねません。

どのような情報をどこまでどのように守るか?

(一部転載)情報セキュリティポリシーとは

先ほど、どのような情報資産をどのような脅威からどのように守るかといったことを決めるのが重要であるということを話させていただきました。このような内容は情報セキュリティポリシーと呼ばれています。総務省が公表している「国民のための情報セキュリティサイト」によると情報セキュリティポリシーの体系は図に示したような階層構造となっており、情報セキュリティに対する組織の基本方針や宣言を記述した「基本方針」、基本方針を実践するための具体的な規則を記述した「対策基準」、対象者や用途によって必要な手続きを明確にした「実施手順」に分かれているとされています。法律で例えるならば「基本方針」は憲法、「対策基準」は法律、「実施手順」は条例というような感じになります。

セキュリティポリシーの構成

(転載ここまで)


セミナーを受講した当時、私はサラリーマンでした。

セキュリティに関しては「情報システム部門がやってくれているから自分たちは変なメールの添付ファイルを触らないようにすれば大丈夫」くらいの意識でした。

想像力が全然なかったですね。

いま自分が会社から離れて仕事をしていると、セキュリティは自分が管理するものだという現実に突き当たります。

サイトを立ち上げたりするとなおさらです。

今の自分が改めて足谷さんのセッションを読むと、自分の認識の甘さをつきつけられているようで、「セキュリティ管理をしっかりしないといけない」と気を引き締め直しました。

地味に見えますが、こういう大事なところをおざなりにしては、将来的にセキュリティの問題を起こし、ひいては業務依頼元からの信頼を失いかねないわけです。

皆さんも、もう一度自分事としてセキュリティ管理を捉え直してみてはいかがでしょうか。

そのために足谷さんのセッションは参考になります。

(一部転載)「小坂流コンセプトダイアグラム活用法」(小坂 淳 氏)

小坂さんのセッション

最後は小坂さんのセッションです。

小坂さんはウェブ解析士マスターとして、マーケティングオートメーションやスマートフォンアプリの解析、データ収集の仕組みづくり、ECサイトのコンサルティング、ウェブ解析の講師などで活躍されています。

2017年にご自身が立ち上げた株式会社環を退職。フリーランスになり3ヶ月間全国を旅したそうです。

今回の内容は以下の通りです。

  • 3.1 自己紹介
  • 3.2 はじめに
  • 3.3 某自治体動画の話
    • 3.3.1 何がダメだったのか
    • 3.3.2 プロモーションとサービスを切り離してはいけない
  • 3.4 環境の変化
    • 3.4.1 人に求められていることは変わっている
    • 3.4.2 無意識にデジタルに支配されている
    • 3.4.3 誰もがデジタルにかかわる時代
    • 3.4.4 正しいウェブ解析とは
  • 3.5 ウェブ解析士誕生秘話
    • 3.5.1 ウェブ解析士は窮余の策だった
    • 3.5.2 ウェブ解析はビジネス作り
  • 3.6 コンセプトダイアグラムとは
    • 3.6.1 コンセプトダイアグラムの意味
    • 3.6.2 売る人と買う人だけの時代ではない
  • 3.7 3つのウェブ解析
    • 3.7.1 ウェブ解析1.0
    • 3.7.2 ウェブ解析2.0
    • 3.7.3 ウェブ解析3.0
  • 3.8 まとめ
  • 3.9 最後に


ここでは「3.4 環境の変化」について紹介します。

(一部転載)環境の変化

プロモーションとサービスを切り離してはいけない理由として、世の中の大きな変化があります。

デジタル技術の進化により、様々な変化が起きていますが、ここでは3つ紹介します。

3.4.1 人に求められていることは変わっている

現在は第四次産業革命と言われていますが、デジタル技術の進化により人の役割が大きく変わりました。一昔前、人が機械を操作するというのが当たり前で、その技術が必要でした。その後、機械から出てきた情報(データ)を参考に人が操作方法を考えるようになりました。そして、これからは機械が人の要望に合わせて、機械自らが操作方法を考える時代が来ています。

IoT時代、AI時代といいましょうか。

これはデジタルマーケティング業界にも波及しています。

デジタル広告が登場した当初は人が広告の管理をしていましたが、その後そこから発生する情報を元に考えて運用する時代になりました。そして、アドネットワークの発達などにより、広告の出稿コントロール時代を広告プラットフォームが行います。

この時代に人がやるべき最重要なことは、「何をしたいか」「どういう状態になりたいか」を明確にすることです。オペレーションではなく、クリエイティブに考えることが仕事です。

ウェブ解析にも同じことが言えます。

ウェブ解析1.0では、ウェブ解析のデータを人が集計したり考えてレポートすることが仕事でした。

しかし、ウェブ解析2.0ではウェブ解析のデータはただ分析するだけのものではなく、施策につなげる行動につなげる役割も果たします。人の役割は必要なデータを収集する下ごしらえも加わっています。

さらにウェブ解析3.0の時代に移ろうとしていますが、そこは後述します。

ウェブ解析士の役割は「要望や目的を明確にすること」と「データを分析するだけではなく、適切に集めること」です。

ですから、ウェブ解析をする人はプロジェクトの最初から関わる必要があります。

3.4.2 無意識にデジタルに支配されている

次にデジタルの役割が変わりました。

実際の店舗などでの購買行動やBtoBにおける発注先の選定にもデジタルが絡むようになり、知らず知らずに影響を与えています。

オフラインとオンラインの境目はなくなり、デジタルなき行動はないと考えたほうがいいでしょう。

ウェブサイトで見た情報を元に店舗で買う、ウェブサイトで調べて営業マンに話すということが当たり前になっています。

さまざまな調査で明らかになっているように、店舗やBtoBの売上をあげるためにはデジタルの活用が不可欠なのです。

私たちは無意識にデジタル社会に支配されています。

3.4.3 誰もがデジタルにかかわる時代

このような変化もあり、デジタルマーケティングに関わる人が増えています。

マーケティング担当者、営業、製品開発、広報、人事など様々な役割の人がデジタルにかかわります。

それに伴い問題となるのが、意思統一です。

最初にあげた宮城県の動画の問題の一つがここから発生していると推測しています。

一つ例を出しましょう。

関わる人が増えることで発生する問題

それぞれの組織の役割は異なりますし、スキル・リテラシーも違います。

しかし、ウェブサイト作成やデジタルマーケティング施策を行う際は、それを全社で統一して実行しないと失敗します。

「なんのためにやっているんだっけ?」ということが曖昧になり、「KPIの独り歩き」が起きるのです。

会社や組織のブランディングや解決したい課題を明確にし、いったん自分の役割から外れて考えた上で自分の役割でそう実施するかということです。

逆に言えば「私は広報だから・・・」などと言い訳する人は、リーダーがしっかり諭すか、担当を変えたほうがいいです。

一件うまくいった(例:サイトリニューアルが納期通りに終わる)ように見えても、3年後に「結果出ていないね」となる要因になります。

3.4.4 正しいウェブ解析とは

ウェブ解析担当者の仕事は下記4つになります。

1.要望や目的を明確にし、各施策に与え続けること(Why?)
2.データを分析するだけではなく、適切に集めること
3.事業を考えること(営業もマーケティングも)(What?)
4.目的からかい離するのを防ぎ、連携をしっかり行うこと(True?)

KGIを達成するための施策を検証できるのがKPIなのですが、

KPIを達成したらKGIに近づくとは限らない。

こういうことがおきる原因はKGI自体が間違っていることもあります。

宮城県の事例で言えば
KGIは「認知度をあげる」ではなく「〇〇な人の認知度をあげる」
KPI「再生数を増やす」ではなく「〇〇な人の再生する数を増やし、〇〇な態度変容を起こす」
とすればうまくいったと思いますが、KGI設定で「〇〇な人」をしっかり設定していたのか疑問に思いました。

私が思うに、私のような独身男性をメインターゲットにしているとは思えないので、「子供がいる夫婦、その中でも財布を握っているお母さん」ではなかったのかと思いますし、そうだとすると、あの内容は「刺さる」でしょうか?

KPIは数だけではなく、質も重要です。

むしろ、「悪い数」だけ増えるのはマイナスにしかなりません。

KPIは数だけでなく質が重要

このように、現状より数を増やすだけではなく、質を希望する方向にもっていくことが大事です。

では、正しいウェブ解析はどのようなものでしょうか?

ユーザーを目標に近づけるには「どのようなステップ」が必要で、「どうすれば達成」できて、「どうすれば測れる」のか?をあらかじめ考え、組織内で意思統一し、測りながら進める。

と私は考えています。

(転載ここまで)


タイトルは「コンセプトダイアグラム」なのですが、私にとってはそれ以前の問題が重要に思えます。

「様々な役割の人がデジタルに関わるようになり、そのときに問題になるのは意思統一」のくだりは本当にその通りだと当時納得した記憶が蘇りました。

関わる人たちの役割はもちろんですが、小坂さんの説明にもあるように同じ部署でも上司と部下との間で意思統一がされていないケースが数多くあるのではないでしょうか。

実際に私がサラリーマン時代に勤めていた会社でも同じような話はいくらでもありました。

また「何のためにやってるんだっけ」という一見笑い話のような話は、どこの企業でも起こりうるし、実際に数多く起こっている話だと思います。

プロモーションの成功のためには、意思統一が最重要項目であり、これができれば実は70%以上の成功率に繋がるように思います。

「ではどうやって意思統一するの?」

これが一番難しいと思うのですが、私はトップもしくはトップに権限移譲された人が強力に牽引するしかないと思っています。

さて、小坂さんのセッションでは、タイトルにあるように、コンセプトダイアグラムを利用したウェブ解析1.0からウェブ解析3.0のお話もあり、興味深い内容が数多くありました。

ウェブ解析を行う人には、ぜひご一読いただきたい内容です。

最後に

今回は実際に私が受講したセミナーの書籍版をレビューしました。

当時の記憶が蘇るとともに、「相手の目線に立った用語を使うこと」や「セキュリティ管理は自分のためということ」そして「プロモーションに関わる人たちの意思統一の大切さ」など、今の自分にとっても大事で、かつ実践している内容が多く含まれたセミナーだったと思います。

ウェブ施策に関わる多くの人に読んでもらいたい一冊です。

自社サイトをコストで終わらせないために ウェブ解析士の事例発表集(22)

細谷 さゆり(上級ウェブ解析士)
足谷 保典(上級ウェブ解析士)
小坂 淳(ウェブ解析士マスター)


監修 ウェブ解析士協会
発行 亀井 耕二(ウェブ解析士協会 理事)


Amazon のKindleUnlimited なら無料で読めます。

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

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この記事を書いた人

東京都町田市在住。フリーで活動中。
元半導体メーカーでウェブ企画・分析・メンテナンスを担当。忙しい人に見てもらうためにはなるべく短くポイントは逃さないアクセス分析レポート作成につとめ、A4用紙1枚のアクセス分析レポートを作成、好評を得る。
退職後は個人事業主の方をサポートしたいとの思いで個人事業主の方のIT関連および拡販サポート活動中。VBAプログラミングも得意。

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