こんにちは。上級ウェブ解析士の高井と申します。
株式会社にいがた三昧という、新潟に根差したウェブ制作会社で、ウェブコンサルタントとしてお客様のウェブマーケティング支援をしています。
以前は旅館のフロントで接客業をしていました。接客業からまったくの異業種であるウェブ解析士になったのですが、「ウェブ業界未経験の人間でも、ウェブ解析士という職種があったおかげでウェブ業界に転職できたよ!」というお話をご紹介します。
新潟の旅館で接客をしていた私が、ウェブ業界に興味をもったワケ
私の前職は、新潟県の旅館のフロントです。社会人での業界経験はその接客業務だけでした。
ウェブとは一切関係ない業界からウェブ業界への転職を考えたのは29歳のとき。接客自体は自分に合っていると思っていたものの、日常業務でウェブやシステムに触れる機会があり、「このホームページってここを良くしたら、もっと良くなるよな」とか、「このシステムってこうしたら使いやすいよな」と感じることが多くありました。
同僚にそういった話をしてみたところ、「へぇ、そんなこと考えたこともなかった」という答えが返ってきたので、「自分がそういうことに気がつく人間なら、それを活かせる仕事がもっとあるかもしれない」と考えるようになり、転職を意識しはじめました。
想像以上に厳しかった異業種からウェブ業界への転職
実際に転職活動を始めるようになって、ウェブ制作会社の求人に応募しましたが、実務経験がない私を採用してくれる企業は1社もありませんでした。仮に私が採用する立場だとしたら、まったく実務経験のない人間を雇用して育てるよりも、実務経験のある人を採用したいと思うので、採用されなくて当然だったと思います。
余談ですが、当時は転職エージェントも使い、ウェブ制作会社の求人情報を徹底的に調べていたつもりでしたが、業界に入ってみると調べた以上にウェブ制作会社があり、エージェントが知る以上に採用情報もありました。中には「未経験でもやる気があればOK。年齢不問。」と間口を広げている企業もあったので、我ながら調べが甘かったなと思っています。
私は表に出ている求人情報だけを追っていたので、これから転職を検討される方は、ポータルサイトや転職エージェントサイトの情報だけでなく、応募したい会社の求人情報も直接確認することをお勧めします。
さて、話を戻しますが、私は未経験での応募ということもあり、不採用通知にはさほど落ち込まなかったのですが、何も変わらない状況に焦りを感じ、さすがに悩みました。
この時点でお分かりかと思いますが、私の目的は「ウェブ関係の仕事に転職!」であり、ディレクターなのか、デザイナーなのか、フロントエンドなのか、バックエンドなのか、どこを目指すのかまったく自分の意思がなく、「とりあえず業界、もしくはウェブにかかわる仕事をやりたい!」という思いがあるだけの状態で、未経験な上に何がしたいか明確になっていなかったので、どの企業も採用しないのは当然でした。
企業のウェブ担当として内定するもののやむなく辞退
ウェブ制作会社がだめなら、どこかの企業でウェブに明るい人間を探していないだろうかと考え、今度は企業のウェブ担当者の求人を探しました。企業のウェブ担当者といっても、未経験者ではなかなか求人が見つかりませんでしたが、ウェブ担当者の募集をしている会社を偶然にも1社見つけて応募してみることにしました。
その会社は、新潟の自社工場で製造している部品の販路をネットで拡大しようとしており、しかも偶然会社が私の出身地の近くでした。採用担当の方との方と話をしても感じが良く、会話も弾んで非常に好印象だったことを覚えています。
社内見学の際に、入社した場合に先輩社員という方とご挨拶しましたが、その方が上級ウェブ解析士の資格を取得しており、この時に初めて「ウェブ解析士」という資格があることを知りました。
一次面接、一次試験、二次面接を経て、無事に内定を頂けたのですが、残念ながら、提示された給料があまり高くなく、かなり悩んだ末に辞退することにしました。
この時、辞退してしまったら「二度とこういったウェブ関連の仕事をするチャンスはないかもしれない」と思ったのですが、「ウェブ業界に入る」ことにこだわりすぎて「転職することで自分がどう変わりたいか」を見失っていたことにまだ気づいていませんでした。
異業種からの転職で、更に未経験であれば、給料に関してそこまで強く言えないのはわかってはいましたが、当時の接客業での給料と比べて手取りで3万円以上の開きがあったので、生活がかなり苦しくなることが目に見えており、その覚悟が、その時点ではできてなかったことも理由のひとつでした。
また一方で、自分の社会的な価値は今その程度なのだと、現実を数字で確認した瞬間でもありました。
逆に言うと、未経験の人間にそれだけの給料を出しても育てようという、新潟ではかなり稀有な求人ではありましたが、「未経験で転職して、給料も欲しい」と都合の良いことを考えていた私はやはり甘かったことを、この後思い知らされます。
内定辞退してから更に厳しくなった転職活動
辞退した求人は、転職エージェントから紹介されたものでした。未経験の私をなんとか転職成功させようと、担当の方も非常に親身になって相談に乗ってくださいました。
企業との連絡もすべて担当の方を通して行いますので、内定の辞退についても事前に相談したところ「あなたが本当に納得する形での転職を最後まで支援しますので、ご安心ください。」と心強いお言葉を頂いたのですが、それ以降、求人に関する連絡は1件も来ませんでした。こちらから「その後、新しい求人情報はありますでしょうか?」と連絡もしてみましたが、返信はありませんでした。さすがの私も、自分のしたことの大きさに気がつきます。
転職エージェントは相手を採用させることが仕事です。面接や試験の喜怒哀楽を共有して、ここまで親身につきあった結果が内定辞退ですから、モチベーションも折れるというもの。次も同じようなことがあっては困るということもあるでしょう。
ちなみに、別のエージェントにこの話をしたところ、内定辞退は珍しいことではないから気にする必要はないと仰っていただきました。信用失墜行為だったと反省していた自分にとっては非常に救われる言葉でしたが、客観的な視点が得られた経験だったと思ってます。
内定を辞退したことで状況は振り出しに戻ったどころか、求人情報は自分で探す他なくなってしまいました。情報経路を1つ失ってしまい、転職活動は更に厳しくなります。
アピールできるスキルがないことを痛感した
内定をいただいた時に給料の額面を目の当たりにしたことで、「自分にはアピールできるスキルがない」ということも痛感しました。
求人情報ではよく「月給17万円~30万円 年齢・経験・能力に応じて決定」といった記述をしているものがありますが、私が受けた企業のうち、給料の提示があったところはすべて最低金額が提示されました。畑違いの転職なので、これくらいのリスクは当然というのは分かっていましたが、いざ数字を目の当たりにすると相当悩んでしまいます。
ヘッドハンティングでもない限り、畑違いの転職は、それまでのキャリアを一旦リセットすることになります。リセットしたからには、一刻も早く新しいキャリアを積んで自分の社会的な価値を高めるしかないのだと、決意しました。
「ウェブ解析士」という求人をみつけ、転職
その後は「自分にはアピールできるスキルがない」と自覚しつつ、求人情報を探し続けました。「短期のスクールでスキルをつけてからもう一度挑戦しようか」とか、「アルバイトから入って勉強しようか」とか、なりふり構わずウェブ関係の業界に入る術を探していました。そんな中、見つけたのが募集職種「ウェブ解析士」という求人です。
私は情報系の大学院出身でしたので研究の過程で「解析」に触れる機会が多くありました。「アピールできる資格はないけれど、解析だったら学歴が活かせるかもしれない」と、希望を見出します。また、内定辞退した会社の社員さんが上級ウェブ解析士の資格を取得していたことから、「ウェブ解析士という仕事は需要があるんだ」と、勝手に都合の良いイメージを膨らませました。
求人を見つけた頃と同じくして、新潟の近隣県の制作会社の不採用通知が届いていたので「ウェブ制作での採用はもう難しいかもしれないから、このウェブ解析士という仕事でダメなら転職はあきらめよう」と、転職をやめる覚悟が決まっていた時期でもありました。
募集要項では、ウェブ解析士の資格は応募の必須条件ではなく、入社後に取得すれば良いというもので、応募した結果、無事に採用されました。それが今の会社、にいがた三昧です。
改めて考えてみても、「ウェブ解析士」という職種の募集自体が稀有です。しかし当時は散々不採用通知をいただいた後でしたので、「世の中であまり知られていないこの仕事と出会うために、今まで不採用になったんだ!そうに違いない!」と完全に舞い上がっていました。
前回内定をいただいた際には、3万円の給与の開きを厳しいと感じて辞退したくせに、この転職では研修期間、手取りで5万円以上給与が下がりました。後悔はまったくしていませんが、夢と希望にあふれると、人間はすごい決断をするものだなぁ、と思います。
ウェブ解析士(旧・初級ウェブ解析士)の資格自体は入社後翌月に開催された試験で無事取得できました。実績に応じて評価されるという社内体制のおかげもあり、お給料のギャップは1年間でほぼ取り戻すことができました。安心してください。ウェブ解析士は「稼げる」んですよ。
とは言っても「転職後、本当にウェブ解析士という資格だけで食えているの?」と思われるかもしれません。
次回はこのあたりについてお話いたします。