WordPress のコミュニティから見えた、ウェブ解析初心者の向かう先

はい、ごめんください。
新潟のウェブ解析士マスター、小杉 聖(こすぎ・ひじり)です。

今回は、「ウェブ解析に興味を持った人が安心できる、初心者向けのコミュニティがあってもいいんじゃないかな?」というお話です。

これを読んでいるあなたが、「つくるだけ」から卒業を迫られたウェブ制作者だったり、ウェブ解析士に興味を持ったものの、カリキュラムの複雑さに躊躇していたりするようなら、「そういうコミュニティ欲しい!」と声をあげてもらえたら幸いです。

目次

 WordPress はコミュニティでできている

私は普段、世界で一番使われている CMS(ホームページを管理するシステム)である「WordPress(ワードプレス)」を使ったウェブ制作を行っています。Google アナリティクスも好きですが、WordPress も大好きです。

WordPress はコミュニティによって成り立っていますが、地域ごとの勉強会として WordBench(ワードベンチ)というものがあります。基本的に、どこかの会場に集まるオフライン形式です。WordBench の内容は様々で、セミナーもあればディスカッションもあり、地域独特の内容(ワインを飲んだり、カニを食べたりとか!)もありますが、原則、WordPress を肴に飲m・・・もとい、WordPress に関連した内容です。

WordPress は、3ヶ月に1回のペースでメイン機能の更新(コア・アップデート)が行われています。WordPress に関わることを決めたなら、この更新頻度と同じくらいのペースでマイ知識の更新も必要になるわけです。つまり、積極的に情報を調べたり、コミュニティに参加することが求められます。WordPress の勉強会である WordBench が全国各地で開催されているのは、このような背景が色濃く出ているからでしょう。

私の住んでいる新潟県長岡市にも地域コミュニティがあり、毎月1回、勉強会を開催しています。

https://www.instagram.com/p/BJg-3uFj43U/

 

新潟県内では元々 WordBench が行われていましたが、技術系の内容がメインなので初心者は入りにくいだろうなと感じた経緯があり、私の住んでいる地域で初心者向けの勉強会を主催するに至りました。

どれくらいの初心者向けかというと、「ウェブサイト」ではなく「ホームページ」という言葉を使うくらいのレベル感です。2016年から毎月開催していますが、最初は「WordPress」ではなく「ワードプレス」と書いていました。

そんな方に、「そもそも、ワードプレスって何だろう?」からはじまる基本的なことを、毎月ひとつずつやっています。WordPress の特徴がわかったらやっと、「プラグイン(追加機能)」や「テーマ(外観)」など、具体的な特徴について体験していきます。テスト環境を作ったところに、みんなでプラグインを100個入れてみよう!ということもやりました。たったひとつのプラグインが、リソースの90%を食いつぶしたことも、良い経験に(笑)

時には、課題と対策をシェアする前提で、参加者のウェブサイトとブログを統合して WordPress にリニューアルする際に気をつけなければならないことを、公開アドバイスした回もあります。このあたりはウェブ解析士講座で学ぶマーケティングの話も入りましたね。

また、WordPress のプラグインで SEO はどこまでできるのか?という回もありました。SEO は「検索エンジン最適化」ですが、私はずっと「検索体験最適化」と言っています。WordPress は、ユーザーの検索体験を最適化しやすいんですよーということを、プラグインの画面を実際に見ながら説明したりしました。

ちなみに、WordBench 新潟・長岡藩は無料で行っています。(差し入れは大歓迎!)(プリン大歓迎!)

初心者向けコミュニティを通して身にしみたこと

なぜ毎月ここまでやっているのかというと、WordPress とそのコミュニティを愛してしまったから。WordPress をよくわからずに使っている方が WordPress と仲良くなったら、きっともっと素敵な未来があるに違いないと信じているからです。

そして、そのような WordPress 初心者さんは「わからないところがわからない」のですよね。

「わからないことがわからない」のは、圧倒的に情報量(インプット)が足りていないためです。かと言って勉強しようにも、書籍は横文字が多いので読みにくい。そもそも目的が曖昧なので、どれを読んだら良いのかわからない。だから、やっぱり「よくわからない」まま。そんな方のための、翻訳者になりたいと思いました。

「こんなことを聞いたら、どう思われるんだろう・・・」と尻込みしてしまう質問でも、安心してプロに聞ける場所があれば、きっともっと WordPress のことを好きになってくれると信じて。

オフラインでの勉強会は毎月1回続けていますが、試しにオンライン(Facebook メッセンジャー)で勉強会を行ってみたところ、予想以上の反響をいただきました。なかなか楽しかったので、全国展開しても良いんじゃないかと先日行われたイベントでライトニングトーク(5分間のトークセッション)で呼びかけたところ、次の回には東京や名古屋からの参加者も。もはや WordBench 「新潟・長岡藩」ではありません(笑)

 

そこで、来年は「Word◯◯」としてオンライン展開していけたらと思っています。

 ウェブ解析士にも、WordBench のようなものがあったらいいのかもしれない

ウェブ解析士協会の寄稿記事だというのに WordPress 愛が炸裂してしまいましたが、要するに「ウェブ解析士のコミュニティはどうなんだろう?」という問題提起が今日のテーマです。

ウェブ解析士には、上級ウェブ解析士やウェブ解析士マスター用のメーリングリストが用意されています。上級ウェブ解析士は NDA(秘密保持契約)を交わすことでメーリングリストに参加でき、相談に対して有志が答えてくれます。これは、WordPress で言えばフォーラムのようなものです。

このメーリングリスト以外には、講師が個別につくったコミュニティがある程度です。コミュニティとして活発なところもありますが、ほとんどは(私を含め)とりあえず場がある程度で、定期的に情報提供がなされていれば良い方でしょう。

ウェブ解析士のカリキュラムは、1年で更新されます。普遍的なノウハウが学べるとは言え、ウェブ解析業界も変化が目まぐるしく、1年前の情報は古くなってしまう可能性が十分あるからです。ライフスタイルの多様化や、大いなる Google の地殻変動にも柔軟に対応できるよう、ノウハウは随時アップデートしていかねばなりません。

情報の更新頻度は WordPress に通じるところがあるのですが、ウェブ解析士の初級レベルでは、メーリングリストには参加できません。ですから、わからないことは講師に聞くか、自分で調べるしかありません。

しかし先述のとおり、初心者は「わからないことがわからない」のです。

「わからないなら、わかるまで調べたり、実践すればいい」という意見は、ごもっともです。私も独学で色々勉強するタイプなので、都度 Google 先生に聞けばなんでも教えてくれるのに、と思うことも多々ありました。

ただウェブ解析士の講座で学んだ知識を、実務にどう活かしたら良いのかはケースバイケースです。特に地方の個人事業〜中小企業は、ウェブ解析以前に「ホームページをつくった目的」にフォーカスすることが必要な場合も少なくありません。

目的がハッキリしないホームページを解析しようにも、初級の知識では太刀打ちできません。なんとなく作ったものに対して、なんとなくしか見れないのも当然です。だから「ウェブ解析ってよくわからない」で終わってしまう。

すごく、もったいない!

・・・もったいないけど、現状のままでは変わらないだろうなとも思っています。

新カリキュラムの質の良さと、地方における需要の現実

カリキュラムは、来年1月に更新されます。2017年のカリキュラムは特にすんごく丁寧に作られているので、少しお手伝いしている程度の私でも、価格に見合った内容になっているなというのはうなずけます。ただ、初心者向けではありません。0 → 1 にするのではなく、10 → 200 にするという意味での質の良さです。

地方のマスターとしては、それって、大丈夫なのかな?という一抹の不安を抱えています。

WordPress のコミュニティには「WordPress をもっと使えるようになろう!」という明確な目的意識があるので、中級者以上がレベルアップできる場は非常に多いです。ただ、WordPress に関わることになった「初心者」が「初級者」になるための場は意外と少ないんだなということに気づき、私は初心者向けのコミュニティをつくりました。レベルが違うだけで、目的は変わりません。

今のウェブ解析協会のコミュニティも中級者以上の場しかないという状況が似ているので、単純に、初心者向けのコミュニティはあったほうがいいだろうなあ・・・とは思いました。しかし、ウェブ解析士という資格を通して「ウェブ解析を、もっと使えるようになろう!」という共通認識になるとは限らないのですよね。みんながみんな、アナリストになりたいわけじゃない。

「Google アナリティクスのノウハウを知りたい!」
「ウェブマーケティングのノウハウを深めたい!」
「クライアントに提案できるようになりたい!」
「自社サイトのリニューアルに活かしたい!」
「売れるホームページにしたい!」
「ホームページで集客したい!」
「ウェブを活用したい!」
「資格を取りたい!」

などなど、思いは千差万別十人十色。目的がバラバラだと、コミュニティは霧散します。ヒトは、見えない未来の為に時間を割くことを本能的に避けようとするのでしょう。きっかけだけでは動けないイキモノなのです。

ウェブ解析初心者が共有できる目的とは

では、「ウェブ解析の初心者が安心して参加できるコミュニティ」で共有できる目的はあるのでしょうか?

私は「現在地と方向性の確認」と「小さな成功体験」なんじゃないかなと考えました。

広いウェブ解析の分野で、今一番求められているのは「設計」です。スタートとゴールを定め、ステップを考え、必要な条件や検証ポイントを明確にするステージです。

ウェブ解析や周辺知識に興味を持つ方が本質的に抱えている課題はこの「基礎設計」に含まれていて、状況としては「困っている」のではなく「迷っている」のですよね。

だから現在地を確認し、どこに向かえば良いのかがわかってしまえば、自分たちでも動けるようになる。はず。コミュニティに様々なヒトがいて、それぞれの経験が違えば、色々な角度からの可能性も見えてきます。

「そもそも、Google アナリティクスを知って、どう活かす?」
「そもそも、リニューアルをしようというキッカケは?」
「そもそも、ホームページを使ってどうしたい?」
「そもそも、ウェブを活用するって?」

などの根本的な理由に目を向けて、みんなが話を聞いてくれる場があるだけで、初心者は「わからないことがわからない」という状況から一歩進むことができ、「課題」を見つけられるようになるのではないかと思います。その課題解決の手段としてウェブがあるのなら、ウェブ解析士で学べるノウハウは必ず役に立つはず。

更に、ベイビーステップの実施と検証までを行って、成功体験をシェアできれば、本人にとってもコミュニティにとっても、大きな一歩になるはず。こんな風に考えるのは、私の仕事に心理分析やファシリテーション、コーチング業務が増えているからかもしれません。

このような 0 → 1 にする環境をウェブ解析士協会さんが整えられるなら、今後の人材育成カリキュラムとして非常に有用なものになるのではないでしょうか。それでも協会さんが 10 → 200 を進めていくという判断なら、私は今の流れにプラスして、新潟の田舎町からゆるりと広げていきたい所存です。

カジュアルなコンセプトダイアグラムを広めていきたい

コスギスとしては初級ウェブ解析士の認定講座を12月23日まで行っていますが、上記で示したような初心者向け勉強会は、来年1月からオンライン開催を予定しています。「ウェブ活用しなCast(仮)」「ウェブ活アワー(仮)」とかいうようなタイトルで、ラジオ番組をみんなでつくるようなイメージです。

使うのは、私の大好きな清水誠さんの提唱する「コンセプトダイアグラム」。上級ウェブ解析士のカリキュラムで学びますが、本当は、すごくシンプルなツールなんですよ。最初のうちは独りで喋ってることが多いでしょうが、そのうち参加者が増えてきたら、悩みと解決策を共有できたらいいなって。

この勉強会の詳細は決めていないので、まさに初心者さんの悩みと同じような状態です。だからこそ、しばらくはコンセプトダイアグラムを使って、この勉強会の方向性を決めるところから始めてみようかなと。

もし、「ウェブ活用のそもそもバナシ」がしたくなったら、お気軽に声をかけてくださいね。ガツガツするつもりはないので、1ヶ月に1回くらいのペースで、ゆるりとやっていきましょう(/・ω・)/

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

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この記事を書いた人

“ワクワクする社会はゴキゲンな個人がつくる” が理念の、カエルコムニス株式会社代表取締役。米国Gallup社公認のストレングスコーチとして、コミュニケーション心理学の知見とストレングスファインダー® の活用により、個人の強みを活かしたチームづくりに注力。ウェブ解析士マスターやチーフSNSマネージャーとして、ウェブ解析支援やSNSマネージャー養成講座を随時開講。ウェブ解析士アワードに7年連続受賞の後、殿堂入り。ウェブ解析士協会のオウンドメディア委員会リーダー。活動状況はTwitterをどうぞ。

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