BtoB企業におけるマーケティング成功のカギ! LTVを意識した長期的視野の重要性

こんにちは。ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している、株式会社ピージェーエージェント代表取締役の加藤です。

あなたは「LTV」=Life Time Value(ライフタイムバリュー)という言葉をご存じでしょうか?

BtoB企業において、販促施策をはじめとしたマーケティング戦略を考えるにあたって、非常に大切な観点である「LTV」。
今回は、LTVとは何なのか、LTVに着目して長期的な視野で考えることの重要性について、解説をいたします。

目先の短期的な売上にとらわれずに、より戦略的にマーケティングを考えていきたい企業様は、ぜひご一読ください。

目次

LTVとは

LTVとはLife Time Value(ライフタイムバリュー)の略で、顧客の生涯価値のことです。

一人、もしくは一社の顧客が、取引を始めてから終えるまでの全期間(ライフサイクル)において、あなたの会社にどれだけの総売上をもたらすかを算出した金額です。
あなたの会社との信頼関係が強い顧客であればあるほど、当然LTVが大きくなっていく傾向があります。
企業と顧客との良好な関係性を管理する「CRM(Customer Relationship Management)」との親和性が高く、特にBtoB企業における法人営業では、LTVを指標にしてマーケティング戦略を考えることが非常に重要です。

例えば、弊社の場合で例を出すと、とあるクライアント企業様から月額50万円のコンサルティング契約が2年間(24カ月)続き、契約が終了したとします。
その2年間の間に、コンサルティング契約とは別に、ウェブサイト制作を400万円/一式で承ったとします。
この場合、このクライアント企業様のLTVは、50万円 x 24か月 + 400万円 = 1,600万円という計算になります。

BtoB企業では目先の指標よりもLTVに重きを置く

弊社では、BtoB企業様にコンサルティングを実施する際、「LTVを最大化すること」を目標としてマーケティング戦略を考えるようにと伝えています。

マーケティングにおいては、ウェブサイトを訪れたユーザーがどれだけ目的行動を実施してくれたかを測るCVR(Conversion Rate)や、一人の顧客を獲得するためにかかった費用を測るCPA(Cost per Acquisition)など、様々な目標指標が存在します。
マーケティングに力を入れている企業であればあるほど、日々、それらの指標を細かく気にしながらマーケティングを考えているかもしれません。もちろん、それらの指標も大切です。

しかし、BtoC企業とは異なり、BtoB企業においては、ウェブサイトを訪れるユーザーの絶対数が少ないのが特徴です。そして、販売単価はBtoC企業と比較すると高くなる傾向があります。
そのため、目先のCVRやCPAだけを見て一喜一憂するよりも、LTVに着目してマーケティング戦略を考えた方が、結果として最適な判断ができるというケースが多いのです。

LTVに着目した考え方の例

例えば、弊社のクライアント企業様でこんなケースがありました。
その企業様は、郵送でのダイレクトメールを5,000社に送付するという販促施策を実施しました。
ダイレクトメールのデザイン外注、印刷、郵送まで含めて、合計で200万円の費用をかけて実施をしました。
結果は、そのダイレクトメール経由で3社からの受注を獲得、1件あたりの平均受注金額は50万円でした。
つまり、トータルでの受注金額は50万円 x 3社 = 150万円。200万円の費用をかけて、150万円の受注・・・では、この施策は失敗でしょうか?

このケースでは、CVRは3社 / 5,000社 = 0.06%、CPAは200万円 / 3社 = 67万円ということになります。
マーケティング担当としては、「CVRをいかに高めるか」「CPAをいかに安くするか」という点に着目をして、施策の改善を実施しようと考えるかもしれません。
そして、200万円の費用をかけて200万円以上の受注であればこの施策は成功、それ以下であれば赤字で失敗・・・というような考え方です。

しかし実際は、その後、この3社のうち2社が、初年度の受注金額は50万円だったものの、5年間継続をして毎年50万円の契約を実施してくれました。
LTVを計算すると、この2社のLTVは、50万円 x 5年間 x 2社 = 500万円ということになります。
つまり、このダイレクトメール施策で生み出したLTVは3社合計で、50万円 + 250万円 + 250万円 = 550万円ということになり、200万円の費用をかけて550万円のLTVを生み出すことができた施策ということになります。

このように初回の投資は赤字だったとしても、自社の商品やサービスの品質に自信のある企業であれば、LTVという観点で見たときに十分に回収できるということがしばしばあります。

短期的な視野ではなく、長期的な視野で考えよう

弊社では、クライアント企業様に「すぐ買う客購入するお客様に対して一気に売上を上げることを狙う無理な大勝負に出ない出る」ということをしない」ことをおすすめしています。
また、それと同時に「目先の売上額だけで費用対効果を判断して販促施策を止めてしまわないう」ということをしないように」ともアドバイスをしています。

いずれにせよ、LTVで物事を捉えて、取引の継続を前提として長期的な視野でマーケティング戦略を考えることが重要です。
前述の例でいえば、一気に200万円以上の売上を狙うのではなく、コツコツと売上を積み重ねて、10年以上かけて1,000万円を超えるLTVを目指すイメージです。

以前の記事(https://www.waca.associates/jp/knowledge/27574/)でも、「1:5の法則」をご紹介しましたが、新規顧客に対して商品を販売する労力は、既存顧客(リピーター)に対して商品を販売する労力の5倍であるというマーケティングの法則もあります。
目先の売上やCVR、CPAにとらわれずに、「一度ご契約をいただいたお客様からの維持・拡大」を目指す=LTVの最大化を目指すことで、より効率的・効果的に売上の向上が実現できます。みなさまも短期的な視野で考えるのではなく、長期的な視野でLTVを意識してマーケティング戦略を立ててみましょう!

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

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この記事を書いた人

株式会社ピージェーエージェント代表取締役。中央大学理工学部卒業後、NTTコミュニケーションズ株式会社に入社。IT・WEBを活用したデジタルマーケティングに関する法人企業向けコンサルティング業務に従事。顧客の購買プロセスに基づいたマーケティングシナリオ設計、メールマーケティングを基軸としたCRMコンサルティング等、法人企業の売上向上に寄与するコンサルタントとして活躍。その後、2016年、株式会社ピージェーエージェントを設立、代表取締役に就任。ブランド戦略の立案を強みとして、ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している。

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