そぎ落とす力

こんにちは、ウェブ解析士マスターの関原雅人です。

さて、今回は「そぎ落とす力」と題して、デザイナーの仕事の進め方をお話していきます。

目次

デザインのどこまでが完成なのか

大学生や専門学校生、新卒デザイナーさんと話をすると、『デザインのどこまでが完成なのかわからない』という話をよく聞きます。
確かに私も学生の頃は、どこまでで終わりか「判断に迷う」ということがありました。

デザイナー初期は、
○全体を見ずに、一部分のデザインに懲りすぎる。
○時間をかけたように見せるため、手が込んでいるように作る。
○たくさんのパターンを作り、ちゃんと考えましたとアピールする。
ということは、誰しも通過してくると思います。
今思うと恥ずかしいです・・・

いつしか「かかった時間≠よいデザイン」に気づき、取り組み方を改めます。

また、デザインパターンがたくさんのあるのが良いという訳ではありません。
たくさん見せられたクライアントは、選択に迷うだけです。
デザインが判断できないので、デザイナーにデザインの依頼をしています。

「クライアントはなぜ、デザイナーに依頼しているのか」をじっくり考えてみてください。
たくさんのデザインを見せてもらい、その中から選びたいためでしょうか?

私はそうは考えません。
デザインの理解ある人に制作・判断してもらい、自分たちでは考えつかなかったデザインやコンセプトを提案してもらうためだと考えております。
自分たちで出来ない事を提案してもらえるので、アウトソーシングしているはずです。

たくさんのデザインパターンから、クライアントに見た目で選ばせるという手法は適切でしょうか。クライアントの好み、もしくは担当者の好みで選択されるため、おすすめとは考えにくいです。

選んでもらうにしろ、必ずデザインコンセプトを明確に伝えてからでないと、デザイナーに依頼したそもそもの意味がなくなってしまいます。

デザイナーの仕事

デザイナーの仕事は、
★最も良いと推せるデザインを選択する「選ぶ力」
★不要なものを「そぎ落とす力」
が必要だと考えます。

だからこそ「これのデザインがこういう理由でおすすめです」と言えるのです。
そのためには、
○クライアントの企業の想いやビジョンを知る。
○どのようにセグメントされた商品(コンテンツ)かを知る。
○セグメントにあった情報を集約する。
○必要な情報だけを選択する。
○不要な情報はそぎ落とす。
○そぎ落とされた情報で再構築をかける。
そうしなければ、デザインを構成するための必要な情報が選べず、デザインの方向性がブレてしまいます。

そぎ落とされた情報の中から、必要な情報を再構築することで、そのデザインが光るのではないでしょうか。

『デザインのどこまでが完成なのかわからない』は、そぎ落とす力がまだ十分でないということです。
必要な情報でデザインを構成できるようになると、無駄なことはしなくなるので、デザインの完成が見えてきます。

あなたの案件は、不要な情報をそぎ落として、洗練されたものになっていますか?

デザイナーに必要な「決断力」

★最も良いと推せるデザインを選択する「選ぶ力」
★不要なものを「そぎ落とす力」

この選択がすぐできるかどうかというのが「決断力」です。

2、3分で決めるのか、30分かけるのか、よく考えて半日悩むのか、3日悩むのか、1週間はかかるなど、決断する内容にもよりますが、人はそれぞれ決断の基準を持っています。
決断する時間が短ければ良いという訳ではありませんが、長すぎるのもチャンスを逃してしまうことがあります。

いろいろなデザイナーの方と仕事をしていますと、
デザイン提出の期限日を基準として、
○5日前にデザインを完成。1日置いて、改めて確認、調整、前日に提出。
○前日にデザインを完成。翌日調整して提出。
○当日に完成、提出。
など、仕事の進め方は実にユニークです。

日々決断力に迫られるため、どのような手順・方向性で遂行していくのか、個性が明確にでます。

1つの仕事だけなら、進行の決断というのも調整もしやすいですが、10件も、20件も同時進行で依頼をもっていると、決断が遅いと仕事が終わりません。

良い選択、悪い選択は経験値で見えてくる部分もありますが、悪い選択をしてしまっても、決断が早いとリカバリする対処法を考えることも早いのです。

PDCAサイクルも回しやすい

実際に頭の中でPDCAサイクルをしっかり回しています。
▼Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)

決断が遅い方

Plan(計画)=デザインコンセプトの作成
Do(実行)=デザイン作成、完成

時間がとれず、Check(評価)、Act(改善)まで手がつけられない。

決断が早い方

Plan(計画)=デザインコンセプトの作成
Do(実行)=デザイン作成、完成
Check(評価)=デザインの問題点の確認
Act(改善)=改善内容の検討

ひとまわりして

Plan(計画)=改善コンセプトを計画
Do(実行)=改善策反映のデザイン作成、完成

以下、サイクルを回しリカバリも行う。

といった流れの違いもでてきます。

何をやって、何をしないか、を突き詰めて仕事をしているからこそ、「する・しないの決断力」が養われていくのだと感じます。

私自身も、「する・しない」と同様に「好き、嫌い」もはっきりしています。

実際は「嫌い」というよりは「興味がない」というところでしょうか。
「嫌いだという嫌いな部分に興味」をもつ必要性もあるのですが、恥ずかしながら「好き・興味がない」の2つの選択基準がメインです。
興味がないからこそ、不要だと思ったものは、スパッとそぎ落とせるのだと考えています。

ちなみに、デザイナーさんが個性的といわれるのも、決断力の早さにあるのかもしれません。

業務自体が、デザイナー視点で、「選択すること」でモノづくりをし、報酬をいただく仕事。日々、ものごとを選択し、不要なものをそぎ落とし、その中で「好き」と「嫌い」と「興味がない」を早いペースで決断しているからだと推察しています。
他のデザイナーの方はいかがでしょうか。

あれもいい、これもいいと「優柔不断」のうちは、クライアント側を「実際どれが推しのデザイン?」と疑心暗鬼にさせるので、自分の推しのデザインをスパッと決断して提案する方が成功するという実感です。

皆さんは、どのような「決断力」の基準で、物事を選択されているのでしょうか。

決断力の基準をチーム等で話してみるのも、複眼的視点で捉えることができて、自分になかった新たな価値基準が生まれるのでお薦めです。
「決断力」の基準を磨いていきましょう!

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この記事を書いた人

フードドラマ研究所所長。神戸芸術工科大学芸術工学部卒業後、広告代理店、食品メーカーにて販促計画策定、グラフィック、ウェブ、パッケージデザインの制作・ディレクション業務に携わる。フードコーディネーターとして食シーンを想起させる商品開発、マーケティング、販促提案、撮影指導を得意とし、主に食品関連事業者の経営相談、コンサルティングを行う。日本フードコーディネーター協会理事。ITコーディネーター、ISO22000(食品安全)・ISO9001(品質)審査員補、JGAP審査員補。愛媛県知財総合支援窓口 知財専門家。愛媛6次産業化プランナー。

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