Google アナリティクスを使ったレポート作成あるある。ウェブ解析士の本業回帰とは?

みなさん、こんにちは。KOBITというアクセス解析ツールを提供しているクリエイターズネクスト代表の窪田望です。今回はウェブ解析士協会の寄稿ということで、皆さんが悩まれている「レポート作成あるある」と、KOBITを使って実際にウェブ解析士協会の Google アナリティクスからレポートを作りましたのでご紹介します。

目次

あるある1. 毎月ハードルが高くなってしまう

あるある1. 毎月ハードルが高くなってしまうせっかくなら、お客様を解析の力で喜ばせたい。そんな風に考えれば考えるほど、あらゆる部分まで分析をしていくことになります。

上級ウェブ解析士の修了レポートで苦労した方も多いと思います。20ページ以上の項目を自分で調べ、データを落としてグラフにし、パワーポイントに落とし込んで分析するという修行は、確かにツールの隅々まで触れることはできますが、「もうやりたくない!」と思った方のほうが多いのではないでしょうか。

とはいえ、力になりたいクライアントのために必死になってがんばると、お客様からの期待値が高まってしまい、毎月同じクオリティーで提供しないといけなくなってしまいます。

毎月無言のプレッシャーの中で必死に解析するウェブ解析士たち。なんて愛しい現象なんでしょうか。(全然他人事じゃないけど・・・笑)

あるある2. 必ずどこかにウェブ解析士だけでは解けない謎が残る

あるある2. 必ずどこかにウェブ解析士だけでは解けない謎が残る「なぜか、火曜日にアクセス数が伸びてるんですよね。」
「見慣れないページからリンクされていて、すごくコンバージョン率が高いんですよ。お知り合いの会社ですか?」

のようなオンラインだけの分析では見えない謎は必ず残ります。僕はこういう現象に出会うと「真実に近づいた鍵を手に入れた」と喜んでいます。オンラインだけの分析には限界があって、数字はわかっても「数字の理由」がわからない可能性もあります。

例えば、火曜日にアクセス数が伸びている理由がチラシの配布時期だったみたいなことって非常に多いです。オンラインだけで考えていたらわからなかったことも、ヒアリングしてみると、その会社の本当の強みが隠れていたということが結構あるんですよね。

チラシには恐ろしく刺さるキャッチコピーが書いてあるのに、ウェブのメッセージと連動していない。そんなこともありました。ウェブとチラシには一貫したブランドメッセージがないと、せっかく興味を持った方が「あれ?やっぱりなんか違うかも?」と思って離れてしまいます。そのため、ウェブ解析士はオフラインの活動も含めたうえでレポートを作る必要があります。

あるある3. 解析とは関係のない雑務に追われる

あるある3. 解析とは関係のない雑務に追われるウェブ解析士が本当にやりたいことは、もちろん解析です。ですが、実際にはそれとは全く関係のない仕事に追われることも多いことでしょう。

代表例がドキュメンテーションに関する雑務。例えば、Google アナリティクスから CSV を落としてきて、それをパワーポイントで綺麗に加工する。この作業が意外と大変なんですよね。

何度、完成する直前のパワポが落ちて、涙の再起動を繰り返したことか。「再起動 やる気は全然 起動せず」みたいな川柳を読みたくなるくらい、悲しい現象。「うわーーー、残っててくれ、どこでセーブしたっけなあ・・・」みたいなことをつぶやくのはもちろん、24時をまわった深夜。体力と気力の限界を超え、打ち合わせはたいてい朝一番。お友達はエナジードリンクやコーヒー。

もうね、ツラいわけです。しかも、そんなふらふらな状態で作る資料には必ずと言っていいほど、計算ミスがあるんですよね、これが。

解析業務は緻密な積み重ねが重要。その緻密な積み重ねをしていく時に、1つの計算ミスが大きく仮説を揺がしたりします。ウェブ解析士の講座内で「そもそもデータがおかしい」という問題がありますが、他人事ではありません。

「え・・・。これもう一回考え直しじゃん・・・。」

そんな体験はないでしょうか。

あるある4. KPIが決まっていない状態でのレポート提出

あるある4. KPIが決まっていない状態でのレポート提出レポート提出をするにしても、KPIが決まっていない。そんな時もたまーにあります。

「コンバージョンアップもしたいよね、でも認知度拡大も必要なんだよね。え?コンバージョン設定?今はやってないけど、よしなにやっておいてよ。」みたいな案件もたまに存在するわけです。

そういう時、ウェブ解析士は困ります。

ウェブ解析士は目の前のアクセス解析を仕事にしているというよりは、もっと大きくビジネスを解析するというところから始めています。

ウェブが持つ意味をどのように設定すれば一番会社に貢献できるのかを考えて解析するため、ゴールが定まっていないと解析の方向性がブレブレになってしまうのです。

コンバージョン率アップがゴールであれば、アクセス数の多いランディングページの改善が重要、のように道筋が立ちやすいのですが、そうではなく、全体把握のためのレポートづくりはすべての項目をしっかり調べていく必要があり、難易度が高くなりがちです。(そしてあるある1. に向かうのです)

あるある5. 毎月違う項目をレポーティングしてしまいがち

あるある5. 毎月違う項目をレポーティングしてしまいがちこれもよくある話なのですが、毎月違う項目のレポートになってしまうということがよくあります。

例えば、地域分析のようなレポートは毎月あまり数字が動かないことが多いです。人口順にアクセスが来ることが多いので、ざっと見て先月とあまり変わらないな、と思うと、レポートには盛り込まずに、口頭だけで済ましてしまう、なんてことがあるのではないでしょうか。

これはそもそも、あまり数字が動かない指標を報告すべき KPI にしてしまっていることが原因ですが、一度決めたことを撤回するのはなかなかハードルが高いことも多いです。

また、データが少なすぎて報告する内容が限定されると、なにか新しいことを提案しなければと焦って方向性を見失ってしまい、別の項目を解析してクライアントを混乱させてしまうこともあるかもしれません。

しかし、それでは問題があります。レポートは定点観測するところにも価値があります。似たような数字が並んでいたとしても、その事実をきちんと報告しておかないと、何かの大きな変化を見過ごしてしまうことにもなりかねません。

ウェブ解析士がお金をもらう意味はどこにあるのか?

ではこれらの現象を、今度はクライアントの担当者視点で考え直してみます。

担当者としては、ウェブ解析士ならではの知見を教えてもらって、認知度や売上を増やすための答えがほしいだけです。決してウェブ解析士に深夜までオーバーワークしてほしいわけではないですし、涙とカフェインの結晶で作り上げられたレポートこそ至高とみなすこともありません。

とはいえ、担当者だけで仕事をしているとは限らないのでレポートは不要ということはなく、担当者の上司やチームメンバーの誰もが現状を把握し、次にやるべきことが理解できて指針となる「きちんとした資料」がほしいと考えているはずです。非効率なやり方で的はずれなレポートでは意味がないと判断され、レポーティング業務を打ち切られてしまうこともあり得ます。

「きちんとした資料」と「きちんとした答え」

その2つを同居させるためには、ウェブ解析士が涙ぐましい努力をするよりも、ツールなどで効率化を図ったほうが建設的です。

 

夜寝ている間に、小人さんがレポートを作ってくれるとしたら?

僕らが提供しているKOBITは、このようにレポーティング業務で四苦八苦している方々が「レポート作成は小人さんに任せて、解析を効率化しよう」というコンセプトで生まれたものです。

KOBITは「靴屋の小人」のように Google アナリティクスから自動的にレポートを作ってくれるサービスです。通常は3日間くらいかかるレポート作成業務を、1分くらいで自動的に完了させてくれます。

しかも、

  • パワーポイント形式なので、編集もらくらく
  • Google アナリティクスのトラッキングコードさえ設置してあれば、新たなタグ設置は不要
  • 費用はたったの月5,000円(税別)

なので、導入しやすくなっています。ウェブ解析士が本来やるべきではないレポートの雑務をすべて取り払った上で、自分の見解を追加しやすいパワーポイント形式でレポートが作られるため、レポート業務を効率化し、より良い改善提案をすることができます。

さらに定点観測的に毎月決まった角度からレポートを作っていきますので、蓄積すればするほど、過去のアーカイブがしっかりと保存されるという特徴もあります。

実際に上級ウェブ解析士の修了レポートを作ってみよう

上級ウェブ解析士ではウェブ解析士協会のGoogle アナリティクスの結果を元に、アドバイスをする資料を作る課題が出されました。そのレポートを実際にKOBITを使ってやってみました。

ユーザー分析

まずはユーザーの属性の分析をしています。男女比でいうと、男性のアクセス数が若干多く、年齢でいうと、25-34歳・35歳-44歳あたりが中心だとわかります。また、来訪しているユーザーにとってウェブ解析士協会は常に見るサイトではないはずで、別のサイトをご覧になっている可能性があります。

興味のあるもの、というコーナーでは、他のサイトでどういうサイトを見ている傾向にあるのか、を紹介しています。例えば、今回ですと、「買い物好き/価格重視」というものがあります。このターゲット層の場合、値段がいくらなのか、という情報はきちんと調べたいという気持ちがあるため、価格をきちんと明示したり、何か他のものと比べることで、価格を安く見せる工夫などが必要かもしれません。

その場合、オレンジとみかんの法則と言う法則を考えて見ると良いでしょう。似たような資格と比べるよりも、全く別の何かと比べる方が良いという考え方です。

例えば、うちのオレンジは他のオレンジよりも安いです、と伝えると、他のオレンジの方が美味しいのではないか、栄養素が豊富なんじゃないか、などと、推測され、結果的には、他のオレンジが選ばれてしまったりします。

一方で例えばですが、大切な家族の夏バテ対策に豊富な水分とカリウムという栄養素を含んだオレンジを食べましょう、というと、比較対象が家族の健康になります。競合と比較して値段を伝えるよりも家族の健康というより大きな価値と比較してオレンジの値段を伝えた方が刺さりやすくなります。

ウェブ解析士協会の価格も、競合と比較するよりは、例えばウェブの改善をしなかった時の損失で比べたりする方が納得感が生まれるでしょう。

日別・曜日別・時間帯別分析

次に日別・曜日別・時間帯別のアクセス数の分析です。32%もアクセス数が伸びている結果は素晴らしいですね。さすがは解析士協会。アクセス数もしっかりしています。

土日にアクセス数が減る傾向はB2Bサイトでよくある現象と言えます。時間帯的には業務時間中が多いのも特徴的です。B2Cとかの場合は朝の通勤中や勤務後に見られる傾向があったりするのですが、昼の仕事真っ最中のタイミングで閲覧されているので、お仕事をしている人のアクセスが多いんだなあということが推測されます。

このように来訪しているユーザーの生活スタイルがなんとなく見えてきますので、仮説立案の精度が見る度に自然と上がってくるようになります。

参照元分析

すごいリアルな流入元として電通の社内システムからの流入があることがわかります。84セッションで3件のコンバージョンをしており、コンバージョン率が3.57%。これは非常に高い数字です。

ウェブ解析士協会の資格は広告代理店の中でも広がっているため、このように申し込まれているんだなあということがわかりますが、その情報を知らなかった場合は、この流入の謎をお客様に聞くことによって、新たな連携が考えやすくなったりするでしょう。

また、社内システムにどのような形で告知されているのか。そのやり方は他の会社でも再現性があるのではないか、そんな風に考えることで、より良い告知のやり方などを研究することもできます。

ユーザーの閲覧地域

閲覧地域です。東京都はコンバージョンレートが1.12%で非常に良いのですが、2位の流入元である大阪府や神奈川では0.37-0.38%とコンバージョンレートが低いことがわかります。

もしかして、開講されている頻度が低いとか、開講されていないとかかな、と当たりをつけて、実際のサイトを見てみます。

そうすると、大阪府、神奈川県でも開講はされているんですね。それなのに、東京都と比べるとコンバージョンが低い。これはなんでだろう、という謎が生まれます。そう、冒頭で申し上げた真実に近い鍵です。

さらに分析すると、「埼玉県」は開講されていないのにもかかわらずコンバージョンが0.66%だった、みたいなこともわかります。と言うことは、大阪府、神奈川県は開講されているのに、0.33%。開講されていない埼玉県は0.66%、東京都は1.12%。

明らかに不思議なことが起きていますよね。こういう謎こそが個人的に大切にしている謎です。

僕は大抵、こういう謎を見つけたらメモをしておき、後日資料を見せながらヒアリングをします。

「大阪府や神奈川県、東京都、埼玉の間でそれぞれコンバージョンレートに大きな開きがありますが、何が原因だと思いますか?開講されているクラスの特徴などはありますか?」

と聞いて見るのが良いと思います。そうすると、地域属性や、思いがけない答えを知ることができる可能性があります。

新規訪問とリピーター

新規訪問ユーザーと再来訪ユーザーを見比べています。新規来訪者が急激に伸びていることがわかります。新規セッション率も50%台から70%弱まで上がってきています。何かキャンペーンを行ったのではないか、みたいな推測が生まれます。これも直接聞きたいことになってきますので、メモをします。

「6月はとても数字が伸びているみたいですが、何か施策を実行されたのでしょうか?」などと聞くことで、顧客のビジネスモデルをより深く理解することができます。

ユーザーの利用デバイス

デバイスごとに分析をしていきます。PCとスマホ・タブレットで比較した時に、PCのコンバージョンレートが高くスマホのコンバージョンが低いことがわかります。

PCよりもスマホからアクセスをしている率が高いのにもかかわらず、3倍位コンバージョン率が低いというのは何か問題が起きている可能性があります。こういう謎は Google アナリティクスを深堀することで、解決できる可能性があります。

モバイルユーザー・タブレットユーザーだけにセグメントをかけてまずは属性を見比べてみます。何かモバイル・タブレットユーザーとPCユーザーで違いはありませんでしょうか?

モバイルのセグメントをかけると、女性の率がさっき見たデータよりも高いぞ、ということがわかります。年齢層も35-44歳の層が増えていることもわかってきます。そこで、モバイル・タブレットを使っている人のコンバージョンレートを比較してみます。

女性のコンバージョンレートが0.15%、男性のコンバージョンレートが0.58%と女性と男性で約4倍もコンバージョンレートが違う上にモバイル・タブレットからの来訪者は女性の方が多い、ということがわかります。

スマホから女性がコンバージョンをしていないということがわかりますので、デプス調査の出番です。女性のマーケティング担当者を何名か呼んで現状のサイトで何が離脱の原因か、をグループディスカッションしてもらうことで、男性のコンバージョンレートの0.58%の水準まで引き上げることができれば、23件のコンバージョンは約4倍伸びると行った仮説が成り立ちます。

さらに掘っていきます。

モバイルを利用している方でコンバージョンしている層はどこなのか、を分析してみました。これで見ると、モバイルを使っている層は25歳から34歳の層と、35歳から44歳の層がもっとも大きいことがわかっていますので、その2つを見比べて見ます。

25-34歳は0.44%のコンバージョンに対して、35-44歳は0.14%のコンバージョンになっています。3倍もコンバージョンが違います。さらに18歳から24歳は0.74%とコンバージョンが高く、45-54歳は0.23%と年齢が高ければ高いほどコンバージョンが低く、低ければ低いほどコンバージョンが高い、ということがわかります。

スマホは特有の操作が必要ですので、スマホをスマホを日常的に触っているかいないか、で、操作性に対する感覚は変わります。代表的なものがハンバーガーバーです。

ハンバーガーバーはFacebookなどでも採用されているインターフェイスで、横に3本線が引かれているものになります。

ハンバーガーバー

ウェブ解析士のスマホサイトにもこのハンバーガーバーがあります。ここをクリックすると右からメニューがヒョコっと出てきます。実際に押してみましょう。

こんな感じです。このハンバーガーバーは一度操作に慣れると使いやすいし、便利なんですが、最近「The Hamburger is dead. Long live the Hamburger」などでも話題になっているように、「実はCTRが低いんじゃね?」という話が増えてきています。ハンバーガーバーは、一度タップしてからもう一度、クリックをしないといけないので、二回操作を強いていることや、ハンバーガーバーの学習をしたことが前提となっているインターフェイスです。

この議論はちょっと深すぎるので、今回はハンバーガーバーに変わる3つの事例を紹介するのみとしておきます。

参考:スマホサイトでクリック率が低いハンバーガーバーに代わる3つの事例 – KOBIT

いずれにせよ、スマホやタブレットにおいて年齢が若いとコンバージョンが高いが、年齢が高いとコンバージョンが低くなる傾向、女性より男性がコンバージョンをする傾向の2つが確認できました。

改善としては、スマホネイティブの人じゃなくても使いやすいインターフェイスの改善や、女性にも受け入れられやすいサイトデザインの改善を特にスマホ上ではしていく必要があるということになります。

こういう時は、別業種でも女性向けの資格で有名なサイトのインターフェイスをいくつか見て比べたりするのも有効です。例えば、ユーキャンの保育士のサイトを覗いて見ましょう。

2つのサイトのファーストビューを比べたものになります。明らかに見た目が全然違うので、女性のコンバージョン率が低いのもわかる気がします。

流入元分析

次に流入元分析です。チャネルごとに分解して調べています。ここでわかるのは、広告からのコンバージョンが他と比べて非常に高いということです。おそらく、広告だったらこのキーワードでこの広告が一番売れる、みたいな道筋が立っているはずです。

そうだとすれば、そのキーワードでコンテンツマーケティングをするというのが施策として思いつきます。オーガニック流入側で広告で獲得している流入を確保できれば、もっとコストを下げて集客をすることができるかもしれません。

では、どんなキーワードで売れているのでしょうか。また Google アナリティクスに戻って考えてみます。

コンバージョンしているキーワードは、「ウェブ解析士」というキーワード自体からコンバージョンしていることがわかります。6月に検索広告で生まれた26件のコンバージョンのうち、22件はウェブ解析士関連のものでした。と言うことは、ウェブ解析士にまつわるキーワードはすでに上位表示されている可能性が高いため、この施策よりは他の施策の方が優先だ、ということもわかってきます。

あえていうと、「dynamic search ads」というキーワードでは上位表示されていないみたいなので、dynamic search adsに関する記事執筆を蓄えておくことで、そこからのコンバージョンを狙うという戦略は有効な可能性があります。

ファネル分析

次にファネル分析です。ユーザーはどの箇所で離脱しているのか、を分析することで、改善すべきページを抽出することができます。ここでは、トップページから回遊したユーザーが、スケジュールを確認して詳細ページに行き、確認ページに行ってコンバージョンするという流れを設定してみました。

KOBITはURLの完全一致以外にも部分一致や正規表現にも対応しているため、今回のように詳細ページが複数存在するケースでもファネル分析を設定することができます。

まず、トップページからスケジュールページに移動する導線で95%が離脱していることがわかります。単純に目立つ場所にスケジュールに移動する導線がなく、スマホのトップなどでも確認をすることができないため、離脱しているものと思われます。

さらにもったいないのは確認ページが存在していることです。もうほぼ申し込んでいるのにもかかわらず、確認ページを入れることで、40.8%も離脱していることがわかります。単純に確認ページを外せば、156件のコンバージョンではなく、260件のコンバージョンに跳ね上がる可能性があります。しかも工数も大きくはかからないため、コスパのいい施策になります。

売上計算シート

さらに売上計算シートです。これはあくまで、初級ウェブ解析士の講座収益でさらに今月純増した分を計算しているため、実際の収益はもっと高いものと思われますが、数字と売上を表すことで、ビジネスゴールとウェブゴールの連携を考えることができるようになっています。

キーワード分析

そして、キーワード分析です。これには驚きました。まさか血液検査というキーワードでの流入が多いとは・・・。

なんでこのキーワードで来訪しているのか気になって調べてみると、以下のような記事が出てきます。

血液検査で「『がん』かも」とわかることを知っていますか?~健康について考える

・・・この記事、ウェブ解析士と全く関係なくね?(本音)

ごめんなさい、別にdisってるわけじゃないんですよ。ただ、流入が凄まじいのにもかかわらず、実際にコンバージョン率を調べると、0件。がんについて調べていて、ウェブ解析士の資格を取ろうと思う人はあんまり想像つかないですよね。

記事を書いた方にお願いして、もし可能ならがんについての記述のあとに、例えば、がんのサイトの流入の特徴についても追記してもらうとか、ウェブマーケティングに関する記述を追記してもらえれば、コンバージョンにいたる可能性が出てきます。流入はすごいので。

サイト改善提案

最後にサイト改善提案が出てきます。

KOBITではあらゆるデータを見比べて、改善をした場合のインパクト順に施策を提示してくれます。第1位に来ているのがスマホ対策。第2位が女性対策。第3位がファネル対策です。

スマホユーザーの導線については、先ほど書いたように、年齢が高ければ高いほどコンバージョンが低く、低ければ低いほどコンバージョンが高い、ということがわかっています。また、別業界で女性向けの資格サイトをみると、明らかにトンマナがかなり違うということもわかります。そのため、女性のグループディスカッションなどもしつつ、現在の課題を洗い出し、新しいデザインにリニューアルすることで、これまで取りこぼしていた層に対する有益な施策となる可能性が出て来ることがわかります。

ウェブ解析士の役割が明確になる

KOBITは自動的にレポートを出してくれますので、非常に便利なサービスです。ですが、今実際にやってみたようにウェブ解析士がKOBITで出力した上で、仮説を立案していくと、何倍も価値を高めるという特徴があります。ウェブ解析士の5つのあるあるを冒頭で紹介しましたが、その5つの苦悩はKOBIT で解決をして、お客様をより良いサイトに導くための解析だけにウェブ解析士が脳みそを使う連携をとることで、より良いサイト改善の機会が生まれます。

個人的な話になりますが、KOBITは人類の進化を早めるためにやっています。どんどんコンバージョンレートが高いサイトが生まれれば、より多くの面白い有益なサイトが生まれ、世の中がどんどん面白くなるはずです。

ウェブ解析士にとって、KOBITはもちろん敵ではなく、むしろ可愛い後輩みたいな存在です。丁寧なレポートまではKOBITがやりますので、本当にやりたかったはずの顧客と向き合う時間を解析士が担当する。そんな風にして、より良い社会のしくみづくりができたらいいなと思っております。

長い文章でしたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

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この記事を書いた人

株式会社Creator’s NEXT創業者。米国NY州生まれ。慶應大学総合政策学部卒。東京大学松尾研GCI 2019 Winterを修了。MITのビジネススクールでArtificial Intelligence: Implications for Business Strategy Program修了。日本一のウェブ解析士に2年連続選出。ウェブ解析ツールKOBITは8000社以上導入。

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