効果的なリードジェネレーションモデル確立への考え方

最近、リードジェネレーションやインサイドセールスといったキーワードがトレンドになりつつあります。今回は、これらを実行するまでの進め方や注意点について、B2Bにおける事業立ち上げの経験を踏まえてご紹介します。
なお、各種業態や事業のフェーズによって対応ステップは異なりますので、本記事を実現へのヒントとしていただければ幸いです。
目次

リードジェネレーション、インサイドセールスの4つのステップ

まず、全体の構成ですが、
  1. 戦略立案組織/KPI/オペレーションの策定
  2. ソリューション選定
  3. 計画立案
  4. 実行
という4つのステップがあり、特に前段の3ステップが重要だと考えています。 なお、企業における事業全体の流れは、
  • 認知(Awareness)
  • リードジェネレーション(Lead Generation)
  • 営業(Sales)
  • カスタマーサクセス(Customer Success)
というのが一般的で、リードジェネレーションは非常に重要なプロセスといえるでしょう。 このリードジェネレーションをもう少し詳しくみていきましょう。リードジェネレーションは、
  1. 認知(Awareness)
  2. 興味喚起(Interest)
  3. 検討(Consideration)
  4. 信頼構築(Engage)
  5. 購入(Action)
といった顧客の態度変容をどうサポートできるかが重要です。この態度変容を3つのステップに大別し、
  1. TOFU(Top of the Funnel) : 認知
  2. MOFU(Middle of the Funnel) : 興味喚起・検討・信頼構築
  3. BOFU(Bottom of the Funnel) : 購入
というモデルで表現することがあります。この”Funnel”は「漏斗」という意味を持ち、リードジェネレーションにおける態度変容(認知・興味喚起・検討・信頼構築・購入)といった段階を漏斗にたとえて図式化することができます。
態度変容の3つのステップ(TOFU・MOFU・BOFU)

ビジネス環境の変化から捉えるリードジェネレーションの重要性

昨今、リードジェネレーションの重要性は高まってきています。その背景として、ビジネス環境の変化が大きくなってきていることが挙げられます。インターネットやモバイル技術の進化によって、人が触れる情報は飛躍的に多くなっています。例えば広告を例にとると、人は一日に5,000以上の広告を目にしているといわれます。 こういった環境の変化に伴い、顧客の情報収集や購買活動は以前とは大きく変わってきており、放っておいてもモノやサービスが売れる時代ではなくなっています。顧客の態度変容を促すコミュニケーションや体験(エクスペリエンス)を提供することが重要になってきています。

戦略立案に必要な視点

全体のプロセスを策定するにあたり、まず戦略立案を行います。業種、業態により異なりますが、
  • どの様なマーケットをターゲットとするか
  • 当該マーケットはどの様なフェーズか(ニュー・ビジネスか、競争激化の状態かなど)
  • 競合を含めた他社の状況はどれほど脅威になりうるのか
  • 中長期の視点でどの様なブランディングで、どの様なポジショニングを狙っていくのか
など、まずは事業全体の方向性とビジョンの定義をおこないます。
また、年間のマーケティング・カレンダーを参考に、ビジネスや年度のどのタイミングどのようなピークを作るか、といった内容を検討することも重要です。 次に、組織/KPI/オペレーションの策定を行います。
  • どの様な組織を作るのか(マーケティング、インバウンド・インサイドセールス、アウトバウンド・インサイドセールス、フィールドセールスそれぞれの人数配分)
  • それぞれの組織のKPIをどう定義するか(ビジネスの最大化だけでなく、キャリアパスやモチベーションなども考慮したKPI策定が理想)、
  • MQL(Marketing Qualified Lead)やSQL(Sales Qualified Lead)などをお客様の情報を社内でどう連携していくか
といったことを決めていきます。 その際の注意点としては、組織間の壁をどう取り払えるか、がポイントになってきます。特にマーケティングや営業など、元々のDNAの違いやKPIなどの方向性にギャップがあると、なかなか上手く進まないケースが起こりがちです。このような場合にも、ここまでに述べたKPIやオペレーションの策定がポイントになります。 このときに、
  • マーケティングチームはWebトラフィックやリードといったKPIだけではなく、「売上」といったなどの営業に近いKPIも持つ
  • 定期的に横断チームでレビューしながら、プロセスの改善点を前向きに会話する
といった点などを意識していくと効果が出やすいでしょう。 そして実行フェーズに移る際にもう一つ重要なステップがあります。新たな組織形態でのオペレーションをスムーズに支援し、KPIの達成状況を可視化するソリューション(プラットフォーム)の選定です。 デジタル化が進むことによる新たな業務の改善にも対応でき、進捗状況や投資対効果を可視化するソリューションの重要性は増しています。また、オンライン、オフラインを含めたチャネル戦略、コンテンツ・マーケティング(※これだけでも)を効果的にオペレーションするソリューションの選定も重要な経営判断になるでしょう。

実行フェーズにおける注意点

最後は実行フェーズにおける注意点をお伝えします。 最も重要な点は、組織、業務(KPI含む)、システムの改善PDCAのスピードだと考えています。これまで立案してきた内容は、実行フェーズに入ると色々な課題が見つかってくるものです。それらを組織の壁を越えて、会社全体のビジネスと顧客体験の成功という視点で常にスピードを持って改善できるか、が非常に重要です。 その他にも新たな業務領域を含む組織やオペレーションの場合は、採用やキャリアパスを含めた育成計画などの策定も重要になります。また、ビジネス状況に応じたリードジェネレーションを含めたマーケティング・アクティビティ全体の優先順位を修正するといったことも、予算との兼ね合いをみながら必要になってくるでしょう。 ここまでリードジェネレーションモデルの策定や実行におけるポイントをお話ししてきました。皆さんのビジネス推進において何かの参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人

Director, Strategic Partners and Alliances nCino(エヌシーノ株式会社)
日本大手SI会社、コンサルティング・ファームを経て、2006年よりSalesforce.comやMarketo(Adobe)などCRM, Digital Marketingの外資のSaaSベンダーのスタートアップでのコンサルティング・サービスやアライアンス・ビジネス・モデルの立ち上げに従事。2020年2月より、現職。

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