Google アナリティクスの基本7ヶ条/WCK Meeting Vol.49 セミナーレポート

2017年2月2日(木)、高知ニュービジネス協議会 3F 会議室にて「2時間ダイジェスト Google アナリティクス 使い方セミナー」を開催しました。

今回の講師は、日本におけるウェブ解析の第一人者でもある、ウェブ解析士協会の代表理事・江尻俊章さん。通常であれば、4時間しっかりと時間を掛けてお話される内容を、中身はそのままにギュギュッと凝縮してお話いただきました。

Web制作者向けのセミナーとして告知をしていたこともあり、参加者全員が「Google アナリティクスを使ったことがある」状態での参加でしたが、「初めて理解できた!」「そんなことまでできるとは知らなかった!」と終始、驚きや気づきのある充実した2時間となりました。

目次



使いながら学び、気づきを共有

セミナーは、ウェブ解析協会公式サイトのGoogle アナリティクスへのアクセスできる状態でスタート。
ウェブ解析士を認定、輩出している江尻さんならではの4択クイズ形式での出題もあり、実際にGoogle アナリティクスを使いながら、参加者同士サポートし合いながらと、手も頭も使って2時間集中的に深く学ぶことができました。

Google アナリティクスの基本!でも意外と知らないアカウント構造と4つの視点

Google アナリティクスの全体像をつかむために、最初に解説いただいたのが「アカウント」「プロパティ」「ビュー」「ユーザー」の関係。
実際に使ったことがあっても、改めてツリー図で解説いただいて体系的に理解できた人も多かったと思います。

また、ほとんどの参加者がGoogle アナリティクスのダッシュボードのメニューについては理解していましたが、「ディメンション」「メトリクス」「セグメント」「フィルタ」といった4つの視点については、演習の中で初めて理解できた、という声も聞かれました。

江尻さんによると、項目名の日本語訳に難があるため、英語表記に切り替えるとより理解しやすいとのこと。(「英語かぁ…。」という声が会場から漏れていましたが(苦笑))

さっそくウェブ解析!…その前に。

いよいよ解析の実務のお話…の前に、「解析でいちばん大切なこと」として、「サイトの目標は何か?」という問いかけがありました。

企業のWebサイトは、ビジネスの目標を達成するためにつくられているはずです。例えば、案件獲得サイトの目標としては、見込客を獲得する(リードジェネレーション)、ユーザーが探している情報を提供する(サポート)、商品を販売する(EC)などが挙げられます。これらの目的を明確にせずにGoogle アナリティクスを見ても、数値から意味を読み取ることはできません。

また、Google アナリティクスの画面を開く前に、先ず仮説を立ててみることが大事とも教えていただきました。直帰率はどのくらいか?新規訪問率は?スマホ比率は?と自分の頭で考えて仮説を持った上で、数値やグラフを見ることによって、データから様々なことを読み取る力が身につきます。

データは全体から詳細へ、絞り込みと比較を活用する

アクセス解析に必要な機能が揃っているGoogle アナリティクスですが、だからこそ、片っ端から眺めていると時間だけが過ぎてしまいます。
データを見るときには、全体から詳細へ、そして順番が大切だと教えていただきました。

具体的には、まず全体のセッション数やPV数、平均滞在時間などの数値を把握し、続いて「①どんな人が訪問していて(ユーザー)、②目標をどれだけ達成しているのか(コンバージョン)」で顧客像と成果を確認し、続いてユーザーは「③どこから来ていて(トラフィック)、④何を見ているのか(コンテンツ)」という順番でデータを見ていきます。

そして、データから意味ある知見を得るには、絞り込みや比較が重要になってきます。
これには、最初に教えていただいたセグメントやフィルタ、ディメンションの視点が活用できます。

特有のルールを知って正しい絞り込みを

後半は、Google アナリティクスをきちんと使いこなすために、必要な知識を教えていただきました。

Google アナリティクスをなんとなく使っているだけでは気づかない特有のルールも存在します。
例えば、単語としては同じ意味である「search」と「Search」は、Google アナリティクス上では、前者はメディア、後者はチャネルとして表示されており、理解していないと間違ったデータを抽出してしまうことになります。

便利な機能や連携できるサービスを活用する

Web制作者が活用できる様々なツールを提供しているGoogleですが、Google アナリティクスと連携させて使用できる、Search ConsoleやTag Manager、スマホアプリのみの機能であるアシスタントなどを紹介していただきました。

また、データ全体の中で比較的影響力が大きいグループに絞り込んで、解析したい指標で降順に並び替えたい場合・・・例えばセッション数が全体に大きな影響を与えているランディングページの中で、直帰率が高いページを抽出したいケースなどに活用できる「加重」の活用法、BtoBの企業サイトで見込み客の検討に活用できる、「組織名分析」のカスタムレポートなど、解析の実務ですぐに活用できるノウハウを教えていただきました。

参加者の中でも、これらのツールを十分に使いこなせている人は少なく、Google アナリティクス活用の可能性を感じることができたと思います。

最後にご紹介いただいたデータ集計を自動化するAPIなどは、Excelでの集計作業を不要にするツールであることを知り、会場からは「もっと早く使っておけば…!」という声が上がっていました。

まとめ

質、量を落とすことなく4時間コースのセミナーを2時間でガッツリお話いただいた江尻さん。瞬きできないほど盛りだくさんのセミナーでしたが、本当に学びの多い会でした。
参加者の一人としてポイントをメモすると以下の7つになるでしょうか。

Google アナリティクス基本の7か条

1.全体像を理解せずにデータを眺めていても、答えを導き出すことできない。
まずは、アカウント構造と4つの視点を理解しよう!

2.Google アナリティクスは、あくまで手段。
ビジネスゴールとWebサイトの目的を明確にしよう!

3.データから、施策を立案できるようになることが重要。
データを見る前に仮説を立てて、本質を見る目を養おう!

4.ツールを使いこなすには、指標や機能の正確な理解が必要。
Google アナリティクスの管理画面を英語版にして使ってみよう!

5.データを見るにも、型がある。
全体から詳細へと読み進め、絞り込みと比較でポイントをつかもう!

6.数字が明確に出るということは、使い方を間違うと結論を見誤る。
Google アナリティクス独自の表記・ルールを知っておこう!

7.データ集計を効率化して、仮説検証や施策立案に時間を割くべし。
便利な機能や連携できるツールをうまく活用しよう!

おまけ

セミナーの興奮冷め止まぬまま、参加者の多くは懇親会へ。
乾杯を待たずに、ノートPCを取り出して、江尻さんの個別指導スタート!(笑)。

なお、高知名物カツオの塩タタキを前に、江尻さんとの共通点を1つ発見しました。
江尻さんご出身の福島県いわき市でも、カツオはよく食べられるとのことで、「いわき市では、タタキよりも刺し身で食べることが多く、ニンニクはスライスではなくすりおろして食べる」とのお話に、「それも美味しそう!」と参加者。
最後まで盛り上がり、非常に楽しいセミナーになりました。

江尻さん、参加いただいた皆さん、ありがとうございました!!

写真撮影:上野洋平(notch)

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

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この記事を書いた人

WACA一般社団法人ウェブ解析士協会代表理事

2000年、株式会社環を創業、2016年株式会社 環 取締役会長退任。業界ではもっとも早い時期からアクセス解析に着目し、アクセス解析を軸にしたコンサルティングを行っている。
アクセス解析ASPサービス「アクセス刑事Pro」、「シビラ」を自社開発、運営、アクセス解析からエリアマーケティングを行う「エリアレポート」を提供している。
著書に「稼ぐホームページ損なホームページ―アクセス解析で一発判明!」「繁盛するWebの秘訣「ウェブ解析入門」
~Web担当者が知っておくべきKPIの活用と実践」がある。

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