中小企業のEC戦略や来店コンバージョンなどのセミナーを一気に読んでみた

上級ウェブ解析士の高橋です。

今回は『自社サイトをコストで終わらせないために〜ウェブ解析士の事例発表集(36)』のブックレビューをお届けします。

今回は2020年10月10日にオンライン(Zoom)で開催された第36回のセミナーを書籍化したものです。

各講師の内容を一部転載してお送りします。

※転載に関しては、著者の許諾をいただいています。

目次

「EC市場で中小企業が飛躍する方法」 (齋藤 秀峰氏)

ブランドxサブスクx顧客との対話
タイトル:ブランドxサブスクx顧客との対話

最初は上級ウェブ解析士の齋藤 秀峰氏のセッションです。

齋藤さんはイマジンポケットの代表として、富山県でネットショップコンサルをされています。

中小企業において、インターネット通販で直面する様々な課題を解決できる様に、特にショップブランド構築、長期間にわたってリピートされる商品開発、サブスクリプション商品開発、既存のお客様へのマーケティングに重きを置いて活動されているとのことです。

今回の内容は以下の通りです。

  • 1.0 「EC市場で中小企業が飛躍する方法」
  • 1.1 はじめに
  • 1.2 自己紹介
  • 1.3 日本におけるEC市場の現状は?
  • 1.4 日本の現状
  • 1.5 中小企業が目指すべきECビジネスとは?
    • 1.5.1 ショップをブランド化し世界観を一貫させる
    • 1.5.2 「顧客の課題を解決する商品・サービス」を提供する
    • 1.5.3顧客の成長を促すコミュニケーション
  • 1.6 リピート率を向上させる仕組み
  • 1.7 リピート率、解約率の改善と売上・利益のシミュレーション
    • 1.7.1 商品ラインナップでの試算
    • 1.7.2 サブスク商品で試算
  • 1.8 ビジネス構築の基本は出口から
  • 1.9 モールと自社ECの違い・特徴
  • 1.10 まとめ

ここでは「1.5 中小企業が目指すべきECビジネスとは?」を紹介します。

(一部転載)中小企業が目指すべきECビジネスとは?

(転載ここから)

中小企業が目指すべきECビジネスは、やはり長期安定経営なのではないでしょうか?

そこを目指すものを王道と考えるならば、これまでのまとめになりますが、

「顧客の課題を解決し、シンプルで利益率が高く、顧客に愛され続け、少人数でできるECビジネス」

という事になります。

もう一度おさらいになりますが、「顧客の課題を解決」とは、価値観が多様化している中で、一人の人間に注目し、情報提供に留まらず、その人の課題を解決できるところまで提供する。

「シンプルで利益率が高い」というのは、利益率の高いバックエンド商品を構築し、入口商品を経てバックエンド商品に繋ぐという軸を作り、その流れで顧客を教育し、課題解決に導く。

「顧客に長く愛され続ける」は、一度購入して頂いたお客様と対話を重ね、顧客が求めていることを叶えられるように商品・サービスを改善し、コンセプトに共感して頂けるように教育する。

「少人数でできる」とは、できるだけシステム化し、ビジネスで肝となるところとそうでないところを分け、肝の部分は自社で実施し、それ以外のところは優秀な協力者を得て委託するという事になります。

スタートアップは小さく生み出し、大きく育てる。

これが現時点で中小企業のECビジネスに求められる王道と考えます。

(転載ここまで)

私が注目したのは「顧客に長く愛され続ける」というところです。そのために必要なのは「お客様との対話を重ねること」。これはどのような業種にしても、そして時代がどれだけ変わっても決して変わることがないことです。

新規顧客の獲得は大事だというのはいうまでもありませんが、一度購入いただいたお客様とどんなコミュニケーションをして、ファンになって長く愛用いただくか?

このコロナ禍でさらに問われているように思います。

リピート率アップのための仕組作りの説明も「なるほど!」と頷いてしまいます。

リピート通販で拡販していくための基本的な考え方が紹介されていますので、ウェブ解析士はもちろん、リピート通販を行っている個人事業主、中小企業のEC担当の方だけでなく、大企業でEC担当をされている方にもおすすめです。

「コロナに負けない不動産広告と注意点」 (門脇 美由紀 氏)

コロナに負けない不動産広告と注意点

続いては、門脇美由紀さんのセッションです。

門脇さんは不動産業界で21年働き、2020年10月に「株式会社かどわき不動産事務所」を立ち上げられました。

門脇さんが不動産の仕事を始められた20年前は、インターネット広告も、ウェブサイトもほとんどなかった時代でしたが、現在は不動産業界もインターネットを利用した拡販は不可欠な時代とのことです。

今回の内容は以下の通りです。

  • 2.0 「コロナに負けない不動産広告と注意点」
  • 2.1 自己紹介
  • 2.2 はじめに
  • 2.3 不動産広告の歴史
  • 2.4 広告に使う手段としてウェブサイト
  • 2.5 ポータルサイトの事例
    • 2.5.1 SUUMO
    • 2.5.2 LIFUL HOMES
    • 2.5.3 at home
  • 2.6 ポータルサイト利用の問題点と注意点
    • 2.6.1 費用がかかる
    • 2.6.2 同じ物件の掲載では中小企業は不利
    • 2.6.3 広告規制
    • 2.6.4 どこに頼むか
  • 2.7 自社ホームページの問題点
    • 2.7.1 最近の主流
    • 2.7.2 物件アピール型
    • 2.7.3 人アピール型
  • 2.8 その他の広告
  • 2.9 まとめ

ここでは「2.7 自社ホームページの問題点」について紹介します。

(一部転載)自社ホームページの問題点

(転載ここから)

2.7 自社ホームページの問題点

自社ホームページの課題
自社ホームページの課題

ホームページの問題点についてお話します。よくあるのが、お客様が住所調べたり、電話番号を調べたりするためのページになってて、会社概要などがメインで作ってそのままが多かったりします。

2.7.1 最近の主流

最近の主流は2パターンだと思います。

まず一つ目が物件アピールです。大手の不動産会社に多いです。掲載物件数や取引事例等の実績をアピールしています。2番目が人、代表者などのアピール。これは中小の不動産会社や個人事業主に多いパターンです。

自社ホームページの主流
自社ホームページの主流

2.7.2 物件アピール型

ポータルサイト並の検索機能で全国で探せます。全国CMやってるような会社でしたら、全国に営業所や物件がありますので、全国探せます。あとイメージの良い芸能人がCMに使われていて、爽やかに素敵な営業マンが出てくるんじゃないかなって、連想させるようなCMを作ってます。ただ、大手はコロナ禍で対面接客を自粛しているところが多くって、その分、写真とか動画に力を入れてます。中にはすごいものもあります。室内の動画撮影は当然なのですが、クリックするとナチュラルタイプのお部屋、もう一度、クリックするとモダンタイプのお部屋、同じお部屋で何種類ものイメージを見せることができて、モデルルーム以上のことを見せることができるものもあります。

お客様側からみると、とにかく数が多いので売却のお客様はここに預けたらすぐに売ってくれるんじゃないかな、高く売ってくれるんじゃないかなと感じます。ご購入のお客様はすぐに買いたい物件が見つかるんじゃないかなと思います。なので、営業マンは成約数だけでなく、掲載物件のノルマがあったりするんです。とにかく広告に出せる物件がほしい・・・。後はお金かけて画像のいい写真を載せて、視覚に訴えてるような感じのイメージです。

写真を撮って貼り付けているだけではなく、最近はいろいろな技術を使った広告を作られているので、専門の業者も使われていると思います。これにはすごくコストがかかっていると思います。これから本当に売上を上げていかないと大変なことになるじゃないかなと思ってます。

(中略)

2.7.3 人アピール型

人(または会社)アピール型
人(または会社)アピール型

人または会社アピール型です。私は、これからはこっちじゃないかなって思ってます。先ほどのセミナーの時にも、最愛戦略とお話しされてたんですけども、まさしくそれで、人を愛してもらって、そこの会社もまた愛してもらって、ファンをつくるということに力を入れるのがやっぱり主流になるんじゃないかなと思ってます。中小企業がこれから生き残っていくために、今大手は、仕組みにどんどんお金をかけてやっていくという方向性ですけれども、中小は、お金をかけずして手間をかけるところで勝負するしかないと思います。中小は大手ほど対面接客を控えているわけではなく、自由度も高いのでチャンスはあると思います。

(転載ここまで)

私事で恐縮ですが、20年前、私は今の家を選ぶときに、2社の不動産会社に飛び込みで相談して、合計で60件近い物件を見てまわったおかげで、どんな物件がどのくらいの値段かがわかるくらいになりました。

そして今、引っ越しのためにその家を売却しようとしています。

購入・売却の際、私が重要視したのは、やはり担当者の方が経験と知識をどれだけ持っていて、どれだけ誠実に対応していただけるかということでした。

私だけでなくこの点についてはご賛同いただける方は多いと思います。

ですから「物件アピール型」から「人(会社)アピール型」へという流れはわかるような気がします。

不動産業界に限ったことではなく、今後は中小だけでなく大手も「人(会社)アピール型」に変わっていかないと、これからは厳しい時代に入っていくのではないでしょうか。

「ニューノーマルにおけるスポーツ小売のデジタル戦略」 (蟻川 悠貴 氏)

ニューノーマルにおけるスポーツ小売のデジタル戦略

最後は上級ウェブ解析士・蟻川さんのセッションです。

蟻川さんは総合広告代理店でマス広告の営業を10年経験され、その後スポーツ小売大手の「株式会社アルペン」に転職。現在はデジタル広告のプランニングとディレクションを担当されているとのことです。

コロナ禍で家にいる時間が長くなり、運動をする人が増えてきているようにも思えますが、そういう人にどうやってアプローチするのかは興味があるところです。

内容は以下の通りです。

  • 3.0 ニューノーマルにおけるスポーツ小売のデジタル戦略
  • 3.1 自己紹介
  • 3.2 スポーツ小売のマーケットについて
  • 3.3 従来の販促手法
  • 3.4 Googleストアビジットの導入
  • 3.5 来店計測を活用したデジタル広告
    • 3.5.1 Googleストアビジット結果
    • 3.5.2 来店者を増加させるための取り組み
  • 3.6 まとめ

今回は「3.4 Googleストアビジットの導入」「3.5 来店計測を活用したデジタル広告」ついて紹介します。

(一部転載)Googleストアビジットの導入

(転載ここから)

3.4 Googleストアビジットの導入

来店コンバージョン(CV)の導入
来店コンバージョン(CV)の導入

 そんなジレンマを抱える中、Googleの位置情報を利用して、Google媒体と来店したユーザーデータとの紐付けが可能な「Googleストアビジット」というソリューションの情報を得ることができました。「来店コンバージョン」という新しい指標を得られるかもしれないという期待感があり、是非導入したいと考えました。

 実際の導入の過程では、広告代理店、Google3社で導入を進めていきました。導入までの流れとしては、まず全店舗を「Googleマイビジネス(以下GMB)」へ登録していきました。当時、全店舗で情報が入っていなかったり、古かったり、店舗で情報が統一化されていない状態でした。来店コンバージョンを取得するだけに留まらず、全国の店舗の情報を発信して、来店につなげていく必要性があったため、GMBへの店舗情報の登録、整備は最優先の課題でした。

あわせて、一部店舗で入店者数を取得するために、来店計測カメラを設置しました。入店者とレジ通過者の比率(購買率)を算出するためで、これによって最終的な購買者の数値も出すことができます。

来店計測する体制を整備してからは、媒体管理画面にて来店コンバージョンが上がってくる閾値に達するまで出稿を継続し、最終的にGoogle媒体による来店計測が可能になりました。

3.5 来店計測を活用したデジタル広告

来店誘導施策
来店誘導施策

 次にGoogleストアビジットを活用して、どのような来店誘導施策を実施したかについて説明します。Googleで主に出稿している広告メニューとしては「検索連動型広告」「ディスプレイ広告」「動画広告(YouTube)」です。

ユーザーの様々なニーズを探る意味でも、検索連動型広告は施策としても優先度が高いです。ディスプレイ広告については、配信面の在庫が豊富にあるため、新規ユーザーにリーチし、来店誘導を図る媒体としては外せないと考えています。動画広告については、訴求内容を動画でよりダイレクトにわかりやすく訴求できることが強みであり、他媒体と比較して低単価でリーチできるもの魅力です。

 以上の媒体を中心に、全国の店舗が週末に行うセールチラシの出稿タイミングにあわせてデジタル広告を出稿しています。ビュースルーまたはクリックスルーによって、どれだけ来店したのかを先述したGoogleストアビジットによって計測しています。

(転載ここまで)

お恥ずかしい話ですが、私はGoogleストアビジットの存在をこのセミナー書籍で初めて知りました。

簡単にいうと、オンラインの行動(広告、ウェブの閲覧)とオフラインの行動(来店)を繋ぐサポートツールですね。

最近はECによるビジネスが急激に拡がりをみせていますが、日本では全産業(物販系)におけるEC化率は6.76%(経済産業省の最新の調査結果より引用:「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」(経済産業省))と言われていますので、まだまだオフライン、つまり店舗による売上が中心です。

そこでオンラインとオフラインを繋ぐ仕組みが必要になるわけですね。

このあとの章で説明されている「来店者を増加させる仕組み」というのもこの「来店コンバージョン」を知ることで広告効果を見える化したことがポイントになっています。

このGoogleストアビジットの活用は拡販のための一施策として今後重要になっていくと思います。

実店舗の売上を改善したいと思っている中小企業、個人事業主の方にもぜひ見ていただきたいです。

最後に

3セッションでしたが、今回も読み応えタップリでした。

しかも実践でき、効果が上がる考え方や施策が盛りだくさんですから、この書籍を読んで実践して成果が出れば、1冊400円は安すぎると改めて強く思います。

書籍は読むだけでなく、その中から自分ができることを実践することが大切だと思います。

この書籍を読んだ方の中から、一人でも多くの方が課題の解決策を見つけていただくことを望んでいます。

自社サイトをコストで終わらせないために 36巻

自社サイトをコストで終わらせないために ウェブ解析士の事例発表集(36)

齋藤 秀峰(上級ウェブ解析士)
門脇 美由紀(株式会社門脇不動産事務所)
蟻川 悠貴(上級ウェブ解析士)

監修 ウェブ解析士協会
発行 亀井 耕二(ウェブ解析士協会 理事)

Amazon のKindleUnlimited なら無料で読めます。

自社サイトをコストで終わらせないために ウェブ解析士の事例発表集(36)

「実務に役立つ」からこそ選ばれるウェブ解析士・3つのメリット
SNSで感想をお聞かせください

この記事を書いた人

東京都町田市在住。フリーで活動中。
元半導体メーカーでウェブ企画・分析・メンテナンスを担当。忙しい人に見てもらうためにはなるべく短くポイントは逃さないアクセス分析レポート作成につとめ、A4用紙1枚のアクセス分析レポートを作成、好評を得る。
退職後は個人事業主の方をサポートしたいとの思いで個人事業主の方のIT関連および拡販サポート活動中。VBAプログラミングも得意。

目次
閉じる