人気のサイクリングイベントが中止!?
でもそこから生まれたニューノーマルなイベント運営におけるウェブ解析の活かし方

こんにちは。上級ウェブ解析士の小林です。
北海道の代表的な観光地域のマーケティングやブランディングにおいて、ウェブ解析を活用した取り組みに従事しております。
新型コロナウィルス感染拡大によって、様々なイベントが中止され、観光客が激減し、地方の観光産業が打撃を受けています。そんな中、ウェブ解析士の皆さんはどう活躍していったら良いか、悩んでいらっしゃる方もいると思います。 今回はそのような皆さんへのヒントとして、北海道美瑛町で開催されたサイクルイベント「丘のまちびえいサイクルスタンプラリー」でGoogle アナリティクスやウェブ解析のノウハウを活用して、課題抽出や次への改善施策を議論するきっかけをつくったお話をしたいと思います。
目次

美瑛センチュリーライドとは

雄大な十勝岳連邦の麓に連続する丘陵地形を利用したコースは、適度なアップダウンの繰り返し。そして丘を上るたびに目に飛び込んでくる「人の営みが織りなす農業景観」を兼ねそなえた、美瑛町という土地でしか成しえないコース設定を可能にしています。 そんな魅力的なコースで開催される美瑛センチュリーライドは、参加者のレベルや目標に合わせてエントリーでき、スピード競技ではなく、完走した人を賞賛するサイクルイベントです。上級者なら2日間で最長100マイル(約160km)のロングライドを楽しむことができます。 2019年で10回目、1000人規模の参加者を迎えるまでに成長したサイクルイベントでしたが、2020年は新型コロナウィルス感染症予防にともなう新たな生活様式を実践し、ユニークな企画を盛り込んだサイクルイベント「丘のまちびえいサイクルスタンプラリー」として生まれ変わりました。

丘のまちびえいサイクルスタンプラリーの仕組みはとってもシンプル

例年、2日間の開催期間中に参加者の他、大会運営スタッフ、ボランティアを含めると1500人以上が集うイベントでしたが、代替イベントとして「丘のまちびえいサイクルスタンプラリー」を企画・開催しました。 一カ月の開催期間中に参加者の都合に合わせて参加できます。レベルに合わせた3つのコースを設け、それぞれのコースに配置したチェックポイントでQRコードを読み込むスタンプラリー形式のサイクリングイベントです。
コースに配置したチェックポイントとQRコード
美瑛ならではのコース設定だけでなくチェックポイントの配置によって、参加者が集うことなく、完走へのモチベーションアップやゴールしたとき達成感が味わえる企画内容としました。 同時に運営側は、期間中に取得したGoogleアナリティクスのレポートを活用し、参加者の走行履歴を読み解くことでコース設定やイベント運営の評価を行うことができます。 スマホを使ったスタンプラリーイベントでは、一般的に専用アプリを利用する場合が多くみられます。しかし、今回はウェブサイトを工夫することで、参加者に専用アプリをインストールする負担をかけず、なおかつ運営側も専用アプリ開発やダウンロード促進のためのプロモーション予算を削減することができ、持続可能なイベント運営につなげることができました。

イベントは大成功、そしてデータから見えてきたこと

まったくの手探りでスタートしたイベントでしたが、一カ月の開催期間中の参加者は、延べ791人(昨年の参加者906人)と予想をはるかに上回るものでした。 イベントの企画内容に関する参加者の評価はアンケート結果の他、開催期間中に取得したGoogleアナリティクスのレポートからも見ることができます。 ここで、レポートの一部を紹介しましょう。Googleアナリティクスのユーザーエクスプローラを活用して、参加者ごとの走行履歴を見るとざまざまな仮説を導くことができます。
Google アナリティクスの「ユーザーエクスプローラ」で見た参加者の行動
この参加者は、100kmコースにチャレンジしていますが、チェックポイント02のQRコードを読むことなく、チェックポイント03に進んでいます。その後、100kmコースの紹介ページを閲覧しています。
 このことから、参加者がチェックポイント02の場所がわからなかった可能性があると考えられます。 別のレポートをご紹介します。
 こちらのレポートは、ある日の100kmコースの各チェックポイントの通過者数分布を見ることができます。チェックポイントが進むにつれ、リタイヤなどで通過者数が減ることは考えられますが、チェックポイント06の通過者数が極端に少ないのは、これも場所がわかりづらかったことが考えられます。
100kmコースの各チェックポイントの通過者数分布
最後にもう一つ、チェックポイントごとの通過時間分布レポートをご紹介します。区間ごとに通過時刻を予測し、その区間に隣接する農家に情報を共有することで、区間内での農業機械との遭遇を回避するなどの安全走行につなげることができます。 また、チェックポイント05を12時に通過する参加者が多いので、QRコードを読み込んだ時に表示されるページに近くの飲食店情報を掲載するなどのコンテンツ改善につなげることができます。
チェックポイントごとの通過時間分布
このように、アイディアしだいでウェブサイト内のユーザー動向の分析だけでなく、リアル空間のユーザーの動きが分析できるとウェブ解析士としての活躍の場が広がるかも知れません。 新しい生活様式におけるイベントにおいて、参加者(より楽しめるイベントに)、運営(参加者を増やすために)、地元(地域のさまざまな人がハッピーに)にとっての三方良しのためにウェブ解析士ができることはたくさんあると思います。

新しい時代の地域価値創出の仕方

リスクをなくすためにあきらめるのではなく、ニューノーマルなイベント運営のあり方を模索してチャレンジすることが、参加者も巻き込んだ地域価値創出のアクションにつながり、より強いブランドへの支持とエンゲージメントが生み出せるのです。 手探りのチャレンジもPDCAを回すことで、もっと魅力的なイベントにしていくことができるのです。それには、ウェブ解析を活用することが有効な手段であり、それを実践するのが私たちウェブ解析士の役割ではないでしょうか。 地域課題解決やブランディングの取り組みにおいて、ウェブ解析を活用して一緒に地方を盛り上げていきましょう!
「実務に役立つ」からこそ選ばれるウェブ解析士・3つのメリット
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この記事を書いた人

ソニー株式会社でサウンドエンジニアを経て、2010年から北海道の観光地をデジタルマーケティングで盛り上げる取り組みに携わる。GoogleアナリティクスとQRコードを活用して、ウェブからリアル読み解くことを得意とする。2018年インフィニティワークスとして活動。上級ウェブ解析士、国内旅行業務取扱管理者。フライフィッシングをこよなく愛し、重度のオーディオマニア。WACAアワードにて、2019年 The Best Evangelist を受賞。

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