役に立つカーディーラーのWebサイトって何?

ウェブ解析士マスターの服部です。株式会社プランオンで代表取締役をしています。
前回第3回の「カーディーラーのビジネスに貢献するためのWebサイトとは」では、カーディーラーにおけるWebサイトをどのような方向で構築していけばいいか、という事例を紹介しました。今回は、「カーディーラーがどういったWebサイトを持つと、ビジネスに役に立つのか」を考えてみたいと思います。

目次

Webサイトのリニューアルがちょっと流行!?

2016年の今年は、「Webサイトを見直したい」という意向が本当に増えました。デジタルメディアの有効性も高まっているので、自然な流れではあると思います。しかし、「先月までは、全くそんなこと言ってないですよね……なぜ、急に?」と思っています。メーカー側の指導があっての流れなので、急にWebサイトの見直しがカーディーラーの重要方針になってきているのかと推測します。
しかし、本当に「Webサイトを有効なものにしよう」と思っているケースは、やや少ない気もしています。
なぜ、そう思っているのか? 実際、私がカーディーラーの担当者と話をした例を示したいと思います。

このように、「Webサイトを見直したい」と言っているにもかかわらず、「Webサイトを有効活用したい」とは思えない会話をすることが多いのです。まずは「自社のWebサイトで何をすべきか、何をしたいか」を一度掘り下げて考えてみましょう。

提案力に優れたWebサイトにする

Webサイトをたくさんの人に、見てもらえるようにすることは大切です。しかし、自然検索から流入を増やし、多くの人が訪れるWebサイトになるには、ある程度の時間もかかります。まずは、今あるWebサイトに訪問してくれる人に、もっと情報を発信するべきです。

Webサイトを見ているお客さまは、「(ディーラーに来て)店頭で教えてもらう前に、予備知識を持っておきたい」と考えている場合が多いと言えます。そこで、今Webサイトに来てくれるお客さまのニーズを、Webサイトで解決できるように、情報を整える必要があります。

お客さまはクルマの検討段階から、いろんなニーズや悩みをもっています。

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上記のようなお客さまのニーズや悩みは、店頭で実際に接客しているときに聞かれる内容です。こういったノウハウをWebサイトを通じて発信することで、Webサイトの存在価値が高まり、Webサイトに来たお客さまのニーズや悩みが解決できるのです。

Webサイトの仕事は、お客さまの悩みを把握して「先回り提案」することです。

自社のビジネスを良くすることから発想する

カーディラーの販促関連は、事業立ち上げ時以外は「現状からの改善」です。
改善の方法でよく見られるのが、「経験と勘」で進めていく、まるでギャンブルのような販促です。ひどい場合は、現状も把握せず、新たな目標を打ち出し行動しているケースもあります。販促の基本は、「CAPD」の順番です。「Check」がとにかく大事なのです。「Plan」から始めるのではありません。

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現状を把握する方法として、一般的なものに「契約者へのアンケート」があります。

このアンケートは、メーカーがクルマを購入した人に行っているもので、購入者全員へのアンケートではなくランダムです。そのため、ディーラーの各店舗に戻ってくるアンケートの回答数が少なくなってしまいます。
数がそもそも少ない、というだけでなく、このアンケート結果を把握できるのが約2カ月後なので、情報鮮度が低いのです。

これでは「現状」とは言いがたいです。そこで、情報鮮度の高いアンケート結果を得るために、店舗レベルで契約者に対してWebアンケートを実施することにしました。アンケートの質問内容は、次の通り。

設問の例

  1. 自社の納車説明に対して ⇒ 納車説明の満足度や改善点
  2. 自社の商談に対して ⇒ 商談の内容や不満点の改善
  3. 今回の商談に対して ⇒ 競合を把握して、実施事項に対して改善
  4. 今後の取引に対して ⇒ 満足度が低い場合は、3カ月ほどの集中した顧客フォローへ改善
  5. ご紹介いただける人の有無に対して ⇒ 紹介いただき、次の一台に契約に向けて動く

これらのWebアンケートを、カーディーラーWebサイトに組み込むことで、もっとWebサイトを有効活用できます。つまり、Webサイトをメディアとしての情報発信だけでなく「情報収集」も視野にいれて運用することでWebサイトの価値がさらに高まります。

あくまでITやWebサイトは手段なので、「道具として使いこなす」という意識をもつことが、各ディーラー店舗で役に立つWebサイトになると考えます。

次回は、最終回。「web解析視点でみるカーディーラーwebサイト~お客様はこういうふうにWebサイトを使っている」を考えていきます。

日刊自動車新聞社より本を出版しました

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

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この記事を書いた人

服部 淳(はっとり じゅん)株式会社プランオン 代表取締役。著書「クルマが売れる提案活動!」得意領域は、「店舗集客力向上」「商談力向上」「リピート向上」など戦略的プランでクライアントをサポート。自社で通販サイトを運営することで、webマーケティングノウハウを蓄積し、クライアントへ有効施策を提供していきます。企業パートナーとして「お客様のニーズに応え、課題を解決(=業績アップ)する」ことを大切にしています。

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