【書評】新版 プロが教える Googleアナリティクス 実践テクニック

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新版「プロが教える Google アナリティクス 実践テクニック 」
ウェブマーケティング実務での使い方を意識した、すぐ使える中級者以上の人向け

 
基本的にはGoogle アナリティクスの使い方に関する本ですが、企業でウェブマーケティングを行う担当者向けの本となっています。

 
それもそのはず執筆者の一人、於保さんはGoogle アナリティクスだけではなく、Adobe Analyticsの分析でも著名な方で私も講演を何度も依頼しています。
プロとして組織で働いてた著者らしい、組織の中でウェブ解析を実践するために必要な要素がほぼ網羅されています。

 
内容としては、カスタムディメンションやイベントなどの高度な利用方法より、複数ドメインでの解析や取りにくいコンバージョンをどうとるかといった、多くの人がGoogle アナリティクスを使う上でつまづきそうな内容に重点が置かれています。

 
従来の初心者向け書籍だと、このようなつまづきがちな点がスキップされていたり、一方でベテラン向けの本だと複数の箇所を見ないと問題が解決しないところが、この本なら課題に沿って書かれているので読めばすぐわかります。

 
一方、知りたいことから調べられる逆引きのGoogle アナリティクス本も最近出版されていますが、それらの本は1問1答式になっているため、紙面が限られており、詳しくない人は複数の箇所を見なければわからないような点も、最初から懇切丁寧に説明されています。

 
Google アナリティクスは設定した、指標の意味はある程度わかっている、じゃ広告やサイト改善に役立つデータをどう取ればいいのか?どう活かせばいいのか?という疑問に一番応えた書籍だと思います。また、最新版なのでコホート分析など最近出たばかりの機能も充実している点が魅力的です。

 
また、最後の組織を動かすための考え方が秀逸です。個人のウェブサイトではなく、多くの関係者がウェブ解析を見ない組織において、どのようにデータを見て、共有すべきか悩むウェブ担当者にとって、ヒントが数多く含まれている本です。

 
私なら、Google アナリティクスを見たことはあるが、自分で設定して目的に合わせた使い方ができないウェブ担当者2年目、3年目の方に進めたい本です。

 
書籍として厚みもあり、大きい分、図表は見やすく、どこをどう操作すればできるのか、がわかりやすく載せられています。一方で、マニアを唸らす細かい設定はありませんし、GTMの使い方なども詳しくはありません。マニア受けはしない本かもしれません。

 
ウェブ解析士であれば、初級ウェブ解析士から上級ウェブ解析士を目指す人たち向けでしょうか。もちろん、イベントやカスタムディメンションの設定も書かれていますので、上級ウェブ解析士の人たちの要望も満たされる本です。

 
しかし、ページ遷移のないコンバージョンの取り方、複数ドメインでの解析をする場合などに、あちこちに散逸した項目を見ないと完璧な設定ができない従来の本ですと、すべき設定をスキップしたり、間違うケースが多々見られます。

 
上級ウェブ解析士で学ぶイベントやカスタムディメンションなどを使い倒す前に、「そもそもデータは正しいの?」とか「現状から改善点見つけられないのか?」といった要望に応えるために、一通り目を通すことをお勧めします。

 
あと、僕に献本いただくと、大抵kindle版も買ってますのでkindle版が一冊売れますよ、と付け加えておきます^^

 
ウェブ解析士協会代表理事 江尻俊章

 

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