研修参加者の意欲を引き出せるか?

あなたがその研修を受ける事を想像した時、本当に「やる気」になりますか?

研修において、最も大事な成功要因を1つ挙げろと言われれば「受講生のモチベーションを維持すること」です。どんなに素晴らしい研修でも、受け取る受講生側にモチベーションがなければ、何も伝わりません。伝わらなければ研修を行ったところで、何も変わりません。

研修を計画する時によくある失敗の1つがここなのです。みなさん、受講生のモチベーション維持が大事だということは分かっています。しかし、その問題をクリアするための目線として「研修の内容」や「研修講師をうまくマッチさせる」ことに着目して力を注いでしまうんです。

しかし、どんなに良い講師であっても、どんなに興味深い内容であっても、社内研修の場合はそういった「好奇心」「探究心」の軸で攻めるのは成功しないケースが多いんです。

手段1:座学ではなく、体と頭を動かすワークショップ・ディスカッションなどを取り入れる

研修で多いのはいわゆる「座学」ですが、みなさんの学生時代を思い出して下さい。座学はよほど講師に実力がないと集中力をもたせるのが厳しいのです。人間は同じポーズをずっと取っていると、自然と体が休息モードに入ります。例えやる気があったとしても、どうしても眠くなってしまうのです。

そこで、ワークショップなどを取り入れ、積極的に体を動かす、他の人とディスカッションをさせて頭を動かす、ということを内容に盛り込むようにします。解析士講座の場合はワークショップはありませんが、初対面の参加者とのグループディスカッションや、コンサルタントとクライアントのやりとりをロール・プレイするといった内容が盛り込まれています。また、計算問題も特に上級解析士の場合は多数盛り込まれ、考えなければ前に進めないようになっています。

そのようにして、自分の頭で考えないと前に進めない状況に、否応がなしに引きずり込んでしまう。それが大切です。研修講師の方にも、そのようなことが行えるかどうか確認し、できるだけ行なっていただくことをお勧めします。

また、グループディスカッションやワークショップは、中盤から後半に行うのがおすすめです。また、どのタイミングで行うかは研修の冒頭で言わないほうがよいです。例えば、何も言わずにテーブルの真ん中に真っ白い模造紙を置いておくだけで、受講者は緊張します。なぜなら、恥をかきたくないからです、特に企業研修の場合は。なにか行うんだ、という空気を出しておくことも大切です。

手段2:人事評価制度に組み込めるようにする

「やってもやらなくてもどうせ変わらない」と思われてしまうと、研修に対してモチベーションを持ってもらえなくなります。とは言え好奇心や探究心を刺激して「やりたい」と思わせるのはかなり難しいです。そこで効果的なのが、人事評価制度に組み込んでしまうことです。

これは大前提として、研修の結果を定量的に数字として把握できる様な仕組みになっていることが必要で(最後にテストを行う、講師がセミナー中の参加者の行動を基にそて、採点を行うなど)それができていれば、その数字を元にして四半期ごとの評価に組み入れる、あるいは年次評価に組み入れる、そういったことを行えると、参加者はモチベーションを上げざるを得ません。

このようなやりかたは、いかにも無理矢理で好ましくないと思われるかもしれません。しかし実際に行ってみるとそうでもないのです。例えばこんな声を受講生から得られます

「周りがあまり本気ではないから、自分も合わせておとなしくしていたけれど、お給料に響くっていうことになったから、それを口実に周りを焚き付けて、みんなで最終的には楽しめました」

社内研修は、顔見知りで行うことがほとんどですので、どうしても照れるというか本気になりづらいケースが多いんです。そこで口実として「人事評価に関係するから」という大義名分を与えることで、そういった照れなどを上手く回避できるのです。結果として良い方向に進みます。

また、実際これを人事評価制度に組み込むことは、上層部への報告という切り口でも有用です。最終的に研修の結果を定量的に見ることが出きるようになっていれば、その数字を元に、研修の結果を上に報告しやすくなりますよね。

例えば毎回テストを終わりに行うとすれば、その点数の絶対値や、前回のテストとの点数の違いで、受講者の努力の程度を測ることができます。もちろん、その点数は受講者にとってもモチベーションに繋がります。ウェブ解析士講座では、PC試験であればその場ですぐに100点満点中何点か結果が出ます。また、上級であれば、採点が入るのですぐにはでませんが、点数が出ます。このような定量的な点数は喜ばれています。

手段3:現場とできるだけシームレスに繋がる内容にする

モチベーションが上がらない、もう1つの原因は「どうせこれを覚えても実務に使えない」あるいは「覚えても発揮する場所がない」と思われていることです。研修というのはあくまで出発点、その後そこで得た知識を現場で活用しながら身につけていくことが大切です。

従って、できるだけその知識を使える環境を用意できるようにしておく、あるいは研修の内容を実務に沿ったものにする、添わせられるように講師に調整してもらうなどを行うことが効果的です。

とは言え、知識を幅広く得るといった目的で、研修内容とは全然関係の無い業務を行っている部署の人間を対象にしなければいけないこともあるでしょう。その際は、趣旨を説明した上で、少しでもいいから共通点を見つけるように研修担当者が説明する、プラス、手段2の人事評価制度を利用するなど、出来る限りの対応をしていくべきです。

このようなことを行い、とにかく実践させることが重要

繰り返しになりますが、研修は実は「出発点」です。それを実践して受講者自身のスキルアップ、そして会社としてのノウハウ蓄積に繋げられるかどうかが重要です。ただ「研修をしました、なんかいい話を聞いた気がする」で終わってしまっては意味がありません。

「知っている」のと「できている、実践できる」の間には、大きな隔たりが有ります。人材育成担当者は本当は研修が終わった後からが本当の仕事だとも言えます。

例えば、研修内で作った・使ったドキュメントや解析手法を実際の業務の中でも使うようにしたり、次回のフォローアップ講座を設定しておき、そこで、実務の中でどのように活用したかをプレゼンさせるようにするなども有効です。実務に近づけるという観点では、現場で使っている解析手法やアウトプット書類を、研修でも使うなどはとても効果的です。

できるだけ現場に繋がる知識を教えてくれる研修内容をセレクトし、それを研修後に実践できる場を用意する。そして研修内容は一度では頭に入りきらないので、何度か繰り返して習慣化し、身に付ける。このような流れを作っていくことができると、将来「○○さんが企画してくれたあのセミナーのお陰で、仕事の幅が広がりましたよ」といった嬉しい声をもらえるかもしれません。

そうなるように、これまでの3つのモチベーションアップ手段を使って、研修内容を受け止めてもらいそして実践してもらう、その流れを作っていくと成果につながる研修を行えます。ぜひ一つでも実践して頂ければと思います。

→ 次は「2.受講者が受け入れやすい伝え方・タイミングで実施する

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