トップページ表示は1.5秒以内! 改善のプロ集団!! 株式会社デルフィス

デルフィス

車の購入を考えたことがある方なら、トヨタ自動車のオウンドメディアtoyota.jpをご覧になった方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。今回、導入企業インタビューで訪問したのは、このtoyota.jpの運営をはじめ、デジタルマーケティング等を行う広告会社のデルフィスです。コミュニケーションデザイン局 局長代理 朝岡幹雄氏、デジタルマーケティング室 プランニングディレクター 蜷川貴昭氏、同室 プランナー 佐藤太貴氏に、ウェブ解析士協会 代表理事の江尻俊章がオウンドメディアの戦略などを中心にお話を伺いました。

*以下、敬称略

目次

オウンドメディアの目的を変更!

江尻:御社のお仕事内容からお聞かせいただけますか?

朝岡:わが社は広告会社として、トヨタやダイハツをはじめとした企業様のマーケティングのお手伝いをさせていただいています。たとえば、トヨタのオウンドメディア(toyota.jp)の運営も私どもの仕事です。

江尻:車を買われる方がいらっしゃるサイトですね。

朝岡:そうです。詳細な数値はお教えできませんが、月間かなりのアクセスがあります。日本の自動車市場が年間約500万台で、そのうちトヨタの販売台数が約150万台。月間にすると12万台強になりますが、toyota.jpのアクセス数から比べれば、もっと販売台数は伸ばせるのではないか、購入に至るプロセスの中での課題は何なのか、など、私どもが着目すべき点はたくさんあります。

江尻:難しいマーケティングをされていますね。販売会社も異なるでしょうし。

朝岡:しかもtoyota.jpはECサイトではありません。実際にお客様が購入するのは販売店なので、まさにface to faceで買っていただく世界です。リアル店舗に行っていただくようにするのが私どもの仕事なので、toyota.jpというオウンドメディアの目的は、販社への送客になります。しかも、トヨタ自動車と地元の販売店は別法人ですから、顧客情報は地元の販売店がもっていて、メーカーであるトヨタ自動車側にはありません。

江尻:法律上問題ありますし、難しいですよね。

蜷川:もう少しつっこんだお話をさせていただきますと、私どもの部署では、toyota.jpの戦略・施策立案、効果検証、改修、あとリニューアルなども担っています。そしてここ数年取り組んでいるのは、これまでお客様の情報を届けるメディア型だったサイトを、コンバージョンを獲得して、確実にお客様を販売店に送り届けるサイトにシフトしようということです。

江尻:送客数を目標にされているのですか?

蜷川:そうです。私どもでは店舗への送客をリードと呼んでいまして、2018年度はリード獲得の強化を目標にして動いています。そしてそのための施策として、toyota.jpの膨大なページを4つのブロックに分けて分析しようとしています。お客様の購入検討フローを考えて、最初に「車を知っていただく」段階、次に「車の価格を検討・機能を比較する」段階、そして「お店を探す」段階があり、これらのを経て「お店に行く」という行動につながっているはずだと考え、それぞれの購入検討段階に対応したブロック分けを行っています。このブロックではどれだけのお客様が来ていて、次にどれだけのお客様が進んでいるのか、どこで停滞していて、どこに課題があるのかを見ていこうというわけです。

江尻:リードジェネレーションですね。

蜷川:そうですね。販売店送客をリードと呼んでいるので、一般的なリードジェネレーションとは少し異なりますが。

江尻:そこまで目標にされるのは、チャレンジですね。

蜷川:ウェブ上で販売店への予約をしてくださる方のコンバージョン指標は取れるのですが、ウェブで予約せずに販売店に行かれる方が大多数なので、そこをどうしようかと、どのようにアプローチしようかと検討しているところです。

江尻:そこは難しいですね。

蜷川:きっとtoyota.jpをご覧になって、店舗に電話予約をされている方、直接店舗に行かれている方も多くいるはずです。そこも効果測定できないかと考えて、いろいろなツールを試したりしています。

江尻:どういったツールでしょう?

佐藤:具体的には申し上げられませんが、来店計測のツールをいくつか試験導入しています。

限定的に検証しながら、改善箇所を拡大!

蜷川:改善はお客様のインサイトに沿わなくてはいけないので、「timing」「comfortable」「expectation」「content」「interface」を軸にUXを設計しています。たとえば「timing」では、お客様が欲しいと思ったときに情報提供できているのか。「comfortable」では、期待した情報がすぐに情報が表示されているのかなどを考慮して改善を図っています。

江尻:かなりハードルが高いことをされていますね。ウェブ解析士協会のテキストにも書いていますが、2秒以内でページを表示するとなると、だいたい200kバイトです。重い画像ならそれだけで2秒かかりますよね(笑)

佐藤:Googleさんにも怒られながら(笑)、昨年にかなり改善をしまして、トップページは現在1.5秒以内におさまっています。

江尻:それは凄いですね!
蜷川氏と佐藤氏
デジタルマーケティング室の蜷川氏(右)と佐藤氏(左)

蜷川:どれだけリードが取れるか、目標のクリアはもちろん重要ですが、「クォリティ」「コスト」「スケジュール」から総合的に判断して改善策を考えています。

江尻:さまざまな要素を考慮して進められているのですね。

蜷川:予算も限られていますし、企画段階からチェックができるよう、管理しています。企画の段階でだめなら差し戻しますし、OKなら制作に進む。実施すると判断された場合も、まずは小さなところから始めて限定的に検証していきながら、統一基準に従って「拡大していくのか」「勇気をもってやめるのか」を判断。PDCAを回しながら改善を進めています。
佐藤:具体的には、テストツールを使ってABテストを繰り返して、効果検証をしながら制作を進めています。

ウェブ解析士の活躍の場はキャンペーンにもあり!

朝岡:これまで、toyota.jpの全体最適化の話をさせていただきましたが、車種キャンペーンにおける広告の分析も行っています。いわゆる課題発見型分析も多くやっている状況です。

江尻:車種といった商品軸や地域ごとのキャンペーンもあるでしょうし、それをこなしながらかつ、toyota.jpの改善も行われているのですね。

朝岡:そうですね。現在、弊社のウェブ解析士資格取得者は約40名。その多くが効果検証や課題発見型の分析に従事しています。一方で、職種は営業だけれど知識習得のために資格をもった人もいます。

江尻:いろいろな方に受講していただいていますね。ウェブ解析士講座も、これからどんどんバージョンアップしていきますので、このようなカリキュラムを入れてほしい、このようなことを学べるようにしてほしいというご要望があれば、どんどんご連絡ください。

まとめ

難しい課題を抱えながら、目標に向かって次々と施策を繰り返されているデルフィス デジタルマーケティング室の皆さん。なごやかにやりとりされている皆さんのお話をお聞きしながら、チームワークの良さを実感させていただきました。目標や施策が組織にいきわたっている風通しの良さが、このチームワークを生んでいるのかもしれません。本日は、ありがとうございました!

文/渡邊淳子

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