デジタルマーケティングが地方で定着しにくい理由「専門用語」という壁

デジタルマーケティングが地方で定着しにくい理由

こんにちは。

栃木県でウェブ解析をやっています。株式会社中屋(あいだや)ウェブマーケティング事業部の籐(とう)です。

栃木県の田園風景の中で生活し、県内外のさまざまな業種の方からデジタルマーケティングに関するご依頼を承っております。

比較的若い方たちが多い都市部と比較すると、地方ではデジタルマーケティングが定着しにくい傾向にあります。

都市、地方に関わらず今やインターネットは生活の必需品と言えますが、地方においてなぜデジタルマーケティングが定着しにくいのか。

私が普段の生活・仕事の中で痛感していることから得た、地方でデジタルマーケティングが定着しない理由と、定着させるためのポイントについてご紹介いたします。

目次

なぜ地方ではデジタルマーケティングが定着しないのか?

北関東の緑豊かで古い歴史のある街。私はそんな土地に住んでいます。首都圏の大都市をのぞけば、日本国内に多数存在する環境のひとつでしょう。

ここに根をおろし、ウェブ解析士として東京をはじめとした都市部はもちろん、地元の企業・自営業の方々と接するうちに気付いたことがあります。

ネット通販などデジタルマーケティングが奏功する要素が数多あるはずの地方において、逆にデジタルマーケティングが定着しにくい傾向にあるのです。

地方でデジタルマーケティングが定着しにくい実態をはじめ、その理由も、解決策も現在では見通しがつくようになってきています。

「地方の街」に根ざすビジネススタイルを模索し、人々と「講義」ではなく「対話」する中で見えてきたものです。

Webの高齢化は想像よりもはるかにすすんでいる

地方の街に住んで痛感することは、社会における高齢化とともに進む、ネットユーザーの高齢化です。

高齢者といっても、実際にはもっとも若い人で65歳。1950年代前半に生まれた人々で、会社勤めの方なら20年以上、パソコンやネットに触れている可能性が高い年代です。

もちろん携帯電話の所有率も高く、スマートフォンを使いこなす方も当たり前のようにおられます。

80歳を迎える方でも、職場にパソコンが導入されていた方が多いでしょうし、現在コミュニケーションの手段として携帯電話やスマートフォンを持っている方がほとんどでしょう。

業務においても印鑑などの押印をなくしていく動きや、オンラインでの打ち合わせ、タイムカードの打刻、各種決済手続きなど、インターネット上で完結していく流れが進んでいます。

社会の高齢化が進むとともに、Webユーザーの高齢化も進んでいます。新型コロナウィルスの影響もあり、ネットショップで買い物をする高齢者や、旅行やゴルフ、病院など、インターネットを通じてさまざまな手続きを行う高齢者も少なくありません。

これまであまりネットでの買い物や手続きをしてこなかった高齢者も、社会のデジタル化とともに、ネットショッピングやネット手続きをせざるを得ない環境に巻き込まれていくことが予測されます。

Webサイト上でユーザーがつまずく【IT段差】

私は以前、クライアントに「ホームページに設置するお問い合わせフォームに【メールアドレス】という項目を入れないで」と依頼されたことがあります。

メールアドレスは電話番号と異なり、自分で完璧に覚えている方の割合がぐっと少なくなります。

それでも若年層や、スマートフォン・パソコン操作に慣れた方なら、自身のメールアドレスを入力する方法を知っています。

しかし使い慣れていない方や、普段あまりメールを使っていない高齢者の方にとって、所有するメールアドレスは馴染みのない情報であり、つまずく【段差】になっていたのです。

当たり前のように使っている人間では絶対に気付くことができない【段差】の存在に気付かせてくれたのは、私が指導・アシストすべき顧客のみなさまでした。

この【IT段差】とでも呼ぶべきネット操作上のつまずきポイントは、実にさまざまな場所に点在しています。

さらに「知っている人間には見えにくい」という困った特性を持っています。

企業側もデジタルマーケティングを持て余しやすい

地方の街で仕事をしていると、私にとって直接のクライアントである企業様も、デジタルマーケティングを持て余していると感じることがしばしばあります。

中でももっとも大きな壁になっているのは、【カタカナ語/3文字略語】の存在です。

すでにWebサイトを持っている企業でも【カタカナ語/3文字略語】は超えにくい鉄壁

私たちのクライアントである企業様の中には、すでにWebサイトを運営しているケースもあれば、Webサイト制作からご依頼を受けるケースもあります。

優れたコンテンツを有するWebサイトを持っている企業様だから、ICTをはじめウェブに関することを熟知している、もしくは熟知した社員がいると思い込みがちです。

しかし、その思い込みは非常に危険です。

実際に企業様側の担当者とお話させていただくと、ウェブ業界やマーケティングに登場するさまざまな【カタカナ語/3文字略語】を理解していない場合も少なくありません。

担当者の方だけなら気軽に「実は分からない言葉だらけで」と打ち明けてくださることもあります。しかし、その場に社長や上司がいたらどうでしょうか。

担当者の方はフランクな話はしてくれないでしょうし、「担当している業務に分からない言葉ばかり出てくる」などとは決して言えないでしょう。

「パソコンが得意な社員」=デジタルマーケティングも分かるという誤解

ウェブ解析士として企業様とお話をする際、担当者がデジタルマーケティングの専門家である、もしくはそれなりに知識を持っているという思い込みは捨てるようにしています。

デジタルマーケティングやICTの専門知識がある、またはウェブ解析士の資格がある社員が担当者、という企業ももちろんいらっしゃいます。その場合は何も問題ありません。

しかし担当者が、PCが多少触れるからという理由で、上司の命令により仕方なしにウェブマーケティングを担当している社員だったらどうでしょうか。

一般企業の中には、社の方針でデジタルマーケティング担当者を選出しなければならず、「パソコンが得意な社員」をとりあえず指名したというケースが少なからず存在します。

そもそも、デジタルマーケティングに長けた人材が内部にいるのであれば、ウェブ解析についてアウトソーシングを選択する必要はないはずです。

ウェブ解析士としての依頼を受けたら、毎回まっさらな状態を想定して、自分自身をゼロにリセットしてからクライアントに向き合う必要があると感じています。

ちなみに僕の場合は、75歳となる自分の父親に対して、デジタルマーケティングを説明している自分を、頭の中で常にシミュレーションしています。

常識を疑え!「僕らの常識、クライアントは初耳単語」

ウェブ解析士として勉強を積んだ私たちは、資格を取得する前から少なからずウェブ、ICTに関する仕事や勉強をしていたケースがほとんどでしょう。

ウェブ解析に携わる前でも、デジタルマーケティングの重要性を感じていたからこそ、この資格を取得した方が多いと思います。

私たちにとって危険なのは、自身が積んできた経験と努力が当たり前の日常になり、【常識】になってしまうことです。

私たちの持っているスキルは、世の中にとっての常識ではありません。だからこそ難関とされる試験をクリアして資格を取得する必要があるのです。

私たちのスキルや知識が常識だと勘違いしたままでいると、クライアントとコミュニケーションを取ることが難しいという事態に陥ってしまう可能性があります。

私たちの常識は世の中の非日常であり、私たちが使っている用語はすべてが専門用語であり、クライアント・ユーザーにとっては初耳の単語だと心得ましょう。

専門用語だらけのプレゼンやサイトは何も伝えられていない

これから、マーケティング説明の例文を読んでいただきます。

EFO改善も視野にいれたLPOや、ユーザーのLTVを最大化するためにカスタマージャーニーを計画し、CVRの改善をするなど、企業のKGIを達成するために各KPIを追いかけていく必要がある。最近ではPDCAに変わりOODAなどの意思決定プロセスも採用され、自社サイトの改善評価データとして、定性的なデータとなるエスノグラフィー調査、ユーザーへのインタビュー/アンケート調査などの定量調査やユーザー行動が重要となる…

普通にスマートフォンやパソコンを使いこなし、ある程度インターネットに関わる仕事をしている人であっても、この例文はまったく理解できません。

カタカナ語のエスノグラフィーやソーシャルリスニングはもちろん、定性的、定量調査などの言葉も慣れていなければ目や耳を素通りしてしまいます。

EFOやOODAについては読み方さえ分からないかもしれませんし、説明できるほど理解している方は稀なのではないでしょうか。

こうした専門用語だらけの説明やプレゼンテーション、Webサイト内のコンテンツでは、一般の方々に何かを伝えることはおろか、読んでもらえないでしょう。

クライアントを置いてきぼりにしないための努力

クライアントとは、対話を重ねて相互理解を深め、相手が何を求めているのか、それに対してこちらはどんな提案をすべきかを分析しなければなりません。

しかし専門用語だらけの話は、クライアントに不安と不信感を与えます。私たちが一体何をしようとしているのか分からなければ、当然でしょう。

私たちはクライアントと二人三脚で、インターネットという素晴らしい媒体を最大限マーケティングに活用していくために、前提として理解・信頼してもらわなければなりません。

クライアントを専門用語の向こう側に置いてきぼりにしないために、できるだけ分かりやすい言葉で、丁寧な説明をするなどの努力が必要です。

「中学生と、65歳以上の方が分かる」説明や文章、プレゼンを目指すように、僕自身は心がけています。

生の【口コミ】力をあなどるなかれ

地方に住んでいて驚くのは、生の口コミ力の凄さです。

弊社ではウェブマーケティング事業の他、教育事業として小学生や幼稚園児向けのプログラミング教室も主催しているのですが、ある保護者が弊社のサイトの存在を知らず、お母さん方の口コミで知ってお申し込みいただいたという例があります。

インターネットが世界中をつなぐ現在でも、口コミの力は顕在しています。そのほかに新聞広告ならラテ欄の活用など、紙媒体もネット広告に合わせておすすめしています。

専門用語は「知らない方が悪い」から「用いずに説明することがプロの責任」へ

デジタルマーケティングを地方に定着させるためには、地元の方たちにもっと身近に感じていただく必要があります。

ウェブ解析やデジタルマーケティングはこれまでの広告と隔絶するものではなく、もっと便利で分かりやすく使える広告のひとつだと知っていただく努力です。

私たちが分析・理解すべきデータにも、クライアントへの説明はもっと単純で構わない点がたくさんあると感じています。

私たちの存在やデジタルマーケティングを身近に感じていただくためには、専門的な知識や用語は「知らないことが当たり前」という意識を持つことが重要です。

この業界では専門用語の多用が日常化しており、専門用語は知らないほうが悪いと捉える風潮があります。

しかし、私は「専門用語は知っていて当然」という上から目線の風潮こそ、デジタルマーケティングの地方への定着を阻害する、大きな要因だと感じています。

プロである私たちが全く知識を持たないクライアントに対応する場合、知識を持つ者の責任として、平易な説明に尽力することが大切なのではないでしょうか。

デジタルマーケティングをもっと身近に感じていただくツール

地方の企業経営者やウェブ担当者の方が陥ってしまうもうひとつの落とし穴が、「誰に相談すれば解決するのかわからない」というものです。

サイト作成やデジタル(ウェブ)マーケティングの看板を掲げる会社は数多くはあれど、本当に高いスキルがあって、親身になって相談にのり、明朗会計なのはどこの会社なのかが分かりにくいのです。

特にデジタルマーケティングに苦手意識を持っている方ほど、悩み迷った末に結局あきらめてしまうという結果に終わりがちです。

そこで、企業経営に携わる方や個人事業主、担当者の方に知って欲しいと強く感じているのが、「デジタル化応援隊」という国が行う安心の経営相談サービスです。 

デジタル化応援隊

経済産業省の中小企業庁が中心になって2020年9月からスタートしたサービス。デジタル化やIT関係でお困りの中小企業が登録・相談する窓口。登録しているITのプロたちの中から適切なアドバイザーを紹介してくれる。デジタル化応援隊から、最大3,500円/時間(税込)の謝金が支払われ、中小企業の実費負担は500円/時間(税込)~とリーズナブルに利用できる。国が設置しているので、安心して利用可能。

受付が2020年9月1日(火)~2021年1月31日(日)、支援事業実施期間が2020年9月1日(火)~2021年2月28日(日)と短い期間のチャンスです。

ぜひこの機を逃さず、活用していただきたいと思います。

この期間が終了してしまっても、中小企業庁の事業は全国規模で行われています。

よろず支援拠点

国が設置した無料の経営相談サービスで、中小企業庁が主体となって運営。経営者、従業員、フリーランス、NPOなど、誰でも、何度でも無料で利用できる。中小企業診断士、税理士、社労士、ICT関連のプロなどが所属。どんな悩みでも、相談すれば適切なアドバイザーとつなげてもらえる。全国47都道府県に設置されている。

弊社株式会社中屋(ウェブマーケティング事業部)も、デジタルマーケティングをゼロからお手伝いさせていただいております。

こうした窓口を知るだけでも、地方の中小企業がデジタル化やデジタルマーケティングでつまずくことを減らせると、ウェブ解析士として強く感じています。

著者:籐 貴之

株式会社中屋(あいだや)代表取締役。

https://remacre.jp

2016年10月にウェブ解析士マスター資格取得。ウェブ解析/分析を行えるWebディレクターとして、Webサイト(ホームページ)を利用して売上を上げる、来店数を増やす、反響を増やすといった、ウェブマーケティングのサービスを提供している。また、中小機構よろず支援拠点のコーディネーターとして、中小企業が抱えるデジタルマーケティングの課題についてサポートしている。

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この記事を書いた人

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