タグマネージャー利用調査と方向性について

タグマネージャー利用調査と方向性について
目次

はじめに

今回、小川卓さんによる「ウェブ分析論」ゼミナールにおいて、タグマネージャー(以下「タグマネ」)の利用状況について調査を行いました。 タグマネの活用は現在のウェブマーケティングにて必須のツールであり、本調査結果が少しでもお役に立てればと思い、記事として公開することにいたしました。 調査にご回答頂いた、176名の皆様ありがとうございました。 アンケートはGoogle フォームを利用し2020年5月に行われました。

今回の調査結果について

1. 調査対象について

芹澤:今回、事業会社、代理店・ベンダー、コンサルタントに属し、それぞれのポジションの方々にご回答頂きありがとうございました。(n=176)
タグマネージャーの利用状況アンケート 回答数
タグマネージャーの利用状況アンケート 回答数

2. タグマネの利用状況について

芹澤:事業会社では、タグマネが使えないと回答頂いた割合が22%と比較的高い状況でした。 代理店・ベンダーやコンサルタントについては、発火条件のコントロールまでは比較的できている状況ですが、データレイヤー等の発展的な部分まではあまりできていないという結果になりました。 タグマネについて、完璧に使いこなせる方々は、まだまだ少ないという印象を持ちましたがいかがですか。 小川卓さん(以下、小川):そうですね。タグマネは難易度が大きく分けて3つあると考えています。「決まったタグを特定のページ条件で発火する」「イベントやトリガーなど既に実装されているものを元に設定する」「新たな実装を行った上で設定を行う」の3つです。この2段階目から3段階目へのステップアップは多くの人にとっては難しい部分です。JavaScriptやPHPなどの知識が求められるためです。 しかし、私は全員がそこを目指さなくてもよいと考えています。仕組みを理解し、それを元に適切に指示ができれば大丈夫かなと。

3. タグマネの悩み

芹澤:タグマネの実装時に困ることがあるかという質問に関して、約8割の方がなんらかの困っている場面に直面しているようです。
タグマネージャーの利用状況アンケート
芹澤:頂いたコメントを下記のようにカテゴリした所、約9割が計測について正しく行われるか、もしくは知識的な部分に対して、課題を持っているようです。 正しく知識をつけることや、計測の確認をするためのポイントって何かありますか。
タグマネージャーの利用状況アンケート
小川:知識に関しては必要な実装に応じて覚えていく形で良いと思うので、『まずは「知識」を身につけていく』というのはおすすめできません。実際の案件で取り組む課題に遭遇したときに、調べる能力があれば大丈夫です。常に意識して欲しいのは「より効率が良いデータ取得方法が無いか」を考えるという事です。イベントの種類ごとにトリガーやタグを作るのではなく、1つにまとめる方法が無いか?という発想が大切です。 計測確認に関しては私も毎回苦労しています。もしアドバイスがあるとすれば、次の4点が挙げられるでしょうか。
  1. いっぺんに実装をしない。1種類ずつ確認をしていく。
  2. タグマネのプレビューモードとブラウザの開発モードを両方使って検証を行う事。それによって、何が原因で取れていないかを特定しやすくなります。
  3. 計測ができない理由は「そもそも実装されていない」「実装されているが記述が間違っている」「変数の設定が間違っている」「トリガーの設定が間違っている」「タグの条件や書き方が間違っている」「アクセス解析側で設定がされていない」のいずれかです。これを書いた順番に手前から1つずつ検証する。
  4. それでも分からない場合は相談・頼れる人を見つけておく。
芹澤:知識的な部分も重要なのですが、リレーションの部分でも困っているポイントがあるようです。何か良い方法はありますか。 ※以下はアンケートで「どういうときに困りますか」という質問に対する自由コメント欄の抜粋です
  • 依頼主の情報不足による何往復もコミュニケーションが必要になったとき。
  • 実装は制作チームが行うがアナリストへの実装依頼が来た際
  • 多数のサイトを管理していますが、GTMを取りまとめる分析部署がなく、複数人が同時に触っているため管理が煩雑です。古いタグもそのまま残っています。ルールの事例や理想的な管理方法が知りたいです。
  • GA設定や外注先の広告配信会社及びクライアントの既存デジタル担当者と連携をとる時に、知識不足(さらに疎いクライアント担当様)と連携が取れない
小川:どのページで何を取るかというのを整理した「設計書」をちゃんと用意することが大切ですね。Google アナリティクスであれば取得するイベントやディメンションの一覧がまとまった表は必須になるでしょう。 またやりとりはメール・口頭・Slack等のチャットより、Backlog・Redmineといったチケット管理できる仕組みを使うとよいでしょう。ログや実装ステータスが把握しやすくなります。

4. 困ったときについて

芹澤:タグとか広告関連で困ったときGoogleヘルプ コミュニティをよくみて、実装事例や詳細内容を探しますが、小川さんが参考になったサイト等は何かありますか。 小川:海外のサイトを中心に見る傾向が多いですが、個人的にもっとも参考にしたのはSimo Ahavaさんのサイトですね。例えば拡張eコマースであればこの記事が一番詳しいかなと。 https://www.simoahava.com/analytics/enhanced-ecommerce-guide-for-google-tag-manager/ 外部サイト等を参考にする場合は必ず、複数ソースに当たるようにしています。人によって書いてあることが若干違ったり、仕様が変わったりするためです。 いずれにせよ最初にあたるべきソースは公式のGoogle タグマネージャー デベロッパーガイドです。 https://developers.google.com/tag-manager?hl=ja

まとめ

今回は①事業会社、②代理店・ベンダー、③コンサルタントの区分にてタグマネの利用調査を行ったところ、程度はありつつも、抱えている課題ポイントに共通する点が見受けられました。 それは正しく知識を取得するための環境が足りないということが挙げられると思います。 以下は簡易な各関連図になります。

事業会社の場合

①事業会社の立ち位置で業務を行っている場合、専門的な知識は重要ではなく、ディレクションするための知識が最も求められると思います。本業の部分に注力することが必要であり、概念や簡易的な実装方法までが求められるでしょう。

事業会社に求められる知識

  • サイト構成(サイトマップの理解)
    • →どこの情報取得をする必要があるか
  • タグの概念
    • →タグで何かできるか
  • 簡易的な実装方法
    • →自社及び他社に依頼できるように

代理店・ベンダーの場合

②の代理店・ベンダーの場合、主に実装をする立場になるため、専門的知識が求められると同時に、自社で完結しない場合は協力会社に依頼する場合もあるため、ディレクションできる知識も必要になります。

代理店・ベンダーに求められる知識

  • タグの概念
    • →タグで何ができるか
  • タグ実装の実装方法
    • →自社及び他社に依頼できるように
  • タグの活用方法
    • →他案件事例

コンサルタントの場合

③のコンサルタントの場合、第三者的な視点が必要となるので、全体的な構成や専門的な知識を持つことが必要となるでしょう。

コンサルタントに求められる知識

  • サイト構成(サイトマップの理解)
    • →どこの情報取得をする必要があるか
  • タグの概念
    • →タグで何ができるか
  • タグの活用方法
    • →他案件事例
すべての業種に言えますが、もっともよい状況は、専門的な知識とディレクションができる知識があることが望ましいです。しかし、担当業務によって優先順位があるので、知識の習得は業務との折り合いを考慮しながら行う必要があるでしょう。 芹澤:今回の調査にご協力頂きありがとうございました。
また良いアウトプットを行い、ウェブ業界に共有できればと思います! 小川:Google Tag Managerは分析を拡張する上でも欠かせないツールです、ぜひ皆さんどんどん活用してください!

著者:芹澤 和樹

芹澤さん
株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ
シニアプランナー
Google Premier Partner Awards Finalists (2019)
上級ウェブ解析士
前職専業広告代理店GMO NIKKO株式会社にてコンサルタントとして従事し、DDM領域を取り組むため現職へ。旅行・不動産・人材・金融・EC・B2B等様々な業界を経験し、現在は外資系アカウントを担当。プランニング・メディアバイイング・アクセス解析、事業データ(1st Party Data)等、様々な知識を駆使して、クライアントコミュニケーション支援に従事。
「実務に役立つ」からこそ選ばれるウェブ解析士・3つのメリット
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この記事を書いた人

ウェブ解析士協会の広報を担う、トリプルメディア委員会が編集部を担っています。
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