内定辞退をひとりも出さないようにする為の応募者への動機付けと、スケジュール管理のノウハウ

皆さま、こんにちは。ウェブ解析士の横山 廣(ひろし)でございます。
私はこの20年、(株)プレステージにおきまして、『Webで人材募集を行う際の具体的なノウハウ』を中心に、コンサルティングをしております。
(株)プレステージ http://prestige3.jp

この度、4回シリーズで、【◉Webで人材募集を行う際、効果を跳ね上げる具体的手法】をお伝えしております。

初めての方には、少々難しいかと思いますので、できるだけ分かり易いご説明をさせて頂き、毎回、【私宛にご質問を頂いた内容】に対しまして、次号でお答えさせて頂く様にしております。宜しくお願い致します。

さて、3回目の今回は、【内定辞退をひとりも出さないようにする為の応募者への動機付けと、スケジュール管理のノウハウ】につきまして、ご説明して参りましょう。

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目次

❶まず、どういう場合、内定辞退は起きないのでしょうか?

インターネットで人材募集を行う時代が始まって、およそ20年が経過しております。そして、最も多くの方から頂くご質問が、【内定辞退を防ぐ対策】です。私も以前、流通業界で人事をやっておりました時、最も頭の痛い問題が「内定辞退」でした。

さて、今回もまず、皆さんに一瞬、考えてみて欲しいのですが、何故、内定辞退が出るのでしょうか? そして、どういう場合、内定辞退にならないのでしょうか?

昨今、大学生や短大生の多くは、10社以上の企業に訪問したり、受験をしたりしていると言われています。そして、間違いなく【売り手市場】ですから、複数の会社から内定をもらう学生が普通にいます。辞退しないで貴社に入社するのは、【貴社が一番入社したい会社になっているから】ですね。これは、間違い無いと思います。

そこで、今回は、その方法を分かり易く、ご説明していきたいと思います。そして、特に『新卒募集』を意識して、ご説明をして参ります。

❷【合格の理由】を説明してから、次のステップに進んでもらいましょう。

新卒募集では、都合3回から4回、学生と接触し、「内定」を伝える会社が多い様です。さて、1回目に「会社説明会」に集まってもらい、2回目は「採用担当者の面接」だとしましょう。

この場合、「採用担当者の面接」には、応募者に連絡をして、来てもらうことになりますが、ここに★大きな成功への鍵があります。その鍵とは、【会社説明(選考)会で合格した理由】を貴社から説明した上で、来てもらうことです。

ほとんどの会社が、この【合格の理由】を伝えず、マイナビやリクナビなどの採用担当者用の管理画面(マイナビやリクナビの原稿を創る、学生にDMを送る、エントリーを受け付ける、学生にメッセージを送る・・・等々の設定を行う画面のことです)から学生宛に送るメッセージ(メール)で済ませています。そして、「次のステップに進みますから、いついつ、ご来社下さい。」というものですが、これでは応募者は【動機付け】をされません。

ここでは更に2つほど、問題点がありまして、

1.学生にメールを送る会社は無数にあり、埋もれてしまう。 ・・・ということと、
2.急に来社日時を指定されても、訪問することが出来るとは限らない。 があります。

【会社説明会で合格だったら、面接はいつになるのか?】を、会社説明会の時点で広報しておくべきですが、これをやっている会社も「少数派」であることが分かっております。

学生への連絡方法(手段)ですが、昨今の学生の多くは、マイナビやリクナビに「携帯の番号」を載せています。電話で「合格の理由」を伝える会社も実際にはほとんどありませんから、こうしたことが【差別化】になりますね。
学生が嬉しいことが『動機付け』であり、それをすることが【意味のある差別化】だと思います。

❸どういう面接を行えば、効果があるのでしょうか?

応募者が沢山の会社を見比べる時代ですので、面接も【応募者に与える印象】を大きく左右していきます。

さて、多くの会社で、この面接の最初に応募者に「自己紹介」をしてもらったり、「自己PR」を語ってもらったりしているわけですが、この冒頭から工夫をしていきませんと、他社と同じ様な、「応募者の印象に残らない面接」で終わってしまいます。

例えば、面接の冒頭で、まず、面接官の側から応募者に名刺を手渡し、自己紹介を行っていきますと、他社とは大きく違う印象が伝わっていきます。如何でしょうか?

一方、面接の本来の狙いは、『本音で語り合うこと』だろうと思いますが、それを考えますと、応募者にリラックスしてもらい、「喋り易い環境を創ってあげること」が大切ですね。

心理学的に、人は自分の趣味の話題の時、一番、饒舌(おしゃべり)になるのだそうです。最初に訪問してもらった際(会社説明会の時)に、書面に「趣味」を少し詳しく書いてもらっておけば、面接に大いに活かせそうですね。

また、終了時、【今後の予定(次の経営陣の面接など)】を口頭で説明し、書面でも渡す様にしますと、本当に丁寧な印象を与えることが出来ます。どの会社でも、準備をしておけばできることですが、やっている会社がほとんどありません。

こうした【採用業務のやり方の差・気配りの違い】によって、『応募者の入りたい会社の順位』が、刻一刻、入れ替わっていきます。

❹★他社も呼ぶであろう特定の日に、学生を呼び込みます。

「学生の応募者に、いつの間にか、逃げられてしまっている。他社は、どの様にスケジュール管理を行い、辞退を防いでいるのか?」というご質問を、頻繁に頂きます。

ここが、【新卒募集を行う上で一番大切な、スケジュール管理の進め方】だと思います。

一言で申しますと、★他社も集めようとしている日に、採りたい学生を集めていきます。では、それは、いつでしょうか? 下記は、経団連が発表しております「採用選考に関する指針」です。そして、様々な解禁日が「1日以降・・・」と記されています。

経団連:採用選考に関する指針 (2017-04-10) http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/030.html

1996年まで、「就職協定」というルールがありましたが、ここでも「1日以降・・・」というルールがほとんどであった為、大手企業を中心に「学生を1日に集める習慣」の様なものが形成されてきました。その為、7月1日、8月1日、10月1日など、「各月の1日」に学生を集める会社が、比較的多く、存在しています。

言い換えますと、貴社と採用活動で競合するであろう他社が、ある月の1日に学生を集めるなら、貴社も同じ1日に呼ぶことによって、その学生が貴社に入ろうとしているか否かが分かる・・・ということです。

【ここで重要なこと】は、個々の学生の立場になった時、貴社に入社したい学生が、他社からは来月の1日に呼ばれているのに、貴社からは呼ばれていなかったら、どう思うか? ということです。「募集の上手な会社」は、こうした学生の心理を研究し、それに基づいて、『新卒募集を行う上での業務のスケジュール管理』を行っているわけです。

❺【内定を出す理由】を、書面でキチンと説明していきます。

新卒募集、中途募集を問わず、『応募者に内定を伝える方法』として、「会っている時に口頭で伝える」「メール」「郵送」・・・などがあり、ほとんどの会社がこのいずれかで伝えています。

「郵送」の場合も、「他の応募者と共通の、内定を伝えるレジメ」の一番上に、宛名が書き込んであるだけの書面が圧倒的に多いです。この、一番大事なところ(内定を伝えるところ)が他社と同じになってしまうのは、本当に勿体ないことだと感じます。

応募者の気持ちを考えますと、貴社がまず、【内定を出す(出したい)理由】を書面にまとめ、それを応募者に熟読してもらい、納得してもらった段階で正式に内定を伝える配慮が必要だろうと思います。

入社後、ずっと頑張って欲しい貴重な応募者に内定を出すわけですから、これくらいの気配りは、最低限、必要だと感じます。

そして、この書面が「最終面接者」であった社長や人事部長のお名前で記され、そこに面接に立ち会った社員の名前が添えられていたなら、応募者の気持ちは如何でしょう?

以上、ここまで、【応募者にとり、最終的に貴社を一番入社したい会社にしていく動機付けの方法と、新卒募集特有のスケジュール管理のやり方】について、記させて頂きました。

★☆★皆さまからのご質問にお答えして。

5月11日に掲載致しました2回目の内容に関しましても、ご熱心なご質問を頂き、誠にありがとうございます。早速ですが、下記の3つのご質問にお答え致します。

①新卒募集で、会社に訪問してくれる学生の人数が激減しているが、大勢の学生を集めたい場合、求人サイトのDMが全てなのか?

お答え:これも、近年、非常によくご質問頂くことです。【数字の捉え方】で、お答え致しましょう。

一般的にですが、学生が企業に関心を持った場合、求人サイトの「エントリー・ボタン」を押します。多くの企業では、この「エントリーの総数」を、新卒募集の母数の様に捉えています。そして、エントリーの総数が、仮に100名なら、経験上の数字から、その5%の5名が訪問して来る・・・という算式を持たれています。その為、今、訪問学生が激減してきたなら、エントリーの総数を増やさないと!! となりますから、当然、DMをもっと沢山送らないと駄目だろう・・・という発想になっていきます。

しかし、先ほどの「5%」。これを【訪問率】と呼んだとしますと、この【訪問率】を上げる方法が分かれば、どうでしょう? 『局面』が大きく変わっていきます。

1.求人サイトを丁寧に見て頂きますと、ホテルの宴会場などを使って「会社説明会」を行っている会社が稀にありますが、これは、【訪問率】を上げる効果的な方法のひとつです。ホテルは駅の近辺や市街地にあることが多いですから、学生にしてみれば極めて行き易い会場となります。

2.「学生を集める日時」も、【訪問率】に大きく影響してきます。平日の日中に学生を集めるなら、土曜日の日中の方が遥かに集め易いです。これは、「土曜日に会社説明会を行っている会社」が少ない為で、求人サイトを見てもお分かり頂けると思います。同様に、「日中」では無く、「夕方」も、集めている会社が稀ですから、集め易くなります。

整理してみますと、【求人サイトの広告(原稿)をどう書くか?】は極めて重要で、取り分け、『ひとりでも多くの学生に訪問してもらえる様にする為の様々な工夫と、それら工夫箇所の求人サイトへの掲載』は、貴社がそこから「今までとは違う次元での新たな数字」を捉えていくことに繋がり、確実に、貴社の募集ノウハウに蓄積されていきます。

②求人サイトで募集を行う際、自社のホームページとの絡みで大切なことがありますか?

お答え:このご質問は、募集の成否に関わる非常に大切な内容のご質問だと思います。

多くの企業で、『募集に関する情報は求人サイトのみ』に掲載されているのですが、今、ほとんどの応募者がホームページも併せて読む時代です。

1.「採用情報」をホームページに載せている会社もありますが、雇用の条件など、求人サイトに載せた情報と完全に一致しているか? 常に確認をして下さい。

2.ホームページを見ていて、再び、求人サイトの貴社のページに戻るのは難しい場合もあります。それもあり、ホームページの採用情報のページからも「応募」ができるようにしておきましょう。

3.営業でホームページを考えた時、【資料請求をしてもらうこと】をコンバージョンのひとつとしている会社は、多々あると思います。ところが、「求人」を求人サイトやホームページに載せているのに、資料を送らない(送る様にしていない)会社がほとんどです。※大切な部分であり、下記でもご説明致します。

③学生から「エントリーしているのに、それを確認できません。」と言われてしまいました。これは何故でしょうか?

お答え:これも、「求人サイトの盲点」のようなところであり、良いご質問だと思います。

1.実際には、「エントリー者への自動のサンクス・メール」が送られますので、学生もエントリーの確認はできる筈ですが、大量のメッセージが届き続けますので、埋もれてしまうというのが原因の1つです。

2.もうひとつは、【折角、エントリーをしてもらっているのに、会社の資料を送る会社が極めて少ない(10%前後)】ことも原因となります。

元々、「エントリー」という言葉は、「資料請求」という言葉を置き換えたものでした。その意味合いが、約20年の求人サイトの歴史の中で薄れていき、資料をきっちり送る会社が異常と言えるほどに少なくなってしまったわけです。

学生の側に立ちますと、ある会社は資料を送ってきてくれ、中に「エントリーの御礼の挨拶文」まで同封されているのに、ある会社からは資料が届かなかったなら、「この会社、エントリーを受け付けてくれたのかな? 大丈夫かな?」と思うのが普通ですね。

この資料送付は、前述の【訪問率の改善】にも大きく繋がっていきます。ここでも、『求人サイトにばかり頼り過ぎないこと』が重要になりますね。

まとめ

今回もお読み頂き、ありがとうございました。さて、次回(最終回)は、採用をする前段階で極めて重要な【ひとりひとりの応募者の入社後の業績の精密な予測方法】を掲載致します。

また、冒頭でもご説明しました通り、今回も、皆様からご質問頂いた内容に対し、次号でできる限り、お答え致します。尚、今回(3回目)の内容に限らず、

1回目の【現実に掲載効果の出る、求人サイトの正しい掲載(活用)方法】
2回目の【求人サイトの効果に極めて影響力を持つ給料の金額と、そのPRの方法】

の内容に関しましても、また、「求人サイトの様々な領域」に関しましても、ご遠慮なくご質問下さい。引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。

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この記事を書いた人

1978年、慶応大学商学部卒。静岡県生まれ。流通業界(人事部門)を経て、1984年、急成長の(株)リクルートに入社。品川営業所長、西新宿営業所長などを経て、1989年、コンサルティング会社:(株)プレステージを設立。
以来、★徹底した分かり易さをコンサルの方針とし、30年、コンサルティングを続けております。
趣味として、旅行、写真、車、カラオケ、飲酒(^^)などがございます。

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