「ブランドとは記憶」である! ビールを軸にブランドとは何かを考えてみた

SMM委員会メンバーの小野寺翼と申します。普段はメンバーズという会社で、企業のソーシャルメディアマーケティングを支援しています。また、ソーシャルメディアの国内普及を目的に活動している団体・SMM委員会(母体:ウェブ解析士協会)にも参加しています。

趣味は料理とトライアスロン。そして、国産4大ブランドビールを飲み分けられる、いわゆる利きビールができるほどのビール好きです。

今回は、「ブランド」とは何か? について一般的には差別化の難しいビールを軸に考えてみましょう

目次

「ブランド」=「記憶」である

皆さんは「ブランド」と聞いてどのようなものだと思いますか?

さまざまな考え方がありますが、ブランドとはタイトルでも紹介の通り、「ブランド=記憶」が一つの解です。ちなみにこの答えは愛読書『ここらで広告コピーの本当の話をします。』(著:小霜和也、宣伝会議)では以下のように言及しています。

まさにその通りと感じました。

今回、「ブランドとは記憶」である。このことがよくわかる、私がビールを通じて味わった体験を紹介します。

「帰りの新幹線で飲むビールは美味い!」父親の一言から「キリン一番搾り」のファンに

私がまだ、ビールの味など到底わかるはずもない小学校高学年か中学生の頃。父親と一緒にテレビを観ていたら、とあるビールのテレビCMが流れてきました。内容は出張帰りの男性(演:少年隊の東山紀之さんだったはず)が新幹線の中でビールを美味しそうに飲むというもの。

月日は経ち、21歳になりました。諸事情で大阪に行った、帰りの新幹線「のぞみ」に乗った時、このエピソードを思い出しました。乗車後すぐ、迷わず売店に走り、適当に「キリン一番搾り」を選び購入。席に着き、新幹線が走り出したと同時に、缶を空け一口飲んだわけです。そのときの率直な感想は……

この時、適当に選んだ「一番搾り」が、一番美味しいビールだと思い込み長らく愛飲することになるのです。

このエピソードの肝は、以下の2つの記憶です。

  • 父親のコトバ「出張帰りの新幹線で飲むビールは美味しい」という記憶
  • 何かを終え、落ち着いた「帰りの新幹線」で美味しくビールを飲んだという体験

 

この2つの記憶がたまたま選んだ「キリン一番搾り」というブランドに結び付き、私にとってのブランドを作っている点です。
ブランドとは、ハッピーな体験と紐づく記憶で作られるものなのです。おそらく、この時、他社のビールを選んでいたらそのビールのファンになっていたことでしょう。きっと……

ただ、フォローしておくと「キリン 一番搾り」をスッキリではあるけれど軽すぎない美味しいビールです。特に和食との相性がよいですね。今でもよく飲んでいます。

旅行中に飲む、北海道限定の「サッポロクラシック」が美味しいワケ

「ブランド=記憶」という事例をもう1つ紹介します。

すっかりビール好きになった私。20代はたくさん過ぎるほど飲み、30歳を迎えました。そんな私は、とある夏休みに北海道旅行に出かけました。札幌で蟹やラーメン、旭山動物園、函館の夜景など北海道を満喫していました。この楽しい旅行で絶対にはずせなかったのが、「サッポロクラシック」というビール。このビールはサッポロビールが北海道限定で提供しているビールです。旅行中、ホテルの売店にあり「北海道限定」というワードに惹かれ、飲んでみた率直な感想は……

2014年9月:佐渡国際ト2010年9月:北海道旅行中にホテルの一室で飲んだ「サッポロクラシック」

2010年9月撮影:北海道旅行中にホテルの一室で飲んだ「サッポロクラシック」

 

そもそもの味の好みもありますが、楽しい旅行中で、テンションが高まっている状態で飲んでいるから、より一層美味しく感じたのでしょう。

ここで、ポイントを解説します。「北海道限定」=「北海道旅行中にしか飲めない」という意識から、以下のような体験が生まれています。

旅行という楽しい体験が生んだ「記憶」が、見事にブランドを作っています。

一例ではありますが、この「地域限定ビール」という販売戦略、実に上手い戦略だと考えています。サッポロビールは、地域限定販売という戦略を他地域でも展開しています。
もう一つ私が体験したサッポロビールの地域限定戦略エピソードを紹介します。

新潟に来たら「風味爽快ニシテ」が飲みたくなるワケ

冒頭で紹介の通り、私はトライアスロンを趣味としています。2年前の2014年9月には新潟県の佐渡島で開催される「佐渡国際トライアスロン」に出場し完走しました。余談ですが、このレースは国内最長レース(Swim:3.8km、Bike:190km、Run:42km)という過酷なレースです。

そんな過酷なレース終了後に飲むと決めていたのが、「新潟限定ビイル 風味爽快ニシテ」でした。

レース前日、その時泊まっていた旅館の自動販売機でこのビールを購入し、冷蔵庫に保管。もちろん、グラスも一緒にいれて冷やしておきます。

ゴール後、旅館に戻り、お風呂上りにこの「風味爽快ニシテ」を飲みました。やはり格別でしたね。そして、本気でこう思いました。

2014年9月:佐渡国際トライアスロンゴール後に旅館で飲んだ「風味爽快ニシテ」

2014年9月撮影:佐渡国際トライアスロンゴール後に旅館で飲んだ「風味爽快ニシテ」

やはり「ブランドとは記憶」である

私の思い出や、ビールへの愛を語りすぎてしまいましたが、そもそもの「ブランドとは何か?」に立ち返ってみましょう。

実体験からやはり「ブランドとは記憶」ですね。高揚感の高まり、幸せを感じる体験などの記憶にブランドを紐づけることが重要だと考えます。

今回、ビールという商材をテーマに考えてみました。私がビール好きということもありますが、ビールという商材は、ブランド毎の味の違いがわかりづらい商材であると感じます。私みたいに利きビールができるほどのビール好きなど珍しいでしょう。

だからこそ、差別化が難しい商材でもこのような体験を通じた「記憶」との紐付けによって「ブランド」が構築されていくのです。

実際にWebマーケティングやプロモーションに携わる読者の方も多いと思います。そんな皆さんにとって、私の体験が「そもそものブランドとは」という本質を考えていただくよい機会となれば幸いです。

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

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この記事を書いた人

ソーシャルメディアの活用と支援の改善を目的に活動している団体・SMM委員会(母体:ウェブ解析士協会)メンバー。普段はメンバーズというWeb制作会社で、企業のソーシャルメディアマーケティングを支援しています。また、ソーシャルメディアの国内普及しています。主な著書に「エンゲージメント・マーケティング ~Facebookが生み出す企業と生活者の絆~」、「Facebook プロフェッショナルガイド(マーケティング編、デザイン編)」(いずれも共著、マイナビ)、「現場のプロが教えるWebマーケティングの最新常識 知らないと困るWebデザインの新ルール5」(いずれも共著、MdN)など多数趣味は料理とトライアスロン。

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