2021年10月30日モンゴロイド 代表 笹川氏「EC改善 ~4つの事例~ 」&2021年度ウェブ解析士フォローアップテスト対策講座 イベントレポート

こんにちは。ウェブ解析士東北支部の北風です。
今回は2021年10月30日にオンラインで開催された【ウェブ解析士資格維持期限直前!!】東北↔近畿支部の入替講演!モンゴロイド 代表 笹川氏「EC改善 ~4つの事例~ 」&2021年度ウェブ解析士フォローアップテスト対策講座
の参加レポートをお届けします。
目次

このセミナーについて

第一部のセミナー講師は大阪に拠点を持ち、ウェブ解析士マスターでもある株式会社モンゴロイドの笹川賢さん。近年増加しているEC案件について特に明確な目標や目的などが定まっていない時にどうしたかという点を4つの事例を交えてわかりやすく伝えていただきました。 第二部はフォローアップテスト対策講座で、『ウェブ解析士』パートをb.mode(ビーモード)株式会社代表の三浦 哲志さん、『上級ウェブ解析士』パートをWACA東北支部長の尾形 夏志さんに実施していただきました。

このセミナーでわかる事

【第一部】
  • 4つの事例をもとにEC改善の仕事の進め方がわかる
  • プロジェクトを進めるにあたって、お客様との話し合うべき点がわかる
  • 明確な目的がないお客様への優先順位の付け方がわかる
【第二部】
  • 2021年度ウェブ解析士フォローアップテストの対策・試験のポイントがわかる
1:特別講演『いろいろ定まっていないEC案件を前にしたとき、自分たちはどうしたか ~4つの事例~ 』株式会社モンゴロイド 代表 笹川 賢氏 1-1:EC案件について大切にしている4つのこと 1-2:EC改善の大まかな流れ 1-3:4つの改善事例 事例1:前年度比較で売上213%UPになった革製品販売のA社 事例2:ECサイトのCVRが128%UPしたタオルメーカーB社 事例3:ロードマップとテーマに沿って売上305%アップしたルームフレグランスC社 事例4:売上512%UPを実現した生活用品・雑貨取り扱いD社 1-4:4つの事例に関する共通のポイント 2:フォローアップテスト対策講座 ===================================== 1:特別講演『いろいろ定まっていないEC案件を前にしたとき、自分たちはどうしたか ~4つの事例~ 』株式会社モンゴロイド 代表 笹川 賢氏 1-1:EC案件に必勝法はないと思っているが、大切にしていることはある。 まずEC案件において、モンゴロイド社が大切にしている4つの事を解説いただきました。総じて言える事としては「話し合いをしっかりする」事になります。 【1】「スタートの枠組み」を決めること WEBマーケティングは一緒に伴走して成果を出す以上、付き合いが長くなります。しかも、ゴールはその時々によって変わってくるために、ただサイトを作って終わりというわけにはいきません。マーケティングに終わりはないので、「最初のうちに話しておかなくてはいけないことは話しておく」点を徹底しているそうです。 【2】ビジュアルの方のデザインに逃げない かっこいいデザインや社長がサイト気に入っただけで満足されてしまう事が実際の現場にはあります。これだけで満足しないように気をつけているとの事です。 【3】クライアントの資源(リソース)について話している モンゴロイド社ではご依頼が来た場合には予算だけをお伝えする事はしていなく、クライアントの人・もの・金の部分を聞くようにしているそうです。 何を作って欲しいか、納期、予算がざっくりしている場合が多いので、しっかりこの3つを確認することで漏れを防いでいるとの事です。 【4】「どこに時間とお金を費やさなくても大丈夫そうか」をじっくり話している 話し合いをしていくと、色々なアイデアがでて全部やりたいとなる事が多いが 「全部はできないという事」をモンゴロイド社ではきっちり伝えているそうです。 ”捨てる覚悟をきっちりともつ”という言葉が印象でした。 1-2:EC改善の大まかな流れ EC改善を進めるにあたってモンゴロイド社は以下の流れを重視しているそうです。 ①    クライアントの背景をしっかり聞きだし現状把握をする ②    プロジェクトの目的と現状のギャップを確認 ③    仮説を立てるために初期解析 ④  課題を抽出して仮説としてまとめ、テーマにする この流れを、4つの事例を用いて解説していただきました。 事例1:前年度比較で売上213%UPになったA社のサイトリニューアル 事例の1つ目としてはA社(革製品のOEM)年商60億円企業のECサイトリニューアルについて解説いただきました。 A社はBtoC向けにオリジナル革製品のブランドを展開している企業であり、ECの売上が月商300万前後で伸び悩んでいることからご相談いただいたそうです。 事例の詳しい内容を先程の4つの流れをもとに解説していきます。 ①現状把握 プロジェクトを前に進めることを最優先に話し合いをする 現状把握の段階で、現場の人から色々と話しを聞くと「変えられない事実」や「直ぐに解決しない話」が多くでてきたそうです。 (例えば、サーバーへの不正アクセス事件や決済代行会社のサポート終了など)ただし変えられない事実を深堀してもしょうがないので、プロジェクトが前に進む事象について焦点を当てることが大事だとおっしゃっておりました。 またお客さまが課題と思っている事に「どんな要件を満たしたいのか」をきちんと聞く事も徹底しているそうです。意外と要件を聞くと実現したい事と手段があっていない事もあるのは現場でもあるので重要ですね。 ②目的と現状のギャップを確認 売上アップとはどれくらいなのか、やむを得ない事情(外部要因)への対応をどうするかなどを確認しつつ、今後の運用方針を決定していく段階に移るそうです。 その際に、お客様の社内ですでに弱点や伸びしろだと思っている仮説をもっているのかなど確認することを怠らない事もポイントだとおっしゃっておりました。 ちなみにリニューアル後どうしたいのかなど未来の話も、この段階でするという話は印象的でした。 目的と現状のギャップを埋めるための道はたくさんあるので、あえて沢山ヒアリングすることが、結局は今後のプロジェクトの進行をスムーズにする最適な道につながるとも言えます。 ③仮説を立てるための初期解析  「いい分析だったね」で終わらせない 案件に実際に入るまえに現状の数値を分析する事をモンゴロイド社では初期解析と呼んでいるそうです。この初期解析の場面で特に気をつけていることとして 「こんな事がわかったんですが、実際はどう思いますか?」という聞き方をするようにしている事。この答えによって、どこをお客様と目指すのかという話になるそうです。
④仮説をいくつかまとめて、案件のテーマを明確化 課題から仮説を掘り起こしてくると、一つの柱となるテーマを決めます。 今回のA社に関してはユーザーに対して「わかってくれる→わかってもらう」 という事をリニューアルのテーマにしたそうです。 またその場の盛り上がりで忘れてしまう事もあるために、きちんと言語化して 共通認識を持つことが重要とおっしゃっていました。 きちんと言語化することで、迷った際の判断軸になりお客様との共通言語ができあがりスムーズに進むそうです。 結果:売上が6ヶ月平均で213%アップ。仕事の進め方も評価される。 売上が上がった事でお客様が喜ばれたのはもちろんの話ですが、それだけではなく仕事の進め方を評価されたとおっしゃっていました。 確認作業や認識作業を明文化したことでスムーズに仕事が進んで、お客様の担当者も気持ちよく仕事ができたことから高評価につながった事例とも言えます。なおかつ、進め方が評価されたことで、同じお客様から別の相談につながったそうです。 仕事の仕方がよいと「仕事の報酬が仕事で返ってくる」ということが実践されており、丁寧な仕事だからこそ高評価につながっていたのではないかと実例をお聞きし感じました。 事例2:ECサイトのCVRが128%UPしたB社 次にB社(タオルの製造小売メーカー)の事例を解説いただきました。 具体的には粒度が違う課題が沢山でてきてしまう事、そして業務フローが煩雑で本業に集中できないという課題が顕在化していたそうです。
①現状把握 いきなり仕様を固めるのではなく、どこまで求めるかを明確に深堀りする作業から今回の事例も始まっています。今回は特にすぐには深堀りできないものも多く存在するので、優先順位を明確につけることに重きをおいています。 ②目的と現状のギャップを確認 外せない目的である売上アップと業務効率化をどこまで求めていくかを再度現場レベルで 確認したそうです。 仮説をたてるための初期解析 仮説たてのために初期解析をすると以下のようなことがわかったそうです。(図参照)
※今回の場合はコンバージョンは購入と定義 この中の仮説をいくつかピックアップして次の作業にはいります。 仮説をいくつかまとめて、案件のテーマを明確化 初期解析ででてきた事実データをもとに仮説をだし、大きく2つの仮説に今回は着目されています。 ・迷わない画面設計は当たり前だができておらず、ユーザが見つけたいものに出会えていないのではないか。 ・カートを制作する側の目線が強すぎてユーザ目線なのではないか。 特にメーカー側の目線だけでなく制作会社側の作り込みの目線で制作しすぎているというのも印象的でした。
結果B社の場合はユーザーが探して見つけるのではなく、提案して出会うスタイルにする。 というテーマに決定。
ユーザーが最初から欲しい商品が決まっていることは稀であり、見つからなければ競合他社の商品に向かってしまうのではないかという仮説のもとガイドコンテンツを設置。 具体的にはギフトであればいつのギフトなのか、なおかつ親御さん向きなのか、お子さん向きなのかなど、細かなコンテンツを設置したそうです。 結果:CVRが改善されて128%の売上げアップに貢献する成果がでております。 ※今回の事例がCVRの改善率になったのは、GAの設定が対策する前年の売上データ(eコマース設定)が図れていなかったため 事例3:ロードマップとテーマに沿って売上305%アップしたC社 3番目に解説いただいたのはルームフレグランスメーカ-C社です。 こちらはモール型出店の事例になります(具体的には直営店・百貨店への卸・楽天市場に出店) モール型は1つの事業だけでなく多店舗を出店することが前提となっており、オフラインで卸をしている部隊とECやモールなどで直販部隊がいる例としてあげられていました。 ①現状把握 ヒアリングしていく中で、担当者がEC業務と通常業務の兼務で仕事をしていたり、コーポレートサイトの見直しの検討や「資格業」もビジネスの展開として検討しているなど様々な課題が 混在している状態からスタートしたそうです。
②目的と現状のギャップを確認 やりたいことが多すぎると、社長の一声で変わってしまったり、どれも進まない事などがあるために、優先順位が判断できるところまで全体像を整理する(解像度を高める)という事を意識されたそうです。その中でも、今回はECの売上アップにフォーカスし、他のやりたいことについては後に回す事を決定。 またECの売上アップを具体的にすすめていく前に半年~1年くらいの幅で、どう進めていくかというロードマップを作成し、お客様との共通認識を作ったそうです。
③課題から仮説の抽出 今回の事例の場合はヒアリング段階で卸の部署と、特販部門の対立構造ができていることが 課題としてあげられていました。社内での評価の取り合いではなく、市場を取りに行くという方向性が全体的によいのではという仮説を立てたそうです。
④仮説をいくつかまとめて、案件のテーマを明確化 C社の場合は課題をもとに「社内事情で思いっきりやれない→社外の新たなパイを全社で獲りにいく」という位置づけに決定。 テーマをもとにサンプルの無料配布や、面を広げる活動など今まで実施していなかった施策を実施したそうです。 結果:売上が305%アップ 最初に設定したロードマップをテーマに沿って実行していったことが少しずつ売上に効いてきた要因とおっしゃっておりました。現在は売上ではなく人員問題を解決している。 事例4:売上512%UPを実現した生活用品・雑貨取り扱いD社 最後はD2Cやモールにも出店している生活用品・雑貨を扱っているD社のリブランディングが成功した事例となります。
①現状把握 お客様が何から手をつけていいかわからない状態なので、社内の体制などを確認した所 社長と社長の奥様がデザインを担当しているために、市場を加味していない可能性があることが判明したそうです。
②課題から仮説の抽出 市場を加味せずに、なんとなくで制作してしまっていたがために言語化されていないという課題を発見。結果リブランディングが必要なのでは?という仮説に至ったそうです。
③仮説をいくつかまとめて、案件のテーマを明確化 その結果「計画を立てて一つずつ進める」というテーマに決定。 ただしリブランディングは中長期的な話になるために、目の前の売上を小手先のテクニック (売れるものだけを売るに注力)を使って上げて信頼を獲得する方向性でリブランディングと同時並行動いた。
結果:売上512%がアップ 抱えている課題を言語化。本来お客様が表現したかった事を明文化して共通言語を作ることで信頼関係が気づけたことがリブランディング成功の秘訣とおっしゃていました。
1-4: 4つの事例に関する共通のポイント 4つの事例に共通して言えることは以下の点となります 「スタートの枠組み」をしっかりデザインするように、案件の初期段階に時間をかける ビジュアルのデザインに逃げないように「設計まわりを重点的にやる」 企業の資源(リソース)について話合うことでリソースの過不足と役割分担を明確にする どこは時間とお金をついやさなくても大丈夫かをじっくり話すことで、案件優先順位や計画性を持たせる(ロードマップは有効的) お客様との深く長い信頼関係ができているのは、ヒアリングに入念に時間をかけ凡事徹底しているモンゴロイド社だからこそ。一つ一つの事例もどれも濃い内容だったのですが、時間の関係で本当はもっと色々な裏話があったんだと思われる貴重な講義でした。 第二部「ウェブ解析士フォローアップテスト対策講座」 第二部はフォローアップ試験の内容を参加者とともに実施し、さらに解説を『ウェブ解析士』パートをb.mode(ビーモード)株式会社代表の三浦 哲志さん、『上級ウェブ解析士』パートをWACA東北支部長の尾形 夏志さんに実施していただきました。 各自問題を説いた後にお二人の講師の方々から丁寧に解説いただいたので、迷った問題などを直ぐにクリアにすることができ、一切もやもやが残らない内容でした。 また参加者の方も非常に積極的で、ウェブ解析士の資格更新意欲の高さも印象的でした。 ======================================= 第一部では当たり前のようですが、お客様の現状をきちんと把握して優先順位をきっちり決める事を怠らない。共通認識をもつように言語化する。といった事の徹底がEC案件改善の成功の鍵になると強く感じました。明日からでも使える内容だったので、今後のクライアントワークに個人的には生かしていきたいです。 第二部については、知っているようで知らない知識もありフォローアップテストの重要性も改めて感じました。個人でフォローアップテストを受けるよりも講師陣からの学びが多かったので、来年も更新の際には、今回のようなセミナーとともに受けたほうが間違いがないと感じた時間でした。
事業支援委員会

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