日系企業と海外企業のマーケティングの違い ── 日本企業の海外進出のヒント ──

グローバルマーケティングのイメージ

6年間のデジタルマーケティング業界を経て、日系企業の海外進出(主に東南アジア)を全面的にサポートする会社、WEZERT(ウィザード)を経営して、今年で4年目になるジョセフィンです。

スケール、期間と内容はさまざまですが、約34社に関わらせていただきました。私が関わったアプリストアのプロジェクトでは、アプリストアのダウンロードがリリースしてから3ヶ月で20万ダウンロードを突破し、アプリストアの売り上げがリリース1ヶ月目と比べて4倍の160万円超えとなりました。

今回は、日系企業と海外企業のマーケティングの違いから日本企業の海外進出のヒントをご紹介します。

日本はとても素敵な国です。観光地としても知られ、多くの観光客に好感を持たれています。海外の観光客が日本の電器店やドン・キホーテや薬局などで爆買いする光景は決して珍しくなくなりました。しかし日本発の越境ECが海外で成功している例が少ないのはなぜでしょうか? 日本の市場への理解は完璧ではないですが、在日経験があって、日本人とコミュニケーションができて、外国人だから気づく、日系企業と非日系企業のプロモーション視点の違い、そして日本から海外進出する時に考えるポイントを、私の視点で共有します。

日系企業と非日系企業との考え方の違い 

Time is Money.  時は金なり。時間にシビアなのが、ECで成功している非日系企業の特徴です。個人的な印象ですが、日系企業には‘ホウ.レン.ソウ’のお客様の確認と承認が最優先になり、スピーディーではありません。もちろん、お客様の了承がないまま適当に仕事をするべきではありません。日系企業はもっと柔軟に対応するべきということです。

国民性かもしれないですが、完璧なものを出したがるのは日系企業の特徴です。そもそも完璧なキャンペーンは存在しません。方向性、KPIとコアの宣伝素材が確定していれば、あとはマーケターに自由にやらせるべきです。プロモーションに対するオーディエンスの反応を見て、素早く最適化することこそ成功への早道です。

何をどこで売りたいではなく、売れるマーケットを選びましょう

PDCAはとても大切です。実際やってみなければ、すべては仮説でしかありません。何の商品をどのマーケットでどのように売るかの選定する方法もこうであるべきです。

例えば、シンガポールはGDPが高いため購買能力が高く、市場としては魅力的です。また、法人税が低く、日本人が住みやすい国ナンバー1に選ばれています。上記の理由でシンガポールに進出する会社を多数知っています。

しかし同じ東南アジアでも、家賃と人件費は周りの国と比べて最低2~3倍高くなります。店舗ビジネスは一番コストが高いのですが、私が知っている日系スキンケアメーカーは、4年前にテストマーケットをせず、いきなりシンガポールで店舗を構えました。未だに赤字です。まずは越境ECで、コストを抑えながら、売れるマーケットを明確にすることが得策だと思います。

東南アジアで推薦されるデジタルマーケティングの手法

日本との大きな違いはTwitterの存在のなさです。使用される言語が多いことと学歴レベルの格差が原因だと見ています。インドネシアだけで700言語、フィリピンは120から187言語で、タイは62言語あるといわれています。その上に、国によって学歴レベルの格差を加えると、文字ベースのTwitterの存在のなさも納得できます。

文字でなければ、何かというとビデオマーケティングが効果的です。タイのコマーシャルは「長いのに面白い」で有名です。バンコクは東京より前から電車内でコマーシャルを流していたと思います。言葉がわからないながら、電車内でずっとコマーシャルを見てた記憶があります。

インフルエンサーの活用が有力

ビデオマーケティングの延長で東南アジアでは全体的にFacebook、InstagramとYouTubeが主流となっています。ブランドレベルからの発信もありますが、インフルエンサーレベルでの活用が目立っています。ブランドレベルの信用も大切ですが、身近な存在と思えるインフルエンサーの信憑性の方が高いと思われています。

経験上、日系企業は日本での商品やサービスのレビューをそのまま英訳して、サイト、広告などに使いますが、ローカルマーケットからすると「日本では人気ですね」くらいにしか思っていないと思います。もっと寄り添って、現地の方のレビューを集めることに力を入れるべきだと思います。

各地域ローカルのマーケターは欠かせない

英語ができなくてコミュニケーションができないから日本にいるマーケターに任せる時代ではありません。日本でもそういう日系企業のために、海外にオフィスを設けて、ローカルの人材を雇う広告代理店はたくさんいます。海外進出を視野に入れれば、マーケットに直接行けば、人を紹介してもらえます。日本国内にいながらでも、ウェブ解析士協会のような団体に人を紹介してもらうこともできます。方法はいくらでもあります。言葉の問題は最も重要な問題ではありません。

例えばシンガポールの共通言語は英語です。シンガポールの会社は英語が通じないベトナムに商品を売り込む時、ベトナム語ができないから難しいですよねと言う人はいないです。日本人は言語の問題を気にしすぎていると思います。

日系企業と非日系企業の施策の違い

日本語の特徴からでしょうか。日本の広告は控えめという印象があります。そして、日本人は日本語以外の情報を選びたがらないことによる選択肢の量の違いもありますが、日本の方は他の国の方よりは根気よく、目の前にある情報を理解しようとしてくれます。そこで日本人がプロモーションで心がけてほしいことは『大げさくらいが丁度いい』ということです。

機能を強調するか 消費者のメリットを強調するか

商品の説明についてですが、日系企業は機能を強調しますが、非日系企業は消費者にとってのメリットを語ります。職人のプライドで、材料や職人技にどのくらいこだわっているかを伝えたい気持ちはわかりますが、消費者には関係ありません。

厳しい言い方のようですが、角度を変えて、以下のような考え方はいかがでしょうか? 日本製は品質が高いことが知られています。日本製は職人のこだわりが強く、中国製や韓国製の製品より価格がは高いことも理解されています。ですので、機能が優れていることを中心にアピールしていても、消費者がすでに知っていることを言っているだけで、購買意欲を高められません。

文章を(1)問題点(2)解決策(3)得られる結果、にまとめることをいつもお客様におすすめしています。

視覚に訴える

文字より写真、写真よりビデオの方が効果的です。この法則は恐らく、日本もあてはまりますが、非日系企業の方がずっと派手です。なぜでしょうか? それは日本語の情報V.S.英語と中国語の情報の量と選択肢の違いだと思います。アマゾンとかアリババのような巨大なショッピングモールのマーケットシェアは言うまでもなく圧倒的に大きいです。このショッピングモールの競争が激しい中で、売れる商品を研究すると、広告宣伝素材が豊富なことを挙げることができます。費用対効果が高いこともあるでしょう。ブランド力も関係あるでしょう。

それでは、キックスターター(https://www.kickstarter.com/)を例として、見てみましょう。キックスターターはニューヨークから始まった、R&D中の商品を掲載し、資金を集める、いわゆるクラウドファンディングのサイトです。ここで紹介している商品は全部無名です。目標金額に満たない商品や、もしくはギリギリでしか達成できなかった商品と、目標の数倍の金額を達成した商品を見比べれば、すぐその差に気づきます。目標の数倍の金額を達成した商品はすべて紹介動画がしっかりしています。商品がどのような問題を解決し、この商品を使うことによってどのように利用者が楽になるかを説明しています。

効果的な割引

以前ある化粧品の広告宣伝を担当していた時、割引に対して頑なな抵抗を受けたこともあります。クライアントは割引をすることでブランドのネームバリューを落とすという恐怖があると話していました。前の段落でも伝えましたが、海外では選択肢がたくさんあるので、競争が激しいのです。割引はあくまでも値下げをしたいのではなく、注目してもらうための手段のひとつでしかありません。もちろん、安ければいいというわけではありません。オンライン詐欺が多い中、安すぎるのはインチキっぽいと警戒されるからです。でもユーザーに「得している」と感じさせることが大事です。

例えばトライアルセットは、リスクを最小限にし、お客様が簡単に試す機会となるいいきっかけになります。どのような割引が一番効くかはA/Bテストをしてみないとわからないですが、競争が激しい中では、知ってもらうきっかけや、手に取って見てもらえるきっかけを工夫しなければなりません。

まとめ

イマドキのグローバル進出は10年前、20年前とは違います。日本製だけで売れるのはもう昔の時代で、さまざまな国から多く優れた商品が流通していて、とにかく競争が激しいのです。勝ち抜くためには、スピード力、継続力とリソース力が鍵になります。継続するためにリスクとコストを最低限にしつつ、いわゆる可能性を試す必要があります。

今の世の中はまさに、グローバル進出に一番適切なタイミングです。コロナ禍でオンライン化がより進んできて、オンラインがより当たり前になっています。ネットというリソース、越境ECというリソース、グーグルやFacebookなどのリソースを上手く使えるようにならないといけないです。

著者:ジョセフィン.チェン

ジョセフィン.チェンさんのプロフィール画像

6年間のデジタルマーケティング業界を経て、日系企業の海外進出(主に東南アジア)を全面的にサポートする会社、WEZERT(ウィザード)を経営して、今年で4年目になるジョセフィンです。
スケール、期間と内容はさまざまですが、約34社に関わらせていただきました。
私が関わったアプリストアのプロジェクトでは、アプリストアのダウンロードがリリースしてから3ヶ月で20万ダウンロードを突破し、アプリストアの売り上げがリリース1ヶ月目と比べて4倍の160万円超えとなりました。
https://www.facebook.com/JPWEZERT