【レポート】 Shopify Post-Unite Japan 2019(後編)

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ウェブ解析士協会、海外広報の川口です。

2019年8月6日(月)にTABLOIDで開催された、Shopify Post-Unite Japan 2019。本イベントレポートの前編では、Shopify Japanのマーク氏による日本のEC市場データに関するセッション内容をお伝えしました。今回後編では、Facebook JapanによるInstagramコマースに関するセッション、eBayによる越境EC関連のセッションをレポートしたいと思います。

Instagramのショッピング&マーケティング活用法

フェイスブック ジャパン株式会社 / Eコマース&トラベル事業部 / クライアントソリューションズ マネージャーリード / 丸山 祐子 氏

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コマースにおける消費者トレンドとInstagramの現在

・国内ECの物販分野におけるスマホ利用率: 39%
・アパレル系物販におけるスマホ利用率: +50%

近年、スマホの物販利用の増加傾向にあり、かつてInstagramは画像を発見するチャンネルでしたが、購入するチャンネルに変わりつつあります。2010年にフォトアプリとしてローンチ、2013年には動画アップ機能がリリースされ、2016年にストーリーズ機能を開始。現在はショッピング機能や長尺の動画を配信できるigtvなど、写真から幅広い表現ツールへと進化を続けています。

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日本の利用者に関するインサイト

世界で10億、日本で3,300万の月間アクティブアカウント、年々利用者は伸び続けています。一般的に若い女性ユーザーのイメージが強いと思いますが、男女利用比では女性が57%で男性が43%というデータがあり、決して男性も少なくありません。日本国内ユーザーが、Instagramハッシュタグで検索する回数は、世界平均の3倍というデータがあり、多くの人がハッシュタグで検索し、ビジュアルで目的のものを発見します。検索行為自体がテキストベースから、ビジュアルにベースに移りつつある状況が読み取れます。

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日本国内アカウント全体の7割が、ストーリーズ投稿を利用しており、世界的に見ても日本は「ストーリーズ大国」と言えます。
※ストーリーズ: 普通のフィード投稿は一旦ポストすると自動的には消えませんが、ストーリーズ投稿では自身のフォロワーへ24時間の間のみ表示して消える形式の投稿です。2016年から2018年で20倍の利用率となっており、こちらも非常に利用が伸びています。 

Instagramショッピング機能 活用のヒント

Instagramのショッピング機能では、商品タップ→タグ表示→詳細をチェック→外部サイト購入、と購入まで流れがシームレスになってきています。世界中で1.3億ユーザーが、ショッピング投稿にアクションを起こしており、購入誘導に有効な機能であることが分かります。

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ショッピング機能利用のステップ

①プロフィール画像にショッピングタブ表示させるため、ショッピング機能利用の投稿を9件以上作成
②フィードやストーリーズの投稿、1件に付き、複数の商品にタグ付けし発見の幅を拡げる
③またストーリーズ、動画、ライブ、その他オーガニック投稿しファンを増やす 

Instagramにおけるオーガニックと広告の考え方

オーガニックは、既存のコミュニティと繋がり強化や、ブランディング活用としての強みがありますが、広告は新規ユーザー獲得用途や、アカウントがなくても出せる、目的に合わせて最適化(購買、インストールなど)できるなど、オーガニックとはまた違った使い方が出来るので、上手く使い分けるべきでしょう。

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またよく、ビジネスアカウントは敬遠されるんじゃない?という意見もありますが、実はデータをみるとそうでもないことが伺えます。Instagramユーザーの8割がビジネスアカウントをフォローしており、またフォローせずに閲覧しているユーザーは全体の7割近くいます。つまり、ビジネスからの発信にもユーザーから関心があることが感じられます。

インスタ広告利用者、男性が4割を占めています。広告はフィードにもストーリーズにも配信可能で、Facebookと同じ配信システムを利用しているのでターゲットや期間を自由設定もできます。

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Instagram広告は、まずはウェブサイト用にはFacebook Pixelを、モバイル向けにはMobile SDKを設定するところから始め、広告キャンペーン作成から出稿までの各ステップを理解し、きちんと一つずつクリアしていきましょう。

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また、米国ではチェックアウト機能利用が始まっており、外部サイトへ遷移することなしにInstagram上で購入まで完了できるようになりつつあります。近い将来、日本でも使えるようになるかもしれません。このようにInstagramのショッピング活用は今成長の真っ只中であり、各機能の特性を理解して活用してください。

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まとめ

スマホ向けにはビジュアルが成功の鍵
→Instagramは発見から検索、比較検討まで利用

日本のInstagram利用者は3300万人
→男性も利用、アクティブなコミュニティ

ショッピング機能で購入までのシームレスな導線化傾向
→商品理解、ファン作りによるブランディング 

広告でオーガニックでできない利用者へのリーチ
→目的に合わせた広告利用、Pixel、SDKで環境整備

海外各国のEC市場動向及び、日本から各国に向けた越境ECにおける販売トレンドについて

イーベイ・ジャパン株式会社 / ビジネス開発部 部長 / 岡田 朋子 氏

eBayについて 

1995年設立 / 190カ国展開
アクティブバイヤー数: 1.82億人
販売商品数: 13億個
取引高: 10.6兆円
米国外収益: 61% 

上記データから分かる通り、世界一大ECプラットフォームの一つですが、実は収益の半分以上は米国外からであり、日本からの輸出入としての利用も多いです。

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世界と日本のEC市場比較データ

eBayは各国別のドメインで分かれていますが、中でもUKでは非常にモバイルアプリユーザーが多く、2,300万人のデイリーアクセスがあります。BtoCのEC市場規模で見ると、中国とアメリカが最も高く、イギリスに続き日本は4位についていますが、前年比の成長率で見ると6%と最も伸びていない状況です。反対に、インドの42%という成長率は驚異的な数字です。

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年間平均EC購入額においても、各国ごとで違いが見られるものの、全体比較で日本はまだまだ低いことが伺えます。

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そして越境ECの利用状況ですが、日本は5%ほどでかなり低く、EC利用はほぼ国内メインとなっています。これは言語の壁や、海外とものを売り買いすることの不安感が大きいかもしれませんが、他にも決済の電子化も6%ほどと国際的に低い普及率で、やはり比較的保守的な民族性であると見受けられます。ちなみにヨーロッパは立地的にも国が地続きのため、越境のハードルも低くなり売れやすい傾向にあります。

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越境EC市場規模、2018年は73兆円でしたが、これが2020年には110兆円まで伸びると予測されています。中でもアジア全体の成長率は目まぐるしいものがあります。

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日本国内での越境EC利用は少ないですが、EC2大巨頭である中国とアメリカの市場では、日本製のもの、日本セラーの出品商品がよく売れる傾向にあります。 

つまりこれらのデータから、越境EC市場は成長中で日本からの出品物が良く売れ、且つ競合もまだまだ多くないという、ある意味、ブルーオーシャンの市場であるとも読み取れます。日本からの出品で、最もよく売れているのはハイブランドの中古商材です。日本は世界的に見ても中古市場が成熟しています、中古品が安く手に入ること、また古物商免許や真贋鑑定の制度整備がしっかりしていることあり、その基準の高さが世界的にも評価されています。eBayでは日本セラーの全体売上のうち、6割程度が中古商品を締めています。

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waca-shopify-ebay-07例えば中古の売れ筋定番のカメラ商品に関しても、ローカルよりebayの日本セラーからわざわざ買ったりするバイヤーも少なくありません、その点でも日本ブランドの信頼度の高さが伺えます。

日本からの出品で世界でよく売れている中古商品

ホビー系: カメラ、釣具、ゴルフクラブ、またそれらのパーツなど
骨董品系: アンティーク、鎧、刀、つば、盆栽の器、ツボ、伝統工芸など
ゲーム系: レトロゲーム、ファミコン、ネオジオのコンソールなど

各国バイヤー向け 売れ筋カテゴリトレンド (2018年)

アメリカ向け

・アパレル&アクセサリー(前年比+23%): シュプリーム、ヨージヤマモト、コムデギャルソンなど
・おもちゃ(前年比+22%): ポケモン、アミーボなど
・ヘルス&ビューティー(前年比+25%): アンチエイジング系など

特にストリート系ハイブランドの中古はよく売れており、ビューティー系においては日本製品の安全性が高いという印象があるようです。

ドイツ向け

・おもちゃ(前年比+15%)
・ヘルスビューティー(前年比+42%)
・ホビークラフト(前年比+66%)

ホビークラフト系だと、フリクションペンやはさみ、またクリエイター系の方々がクレヨン、練り消しなど創作に使う画材を購入している傾向があります。

タイ向け

・ジュエリー(前年比+41%)
・楽器(前年比+32%)
・エンタメ(前年比+170%)

タイならではラインナップで、DJ用のターンテーブルなどよく売れています。タイは関税が非常に高いため、輸出が難しいという問題がありましたが、近年、高額でも値段など気にせずに買っているユーザーも少なくないようで伸びてきています。

台湾向け

・アパレル(前年比+42%)
・ジュエリー(前年比+42%)
・楽器(前年比+35%)

こちらもややタイの傾向に近く、ハイブランドの高額中古商品が売れているようです。 

日本セラーの商品別売上シェアで見ると、ハンドバッグが半分以上を占め、次に時計が続いています。グローバルではロレックスが最も売れているブランドなのですが、日本からの出品においては、OMEGAが一位というデータがあり、日本セラーへは、他の国とも違ったものが求められているようにも感じ取れます。

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なぜバイヤーは日本セラーから買うか、それはやはり品質が良い、偽物が少ない、商品説明が丁寧などという信頼感に関連した部分が大きいです。

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まとめ

為替変動、商品仕入れ、ターゲット選定、販売や円転のタイミングなど、越境EC運用には様々な注意すべきポイントがありますが、市場全体は成長傾向にあり、日本ブランドは世界的に見ても非常にアドバンテージがります。リスクコントロールしながら国内では売れないものを売ったり、より高く販売することも可能ですので、伸びているこのチャンスを上手く活用して頂きたいです。

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