ウェブ解析士を悩ますKGI・KPIバラバラ現象

こんにちは。電通西日本コミュニケーションプランニングセンター・ビジネス開発部ディレクターの廣瀬亘です。

統合マーケティングのプランニングに携わるようになり、いままで様々な案件を担当してまいりましたが、なぜかよくKGI・KPIがバラバラになる事象に遭遇してしまうことがあります。皆さんはどうでしょう?

目標達成には欠かせないKGI(Key Goal Indicator)とKPI(Key Performance Indicator)の設定ですが、それがキチンと設定されていないと満足いく結果は得られませんよね。

今回は、このバラバラ現象がなぜ起こるのかを考えてその解決策を見つけることで、皆様の日々の業務に貢献することができればと思い記事を執筆いたしました。

なぜ、KGI・KPIがバラバラになってしまうのでしょうか?ケースごとに考察してみました。

目次

目標の設定がファジーになってしまっていませんか?

このケースは、KGI・KPIの設定が気持ち優先になってしまっていて、KGIでとにかく売り上げ・販売を拡大する……とか、KPIでは現状の工程を改善すれば販促効果が発揮されるはずだ……など、具体的な数字の裏付けや改善効果の検証がなされていない場合です。

KGIもKPIも必ず定量化できる指標にすることはもちろんですが、そのゴール(KGI)は達成可能なのか、そしてそのゴールを達成するため設定されたKPIの目標数値はなにか、さらに、KPIの達成はKGIの達成に結びついているのか、などを検証していなくてはなりませんよね。

私はプランニングのスタートでKGI・KPIを考えるとき、よくロジックツリーを使います。

※上記画像は公開当時に無断引用してしまっておりましたが、改めてReproさまの許可を得て公開しております。

クリック課金型の場合、アクティブユーザー数とARPUが売上を構成しています。ARPUを構成するKPIは、クリックした時の単価(CPC)とクリックする割合(CTR)に分解できます(APPU = CPC × CTR)。

CTRは広告をクリックした数を広告の表示回数で割ることで算出します(CTR = CLICK ÷ PV)。

このように、最終目標のKGIからブレイクダウンして業績目標であるKPIを設定したり、個々のKPIを積み重ねていくことでKGIを達成したりと、ロジックツリー型の構造を書き出していくことで、KPIが明確になります。

セクションごとに目標を立ててしまっていませんか?

組織が整理されて各セクションの分業がハッキリしている場合によく出会うケースです。このような場合、それぞれのセクションで目標KPIを立ててしまっていることがあります。例えば、マス広告の担当者が広告をKPIとし、デジタルの担当者がホームページをKPIとし、さらには商品担当・売り場担当もそれぞれKPIを設定しているなどです。

これでは、売り上げを高めるために行っている仕事が各部署でバラバラになってしまっていて、ゴールへとたどり着けなくなってしまっていますよね。

なぜこんな現象が起きるのかといえば、分業がハッキリしていて部署間のコミュニケーションが不足してしまっているからではないでしょうか?そもそもの仕組み的に言えば、KGIとKPIが明確に設定されていても、それが部門間で共有されていないことに原因があると考えられます。

そして実はもう一つ、大切なことがあります。

目標設定をする時に部署視点になってしまっているのではないでしょうか。これではうまく目標共有が出来ません。顧客視点にすることによって、目標の共有が可能となり各部署が連携できると考えています。

4Pのデジタル化に対応できていますか?

昨今の急速な社会環境のデジタル化に伴い、従来からよく使用されてきたフレームワークの4Pも変化しています。4PとはProduct(商品)Price(価格)Place(流通)Promotion(販売促進)の頭文字「P」を採ったものですが、それぞれの内容が変わってきているのです。

4Pの変化

上記の図で示したように、それぞれのPはデジタル環境の中で変化し、かつ密接に繋がりあっています。垣根を払拭して考えないとプランニングも難しくなります。つまりKGI・KPIのバラバラを防ぐためには、4Pも個別に捉えるのではなく、同時に考えていく必要があるのです。

KGI・KPIがバラバラにならないために

これまでのマーケティングでは部署ごとに個別の目標設定で対応できていましたが、デジタル化で4Pが繋がった今、環境変化を踏まえて顧客視点から見たKGI・KPIを設定し、戦略に関わるすべての部署で共有できれば、統合的なマーケティング・コミュニケーションの施策を実行することが可能となると思います。

KPIを積み上げてKGIを達成する。そんなスマートなプランニングを目指しましょう。

全社を巻き込んだ戦略構築に関するお話は、弊社HP内『エリアシ』の記事でも触れています。是非ご覧ください。お役に立つことがあれば幸いです。

参考:「全社を巻き込め!広告効率を上げる4つのポイント」|ビジネス情報(エリアシ)|各地域に根ざした総合広告代理店|DENTSU WEST JAPAN INC. 電通西日本

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

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この記事を書いた人

電通西日本 コミュニケーションプランニングセンター ビジネス開発部ディレクター
電通西日本入社後企画営業スタイルを創造し、プロモーションとマーケティングを融合させたソリューション・セクションの立ち上げに従事する。2011年よりコミュニケーションプランニングセンターに所属し新規ビジネスの開発に携わる。近年は、数字では見えないクライアントとユーザーとの関係性。たとえば共感・愛着・信頼が生み出す価値を重視してプランニングすることを目指している。

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