ウェブ解析士の資格で稼ぐための、3つの誤解と背景【代表理事だより】

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ウェブ解析士代表理事の江尻です。

先日、ウェブ解析士の資格を クビ・定年が怖くなくなる最新稼げる資格 (吉田 彩乃) | プレジデントオンライン としてご紹介いただきました。520の資格を持つ鈴木秀明さまに、このような形で資格のエキスパートから評価いただき、期待していただけることは大変嬉しいです。

ウェブ解析士協会のKGIは、ウェブ解析士の年収です。事業の成果につなげることをミッションとしているウェブ解析士が、仕事で成果を上げることが私たちの願いです。実際、ウェブ解析士を受けた方で、転職や起業に成功している人もいらっしゃいます。だから副業というより、むしろ本業でも活躍してほしいという思いを持って、日々、有資格者の支援をしています。

「ウェブ解析士は誰にとっても損のない資格である!!」

と胸を張って断言したい気持ちはあります。でも受験者が内容を誤解していると、役に立たないケースがありました。資格取得に多額の費用を支払ったあとで役に立たないと判断されるのは申し訳なさすぎます。

ウェブ解析士協会のサイトの内容もわかりやすくするために現在水面下で見直し中ですが、私からも「資格を取れば仕事につながる」と考えた方に誤解されやすい内容と背景を、こちらでお伝えしておきます。

そもそも、ウェブ解析は資格がなくても行える

大前提として、ウェブ解析は資格がなくても行える業務です。中小企業診断士やITコーディネーターの企業を支援する業務も同様に、資格がなくても行えます。一方で税理士や弁護士は、明確に資格が無いとできません。ウェブ解析は、資格を取得しなければできない業務ではありません。

しかしウェブ解析士の資格は、数値を解析することはもちろん、「なぜ数値を解析しなければならないか」までを学ぶことができるという点で、多くの方にお勧めいただいています。

そんなウェブ解析士という資格について、3つの誤解と背景をご説明いたします。

誤解1・合格すればウェブ解析士になれる

ウェブ解析士は一回試験に合格しただけで資格が取れて、ずっと維持できると思われる方がいらっしゃいます。数年前は確かにそのような体制だった時代もありましたが、2016年から資格維持条件が追加されました。

資格維持のためには、①フォローアップ試験への合格 ②年会費のお支払い の2つの条件が必要です。

資格維持条件は企業への誠実さを示すもの

ウェブ解析士は、一般企業のウェブマーケティングを支援することが仕事です。ウェブ解析士の資格を優遇する求人も増えてきたと聞きます。これは、ウェブ解析士の有資格者がウェブ解析のスキルを持っていることを企業から期待されているということです。

ウェブ業界が目まぐるしく進歩していることは、皆さまも感じていらっしゃるとおりです。そんな中、もしあなたが企業の担当者で、ウェブマーケティングを支援するという相手が数年前のスキルのままアップデートされていないと知ったら、どう思うでしょうか。

ウェブ解析士のカリキュラムは、毎年2〜3割ほど更新されています。これは最新のウェブマーケティングに基づいた内容で、各分野の専門家にご協力いただいて執筆されたテキストを元に、カリキュラム委員会によってつくられています。

ウェブ解析士の本試験はこのカリキュラムとテキストを元に、60分60問の試験と認定レポートの提出を必須としています。ただしフォローアップ試験は、最新のカリキュラムに基づいた動画を視聴して、20問の問題に合格していただくのみです(毎月受験可能です)。

また、年会費の6,000円(税抜価格)には、毎年更新しているテキスト(税抜4,000円)の送付と、更にスキルアップできるセミナーの参加優遇、コミュニティ活動への参加権などが含まれています。

先程例に上げた企業担当者の視点から考えると、今のフォローアップ試験の内容は、決して適切なものではないかもしれません。もしかしたら、毎年最新のカリキュラムで受け直すくらいのほうが良いのかもしれません。

しかしウェブ解析士といっても、ビジネス解析が得意な方、SNSの運用や解析が得意な方、SEOが得意な方、コンテンツ改善が得意な方、アクセス解析が得意な方、ミクロ解析が得意な方、広告運用が得意な方など、様々な方がいらっしゃいます。

ですから、フォローアップ試験によって全体像を再確認していただき、エキスパート講座でご自身の得意分野を更に学べるような体制をつくっています。

資格を取得できた方は、ぜひこの学べる環境を活かしていただければ幸いです。興味のある内容がお近くの地域で開催されていない場合は、ウェブ解析士協会にお知らせください。地域の支部活動やオンラインなどで参加できるよう、できる限り手配いたします。

誤解2・ウェブ解析士の資格で仕事がもらえる

ウェブ解析士を取得するとウェブ解析の案件が次々と入ってくる、ということはほとんどありません。有資格者で、ウェブの解析が業務の中心である人は全体の15%程度です。以下の図は今年のアンケート結果による受講者の職種ですが、コンサルタントやアナリストは全体の14.7%です。

ウェブ解析士の資格はあくまでサブスキル

ほとんどの方は経営コンサルや、ウェブの製作や広告代理店で勤務、あるいは独立している方が目立ちます。つまり、本業として強みを持った分野がないならば、ウェブ解析士の資格を取得しても、ウェブ解析で成果を上げられるとは限りません

逆に言えば、ウェブ解析士の有資格者は、優れた専門家であることが多いのです。元々強みを持っている方がデータを活用して提案できるようになれば、必然的に説得力が磨かれ、成果にもつながりやすくなります。

このような方々はとても多くいらっしゃるので、ウェブ解析士協会事務局でも積極的にご紹介しています。資格を取得されたら、ぜひご自身の実績や得意分野を公表してください。随時ご紹介いたします。

誤解3・合格率が高いので受かりやすい

年々合格率が下がってきているとは言え70%程度なので、簡単に合格できると判断して落ちてしまう方が増えています。特に、講座を受けずに試験のみで「力試し」に受ける方も増えてきているようです。何度も受験して、やっと合格するという方も相当数います。

しかし一部の企業が昇進条件にウェブ解析士を義務付けていることや、何より講師をつとめるウェブ解析士マスターの熱心な指導により、一部の合格率が高くなっています。

つまり、平均の罠です。スキルアップを目指す方々の合格に後押しされて合格率が高いように見えますが、実際は、勉強しないと合格できません。

初めて受験する場合は、認定料を含めて16,000円(税抜)なので、決して安くはありません。ですから、しっかりと備えた上で受験していただくことをお勧めいたします。

自習する時間がなければ業界のプロでも合格できない

また、難易度は年々上がっています。難易度の上昇に伴い、「初級ウェブ解析士」という名称を現在の「ウェブ解析士」に変更した経緯もあります。

講座は予習前提で、講座中は演習中心です。じっくり学ぶことは講座以外の時間に自習しなければいけません。そのための十分な時間の確保ができないと、業界のプロでも不合格になることが頻繁にあることは覚えておいてください。

ウェブ解析士として稼ぐために

ウェブ解析士のカリキュラムで学ぶことは幅広く、インターネットの基本的な仕組みや法律やモラルの分野にまで及びます。

「ウェブ解析をするのに、インターネットの仕組みなんて知っておく必要ある?」と思われるかもしれませんが、企業はインターネットの仕組みを「知っている人」と「知らない人」のどちらを信用したいと思うでしょうか。

ウェブ解析士のミッションは、事業の成果に貢献することです。事業の成果に貢献できるデータはすべて把握する意欲が求められます。つまり、自分本位ではなく、相手にとって必要なスキルや知識はできる限り得ておくという姿勢が求められます。

ウェブ解析士の資格は、中小企業を支援できるものだと信じて疑っておりません。ウェブ解析士の「ウェブ」が片仮名なのも、中小企業の方にとっては「Web」より「ウェブ」の方が親しみやすいだろうと判断しての名称です。このようにウェブ解析士は、常にユーザーファーストの姿勢を貫いています。

とはいえ結局のところ、仕事はご自身の意欲や能力が決めるものです。資格があるからといって、すぐに仕事につながるものではないと断言できます。これは他の資格も同様でしょう。

それでもこの「ウェブ解析士」という資格が、データ活用という分野から皆さまの背中を押して、新しい人生を拓けるきっかけになれたら嬉しいです。お気づきの点がございましたら、ぜひウェブ解析士協会の Twitter などでもお気軽にご指摘ください。

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江尻 俊章

WACA一般社団法人ウェブ解析士協会代表理事

2000年、株式会社環を創業、2016年株式会社 環 取締役会長退任。業界ではもっとも早い時期からアクセス解析に着目し、アクセス解析を軸にしたコンサルティングを行っている。
アクセス解析ASPサービス「アクセス刑事Pro」、「シビラ」を自社開発、運営、アクセス解析からエリアマーケティングを行う「エリアレポート」を提供している。
著書に「稼ぐホームページ損なホームページ―アクセス解析で一発判明!」「繁盛するWebの秘訣「ウェブ解析入門」
~Web担当者が知っておくべきKPIの活用と実践」がある。