4つの視点をマスターして、ウェブ解析の基本的な指標をチェックしよう

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こんにちは、ウェブ解析士協会代表理事の江尻です。

今回、ウェブ解析を初めて学ぶ皆さま向けに、ウェブ解析で扱う基本的な指標の考え方や用語についてお伝えします。わかりにくいところがあれば、ぜひSNSなどでお気軽にご質問ください。

まずはウェブ解析の最初の一歩として、基本的な視点から学びましょう。

4つの視点 ― ディメンション・メトリクス・セグメント・フィルタ

「ディメンション」「メトリクス」「セグメント」「フィルタ」の4つの視点

ほぼすべてのウェブ解析のデータは、「ディメンション」「メトリクス」「セグメント」「フィルタ」の4つの視点で整理できます。一見複雑そうに見える様々なデータでも、この4つの視点でわかりやすくなります。

それでは、順に見ていきましょう。

ディメンション ― データの集計項目

「ディメンション」とは、データの集計項目です。「日別」「ページ別」「検索エンジン別」といった、データを集計するときの項目にあたります。

ディメンションはデータの集計項目

たとえば、「ページ別かつデバイス別で解析したい」といったケースでは、ディメンションが2つ必要になります。このような場合 Google アナリティクスでは、「セカンダリディメンション」を追加することで実現できます。

また、「会員/非会員といったアクセス解析にはない独自の項目で解析したい」といったケースでは、独自に項目を作成することで「カスタムディメンション」として扱うことができます。

このように、「◯◯という項目ごとに◎◎という指標を見たい」という場合の「◯◯という項目」が「ディメンション」です。

メトリクス ― データの指標

「メトリクス」とは、データの指標です。ディメンションに対して「ページビュー数」「直帰率」「滞在時間」といった数値や合計、平均や割合などの指標(状況を判断したり評価したりするための指針となる項目)にあたります。

メトリクスはデータの指標

Google アナリティクスでは、たとえば「ポイント利用回数といったアクセス解析にはない独自の値を解析したい」といったケースでも独自に値を定め、「カスタムメトリクス」として扱うことができます。

このように、「◯◯という項目ごとに◎◎という指標を見たい」という場合の「◎◎という指標」が「メトリクス」です。セットで覚えておきましょう。

ディメンションとメトリクスが混乱しやすい場合

まれに「ディメンション」と「メトリクス」のどちらにも似たような名称があり、紛らわしいケースがあります。

たとえば Google アナリティクスにおいて、ユーザー → 行動 →[リピートの回数や間隔]を見てみると、「セッション数」がディメンション(集計項目)、「セッション」がメトリクス(指標)として表示されています。

ディメンションとメトリクスが混乱しやすい場合
ユーザー → 行動 →[リピートの回数や間隔]

ここでいう「セッション数」は英語表記では「Count of Sessions」ですから、訪問回数ごとのデータを解析することができます。このデータからは、一見さんかそうでないかでデータに差があることがわかりますね。

迷ったときは「◯◯ごとに」「◯◯別に」と言えるか、合計や平均に価値があるかを考えると、判断しやすくなりますよ。

Adobe Analytics では

Adobe Analytics の画面

指標の内訳を表示する項目をディメンションと呼び、デフォルトで取得されている項目の他、コンバージョン変数(eVar)やトラフィック変数(prop)もディメンションと呼ばれます。

デフォルトで取得設定されている指標の他、コンバージョンとして設定されているeventsの設定や売上金額や売上個数といったものもメトリクスとして扱われます。また、計算式で新たな指標を作成した場合もメトリクスとして扱われます。

次に、データを更にフォーカスして見るための機能を2つご紹介します。

セグメント

「セグメント」とは、データとして記録されるユーザーの行動を特定の条件で絞り込む機能です。上記のフィルタと異なり、絞り込んだ状態ごとに比較できるというメリットがあります。

たとえば Google アナリティクスでは、「タブレットと PC のトラフィック」と「モバイル トラフィック」というセグメントがあらかじめ用意されており、環境に合わせた解析が簡単にできるようになっています。

「タブレットと PC のトラフィック」と「モバイル トラフィック」というセグメント

特に、ユーザーの行動が多様化している現代ではセグメントが重要視されており、戦略に基づく設計の際、どのようなセグメント条件を「カスタム セグメント」として設定するのかで解析結果が左右されます。以下のフィルタと異なり、絞り込んだ状態ごとに比較できるというメリットがあります。

フィルタ

「フィルタ」とは、特定の条件に合致するデータを含めたり、除外したりして集計するための機能です。

Google アナリティクスでは、ビューやアカウントに設定する「フィルタ」と、表示データを簡易的に絞り込む「アドバンス フィルタ」があります。それぞれの機能は同じものではないため、注意が必要です。

フィルタ
管理 → ビュー → [フィルタ]

たとえば、上記のような画面でビューやアカウントに設定するフィルタは「データそのものを集計対象にしない」という特徴があるため、フィルタを変更しても元々のデータを集計することはできません。この画面の「フィルタの種類」を「詳細」にすると、「アドバンス フィルタ」と表示されます。

一方、表示データをその場で絞り込める「アドバンス フィルタ」という機能もあります。同じ表記なのでややこしいですが、上記とはまったく異なる機能です。これは、表示しているデータを簡易的に絞り込むための機能です。

表示データをその場で絞り込める「アドバンス フィルタ」

たとえばすべてのページから、「ウェブ解析士の試験・スケジュールに関するページだけ見たい」といった場合に、ページタイトルで絞り込んでみたものが上記の図です。あくまで一例ですが、「その場でささっと絞り込んで見てみたい」といったケースに使います。「アドバンス」という言葉は「詳細」と認識しておくとわかりやすいですね。

ただし、「アドバンス フィルタ」で設定できる条件は限られていますし、ウェブ解析の設計段階において KPI を決めているのなら、設計外のデータを解析するのは参考程度にとどめておきましょう。

セグメントとフィルタが混乱しやすい場合

セグメントのように「データを簡易的に絞り込めるフィルタ」と「セグメント」は、どう違うのか疑問に思われた方もいるかもしれません。

「データを簡易的に絞り込めるフィルタ」は、その画面(ページ)のみ有効ですが、「セグメント」は絞り込みを保ったまま、他の画面(ページ)にも移動できるというメリットがあります。

また、同じようにデータを絞り込んでも、違う結果になる場合があります。

以下は、Google アナリティクスで 集客 → すべてのトラフィック →[チャネル]のデータを、それぞれの方法で Organic Search(検索流入)に絞り込んだ場合の画面です。

①データを簡易的に絞り込めるフィルタの場合

ディメンションの デフォルト チャネル グループ を Organic を含むデータのみに絞り込んだものです。

ディメンションの デフォルト チャネル グループ を Organic を含むデータのみに絞り込んだもの

セッションの合計は 43,486 件ありますね。

②セッション単位で絞り込んだカスタムセグメントの場合

セッション単位で「Organic Search」を含むという条件を作ってみました。

セッション単位で「Organic Search」を含むという条件

結果、①のフィルタと同じデータを取得できました。セッションの合計は 43,486 件です。

③ユーザー単位で絞り込んだカスタムセグメントの場合

ユーザー単位で「Organic Search」を含むという条件を作ってみました。

ユーザー単位で「Organic Search」を含むという条件

すると、「Organic Search」で絞り込んでいるにもかかわらず、他のチャネルも表示され、セッション数の合計も 46,156 件となりました。しかし Organic Search の列だけ見れば、上記2つの方法で得られたデータと変わっていません。

セッション単位ではウェブ解析で表示されたデータを絞り込んでいるのに対し、ユーザー単位ではユーザーの行動から絞り込んでいるため、同じユーザーの他のチャネルからの訪問も集計対象とされるのです。

Adobe Analyticsでは

レポート表示の項目として「フィルタ」を行うことが可能です。その他、集計データ全体を様々な条件やセッションの設定を変更、フィルタリングし、別のレポートを作成するバーチャルレポートスイート機能を利用することも可能です。

また、様々なデータの比較に「セグメント」を利用することが可能です。その条件はメトリクス、ディメンション、時間軸などを取得しているほぼ全てのデータを利用が可能です。レポート全体、特定の指標やセグメントの組み合わせてなどを無制限に実施できます。

表示したレポートのデータに対し細かい項目の除外や絞り込みにはフィルタを、表示するレポート全体の条件の絞り込みなどはセグメントを利用することをオススメしています。例えばページごとのトラフィックレポートを表示して、「ページ名に特定の文字が含まれる(セクション名など)」場合はフィルタ機能を利用し、「特定のドメインからの流入のみにする」といった表示しているデータに含まれない内容も含めたい場合はセグメントを利用します。

まとめ

以上、4つの機能についてご説明しました。

  • 「ディメンション」とは、データの集計項目です。「日別」「ページ別」「検索エンジン別」といった、データを集計するときの項目にあたります。
  • 「メトリクス」とは、データの指標です。ディメンションに対して「ページビュー数」「直帰率」「滞在時間」といった数値や合計、平均や割合などの指標(状況を判断したり評価したりするための指針となる項目)にあたります。
  • 「セグメント」とは、データとして記録されるユーザーの行動を特定の条件で絞り込む機能です。
  • 「フィルタ」とは、特定の条件に合致するデータを含めたり、除外したりして集計するための機能です。

それぞれの機能ごとの視点を意識して、解析を行ってください。

次回は、様々なメディアで使用する指標についてご説明します。

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江尻 俊章

WACA一般社団法人ウェブ解析士協会代表理事

2000年、株式会社環を創業、2016年株式会社 環 取締役会長退任。業界ではもっとも早い時期からアクセス解析に着目し、アクセス解析を軸にしたコンサルティングを行っている。
アクセス解析ASPサービス「アクセス刑事Pro」、「シビラ」を自社開発、運営、アクセス解析からエリアマーケティングを行う「エリアレポート」を提供している。
著書に「稼ぐホームページ損なホームページ―アクセス解析で一発判明!」「繁盛するWebの秘訣「ウェブ解析入門」
~Web担当者が知っておくべきKPIの活用と実践」がある。