採用をする前段階で極めて重要な一人ひとりの応募者の業務適応性(業績向上力)の精密な分析

皆さま、こんにちは。ウェブ解析士の横山 廣(ひろし)でございます。
私はこの20年、(株)プレステージにおきまして、『Webで人材募集を行う際の具体的なノウハウ』を中心に、コンサルティングをしております。
(株)プレステージ http://prestige3.jp

さて、この度、この『ウェブ解析士だより』におきまして、4回シリーズで【Webで人材募集を行う際、効果を跳ね上げる具体的手法】をお伝えして参りました。

そして、4回目(最終回)の今回は、【採用をする前段階で極めて重要な一人ひとりの応募者の業務適応性(業績向上力)の精密な分析】につきまして、ご説明して参ります。宜しくお願い致します。

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目次

❶人材募集での◉一番の価値、またはKPI(重要業績評価指数)は、何でしょう?

もし、100名の新人の採用を計画している企業があったとしますと、100名の採用に成功したら一応「目標達成」ということになるのでしょうけれども、【人材募集】での◉一番の価値・・・いったい、何でしょうか?

昨今、大手企業の新人が早い段階で、それも大勢が辞めていくことが話題になっています。

私は、【人材募集】での◉一番の価値は、【営業職の募集なら、営業に間違いなく向いている新人を採用でき、今まで以上の業績を上げられる人材を採用するできること】だと思います。

実際に私が営業所長をしておりました時、「彼を営業職で採って本当に良かった!!」と思えた時は、新人採用に成功した実感がありました。そして、失敗した時は、どうしても採用に対する自信まで持てなくなってしまいました。

皆さまは、いかがでしょうか? ここが《鮮明!!》になると、いいですよね。

❷「営業に向いている人」、「経理に向いている人」等を明確に数値化できるといいですね。

一般的にですが、会社の中で『彼は営業に向いているね!!』とか、『彼女は経理向きだね!!』といった会話がよく聞かれます。ただ、考えてみますと、こうした会話は、全て、【採った後の話】ですね。

「採用活動」を行うわけですから、採る前に、【営業に向いている人】や【経理に向いている人】が正確に分かった上で、「内定」を出し、入社してもらうことが大切だと思います。

そして、その【向いているか否かの尺度】は、『面接の時の印象や感触』などでは無く、可能な限り、【数値による明確な尺度】で判断していくべきだと思います。いかがでしょうか?

❸「精度の高い適性検査」の経営的な活用方法。

1.一般的に、「適性検査」は、選考の過程で受けてもらうことが多いわけですが、実は、これですと、【貴社としての適性検査の活用】を考えた場合、充分に機能しないと言えます。

「適性検査」は本来、社員の全員に受験してもらい、「営業職」であれば、その全員の中で、【どの様な検査結果の社員が、当社では売れる傾向が強いか?】を分析し、それによって、新しい人材を採る場合、【当社としてのオリジナルな適性検査】として、採否の判断に活用するべきでしょう。しかし、『適性検査をこの様に活用している会社』が極めて稀有であることが分かっております。

2.リクルート・グループが提供している適性検査の中の「SPI3-P」では、その受験者の性格的な特徴を18個の「偏差値」で表していますが、例えば、「活動意欲」の偏差値が高い側の受験者(偏差値ですので、50点以上が高い側・・・ということになります)は、【与えられた業績目標に対し、高い達成率を上げる傾向が強い。】という重要なことが分かっております。

一般的に、「営業職」を採用する場合、この偏差値の高い受験者は、入社後、業績を上げてくれる確率が高いのですが、貴社の営業のあり方や職場の様々な環境の差異、例えば、月々の入金管理までの責任を負うか否か・・・等々は、会社ごと、部門ごとに異なりますので、前述の「既存の営業職の社員のデータ(傾向)」が非常に参考になるわけです。

(※ご注意:SPIシリーズには、その使用目的によって、何種類もの「検査」があります。上記の「SPI3-P」は、そのSPIシリーズの中の【性格検査】であり、ここを正確にご理解頂きたいと思います。)

3.適性検査における様々な数値が「偏差値」で出ていますと、「逸材か否か?」が極めて『鮮明』になってきます。

「偏差値」は出現率でもありますから、「偏差値が50点」なら「全国平均」。「偏差値が70点なら、100人中、僅か2人」ということになります。前述の「活動意欲」は業績を上げる可能性の高い極めて重要な偏差値ですから、ここが仮に「70点」であれば、【かなりの逸材】だと言い切ることが可能となります。

4.一方、先ほどの「経理」ですけれども、貴社の「経理職」がどういうものか? で、採るべき人が変わってきますね。例えば、外出する必要が無く、正確に経理の数字を出してくれる経理担当者・・・という場合もあるでしょうし、社長と銀行に行く際も同行したり、社内にも伝達や発表を行ったりする経理の責任者・・・という場合もあることでしょう。

例えばですが、「積極的に会話や伝達のできる経理スタッフ」を採用したい場合、先ほどの適性検査では、「社会的内向性」の偏差値の数値が低い側であることが不可欠になってきます。この数値の低い人は、『コミュニケーション能力が高い』です。

5.同じ「経理」という仕事でも、「管理職に求められるもの」はハイレベルになっていきますけれども、会社の中の★管理職で活躍している人の適性検査のデータも経営的に非常に大切です。

つまり、最初から、新入社員の段階から、【管理職としての適性を持った人材】を採ろうとすることも、充分、可能だから、です。

『精度の高い適性検査を最大限、活用すること』は、ひとつの大きな経営ノウハウだと実感しております。

❹求人サイトを「適性の高い人材の募集」で活用していく手法。

私が「4回のシリーズ」で書かせて頂いて参りましたことは、一言で申しますと、【いきなり、ネットで募集を開始するのではなく、事前に準備をして開始し、且つ、統計を取っていく】・・・ということです。

「おさらい」の意味合いも含めまして、【求人サイトを「適性の高い人材の募集」で活用していく手法】を記しておきましょう。

1.「会社説明会」に集まって頂く応募者。会社説明会を行わずとも、面接に集まって頂く応募者の方々。この方々を、元々、【貴社が今、採りたい職種や、採りたい適性の応募者の集団にシフトしておくこと】が、「募集の事前準備の基本」だと考えます。

言い換えますと、適性を考えず、無作為に50名の応募者を集めて面接を行うより、10名で良いですから、最初から「採りたい層」にシフトしていく方が成果にも繋がり易いですし、時間効率も高い・・・と思います。いかがでしょうか?

2.求人サイトの中には、「元々、営業をやりたがっている人」、「営業で、業績を上げていたであろう人」、「当社と同じ様な業界で、頑張っていたであろう人」を、事前に探し出すことができる様になっているサイトがあります。

これは「中途の求人サイト」でも、「新卒の求人サイト」でも、こうした機能を持つものがあり、そのターゲットを目掛け、貴社への訪問を促すことが可能です。

そして、ここはまた、『従来の紙で行っていた募集』と【求人サイトで行う募集】との、一番著しい違いだと実感します。

3.そして、上記の考え方で採用活動を行っている会社はまだまだ少ないのが実態ですが、では、どこで差がついているか? と申しますと、具体的には【求人サイトを操作する管理画面に対する認識や理解度合い】でありましょう。

「求人サイトに掲載する原稿」はもとより、「自社に呼び込みたい人材の選別」や、「エントリーや応募をしてもらった以降の連日のメッセージ(メール)のやり取りの管理」まで、【求人サイトと、その管理画面】は大きく進化を遂げてきました。

今後益々、応募者は「求人サイト」から応募する時代になっていきますので、是非、少しずつでも【求人サイトと、その管理画面】を勉強して頂き、優秀な人材の獲得に邁進して頂きたいと思います。

今回も、ここまでお読み頂きまして、誠にありがとうございました。

★☆★皆さまからのご質問にお答えして。

6月15日に掲載致しました3回目の内容に関しましても、ご熱心なご質問を頂き、誠にありがとうございました。下記の4つのご質問にお答え致します。

①新卒の学生に対し、会社説明会や面接で、何を話したら良いのでしょうか?

お答え:これも、非常によく頂くご質問です。多くの会社で、会社説明会では「その会社の設立から今日まで」を丁寧に語っていることが極めて多いです。

さて、私のおりました会社(リクルート社)で、就活中の学生に対し、会社説明会で何を聴きたいか? を調査したことがあります。

その会社の【過去情報(歴史)】【現在情報】【未来情報】の中から選んでもらったのですが、【過去情報】:0%、【現在情報】:15%、【未来情報】:85%という結果でした。

考えてみますと、特に学生の場合、これから何年も、何十年も、その会社で働いていくわけですから、【未来情報】である会社の今後の展望や戦略を聴きたいのは、当たり前ですね。

中には、ここをしっかりと理解し、『弊社の10年後、20年後』を経営者が自ら、グラフなどを用い、具体的に語っている会社もあります。

いかがでしょうか? この【未来情報】は募集の成否を左右しますから、経営者と採用担当者が「共有」し、採用担当者も面接などで「経営者と同じ話ができること」が大切ですね。

②応募者を評価した方が良い・・・というのは理解できるのですが、何を評価したら良いのでしょう?

お答え:このご質問も、募集の成否に関わる非常に大切なご質問だと思います。

前回のレポートで、内定辞退を防いでいく為にも、「会社説明選考会で合格した理由を、応募者に口頭で説明することの重要性」をお伝えしました。

このことが大切な理由は、【世の中のほとんどの会社が、この理由を一切説明せず、「次のステップに進んで下さい・・・」という連絡を単にメールですることが多いから】ですが、合格理由を伝える会社があったとしましても、『君は試験がよくできていたから』と言うくらいです。

【応募者に動機付けできること】が、良い採用の成果に繋がるわけですから、★その応募者の、「固有の良さ」を評価し、それを伝えてあげることが全てだと思います。

例えば、会社説明会で「作文」を書いてもらったとしましょう。その作文に書かれていたある部分を取り上げ、具体的に評価したなら、それは書いた応募者が必ず覚えているわけですから、本当に嬉しいと思います!!

この様に考えていきますと、応募者に受けてもらう試験の内容も、【募集活動の成否】を決めていきますね。募集で使う試験は、通常、「採る側の論理」で、合否を付け易いものを使う傾向が強いわけですが、『応募者の動機付けに活かせる内容』を意識することが重要と言えましょう。

③新卒採用で、学生とのコミュニケーションの取り方は、どの様に工夫したら良いでしょうか?

お答え:このご質問も「盲点の発見に繋がる良いご質問」で、募集活動の成否に関わると思います。

さて、新卒で多くの会社を受験している学生の立場になってみましょう。会社説明会に参加しますと、社長や人事部長に加えて、若い社員のスピーチを聴くことができましたが、その後、会社に面接で呼ばれますと、人事担当者や人事部長が登場します。普通の流れであり、どこの会社も総じて、この様になっています。

しかし、多くの場合、学生が入社後に配属されるのは「人事部門」ではありませんし、採る側も、営業や製造など、現場の社員のシェアの高い職種で採りたいわけであり、それ故、会社説明会でスピーチしてもらった若い社員も、採りたい職種の社員だった筈です。

もう一度、学生の立場になってみましょう。本当は、学生が会ってじっくり話したいのは、現場の社員である筈です。であれば、ご質問の【学生とのコミュニケーションを取るべき、人】がまず、現場の社員だと思います。

【会社説明会でアンケート】を書いてもらう会社が沢山ありますね。アンケートで、「会いたい社員」を書いてもらい、人事部門は学生に指名された社員を会わせる様に調整します。その社員が面接した学生を気に入り、人事部門に報告し、かつ、その学生を応援するメッセージを学生宛に送っていったとしましょう。

いかがでしょうか? 『やろうとすれば可能なこと』が採用業務でも沢山あると思いますけれど、真剣に応募者の立場になり、他社がやってなさそうな盲点で、応募者の動機付けに繋がる様にコミュニケーションを取っていくこと・・・【募集の成功】に繋がっていく様に思います。「差別化」になっているからではないでしょうか?

④インターネット時代の募集で、私たちは、何に一番、注力したら良いでしょうか?

お答え:これも、正に、「タイムリーなご質問」だと思います。

今、「インターネット上の募集の世界」で起こっている重大な問題は、【応募者の方が、採用する側よりも、総じて、求人サイトの使い方に精通している】という現実です。

今年、就活をしている学生は20歳前後ですから、生まれた時には既にインターネットの時代に入っていたばかりか、何かを調べたい時にも辞書ではなくPCやスマホを使い、日常の買い物でもネットをフルに活用しています。一方、採る側の人事部長が仮に50歳だとしますと、就職してからネットの時代に入り、「求人サイト」を使い出しましたが、どうしても【後追いの形】でいちから勉強することになります。ですから、募集活動を行う上で、「求人サイトの勉強」は本当に重要な領域であり、若い世代に追いつかなくてはいけません。

しかし、何にでも盲点はあり、学生たちの全員が求人サイトを掌握しているわけではなく、例えば、新卒用の求人サイトの「自己PR文を書き込み、企業に見せることができる機能」を使っている学生は会員登録を済ませた学生全体の20%もいない・・・と言われています。意外ですね。

こうした事実は本当に興味深く、若い世代がネットに慣れ親しんできた分、求人サイトで「会員登録」をする際にも、最少レベルの情報だけの登録で済ませてしまうことが多いのです。ですから、その先に記入欄のある「自己PRの記入エリア」にまで進まず、会員登録は完了したと思い込み、閉じてしまっているわけです。「求人サイトの運営会社」も、「採用する企業」も、就職サイトのコンバージョンを単純に人数で捉えるのであれば、それで良いわけですけれど、【学生にとっての積極的な就活】、【企業にとっての優秀な人材の獲得】を考えるなら、求人サイトは『他の様々なサイトとは、構造も使い方も、大きく異なるもの』と捉えた方が正しい様に感じます。

そして、その求人サイトの素晴らしい機能をフルに活用できるか否か?は、【求人サイトの管理画面の様々な機能・使い方】を掌握することから始まっていきますので、採用業務に関わる方全員で、ここに注力していって頂きたいと思います。

まとめ

今回(4回目・最終回)もここまでお読み頂きまして、本当にありがとうございました。

今まで、下記の

第1回:【現実に掲載効果の出る、求人サイトの正しい掲載(活用)方法】
第2回:【求人サイトの効果に極めて影響力を持つ給料の金額と、そのPRの方法】
第3回:【内定辞退をひとりも出さないようにする為の応募者への動機付けと、スケジュール管理のノウハウ】
第4回:【採用をする前段階で極めて重要な一人ひとりの応募者の業務適応性(業績向上力)の精密な分析】

を書かせて頂きました。拙い文章ではございましたが、皆様からご熱心なメッセージやご質問を頂け、心から感謝致します。

冷静に考えてみますと、自社の商品の販売促進を考えるなら、ホームページを作成し、解析して、流入を増やす為に「社外の会社のWeb広告」を使う事が多いと思いますし、それによって、貴社のサイトのコンバージョンが増えていくのが「一般的」です。しかし、人材募集を考えてみますと、「求人サイト」に掲載しますと、「応募」が基本的にその「求人サイト」に入ってきて、その応募者のフォローも、「応募を増やす為の広告」も、その求人サイト内で運用されます。それ程、「求人サイト」は上手く作られてきて、採用業務が「求人サイトだけでも完結」する位に進化しています。

ですから、今後益々、この特殊なサイト「求人サイト」を【貴社の最も得意なサイト】にしていって頂きたいと思います。

そして、今回、「最終回」でございますので、ご質問を頂いた内容に関し、この【ウェブ解析士だより】でお答えすることができませんが、もし宜しければ、弊社のサイトのお問い合わせのページにお気軽にご質問をお寄せ下さい。必ず、お答えをさせて頂きます。

末筆ながら、『貴社オリジナルの求人サイト活用戦略』が進み、貴社のWebによる人材募集が大きな成果を生んでいきます様、心からエールをお送りしております。

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

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この記事を書いた人

1978年、慶応大学商学部卒。静岡県生まれ。流通業界(人事部門)を経て、1984年、急成長の(株)リクルートに入社。品川営業所長、西新宿営業所長などを経て、1989年、コンサルティング会社:(株)プレステージを設立。
以来、★徹底した分かり易さをコンサルの方針とし、30年、コンサルティングを続けております。
趣味として、旅行、写真、車、カラオケ、飲酒(^^)などがございます。

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