ECサイトの売上を改善したリピーター戦略!優良顧客化に向けた一連の販売シナリオの重要性とは?

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こんにちは。ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している、株式会社ピージェーエージェント代表取締役の加藤です。

今回は、とあるECサイトの売上を改善した「リピーター戦略」に関する事例をご紹介します。2回目購入・3回目購入・優良顧客へと購入を重ねてもらうための具体的な販売シナリオなど、まだマーケティング戦略や販売戦略などを考えたことのない企業様にも参考にしていただけるお話です。

良いものを作れば売れる!?

生活雑貨のEC事業を営んでいるA社。ここ数年、売上がゆるやかながら徐々に低迷してきてしまっており、何とか売上を伸ばすために新しく戦略的なアプローチを検討したいということで、弊社にご相談を頂きました。

A社は今まで、特にマーケティング戦略や販売戦略を考えるようなことは行っておらず、「良い商品をリリースし続け、自然に認知をして下さったお客様からの購入を待つ」というスタンスでEC事業を展開していました。商品企画やデザイン、生産技術などに強い力を持っている企業様によくあるケースですが、「良いものを作れば売れる」という信念を持っているために、商品を売るための戦略=マーケティング戦略に関しては、特に何も考えてはいないという状況でした。

もちろん「良い商品である」ということは絶対に重要なことです。それは間違いありません。お客様に喜んでもらえないような商品を「ブランディング・マーケティングの力でどうにかして欲しい」と言われても、どうしようもありません。やはり「良い商品=お客様に喜んでもらえる商品」であることは、最重要事項です。

しかし、残念ながらそれだけでは、なかなか商品は売れない時代になってきています。魅力的な商品やサービスが顧客の身の回りに溢れている昨今においては、「良い商品である」という大前提をクリアした上で、どのような心象を与えるかという「ブランディング戦略」や、どのように売れる仕組みを作るかという「マーケティング戦略」が重要になってきます。

まずはリピーター戦略に取り組むことがオススメ

そこで、最初に弊社がA社にご提案して取り組んだのは「リピーター戦略」です。以前の記事でもご紹介しましたが、マーケティングの世界には、「1:5の法則」というものがあります。新規顧客に対して商品を販売する労力は、既存顧客(リピーター)に対して商品を販売する労力の5倍であるという法則です。A社のように過去数年間の販売実績があり、市場からの認知や、既存顧客リストが、ある程度獲得できているような状況の企業様においては、まず「リピーター戦略」に取り組むことを弊社ではオススメしています。新規顧客の獲得に躍起になって疲弊するよりも、まずはリピーターの育成に力を使うべきであるということです。

リピーター戦略の立て方

リピーター戦略を考えるにあたっての分析手法には様々なものがありますが、もっとも代表的なものが「RFM分析」です。

RFM分析とは、過去に販売実績のあるお客様を「最終購買日(Recency)」「購買頻度(Frequency)」「購買金額(Monetary)」で階層分けをして分析する手法です。たとえば、最終購買日が最近で、購入頻度が高く、購入金額が高いお客様を「優良顧客」、逆に最終購入日が古く、購入頻度も購入金額も低いお客様を「離反顧客」と考え、それぞれのお客様に対するマーケティング戦略を練るというようなことに使います。

A社の場合、まずはシンプルに、「1ヶ月以内の再購入率」「3回目の購入に至る割合」「上位10%の優良顧客の年間累計購入金額」というKPI(数値目標)を立て、戦略を立案することにしました。

1ヶ月以内の再購入率を上げる

A社の過去の販売データを分析したところ、初回の購入から1ヶ月以内に再購入したお客様は、その後もリピーターになる割合が高いということがわかりました。つまり、「いかに1ヶ月以内に2回目を買ってもらうか」に全力を尽くせば、リピーターになってもらえる可能性が高いということです。

A社では、今までのようにただ待っているのではなく、積極的に「2回目の購入」に向けて仕掛けを行っていきました。たとえば、「定番人気商品の5個セット:6,000円」を購入したお客様に、1週間後・2週間後・3週間後に、それぞれメールで「季節のお買い得限定商品:1,000円/個」を提案する施策を実施しました。最初の購入時(1,200円/個)よりもお買い得な提案をすることで、2回目の購入のハードルを下げるという狙いです。これにより、何も行っていなかった頃と比較して、初回の購入から1ヶ月以内の再購入率が大幅に向上しました。

3回目の購入に至る割合を上げる

マーケティングの考え方に、「3回安定10回固定の法則」というものがあります。「3回購入したお客様は、そのお店に安定的に来る「なじみ客」になっていただける。10回購入したお客様は、他店に行くことがない「固定客」になっていただける」という法則です。

A社では、2回目購入のお客様に対して、冬と夏に特別割引価格で福袋(ハッピーバッグ)を販売するという施策を実施しました。通常の販売においても人気の高い福袋(ハッピーバッグ)を、さらにお得な特別割引で購入できるというものです。福袋(ハッピーバック)は通常価格でもかなりお得な商品のため、利益率的にも赤字覚悟のかなり思い切った施策ではあるのですが、「3回目の購入」というハードルを越えるために、あえて思い切って魅力的なプロモーションを行いました。3回目の購入に至る割合を高め、「3回安定10回固定の法則」に則って「なじみ客」になっていただこうという狙いです。

上位10%の優良顧客の、年間累計購入金額の向上

A社では、「優良顧客」のひとつの定義を「年間累計購入金額が上位10%の顧客」という定義をしました。もちろん、この「優良顧客」の定義は、その企業の取扱商品や規模、事業形態などによっても大きく変わると思いますので、自社内で検討をする必要があります。

A社では、定めた「優良顧客」の定義に合致する対象者の動向を細かくウォッチして、その対象者の「年間累計購入金額」が向上するように、様々な特別サービスを提供していきました。

例えば、「送料無料サービス」「新商品の優先購入チケット」「季節の挨拶のブランドブック(カタログ)の郵送」などを行い、「優良顧客」に、より気持ちよく商品を購入してもらい続ける仕組みを整えていきました。航空会社のマイレイージ会員や飲食店のVIPサービスなどもこれと同じような考え方です。その結果、A社では、優良顧客の年間累積購入金額を1.6倍にすることに成功しました。

リピート購入に向けた一連の販売シナリオの重要性

リピーター戦略に取り組むためには、2回目購入・3回目購入・優良顧客へと購入を重ねてもらうための販売シナリオを作ることがキモです。

「最初の1回さえ購入してもらえれば(商品を一度使ってもらえれば)、商品の良さが分かってもらえるので、後はリピーターになってもらえるはずだ」と考える企業様が少なくありません。新規顧客向けの格安集客商品や、無料お試しセットの提供など、「初回購入に向けた施策」に熱心に取り組んでいる企業様も多いのではないでしょうか?

もちろん、それらの施策は重要です。しかし、そればかりでは利益を圧迫してしまいますので、同時並行で、「2回目・3回目と商品を購入して、リピーターになっていただくための施策」にも取り組むことが大切です。そのためには、事前に一連の販売シナリオをきちんと立て、それに合わせた商品作成と販促施策を連動させていくことが必要になります。

例えば、前述のように、「2回目購入に向けた季節のお買い得限定商品のオファー」「3回目購入に向けた特別価格福袋(ハッピーバッグ)のオファー」「優良顧客向けの様々な特別サービス」といったように、初回購入から2回目購入・3回目購入・優良顧客化までの一連の販売シナリオを整えることが非常に重要です。

顧客の状態に合わせた様々な販売シナリオ

今では、A社は前述の「リピート購入に向けた販売シナリオ」だけではなく、「離反顧客向けの復活シナリオ」や「特定顧客向けの限定シナリオ」など、顧客の状態に合わせたいくつかの販売シナリオを作り、それに合わせた商品作成と販売施策を行い、さらに売上を伸ばしています。

もちろん、「良いものを作る」ということは企業としてもっとも重要なことです。しかし、「良いものを作れば売れる」と考え、マーケティングや販売戦略をないがしろにするのではなく、それぞれの顧客の状態に合わせたきめ細やかな販売シナリオを考えてみてください。そうすれば、御社の作った「良いもの」を、もっと多くのお客様にご提供でき、もっと多くのお客様に喜んでもらうことができます。

「何から手をつけて良いのかわからない」という企業様は、ぜひ、今回お伝えした「リピーター戦略」から取り組んでみてください。きっと、何か新しい気づきがあるはずです。

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加藤 雄一郎

株式会社ピージェーエージェント代表取締役。中央大学理工学部卒業後、NTTコミュニケーションズ株式会社に入社。IT・WEBを活用したデジタルマーケティングに関する法人企業向けコンサルティング業務に従事。顧客の購買プロセスに基づいたマーケティングシナリオ設計、メールマーケティングを基軸としたCRMコンサルティング等、法人企業の売上向上に寄与するコンサルタントとして活躍。その後、中小・ベンチャー企業に特化したコンサルティング会社である株式会社ピージェーエージェントを設立、代表取締役に就任。ブランド戦略の立案を強みとして、ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している。