すぐにできるサンクスページの有効活用

はじめまして、ウェブ解析士マスターの里村仁士(さとむらひとし)です。
ブルースクレイ・ジャパン 株式会社という会社で、リスティング広告の運用を中心としたウェブマーケティング関連の仕事をしています。

ウェブサイトの役割はサイトタイプ(コーポレートサイト、ECサイト、メディアサイト、リードジェネレーションサイト等)により様々ですが、CTA(Call To Action:サイト内で訪問ユーザーの行動を誘導すること)を設置しているサイトは多いです。(例:「お問い合わせ」「資料請求」「申し込み」「購入」など)

皆様もご経験があると思いますが、サイト上で目的を満たしたら、そのサイトを閉じて他のサイトを見に行くなど、別の行動をするのではないでしょうか。そのため、サンクスページは離脱率が高いページとして挙げられます

「サンクスページは離脱率が高いのは当たり前なので、フォームなどの離脱率を指標にしましょう」と言ったような事を聞いたこともあります。何だかサンクスページはあまり大切に扱われていないというか、ちょっとサンクスページがかわいそうですね。今回はこのかわいそうなサンクスページに日の目を当ててみようと思います。

目次

サンクスページは本当に離脱率が高いのだろうか?

サイトタイプ別にサイトをランダムに選び、サンクスページの離脱率と各ページの平均離脱率を比較してみました。

各ページの平均離脱率と比較すると、確かにサンクスページは高い傾向にありそうですが、中にはサンクスページの方が離脱率が低いサイト(リードジェネレーションサイト B)もあります。また、その平均にもばらつきがあり、一概に評価できなそうです。サンプル数を増やして検証すると、これらの傾向も安定して見えてくるところですが、今回はこの結果だけで考察をすすめてみます。

まず、数字について考えるのではなく、ユーザーの気持ちになって考えてみましょう。

単品商品のみ扱っているようなECサイトであれば、他に購入する商品はないので離脱率は高くなりそうですが、複数商材を扱っているようなECサイトであれば、ユーザーの商品に対する関心は購入後も継続しそうです。

資料請求などをCTAにしているリードジェネレーションサイトであれば、資料請求だけでは成約には至っていないので、ユーザーは企業のサービスに対する関心・不安など、様々な感情を抱いていると想像できます。

ユーザー分析(サンクスページ閲覧後)

ユーザーはサイト上の目的達成後(サンクスページ閲覧後)、どのような行動をしているのでしょうか。確認する方法はいくつかありますが、Google アナリティクス の機能を活用して分析してみましょう。

①ユーザーフロー

Google アナリティクス の「ユーザーフロー」(レポート画面の左メニュー:ユーザー → ユーザーフロー)では訪問者(セッション)のページ移動を確認できます。コンバージョンページに焦点を当てると、どのような移動をしているか概要を見ることができます。

本例ではサンクスページ閲覧後、トップページに移動してから離脱(赤色の移動)しているケースが多そうです。また、サンクスページ閲覧後、複数ページを閲覧しているユーザーもいます。

②ユーザーエクスプローラ

Google アナリティクス の「ユーザーエクスプローラ」(レポート画面の左メニュー:ユーザー → ユーザーエクスプローラ)ではクライアントID(インターネットブラウザ別に付与される固有ID)ごとの行動も確認できます。

セグメントを「コンバージョンが達成されたセッション」にして、特定のクライアントID(コンバージョン達成した訪問者)の結果を見てみましょう。

本例は弊社(ブルースクレイ・ジャパン)の主催セミナーにお申込みいただいた訪問者の行動履歴です。セミナー申込後、トップページに戻るだけでなく「サービス概要」「サービス詳細(SEO)」などのページも閲覧しています。

このユーザーの気持ちを想像すると、どのような事が考えられるでしょうか。

「セミナーに申し込みをしたけど、本当にこの会社は大丈夫かな?」
「この会社って、他にどんなサービスをしてるのかな?」
「あ、セミナーだけでなく、SEOもやってるんだ。ふむふむ」

ポジティブな好意やネガティブな不安感など、様々なことが想像できそうですが、閲覧を継続していることから、何かしらの興味関心を抱いていると言えそうです。

施策(サンクスページ)

複数商材を扱うECサイトなどでは、サンクスページにレコメンド商品を表示させる構成はよく見ますが、特にコーポレートサイト、リードジェネレーションサイトなどでは「お問い合わせを完了しました」という簡素な構成のサイトは多いようです。

もしあなたがサンクスページを見た後に画面を閉じるなどの行動をしていても、上記のデータからわかるように、コンバージョン完了後もユーザーの関心が継続することは少なくありません。逆にいうと、ユーザーの関心を継続させるためにも、サンクスページのコンテンツを充実させるという発想を持ってもいいのではないでしょうか。

コンテンツの中身としては、別商材の紹介をすることでクロスセルを図る、もしくは、人気ブログ記事を紹介することで、企業に対する好感度を高める、メディア紹介記事などを掲載して、企業の信頼性を高めるなど様々な施策が挙げられます。

ちなみに、弊社の事例だと以下のように他商材を紹介しています。

この場合、サンクスページから各商材の移動率でサービスに関するユーザーの関心を垣間見ることもできます。また、コンテンツの構成見直しのため、サンクスページの離脱率を低下させるという目標を置くこともできます。

最後に

いかがでしたでしょうか。

ご自身のサイトが簡素なサンクスページであれば、ユーザーの興味関心を継続したり、さらにモチベーションを上げるようなコンテンツがないか、検討してみてください。もちろん、実施後には上記のような方法で検証することをお忘れなく。

企業とユーザーがより良い関係を築けるといいですね。

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

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この記事を書いた人

2010年よりブルースクレイ・ジャパン株式会社にて勤務。リスティング運用、サイト分析、人材育成など多岐に渡る業務に従事。Google Adwords のトップコントリビューター(国内4人)として Googleより認定。

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