スマートフォンサイトを再リニューアルしてコンバージョンを改善した事例

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こんにちは。上級ウェブ解析士の高井と申します。
株式会社にいがた三昧という、新潟に根差したウェブ制作会社のウェブコンサルタントをしています。

スマートフォンの普及により、検索エンジン大手のGoogleの方針として「スマートフォンでの閲覧に対応していないとユーザーに届きにくいから、スマートフォン対応を進めてね」というアナウンスがあり、レスポンシブ対応やモバイル専用サイトを用意しなくては!という雰囲気が新潟でも浸透しつつあるのを日々感じています。
(参考:Google ウェブマスター向け公式ブログ: モバイル ファースト インデックスに向けて

しかし、スマートフォン専用サイトの制作やレスポンシブ対応をした後、「全然申し込みが増えないんだけど」というお客様の声、聞きませんか?

今回はそういった場合の参考になる、スマートフォン対応のコンバージョン事例を、解説を踏まえながらご紹介します。

今の時代、スマートフォン対応は必須?

そもそもスマートフォン対応の目的は、インターネット利用者の多くがスマートフォンを経由してアクセスしていることから、スマートフォンに対応していないサイトは利用者から選択されず、自社のリソースを提供する機会を失ってしまうというところにあります。
以下のデータはパソコンの世帯保有率が減少傾向にある中、スマートフォンの世帯保有率が顕著に増加していることがわかります。

(図1)出典:情報通信端末の世帯保有率の推移

しかしスマートフォンに対応させて出来上がったサイトがユーザーにとって使いにくく、役に立たなければ、申し込み数アップはおろか、検索結果の上位に表示されることも難しいかもしれません。

今回は、既にスマートフォンサイトを持っていたお客様が、アクセス解析の結果を元にサイトリニューアルを行ない、申し込み数アップを成功させた例をご紹介致します(実際のクライアント名・業界は非公開とさせていただきます)。

集客は成功しているように見えても……

A社は、「来訪の予約」と「資料請求」を目的としてサイトを運用していました。example.comというパソコン向けサイトと、example.com/sp/というモバイル向けのページを既に所有しており、スマートフォン対応は比較的早く行っていました。来訪の予約、資料請求それぞれをコンバージョンとして設定しており、それらの合計を増やせるように改善を行っていました。

モバイルからのトラフィックが最も多く、集客は成功しているように見えました。しかし、なかなかコンバージョン数が伸びません。繁忙期にはコンバージョン率が1%を超えますが、閑散期には常に0.5%前後と、季節要因でコンバージョン率が上がるだけという傾向が顕著に表れていました。

アクセス解析で明らかになった、モバイルユーザーの行動

Googleアナリティクスで、ある1ヶ月の実際のコンバージョンを確認しました。全体で28件のコンバージョン、デバイス別でみると、パソコンのコンバージョンが6件、タブレットが2件、モバイルが20件。モバイルで最もコンバージョンを獲得できており、一見スマートフォン対応が成功しているようにみえます。

(図2)リニューアル前のある1ヶ月間のデバイス別コンバージョン数

ところが、これが盲点でした。
目標完了の場所(実際にコンバージョン設定されているURL)を確認すると、意外な結果が見えました。Googleアナリティクスでパソコンサイトのコンバージョンに設定されているページは/conversion/thanks、スマートフォンサイトのページは/sp/conversion/thanksとなっていましたが、20件のモバイルのコンバージョンのうち、/sp/conversion/thanksのページで計測されているモバイルユーザーはわずか7件、残りの13件はすべて/conversion/thanksのページでコンバージョンを達成していたのです。

つまり、モバイルユーザーがスマートフォンサイトを訪れたのは良いものの、何らかの理由でパソコン用のURLにわざわざアクセスし直して、コンバージョンを実行している可能性が高いという結果がでました。

(図3)同期間でのスマートフォンサイトのデバイス別コンバージョン数

当時のスマートフォンサイトは、モバイルユーザーに向けた/sp/という別ページを用意していたものの、デザイン自体はパソコンサイトを踏襲していました。スマートフォンで正常に表示されるし、見栄えも整っているものの、来店予約や資料請求をしようとするユーザーにとっては使いにくいサイトになっていたのです。パソコンの画面向けに用意されたページに、スマートフォンでアクセスしたくなるほどに。

スマートフォンサイトを再リニューアルする意味とは?

そこで、クライアントに対し、現状のサイトはモバイルユーザーにとって使いにくい可能性があるため、スマートフォンで使い易い導線を考慮したサイトにリニューアルしないか、という提案をしました。クライアントにとって最も重要なのは費用対効果です。

「本当にサイトリニューアルしたら申し込み数アップするの?」
「アップしたとして、月に1~2件増えた程度じゃ困るよ?」
「何件とったらペイできるの?」

そういったクライアントの気持ちに対して「いやぁ~増えるかどうか分かりませんが、とりあえずやってみましょう!」なんて言っても意味がありませんし、根拠なく「サイトをリニューアルしたら間違いなく申し込みが増えますよ!」なんて鼻息荒く言っても信用はしてくれません。

今回のクライアントに対しては、Googleアナリティクスで計測した結果から、実際のユーザーの行動を数値で示し積極的な判断材料を提供したことで、結果的にリニューアルに踏み切ることができました。

リニューアルの成果は出たのか?

リニューアルの成果は顕著でした。リニューアル後1ヶ月で、コンバージョン数は前年の1.5倍、閑散期にも関わらずCV率は1%を超えました。その後、どんな時期でも1%のCV率、繁忙期には2%以上のコンバージョン率を達成できるサイトとなりました。勿論、モバイルトラフィックのコンバージョンがパソコンサイトで計測されることもなくなりました。

(図4)リニューアル後1ヶ月間のデバイス別コンバージョン数

 

(図5)リニューアル後、同期間でのスマートフォンサイトのデバイス別コンバージョン数

まとめ

一見デザインが綺麗で、スマートフォンで正常に表示されているサイトであっても、実際にユーザーにとって使い易いかどうかは別という事例でした。

私はデザイナーではないので、見た目の良し悪しは主観でしか分かりません。しかし、データは「ユーザーが使いにくい」という事実を示しており、そこに違いを作ることはできました。

サイトのリニューアルは、決して安いものではなく、企業にとっては大きな決断です。リニューアル後に成果が出るかどうかというのもやってみないと分からず、常に不安がつきまとうものです。
ですから、いきなりリニューアルを実施するのではなく、データを分析し仮説を立て、どう改善して違いを作るのかを明確にすること強く推奨します。これにより、少ないリスクで効果的なリニューアルを実施することが可能になります。

昨今、スマートフォン対応が必須となっていることは間違いありません。しかし今回の事例でもお分りいただけたように、スマートフォンに対応していても、申し込みが増えるとは限りません。

先入観にとらわれず、データからユーザーの行動を想定したサイト設計を行ない、スマートフォンサイトの恩恵を最大限に引き出しましょう。せっかく Google アナリティクスを入れているなら、まずは御社のモバイルユーザーの行動を再度確認するところから始めてみてください。

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高井 基行
新潟県上越市出身。株式会社にいがた三昧ウェブコンサルタント。2016年に旅館のフロントからウェブコンサルタントへの異業種転職。ウェブ解析士認定後、新潟県内の中小企業を支援するウェブコンサルタントとしてキャリアをスタートする。2017年上級ウェブ解析士認定。インターネットの広告提案・運用支援、ウェブサイトのデータ分析から改善提案を行っている。Google AdWords個人認定資格所有、新潟清酒検定達人検定 銅の達人。