タイ・バンコクでウェブ解析士が見た、広告やデジタルマーケティングの今

Pocket

はじめまして、ウェブ解析士マスターの山口です。

日本は近年、広告業界では動画広告マーケットが大きく成長しているなか、先進国の情報などは様々なメディアが発信しており、入手しやすく、SNSでも拡散されたりしていますね。

とはいえ、ASEAN 諸国などの広告市場の調査データなどあまり耳に入ってこなかったりする方も多いのではないかと思います。

そこで、ASEAN の人々はどのような広告に接触をしているのか、今回6年ぶりに行ったタイ・バンコクの今について、旅で感じたことや現状についてまとめました。

タイ・バンコクの現状

昨年マレーシアを訪問した際、ASEAN が予想以上に発展していたことにカルチャーショックを受けました。そこで6年前に一度訪れたタイ・バンコクはどうなっているのかが気になりだし、いてもたってもいられず旅に出ることに。

近年、LCC(格安航空会社)の就航国が増え、LCC の中でも価格競争が激化しているため、国内の航空券のチケット代と LCC の海外航空券のチケット代に大差がなくなってきています。また、日本国内のホテル代と ASEAN 諸国のホテル代は、日本と同じランクで比べてもかなり安く、現地で使うお金など物価も考えると、トータルでは海外の方が安いケースがあります。ゴールデンウイークを使って行ってきましたが、片道24,000円程度だったので、さほど高いというイメージはありませんでした。

現地に到着して最初に感じたことは、日本で生活するのと変わらない感覚を持つ人もいるのではないかと思うほど、きれいな場所が多かった印象です。6年前に比べると、公衆衛生などはかなり改善され、市内の道路も整備されています。交通手段も MRT(地下鉄)など新たな鉄道が完成したこともあり、生活の利便性は格段に上がっています。

大きな商業施設も建設が進み、6年間で目覚ましい発展を遂げていました。

タイでは新聞が読まれず、屋外と鉄道の広告が鉄板

現地のバンコク市内を歩いていて目についた光景は、かなり夢中になってテレビを見ている人々。やはり、どこの国でもテレビは見られていますね。

しかし、日本のように新聞が読まれている風景はなく、ほとんどの人はスマートフォンで最新の情報を得ているようです。至るところにセブンイレブンがありますが、日本のように羅列してある新聞を買い求めて電車に持ち込むような人はいませんでした

各企業が出稿している広告掲載場所としては屋外広告が多く、BTS(バンコク・スカイトレイン)や MRT の交通広告露出においてはかなりの企業が参加しており、とても印象的でした。日本にも丸ごと広告が貼り付けられている電車をたまに見かけますが、MRT はすべてが広告の電車です。とはいえ、外観を損なうような賑やかさではなく、企業のブランディングのための広告が大きい印象でした。

また、6年前に来た時は高速道路際への巨大看板広告が目立ちましたが、今回は空いている広告枠が多く、駅ナカの看板に多くの企業が露出していました。

いずれにせよ、タイは屋外広告や交通広告の分野が依然として強い印象でした。国王の悲報により多くのビルに国王の巨大ポスターが貼られている状況からみても、屋外広告は鉄板なのかもしれません。

スマートフォンの利用率と物価

バンコク市内ではほとんどの人がスマートフォンを持ち歩いていました。Facebook、LINE、Facebook メッセンジャー、Instagram などがタイで最も人気のあるソーシャルメディアらしく、Facebook や LINE をしている人を電車の中でよく見かけました。

2016年1月時点のタイのインターネットユーザーは約3,800万人、つまり全人口の約56%がインターネットを利用しているそうです。また、タブレットやスマートフォンなどの携帯端末からのアクセス人口は約3,000万人で、これはタイの人口の45%に相当します。

実際、デパートや生活量販店ではスマートフォンを片手に暇つぶししている従業員も多く、Facebook や YouTube などを見ながら、広告に接触している若者が多い印象を受けました。

タイはローカルの食べ物や乗り物は安いですが、その他は2割ほど安いくらいで、日本と大きく変わりません。それでも、もしかしたらとアップルストアの店舗にも足を運んでみましたが、iPhone 7(32GB)は 26,500 バーツ(2017年7月時点の日本円で約8.7万円)と、日本で購入するのとあまり変わらない値段でした。日本では iOS のシェアが大きいですが、タイでは Android が多くを占めているので、iPhone はかなり高級なイメージがあるようです。

バンコクのデジタル広告業界の状況

次に、私がこれまで現地で見てきた印象と、実際公表されているデータを突き合わせてみます。

Thailand Digital Advertising Spend Mid-Year 20162016 Spending by industry

タイのデジタル広告協会調査では、2015年から2016年のデジタル広告の価値は、22%増加しました。2016年前半のペースは47.32億バーツと、これまでの年間を上回るほどのペースで広告費が推移し、後半には勢いが増して51.5億と躍進した結果、2016年の結果は98.83億バーツ(日本円で約330億円)となり、デジタルメディアへの広告費用が堅調に上昇しています。

2017年は国王の悲報により鈍化するという予測もありますが、100億バーツまで伸長するという予測もあり、いずれにせよ、長期的には右肩傾向の成長マーケットとなっていることがわかります。

また、デジタルメディアへの広告予算の主要産業は、全体の10%を占める自動車産業が10億11万バーツ(日本円で約33億3630万円)で首位。2位がスキンケア・美容関連産業(9.74億バーツ)、3位が通信・メディア産業(9.15億バーツ)、4位がノンアルコール飲料業界(6.27億バーツ)と続きました。2015年に比べ、スキンケア・美容関連産業が3.79億バーツの支出増加として、2位というランキング上昇に大きく貢献した形となりました。

実際に街を歩いていて、屋外広告は自動車の広告やアップルの広告が多く目立ちましたし、スマートフォンでウェブサイトや Facebook を見ていた際には、スキンケア化粧品や飲料系のバナー広告が多く目立っていました。ターゲティングされていることをふまえたとしても、データが示すように、出稿産業の上位が多く目に止まるものでした。

データ出典:タイ・デジタル広告協会
DAAT เผยผลสำรวจงบการใช้สื่อโฆษณาดิจิทัลปี 2559 โตตามเป้า | DAAT

まとめ

タイの現状はいかがでしたでしょうか。

スマートフォンの利用率は高いものの、タイの広告メディアはテレビCM広告、屋外広告(交通広告)が依然として強い傾向にあります。

インターネットの利用についても、SEO はまだまだ改善の余地もありました。自分の iPhone を日本から持参し海外用の 4G Wi-Fi をレンタルして旅をしましたが、商業施設などのウェブサイトにアクセスすると、表示速度が遅いことも非常に多く、慣れるまで時間がかかったものです。

そういった現状の中でも、デジタルメディアの市場が急激な広がりを見せていることは間違いありませんし、改善する余地も大きい魅力的な市場でした。

日本も6年前に比べると、当然、デジタルメディアの進化はめざましく変化しています。しかし、東南アジアはデジタルメディアが遅れているということはまったくありません。

様々な規制がされている日本に比べると、この先、進化するスピードは ASEAN の方が速いかもしれないという実感を持てた有意義な旅となりました。

海外旅行に行く際は、異なる切り口でメディアコミュニケーションがされていたりしますので、ぜひとも、広告やデジタルマーケティングにも注目してみてください。面白い発見や新たなアイデアが思い浮かぶかもしれません。

Pocket

山口 誠治
1983年東京都生まれ。ウェブ解析士マスター。現在、大手金融機関の企画部門にて、ウェブ広告運用とデジタルマーケティングといったウェブプロモーションを担当。実務にて各種解析ツールを利用してデジタルマーケティングの改善を模索しては広告運用で実施しながら実務にてPDCAを回す日々。顧客獲得のリード獲得が長い業界を得意とする。