ウェブ解析士ってどうすれば儲かるの?

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こんにちは。上級ウェブ解析士の積(せき)と申します。

突然ですが、ウェブ解析士の皆さんは、ちゃんと稼げていますか?

先日「稼ぐというテーマ」と「資格を取得したウェブ解析士」の間にあるギャップを感じたので、少し砕けた内容ですが、稼ぐことに戸惑っているウェブ解析士の方に届けば嬉しいです。

アンケート結果と事例で出されている数字のギャップ

今年の2月に開催されたウェブ解析士アワードの受賞式と、同時に行われたセミナーに参加しました。

「稼ぐ」をテーマにしたセミナーで、お金の話がどんどん出てきて「さすがIT系は儲かるよなぁ」と思って聞いていたのですが、セミナーの参加者やウェブ解析士に取っていた収入に関するアンケート結果の公表を見て驚きました。

というのも、セミナー壇上で話されている数字と、参加者やウェブ解析士から取ったアンケート結果とのギャップが桁違いに大きかったのです。

ウェブ解析士はそれほど稼げていないのかも?

あまりにギャップが大きかったので、登壇者の話が、セミナーの参加者やウェブ解析士にどれほど役に立っているのか、実感値として本当に通じているのどうか心配になりました。

もし壇上の話にあった売上や成果の数字と、大半のウェブ解析士の扱っている数字が同じレベルならば、基本的にその規模に応じた収入であるはずのウェブ解析士の収入調査が、アンケートにあったようなレベルのはずがありません。

無論、登壇されて話されているのですから「成功例」がほとんどで、「こうすればこれだけの効果があって収益があがるよ」という話なのですが、実際にそのような事例は、自分のビジネスの中でどこまで応用できるでしょうか?

セミナーやネットで目にする事例の多くは、クライアントが「大企業」

先日のウェブ解析士のセミナーに限らず、実際にネットやセミナーで目にする話の多くは「自分もそれなりのサイズの企業に所属し、クライアントも大手企業である」ケースの話が多いです。インパクトが大きく知名度もあって、事例として紹介可能な場合が多いからでしょう。

しかし、日本にある企業の99.7%が中小企業です。登壇される皆さんが話をしているような大手企業は、日本の法人のわずか0.3%しかありません。

しかもその数値は「中小企業基本法」による分類ですから、一般にイメージする大企業よりはるかに大きい数字といえます。(例えば基本法では、小売業で「社員50人以上または資本金5000万以上」はもう大企業です。その小売業は0.3%のほうに含まれています。)

なので、壇上の話で想定する大企業は「上場企業+α」の大企業の中でも、さらに限られた企業であり、そういった企業を相手にビジネスをサポートしようという話であることがほとんどなのです。もちろん、様々な困難を乗り越えて得られた成果として、とても素晴らしい内容です。

中小企業と大企業では、本質的にWebマーケティングの方向性が異なる

ところが、企業に所属せず独立して活動しているウェブ解析士が、一般にクライアントとする相手はほとんどが中小企業ではないでしょうか?先述の通り、日本の企業の99.7%は中小企業ですから、ウェブ解析士が残りの0.3%を相手にしている人ばかりとは考えられません。

そして、中小企業を相手にすることと、大企業を相手にすることは、本質的に方向性が異なります。

限られた材料と道具で料理をするようなものです

中小企業の多くは「社長の独断」で物事が進み「担当者の不備」「さまざまな予算不足」など、リソースの確保が最大の問題であることが多いです。広告そのものの予算がないので、すばらしい広告効果を上げる方法やマーケティング手法を教えてもらっても、活用できない場合がほとんどです。

大企業は常にサイトを見直して、最新の状況にアップデートされています(実はしていないところもありますよね。なんとかしましょう)。

中小企業の大半は常に最新の状況にアップデートできるほどの予算がありません。

大抵の会社は「5年以上前に初めて作った」ないしは「3年ほど前、スマホ時代の初期に作った」という古いサイトであることが多く、今の消費者の要望に応えることができなくなってきているのです。

さらに、アナログでのビジネスインパクトが大きいとサイト管理の優先度が低く、今の消費者の行動を想像することができないため、リニューアルするにも従来の考えで見た目のデザインを刷新して満足し、効果が出せなくなっているという状況もいまだにあります。

ただし大変興味深いことに、ここ数年、あらゆる企業が自社サイトの見直しを迫られている状況ではあります。少し前までは「予算がないからサイトは放置したまま」でよかったのですが(よくないですけど)、最近のユーザーは個人であれ企業の担当者であれ、ほとんどの場合、その企業のサイトを確認します。

ウェブ解析士が活躍できる場は「中小企業」にある

私が思うに、独立して活動するウェブ解析士が活躍できる場は、ここにあるのではないでしょうか。上記のような課題を抱える中小企業は、そもそも自社サイトの改良を誰に頼んでよいのかわかりません。

以前、知り合いのデザイナーに頼んでサイトを作ってもらったけれど、その人は既に廃業してしまっている、あるいは、大きな会社になっていて、とても自社規模のサイトは費用感が合わず対応できない、という場合が多いです。(別のテーマになりますが、最近、個人レベルのサイト制作というのもなかなか割に合わない仕事になってきましたね)

もし、幸いにも立ち上げ当初の熱意がさめず、サイトを積極的に更新していたとしても、そのような社長は直感的に「このままではまずい」と気づき始めています。

この直感は正しく、「単にデザインを変えるだけでなく、継続的にサイトの構成やITマーケティングの面倒を見てくれるコンサルタント」が必要になっています。ウェブ解析士を最も必要としているのは、実はこのサイズの企業なのです。

事業や担当者を育てることがウェブ解析士の仕事

ウェブ解析士は単にアナリストでありません。「広告代理業」ではありませんし、もちろん「ウェブ制作屋」ではありません。

クライアント企業のウェブマーケティングに対して適切な方向性を示し、コストや手間を削減したり、効果を実感してもらえるように改善し続ける。あるいは、企業の担当者をそのように育てていくことが仕事ではないでしょうか。

市場自体は大きく広がっているのに、自分自身の収入が思い通りにいかないウェブ解析士は少なくないのではと感じています。

このコラムの次回以降で「実際にどうすればクライアントの効果や、自分自身の収入があがる可能性があるか」をお話していきます。

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積 高之
上級ウェブ解析士 SNSエキスパート 京都積事務所代表 株式会社リリク執行役員 子供服SPA企業のCMOを経験後、コンサルタントとして2013年独立。これまで80社ほどとコンサルティング契約をしてきました。SNSを主体にウェブマーケティング全般の指導、ECの強化に対する施策の提案や実作業を行っています。特に多店舗の実店舗を持つ小売業のコンサルタントを得意としていますが、最近はBtoBの事例も増えてきています。旅行好きで年に二回は船旅に行ってます。老後の準備。