<第3回・需要と信頼と¥のあいだ> 教えて仙田さん!PTAもウェブ解析士も取っておきたい個人情報保護士

目次

強力な武器として取得しておきたい個人情報保護士

江尻
仙田さんは個人情報保護士と上級ウェブ解析士の資格の両方をお持ちですが、ウェブ解析士にも個人情報保護士はおすすめですか?
仙田
ウェブ解析士の皆様はウェブから得られる個人情報以外にも、クライアントの顧客データ、POSから得られる個人情報、クレジットカード会社から得られるビッグデータなど、多種多様なデータに触れる機会も多いでしょうから、ぜひオススメしたい資格です。
機密情報を扱うにあたってNDAを結んでいるとは言え、経営者からすれば、個人情報の法律や保護対策を知らない外部のコンサルタントに任せても大丈夫と言う気持ちになれるでしょうか?
小杉
ぐうの音も出ません……。
江尻
提案や改善に強いウェブコンサルタントでも、個人情報保護に疎いと委託契約を切られてしまう可能性が十分にあるということですよね。
ウェブ解析士の公式テキスト2017年版には、法人会員からの要望で法律に関する記載が復活したのですが、その動きを見ても法律に関する知識が求められていると感じます。
仙田
個人情報保護士もウェブ解析士同様に民間資格ではありますが、「安全を証明するファーストステップ」として、取得される事をおすすめします。
更に申し上げると、上級ウェブ解析士以上の資格を提示して外部企業のウェブ業務に関わる場合には、ウェブ解析士協会はもとより、他のウェブ解析士の信用失墜を招かないためにも、必須の資格だと思います。
小杉
時代はそこまで来ているのですね……PTAの話では正直面倒なだけだと思っていたのですが、むしろコンサルタントには必須の資格ではないかと思えてきました。
コンサルタント本人でなくとも、コンサルタントを抱える企業にとっては必須といえますね。
仙田
個人情報保護法は条約に関連する法律なので、国の利益を維持するためにガイドラインが頻繁に改正されています。個人情報保護士は、これらの変化に対応していくことが望まれているんですよ。
江尻
ウェブコンサルタントは、目まぐるしく変わるウェブ業界に対応するだけでなく、法律の変化にもついていかねばなりませんね。
仙田
法律だけでなく、セキュリティの技術分野の知識も問われるので、そちらも常に最新の知識を持っていることが望まれます。
例えば、大流行しているランサムウェアがあります。ランサムウェアはファイルを使えなくさせるものですが、個人情報を流出させてしまうウイルスもあります。それらの脅威から大切な情報を守るために、企業は何をどのようにしたら良いのかを具体的に話せるぐらいのスキルは求められます。
小杉
たった今、自分ひとりで法律も担当するのはあきらめました!
江尻
小杉さんはフリーランスで活動されていますから、法律も含めた対応は負担が大きそうですね。
小杉
私一人で抱えた結果、逆にミスがあってはお客様に失礼ですし。小さなチームで強みを結集させる必要性に迫られているので、個人情報保護に強い専門家と組むか、芽のある人を育てることにしました。
自分の苦手なことは得意な人に任せるのが一番です(笑)
江尻
改正によって規模が問われなくなったことで、逆に規模の小さいところのほうが、個人情報保護士との連携が必要になりそうですね。
仙田
個人情報などのビッグデータが企業の活動における新たな資源になっているので、個人情報の不正な取得やビッグデータの独占は、今後、公正取引委員会で独占禁止法の対象にして取り締まっていくそうです。
ビッグデータを企業や国の新たな成長資源にしていくためには、個人情報を保護しながら活用する能力と、ウェブを含めたデータを解析して利活用する能力の両方を持つ人財が求められていると思います。

強力な武器として取得しておきたい個人情報保護士・まとめ

  • コンサルタントは、個人情報の法律や保護対策を知らないままではいられない時代。
  • 個人情報保護法は条約に関連する法律なので、国の利益を維持するためにガイドラインが頻繁に改正されている
  • 個人情報を保護しながら活用する能力と、ウェブを含めたデータを解析して利活用する能力の両方を持つ人財が求められている。

個人情報保護士は、稼げる?

小杉
仙田さんのお話を伺って、個人情報保護士の需要は今後も右肩上がりだと思っているのですが、正直なところ、個人情報保護士で食べていけそうでしょうか?
仙田
ウェブ解析士と同じです。資格を取得しても食ってはいけません。
資格を取得した後、更に専門的な知識を深めて社会や地元のお役に立つことが役割だと思います。
小杉
ですよね!
ちなみに、相場としてどれくらいなのか、教えてもらうことはできませんか?
江尻
食い下がりますね(笑)
小杉
お金の話は大事です!
仙田
そうですね、個人情報保護士に相談したい方の参考にもなりますので、私が把握している現在の状況という前提になりますが……コンサルタント会社にお願いすると、年間で200万から300万円は珍しくないようです。
個人の方にお願いすると、年間で70万円~100万円が相場のようです。いずれも交通費等は別です。
主な仕事は、社内ルール作りと社員教育、監査、改善の提案になります。
EC部門やIoT部門を持っている企業は漏洩リスクが高くなりますから、セキュリティの専門家としての知見も活かせるため、それに伴って報酬も高くなります。
当然、クライアントが持つ拠点の数、部門の数、社員数、業務内容によって価格は変わりますが、参考までに。
小杉
なるほど。
仕事内容から考えたら、理解できる金額です。
江尻
ウェブ解析士と同じように、どちらかというと資格単体ではなく、相乗効果を生み出すという印象です。就職やキャリアアップには、有利になりそうですね。
仙田
個人情報保護法では、社内に個人情報を守るための組織体制を構築するよう求めています。つまり、個人情報保護管理責任者として活躍できることが期待できます。
また、個人情報保護に関する定期的な教育も求められていますから、社内教育の面でも必要な存在です。社員のたった1回のミスが社会的信用不安を招き経営不安に陥ることも珍しくないからです。
小杉
社内で活躍できる場が求められているのですね。
何か事例など、公開できる範囲であれば教えていただけませんか?
仙田
印刷会社さんのウェブサイトを拝見すると、個人情報保護士が在籍している事をウリにしている会社があります。名簿などの大切な機密情報を預かるからでしょう。
社員に個人情報保護士の資格を推奨するホテル経営もしているグループ企業があります。お客様の個人情報に触れる機会が多いので、安心して利用してもらえる企業を目指しての事だと思います。
小杉
個人情報を保護しようという教育が積極的に行われている会社は、法律で定められているからという以上に、お客様への安心を提供しているのですね。
Google が SSL を推奨しているのと同じように、今後は個人情報の保護が常識となる世界になりそうです。
江尻
ウェブ解析士のように、コンサルタントにとっても必須というお話がありましたから、外部講師としての活躍の場もありそうですね。
仙田
そうですね。社員教育を定期的に行うと言っても、すべての会社に専門家がいるわけではありませんから、外部のコンサルタントとして活躍できる場は十分期待できます。
たとえば今回お話しているPTAや自治会の役員・会員へ、個人情報の取扱いに関する外部講師としてお役に立つ場もあると思います。
また、もう少し専門的な知識を深め、会社で定めたルールがキチンと社内で履行されているのかを監査する重要な仕事があります。
小杉
仙田さんが取得されている、個人情報保護監査人としての役割ですね。
仙田
はい、企業の重要な役割を担うのなら、ぜひ学んでいただきたいものです。
実際に業務がおこなわれている中で、ルールが守られているのか?仮説を立て、監査証拠を集め、改善案を提案する。もしくは、実際の業務とルールに乖離が見つかれば、集めた証拠と共にルールの改善を提案する監査の仕事です。
小杉
企業の業績を伸ばすことなのか、企業の安全性を守ることなのか、という目的が違うだけで、ウェブ解析士に似ていますね。
仙田
ITやウェブの社会的環境は常に変化していますし、法令も準じて常に更新されていますから、関連法について詳しく、企業の実務に寄り添えるウェブ解析士の存在は今すぐにでも必要だと思います。
だからこそウェブ解析士の皆さんには、個人情報を取扱いの専門家として社内ルールを作り、専門家として社内教育に携わり、社長に代わって監査ができる専門家を目指していただきたいと思っています。
江尻
そうですね。ウェブ解析士が個人情報保護士を取得することで大きな強みになるので、ウェブ解析士協会でも推奨資格として紹介したいです。
仙田
今はオンラインでセミナーや研修ができる環境が整っています。私は島根県ですが全国へそう言ったサービスを提供できます。
個人情報取扱いについての定期的な教育が必要になった際、周りに講師が見つからないなど、お困りごとがあればお気軽にご相談ください。
江尻
仙田さん、貴重なお話をありがとうございました!

個人情報保護士は、稼げる?・まとめ

  • 社内に個人情報を守るための組織体制や教育体制を構築することが求められている。
  • 社内でも社外でも、個人情報保護監査人としての役割は重要になる。
  • 個人情報保護の関連法について詳しく、企業の実務に寄り添えるウェブ解析士の存在は大きくなる

 

いかがでしたでしょうか。

私は、何らかの形で個人情報の保護を徹底しなければならないこと、そのためにはプロの協力が必要だと強く感じました。

自分自身が、個人情報保護のプロになるかどうかは検討の余地がありますが、ウェブ解析士にとっては課題として捉えておきたいですね。

PTAの個人情報保護の取り組みは、「PTA 個人情報保護方針」などで検索するとすでに対応している事例を見つけることができますので参考にしてください。

個人情報保護士の資格については、個人情報保護士認定試験-財団法人 全日本情報学習振興協会 のページをご覧ください。

(インタビュアー 小杉 聖)

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

IoT時代の個人情報保護対策。具体的にどこから手をつければ良いのか?私にご相談頂けば、組織に蔓延る(はびこる)リスクを限りなくゼロに近くなるまで減らし、安心して個人情報を扱える体制をお作り致します。また、社内研修も承っておりますので、是非ご相談ください。

目次