なぜ、あなたのウェブには戦略がないのか?―3Cで強化する5つのウェブマーケティング施策

あなたのウェブサイトに戦略はありますか?

あなたのウェブサイトに戦略はありますか?
ウェブ解析で貢献するためには「戦略」は欠かせません。今回は「戦略とは」を語る前に、ウェブ解析の昔を振り返り「なぜ戦略が必要なのか?」を考えていきます。

ウェブ解析で貢献していますか?

Google アナリティクスが一般的になったのは2006年ごろからでしょうか。
多くのサイトがGoogle アナリティクスを実装し、SEMのキーワード分析が一般的になりました。

私が株式会社ゴンウェブコンサルティング取締役の村上佐央里とともに2007年に書いた『ECサイト4モデル式 Google Analytics経営戦略』という本はGoogle アナリティクスの設定だけではなく、活用方法についても紹介し、話題になりました。

あのころはまだスマートフォンもなく、インターネット活用と言えば検索、検索と言えばPCでした。だからこそ、検索エンジンで上位表示されるだけでとてもたくさんの訪問者を獲得でき、特にECであれば直接大きな売り上げを得られました。Google アナリティクスを活用して、宝探しのように成果に貢献するキーワードを掘り出し、そのキーワードでリスティング広告を出稿し、そのユーザーに向けてサイトを改善するだけで簡単に成果が出たものです。だからこそ、「解析をしよう」というメッセージを本書で発信しました。

SEM全盛期のウェブマーケティングは時代遅れ

しかし、それから10年。
いまやスマートフォンが一般的になり、オムニチャネル消費といわれるような、消費行動の複雑化によって、SEMの価値は大きく低下しました。また、SEMを効果的に活用することも難しくなりました。GoogleアルゴリズムのAI化により、従来の内部要素、外部要素という考え方ではSEOのアルゴリズムを理解できなくなり、SEOは死んだといわれるようになりました。また、リスティング広告も以前のように安価ではできません。1クリック100円が当たり前です。SEM全盛期のイメージでウェブマーケティングをやっていても全く効果がありません。

そんな状況の中で、もちろん、ウェブ解析の効果も低下しています。ウェブ解析ではPDCAサイクルという考え方があります。ウェブ解析のような専門的な手法が大きなサイクルの中で活用されるためには、とても大きな予算が必要です。解析士が分析し、それをチームで共有し、その課題解決のための改善案を検討し、実行し、検証する。ちょっとした解析でも、この一通りのプロセスを行うには、最低でも数十万円のコストがかかります。そして、それだけの費用を利益から捻出するには、その数倍の売り上げが必要なのです。

SEMのキーワード分析が難しくなった現在

従来解析が効果を発揮していたのはSEMのキーワード分析です。SEMという特別な収益スキームがなくなってしまった今、わざわざ分析して対策をするほどの効果的な打ち手はほとんどありません。Google アナリティクスでキーワードを拾うこともできませんし、かといって、調査のためにリスティング広告でたくさんのキーワードを網羅して出稿するほどの予算も得られません。それができたとしても、そこから宝探しのようにキーワードを発掘できる時代ではありません。サイト改善は解析よりも、専門家の知見に従うほうが安く効果的な場合が多いです。

大きな意味でのデジタルアナリティクスが重要になっていることは認めます。それは、目に見えないバーチャルな世界を理解するために重要なものです。しかし、それはスケールがあってこそ費用対効果に見合うものです。一般的な中小企業にはまだまだ関係のない話です。

役立つウェブ解析ができているか

あなたはウェブ解析で貢献できていますか?
もしできていなければ、あなたが手にする報酬も割に合わないものになってしまいます。私も前出の本を書いていたころはまだ独身で、自分が生きていけるお金さえ手にできればよかったので、報酬が少なくても楽しく働けていました。しかし、結婚し、子供もいる今では、ただ楽しいだけでは仕事を続けられませんし、10年後に今よりも生活が苦しくなると思えば今の働き方を続けることはできません。私を支えてくれる社員やパートナーのみなも同じでしょう。だからこそ、全員が成長し、全員がもっと貢献できる人材に成長していける未来を描く必要があります。
いまのウェブ解析の延長線上に、よりよい未来があるでしょうか。

ウェブサイトに戦略はあるか

とてもネガティブな話をしてしまいましたが、ウェブ解析に全く未来が無いというわけでもありません。もちろん私も新しいクライアントの事業分析においては必ずウェブサイトの分析も行います。そして、結果的には大きく事業に貢献し、十分な費用をいただいています。

上記の一般的な解析の状況と、私たちの仕事は何が違うのでしょうか。
それは、解析の前に戦略があるということです。

「ウェブ解析で改善点を教えてほしい」あなたならどうしますか?

例えば、仕入れ品を販売しているネットショップがSEOやリスティング広告に取り組んでいます。そこに「ウェブ解析で改善点を教えてくれ」と言われた場合、あなたならどうしますか。

Google アナリティクスを見て、ベターなキーワードを見つけて、「もっとこのキーワードで集客を増やしましょう」と言いますか。人気のコンテンツを見つけて、「もっとここに誘導しよう」と言いますか。

私たちはそれをやりません。まず、事業そのものに「選ばれる理由」が無いことを伝え、選ばれるために必要なことを一緒に検討します。

「選ばれる理由」を作り出すことから始める

今は無くても、「選ばれる理由」を新しく作るのです。多くの場合、自社で商品を開発し、仕入れ品を販売するときは、一緒に提供する新しいサービスを開発します。1年で終わることはまれで、通常は3年程度の期間を要します。

「選ばれる理由」を作ることがもっとも重要なのです。その上で、はじめてウェブサイトの役割を定義し、運用し、その検証として、理想的なウェブのイメージと現状のギャップをデータから見出すのです。ウェブ解析が十分に価値を発揮するには条件があり、その条件のもとに役割を担う必要があるのです。

だからこそ戦略の必要性を伝え、経営陣に働きかける役割だ

もちろん、簡単なことではありませんし、こういうことは、ウェブ解析士の役割を超えていると思います。しかし、成果が出ないとみなさんの報酬も増えません。「成果を出す」ということは事業にかかわる全員にとっての共通目標なのです。

だからこそ、周囲に「戦略はありますか?」と問いかけましょう。もし戦略が無かったら、「戦略が必要だ」と自ら発信してください。それがプロジェクトの出発点です。あなた以外にもその必要性に感づいている人がいるはずです。ぜひ周囲を巻き込み、戦略の必要性を伝え、経営陣に働きかけましょう。

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次回へ続く

権成俊氏、村上佐央里氏、木村純氏ほか共著の本
「なぜ、あなたのウェブには戦略がないのか?―― 3Cで強化する5つのウェブマーケティング施策」(技術評論社刊)
https://www.amazon.co.jp/dp/4774188050/

まぼろしの益子貴寛さんによるこの本の書評はこちらから読めます。
⇒「ウェブサイトの「戦いの略し方」を学ぶ本」
https://www.waca.associates/jp/column/23017/