ECサイトでファンを作る仕組みを大公開! 成功のカギは見えないお客様に「笑顔と感動」を届ける/#3

目次

『農業もエンターテイメントだ!』 ~農業のウェブ活用事例シリーズ第3弾

前回までのあらすじ:
米どころ新潟の農家に嫁ぎ、「特別栽培米」と呼ばれる減農薬・減化学肥料で栽培しているお米を武器に、米のネット販売に参入。自身の出産をきっかけに赤ちゃんと同じグラム数の「出生体重米」をギフト商品化。しかし、「特別栽培米」というお米の魅力だけでは売れず。
そこで、ターゲットを「出産を経験したママ」に絞りママの共感を得るコンテンツを作ったり、Webへの流入を増やすためにプレスリリースを活用したりすることで徐々に「出生体重米」が売れるようになる。

前回:新潟の農家に嫁いだ子育てママが挑む! 「出生体重米」をギフト商品化して利益を出せ/#2(2016/11/18公開)⇒https://www.waca.associates/jp/knowledge/column/17897
前々回:米の通販というレッドオーシャン市場に参入し、自社分析のうえで強みを活かしターゲットを絞って販促成果を上げた事例/#1(2016/11/7公開)⇒https://www.waca.associates/jp/knowledge/column/17552


こんにちは。新潟のウェブ解析士マスターの安達里枝(あだちりえ)です。

上の写真は我が家の畑で撮影したものです。そうです。私は、農家の嫁なのです。今回は、顔の見えないお客様に「笑顔と感動」を届けることで、顧客をファン化する方法を紹介します

ファン作りの鍵は「ファーストコンタクトで感動を演出する」

共感され、アクセス母数を獲得していけば、確実に売り上げは上がっていきます。

しかし、出産ギフトは出産内祝いなどの一時的な利用者が多く、リピートをされる商品ではありませんので、常に新規顧客獲得をし続けなければなりません

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EC運営者ならご存知だと思いますが、新規顧客の獲得にはコストが多くかかりますので、リピーターを効率よく増やしていくことがショップの利益向上につながっていきます。ですから、新規顧客だけではなく、出産内祝い以外のシーンでも購入してもらい、追加で頼みたくなる、ファン作りの仕掛けが必要だと感じました。

そこで、以下の3つを強化しました。

  1. 親切・丁寧を実感し信頼してもらう
  2. ファーストコンタクトで感動してもらう
  3. 顧客を感動させるためにしかけるコミュニケーション

ファンになってもらうためには、商品の魅力だけではなく、お店の姿勢や店長である私自身を理解してもらう必要があると考えました。

そこで、上記3つを実践するためのヒントを得るために、長男を出産した時の内祝いギフトのことを改めて思い返してみました。

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長男を出産した時は、まだこのショップは開いていませんので、内祝いギフトは百貨店にまとめて発注しました。

30個ほどの商品が大きなダンボール箱に入って自宅に届きましたが、窮屈に詰め込まれたダンボール箱から商品を取り出す際、かけられていたのし紙が破れてしまったのです。

「面倒だな」と思いながら、のし紙を文房具店で購入し、筆書きして貼り直しました。

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このエピソードを思い出した時に、「あ、これだ!」と思いました。内祝いならばのし紙が必須です。どんなに丁寧に梱包しても、何かの拍子に破けてしまうことだってあるはずです。そこで、数枚余分にのし紙を印刷して同梱することにしたのです。

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※ショップに掲載した商品説明コンテンツ

1. 親切・丁寧を実感し信頼してもらう

のし紙1枚で得られる信頼

万が一破れてしまった時の予備として、ご注文者様へ商品をお届けする場合はのし紙を数枚余分に入れ、「念のため、のし紙を余分に入れてあります。もし何かあればご利用ください」とメッセージを添えました。

このサービスを始めてから、実際に「のし紙を余分に入れてくれて助かりました。細かい心遣いがありがたかったです」というレビューを多くいただきました。

親切・丁寧で信頼できる! という良い感情を抱いてくださったお客様は、「また必要になったので、追加で注文したい!」というリピート注文をいただきました。さらに、「お米が美味しく、親戚中に喜ばれました!」という嬉しいレビューも積極的に書いてくれました。

いくら「うちは親切・丁寧なお店です!」とウェブサイト上でうたっても、初めてサイトに訪問したお客様にとっては、なかなか信頼できないものだと思います。

しかし、「のしを1枚余分に印刷し同梱した心遣い」は、お店自身が「親切・丁寧です!」とうたわなくても、受け取ったお客様がきちんと評価してくださり、レビューを読んだ他のお客様の購買決定を後押しする要因となっていきました。

のし紙の心配りが、リピーター獲得、新規獲得にもつながり、大きな費用対効果を得られました

2. ファーストコンタクトで感動してもらう

注文者にも記念品のメッセージカードをプレゼント

ECサイト運営において、商品お届け時は、「お客様と商品を通じて接触できる重要なシーン」です。商品が届いた時にいかに感動・感激してもらえるかがリピートの鍵になると考えていました。

とはいえ、何をしたら良いのかアイデアが浮かばずに悩んでいたところ、出生体重米を購入してくれた知人がヒントをくれたのです。

「せっかく世界にひとつだけのギフトを作ったのだから、記念として残せるといいよね」

確かに、中身はお米だから食べてしまいますし、そもそもギフトとして贈る商品なので、注文したお客様自身の手元にはなにも残らないこともあります。

そんな知人の一言を受け、お店からお客様へのサプライズプレゼントとして飾りたくなるメッセージカードを贈ることにしました。

内祝いギフトは、贈り主から贈り先へのお礼状(メッセージカード)を必ず同封します。そのメッセージカードは赤ちゃんの写真にメッセージ文を添えるのが主流です。

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※上画像は内祝いに添えるメッセージカードの案内コンテンツ

いつも作るそのメッセージカードをひと工夫し、でき上がった出生体重米の写真と「〇〇くんの健やかな成長とご家族のご多幸を祈念しています」というメッセージを添えて2L写真サイズに印刷し、商品とともにお客様へ送りました。

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※上画像は当店が内祝いご注文者様へプレゼントしたサプライズメッセージカード

ギフト商品ですから、贈り先様へ商品を直送する場合もありますが、メッセージカードと納品書は、手間がかかってもご注文者様へ別途郵送しました

もちろんこのサプライズプレゼントはサイトには、一切記載しませんでした。

このサービスを始めてからは、「商品が無事に届きました! メッセージカード、とても記念になりました! 早速部屋に飾りました!」というメールを多くいただきました。レビューにもサプライズが嬉しかったことや、店舗をとてもおススメしてくれる内容を書いてくださる方が多くいらっしゃいました。もちろん、リピートのきっかけにもなりました。

記憶に残してもらうために「飾りたくなる」を重視

このサプライズメッセージカードは、「飾りたくなる」という気持ちになってもらうことを重視していました。

つまりそれは、「また何かあったらあの店に頼もう!」と思い出してもらうきっかけになるからです。数多くあるギフト商品、数多くあるショップのなかで、記憶に残してもらうためにはいつでも思い出せる、目に触れることが大切です。

我が子の誕生という記念すべき時でだからこそ、記念となる品はきっと飾って大切にしてくれるだろう……。単に商品を紹介するチラシとは異なり、お客様の大切な記念品として残してもらえるこのサプライズメッセージカードは、のし紙を余分に同梱するサービスとともに、リピーターや新規顧客獲得において、広告よりもずっと費用対効果の高い「販促ツール」となりました

まとめ

ちなみに、このサプライズメッセージカードを贈るようになってからは、ご注文くださったお客様から、お子様の成長した様子を記した年賀状をいただくようになりました。お客様と直接触れる機会の少ないECサイト運営で、こんな風にお客様と心を通わせることができれば、運営者にとっては大きなモチベーションの源泉となりますよね。もちろん、モチベーションだけではなく、売り上げにも直結していきます。

 

このような事例は、「規模が小さく小回りが利くショップだから実現する」というわけではないと思います。店舗規模にかかわらず、お客様との接触機会のひとつひとつを大切にし、お客様が喜ぶことを考えサービスを展開することが、商売の基本であるはずです。

昨今、CRM(Customer Relationship Management)や、MA(マーケティングオートメーション)ツールの活用が盛んになってきました。これらを本気で活用し、成果を上げるには、まずお客様に向き合い、お客様が喜ぶことは何なのか、を徹底的に考え抜くことがスタートラインだと思っています。

ツールを活用するための定義を考えるのはあくまで人。
データを読み解くのも人。
お客様も人。

お客様の小さな感情に寄り添い、態度変容へ向けた感情の高まりをひとつひとつ積み重ねていく接客やサービスを考え抜いてみてください。リピート増加のヒントが沢山見つかるはずです。

次回はファン作りのための3つ目の施策、顧客を感動させるためにしかけるコミュニケーションの取り方について実践した内容を解説します。

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

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この記事を書いた人

株式会社スマイルファーム代表取締役。金属加工で有名な新潟県の燕三条でウェブ制作からコンサルティングまでをワンストップで提供。創業当時からグロースハックの手法も取り入れながら地域ブランディングや民間企業・自治体等のウェブ活用を総合的にプロデュースしている。兼業農家の嫁・3児の母

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